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○旅館業法上の疑義について

(昭和五六年七月三一日)

(環指第一二四号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省環境衛生局指導課長通知)

標記について、別紙(1)により東京都中央区環境衛生部長から照会があり、これに対して別紙(2)により回答したので御了知ありたい。

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別紙(1)

(昭和五六年七月一五日 五六中環管発第三〇五号)

(厚生省環境衛生局指導課長あて東京都中央区環境衛生部長照会)

本区において、最近マンションの一部を左記のように使用しようとする事例があるので、その取扱いについて御教示願います。

1 施設の状況及び管理等

(1) 施設は、分譲マンション(鉄筋コンクリート九階建)として建設されたものであり、使用しようとする施設は、一階一室(フロント)、二階七室、三階二一室、七階四室、八階一二室、九階一室の計四六室である。

(2) 売主A社は、一室につき一〇名と売買契約を締結し、専用部分及び共用部分をあわせて、共有持分として所有権を購入者(以下「所有者」という。)に移転するものである。

(3) この際、A社はB社を指定し、所有者及びB社との間に施設の維持管理及び使用について、施設利用契約及び利用規定を締結することを条件とするものである。

(4) 施設利用契約においては、A社はB社の代理人である。

(5) 各所有者には、年間四五泊の宿泊利用券が配付されるが、これを第三者に譲渡することもでき、譲渡を受けた者(宿泊利用券所持者)は誰でも施設を利用できる。

(6) 宿泊利用券所持者は、B社の管理に係る他の同種の施設も利用できる。

(7) 寝具はB社が提供する。

(8) 食事は提供しない。

(9) 施設の利用料は、利用者が宿泊の都度、室内清掃、シーツ類のクリーニング代等の実費と称し、一〇〇〇円をB社に支払うほか共用部分の管理経費を主とした一般的な管理費用として、所有者は月額四〇〇〇円(但し、一か年分を前納)を定期的に支払う。

2 質問点

(1) 前記1において、B社は次のような理由で当該施設が、旅館業法の対象施設に該当しない旨主張する。

ア 営業行為が、所有者の委託に基づく管理業務であること。

イ 所有者から、月額四〇〇〇円の定期的支払い(但し、一か年分を前納)を受けること及び利用の都度、一人一泊一〇〇〇円の支払いを受けることに関して、前者は共用部分の管理経費を主とした一般的管理費用であること。後者は、清掃費、クリーニング代等の実費であり、当該実費の平均額を事前に契約により定額として定めたものであつて、これは旅館業法に定める「宿泊料を受ける」行為に該当しないこと。

(質問)

(ア) アについて

別添四施設利用契約書第七条では、所有者は、その所有する施設の占有を禁じられ、かつ、管理運営の一切をB社に委任することとなつていること。同第十二条では、B社が所有者の土地・建物に入り、当該建物の補修・改修・改築ができること。

また、宿泊利用券による施設利用者の利用を拒否し、又は退去を命じうること等、B社の行為は単なる管理業務の域を超えた管理上の全責任を社会的に負うところの営業行為であると判断する。

(イ) イについて

宿泊の都度、利用者から光熱水費、室内清掃費、クリーニング代等として、定額一〇〇〇円を徴収することは、宿泊の対価を徴収しているものと解され、旅館業法に定める「宿泊料を受ける」行為に該当すると判断する。

以上(ア)及び(イ)の理由により、当該施設を旅館業法適用対象施設として取り扱うのが相当であると考えるが如何。

別紙(2)

(昭和五六年七月三一日 環指第一二四号)

(東京都中央区環境衛生部長あて厚生省環境衛生局指導課長回答)

昭和五十六年七月十五日五六中環管発第三〇五号をもつて照会のあつた標記の件については、次のとおり回答する。

貴見のとおりである。本件事例は、B社が施設の所有権者を含む多数人に対し施設を使用させるものであつて、その行為は人を宿泊させる営業に該当し、かつクリーニング代等に充てるとして徴収する費用は宿泊料に当たるものであるので、旅館業法の対象となると解される。

なお、B社に対しては旅館業法に基づく営業許可申請を行うよう指導されたい。