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○映画興行の健全化について
(昭和三〇年一月二四日)
(衛発第三四号)
(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通知)
標記については、一月二十日厚生省発第五号厚生事務次官通知によりその実施の大綱を明示されたところであるが、なお、左記事項に御留意のうえ、その実施に遺憾のないようにされたい。
おつて、この措置は諸興行のうち映画興行について講ぜられるものであるが、その他の興行についても、この機会にその衛生施設衛生措置について検討を加え改善整備につとめられたい。
記
1 この措置は、諸興行のうち映画興行について講じられるものであるから、興行場のうち映画館が対象となり、演劇、演芸その他の興行については、対象とされないものであること。
2 この措置は、映画の長時間上映の是正によつて館内の衛生状況を良好ならしめるばかりでなく、その他の衛生措置をもあわせ行おうとするものであるから、映画館全般にわたつてこの措置の趣旨の徹底をはかること。
3 興行場法、同法施行規則及び同法に基く条例によつて映画館に対する衛生上の指導監督を行うことは従前と同様であるが、更に消防法及び同法に基く条例(例えば火災予防条例)、建築基準法及び同法に基く条例(例えば建築安全条例)等においてはそれぞれ消防又は建築の見地から映画館の定員その他について必要な措置を講じているので、これら他法令との関連をも十分考慮し、その一体的運用をはかること。
4 興行場法に基く県規則及び県条例においては、映画館の換気、採光、照明その他衛生上必要な措置について規定しているところではあるが、この措置に伴い、特に換気措置に関する規定、休憩時間に関する規定、その他衛生施設、衛生措置に関する規定等にわたり再検討を加え、この措置の実効が期せられるようにすること。
5 右の措置を講ずる場合においては、それぞれの地方的特殊事情を考慮するとともに興行者側の意向を十分尊重して、その実効性を確保するようにつとめること。
6 映画館における一回の興行時間はおおむね二時間半を原則とするが、一回の興行時間後におおむね一〇分以上の休憩時間を設けることを必要とするものであること。なお、映画上映と合せ行う実演等のアトラクション又はこれに類するものを原則として一回の興行時間に含まれるものであること。
7 右の一回の興行時間は原則であるが、特別に優良映画等の長尺物であつて、二時間半以内において上映することができないものについては、適宜休憩時間を設ける等によりつとめて衛生上支障を生じないようにすること。
8 定員の励行については、直ちにこれを厳守せしめることは困難であるが、消防当局とも協議の上興行者側の協力により漸次その励行をはかるようにすること。
9 換気装置その他の衛生施設の改善設備については、特に興行者側の理解と協力を求め、場合によつては今後融資その他資金の斡旋の便宜を与えることをも考慮し、また興業場法による適正な指導を適宜実施するようにすること。
10 関係官公庁、関係諸団体等との間においては、おおむね次のような方法により実施するものとすること。
(1) 当省においては、文部省、国家消防庁、警察庁、建設省、通産省、総理府等の関係官庁のほか日本興行組合連合会、日本映画連合会等映画興行関係者と協議を行うこととするので、各都道府県においてもこれらの地方機関ならびに地方組織と協議を行い、要すれば連絡協議会の設置等の措置を行うものとする。
(2) 右の場合において、組合に加入していない興行者の意見も十分聴取しうるよう考慮するものとする。
(3) 婦人団体、青年団体、P・T・A等民間諸団体と密接に連絡し、一般報道機関等の協力を得て、趣旨の普及徹底をはかるものとする。
11 この措置は主として映画興行関係者の自主的措置に期待するものであるが、これら関係者によつて「映画興行の健全化について」の自主的管理組織が結成される等の場合においては、つとめて積極的に援助すること。
12 優良な映画館の表彰、この問題に関する講習会の開催及び強調週間の設定等適宜施策の滲透の方途を講ずるものとすること。
13 この措置の実施については、おそくとも本年四月一日を目標とすることに定められているが、それ以前に準備を完了しうる地方にあつては、成る可く早く実施しうるよう措置すること。
14 その他この措置の実施については、別添参考資料を参照して検討を加え、円滑かつ有効な施行にあたること。