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○興行場法の疑義について
(昭和三三年五月三一日)
(三三環発第二三二号)
(厚生省公衆衛生局環境衛生部長あて茨城県衛生部長照会)
興行場の取り扱いについて、疑義を生じており、左記事項について至急何分の御教示をお願いします。
記
1 興行師が巡回して業を行うとき、公会堂、集合所等の既設建物を私用(月四回以内)するときは、建物自体が興行のために建てられたものでない理由から仮設興行場としての許可は必要でない。(昭二三・一二・三衛庶発第七八号通達二、別記)
興行師が自ら一定の施設を設けて巡回する場合は、仮設興行場の許可を必要とする。(昭二三・一二・三衛庶発第七八号通達五、別記)
この両者の場合、興行の反覆継続という行為は同一性を有するものと解し、前者等の既設建物を臨時興行場(仮称)として仮設興行場の取扱をして県規則に規定することは、適当な措置であるか。
2 一時的な施設であつても、興行師が巡回して自ら一定の施設を設けて行う場合は、仮設興行場として法の適用を受ける。(昭二三・一二・三衛庶発第七八号通達五、別記)
青年団等が祝祭時等に一時的に行うときは、法の適用を受けない。(昭二三・一二・三衛庶発第七八号通達四の1、別記)
この両者の場合、施設そのものはいずれも一時的なものであるが、前者と後者とは、その興行の行為が反覆継続であるか否かによつて、法の適否を決定づけたものと解されるが、興行場の許可の対象は、あくまでその施設とすれば矛盾するようにも思われるがどうか。
3 官庁、学校、報道関係団体、社会事業団体等が、一時的に施設を設け、または既設建物を利用して、教育的と称して行う興行について反覆継続して(月四回以上)行うときは、仮設興行として取扱うべきかどうか。
4 反覆継続に①その行為を反覆継続する場合、たとえば、興行師が、巡回して興行を行うような場合と、②場所(施設)そのものが、反覆継続して利用される場合同一人でない者が同一場所(施設)を利用する場合との二つの場合が思料されるが、そのいずれも許可を受ける必要があるかどうか。
5 興行場を許可する場合、その設置場所について、官公署、学校等からの距離を県規則をもつて制限を設けることは、違法(不適当)な措置であるかどうか。
6 法第二条第二項の規定による公衆衛生上不適当な場所とは、具体的にいかなる場所であるか例示願いたい。
(別記)
昭和二十三年十二月三日付衛庶発第七八号通達(抜すい)
2 学校の付属施設、公民館、集会所等が一時的に興行に使用されても、これ等の施設は、本来興行のために建てられたものではないから、法第一条による業として興行場を経営するものとは言えない。
3 しかしながら、前記のごとき施設が頻繁に、かつ、反覆的に興行に使用され、実際上は興行場と同一視される場合には、明らかに興行場として本法の適用を受けるものである。この場合に興行場営業の許可を受くべき者は、当該施設の所有者または経営者であつて施設を利用する興行師ではない。
4の1 村の青年団等が祝祭のため、一定の施設を設け興行を行う如き場合は、有料であつても反覆継続的な意思をもつて行うものではないから、これらの施設は本法による興行場でない。
5 興行師が巡回して興行を行うに当つて既存の施設を利用する場合は、3に記したごとく当該興行師が興行場経営者として許可を受けるものではない。
興行師が、自ら一定の施設を設けて巡回する場合には、仮設興行場として本法の興行場と同様に取り扱われ、その場合は、仮設興行場の経営者として許可を受けなければならない。
(昭和三三年九月五日 衛環発第七四号)
(茨城県衛生部長あて厚生省公衆衛生局環境衛生部長回答)
昭和三十三年五月三十一日三三環発第二三二号を以て照会のあつた標記については、次のとおり回答する。
記
1 興行場法は、興行ではなく興行の行われる施設たる興行場を対象として監督、取締を行うものであり、同法に基く許可は、その施設について、当該施設が反覆継続して興行場として使用経営される場合に行われるものである。
この意味において、お尋ねの後者の昭和二十三年十二月三日付衛庶発第七八号通知別記五は一定の施設が反覆継続して使用されていると解されるから許可を要するものとし、前者の同通知別記二は施設自体の性格から一般的には、その利用が反覆継続して行われるとは考えられないのが原則であるので許可を受けさせるべきでないとしたのであつて、反覆継続して使用されている特定の公会堂を興行場として許可を受けさせるならばともかく、一般的には反覆継続して使用されるとは考えられないこれらの施設について県規則で規制することは適当でない。
2 1の趣旨から前者については、一定の施設が反覆継続して興行場として使用される場合であるから許可を要するものとし、後者については興行場としては、一時的の使用にすぎないから許可を要しないものとしたのであつて、両者の間には何ら矛盾は認められない。
3 1の趣旨から一定の施設が興行場として反覆継続して使用される場合(おおむね月四回程度以上)には許可を要するものとして取り扱うべきである。この場合興行者興行内容等興行それ自体とは全く関係がない。
4 1の趣旨から②の場合の如く施設が興行場として反覆継続して使用される場合に許可を必要とするのであつて、①の場合のごとく興行が反覆継続して行われることは直接には興行場法の許可とは関係ない。
5 興行場営業を許可に係らしめたのは、当該興行場の施設について公衆衛生上の観点から規制するためであつて、許可に当り考慮すべき「設置の場所」も公衆衛生上の見地より判断すべきであり、お尋ねのごとく県規制をもつて一律に設置場所の距離制限を行うことは、特に法の委任に基かない限りできないと解すべきで、この旨を規定した県規則は明らかに違法である。
6 公衆衛生上不適当な場所とは、興行場法第三条第一項に規定する入場者の衛生に必要な措置を講ずることができ難いことが明らかに予見できる場所をいうものである。