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○環境衛生主管課長会議における質疑応答集の送付について(旅館業法関係)
(昭和三二年八月二九日)
(衛環第五六号)
(各都道府県衛生主管部(局)長・各指定都市市長あて厚生省公衆衛生局環境衛生課長通知)
過般昭和三十二年七月十七日開催の環境衛生主管課長会議における改正旅館業法関係の質疑応答事項のうち、その主なるものを左記のとおりまとめたので、送付するから、行政事務運用上の参考資料とされたい。
おつて、本質疑応答においては、「旅館業法」を「法」、「旅館業法施行令」を「令」とそれぞれ略称する。
記
(問1) 法第二条第一項の規定により旅館業の施設が四種に区分されたが、今後の営業許可は、旅館業として許可すべきものであるか。ホテル営業、簡易宿所営業等業種別に許可すべきであるか。
(答) 許可は、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業又は下宿営業として許可しなければならない。
(問2) 三週間の宿泊料を単位とする温泉宿は、下宿営業であるかどうか。
(答) 下宿営業は一箇月以上の期間を単位とするものであるから、設問の場合は下宿営業以外の種別の旅館業である。
(問3) 簡易宿所営業が新しく改正法で規定されたが、従前の営業の取扱はどうすべきか。
(答) 改正法施行日である昭和三十二年六月十五日現在によつて、当該施設が法第二条第二項から第五項までの規定の施設のいずれに該当するかは、客観的に定まるものではあるが、なお念のためこの際営業者から簡易宿所営業として営業されるものであるかどうかについて、届出等をさせるのがもつとも適当な措置と考えられる。
(問4) 法第三条第二項の「施設の設置場所が公衆衛生上不適当」とは、いかなる場所か。
(答) 法第四条第二項の規定に基く条例規定事項を遵守しえないような場所が、不適当な場所である。
(問5) 学校附近について特別の規制が加えられることとなつたが、今後の営業許可は、いかなる時期において行うのがもつとも適当か。
(答) 従前の行政方針どおり、営業の施設の建築完成後であつても差し支えないが、学校附近の場合は不許可となることもありうるので、申請者の便宜を考慮して、施設の建築に着手する前にあらかじめ許可、不許可の処分を決定することとしても差し支えない。なお、この点は、許可権者の行政方針によるもので、一率に国において方針を決定することは困難である。
(問6) 削除
(問7) いわゆる売春業者が当該施設を旅館業の施設に転業させる場合は、許可すべきであるか。
(答) 法第三条第二項の規定による不許可基準に該当する者でない限り、許可すべきである。ただ、旅館業法改正の趣旨にのつとり、許可後においても、法第四条第三項の基準の遵守について常時指導を行うよう特に留意されたい。
(問8) いわゆるバンガローは旅館業の施設となるか。
(答) 業として人を宿泊させる営業である限り、旅館業の施設となる。ただ、特殊の事情もあるので、施行令第二条の規定による構造設備の基準の特例が適用されることとなる。
(問9) 構造設備の基準に食堂を規定しなかつた理由如何。
(答) 食堂(調理室)を構造設備の基準として政令で規定した場合、全国共通に必ず設けなければならないこととなり、現実の都道府県知事の従前の行政方針からみて、必ずしも実情にそわない場合もあるので、規定しなかつたのであるが、必要と認めるときは、都道府県知事の定める構造設備の基準において規定して差し支えない。
(問10) 構造設備の基準に定員を規定しなかつた理由如何。
(答) 定員とは、換言すれば一定の広さの客室に何人以上利用させてはならないということであり、従つて、許可を受けて後の営業に際しての守るべき基準となるから、法第四条第二項の規定に基く条例事項となるものである。なお、近時、修学旅行専門旅館等において種種定員について問題ともなつているので、この際、条例に規定して実効を確保することは、適確な行政措置と考えられる。
(問11) 簡易宿所営業における階層式寝台について層数の制限を政令で規定しなかつた理由如何。
(答) 層数の制限は、天井の高さにもよるので政令で一率に基準を設けることは困難であるが、もし必要と認めるときは、都道府県知事の定める構造設備の基準において規定して差し支えない。
(問12) 下宿の部屋数、一部屋の広さ等は、都道府県知事の定める構造設備の基準において規定して差し支えないか。
(答) 設問のとおりである。
(問13) 客室の床面積の算定方法如何。
(答) 客が占有使用しうる部分の面積をいい、客室内の客専用の浴室、便所等は含まれるが、共通の廊下、客室の床の間等は算定には含まれない。
(問14) 簡易宿所営業の延床面積は、押入等を除いた個室面積の総和と解して差し支えないか。