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○旅館営業許可に関する疑義について

(昭和三〇年一月二一日)

(三○環衛第三九号)

(厚生省公衆衛生局環境衛生部長あて長崎県衛生部長照会)

本県において、左記の如き事例がありますが、営業許可取消ができるかどうか。又如何なる措置をとるべきか。

御多忙中恐縮ですが、至急御教示御回答煩わしたく照会いたします。

1 関係者

甲 旅館営業者

乙 家屋所有者

丙 家屋所有者(乙の養子)

丁 家屋所有者(丙の実父)

2 事案内容

(1) 昭和二十年三月、甲は乙の承諾を得て、乙の家屋中三室を借り同居したが、同年九月、乙は死亡し、同家屋は丙の所有となつた。

(2) 昭和二十五年六月、甲は借りていない他の室を含めて、旅館営業許可申請書に記載し、且つ家主の承諾書を添付せずに、県の許可を得て営業を開始した。

(3) 家主丙は、昭和二十五年十月県に対し、営業許可取消願を提出したので、甲丙の間を調停したが、不調に終つた。

(4) 昭和二十八年同家屋は丁の所有となり、昭和二十九年九月、丁は県に対し営業許可取消願を再提出した。

3 取消願出の主張点及び関係法令(条例、施行規則添付)

(1) 旅館業法施行細則第二条第二項に定める家屋所有者の承諾書を、営業許可申請書に添付していない点(この場合の許可は、不法許可であると家主は主張している。)。

(2) 貸していない室を客室に使用するように申請書に記載して許可を得ている点(三室にては許可にならないので、借りていない室を記載し県の許可を得ている。)。

(昭和三○年五月一九日 衛環発第一六号)

(長崎県衛生部長あて厚生省公衆衛生局環境衛生部長回答)

昭和三十年一月二十一日環衛第三九号で照会のあつた標記のことについて、左記の通り回答する。

旅館業法第三条の営業許可は、本来当該施設が衛生上必要とされる要件を具備しているかいないかについてのみ判断され、当該施設に対する許可申請人の使用権限については触れるところではない。

従つて、旅館営業許可申請にあたつて、この使用権限に関し必要な書類を提出させること等は許可の要件に関係はなく、単に行政の円滑かつ合理的な運営を図るための行政上の便宜を目的としているものとみるべきである。

設問にかかる長崎県旅館業法施行細則第二条第二号の承諾書の提出は、かかる意味において、それが申請書の添付書類として形式的に申請の内容の一部をなすとみられる場合に於ても、許可の行政行為の必須要件となるべきものでないことは明らかである。従つて、県細則第二条第二号の書類を添附せずに行つた許可申請であつても、申請は有効に成立し、これに基く許可も適法になされたものというべきであり、当然この許可を取り消すべき事由に該当しない。