添付一覧
○営業三法の取扱に関する件
(昭和二三年一〇月五日)
(公保発第五〇九号)
(厚生省公衆衛生局長あて山形県知事照会)
曩に公布施行せられた興行場法、公衆浴場法、旅館業法の営業三法に関し之の施行細則並びに県条例制定について必要があるので左記事項につき至急何分の御回答を煩わしたい。
記
1 興行場法について
法第一条第三項に規定する興行場営業で特定の興行場を所有しない興行師が東京其の他の地区より、俳優等を伴なつて来て芝居、演芸等の興行を料金を徴収して一時的に学校の講堂、農業会の集会所などを利用して行う場合が応々ありこれは八月十三日附厚生省発衛第一○号による次官通牒の「季節的又は一時的に仮設して営業を行う興行場の取扱云々」に該当し知事の許可を必要との見解を有するが、このような仮設的営業の取扱に関し本省の御意見を伺いたい。
(本県では劇場がなく芝居、演芸などは屡々興行師が学校等の講堂を一時的借り受けて興行を行う実情にある)
2 公衆浴場法について
法第二条第二項の公衆浴場設置の場所については公衆衛生上不適当であると認められない以上許可を与えなければならないと解釈されるが、曩に仙台市に於けるブロツク会議の際の質疑応答によれば本法の施行細則を県で制定する場合、既設営業者よりの距離の制限を設けることができる様指示があつたがその法的根拠につき疑義がありますので御指示を得たい。
3 営業三法の施行規則第一条第二号の所在地の変更については夫々同第二条の規定により届出義務ばかりであるが所在地を変更するは場所的に新たに許可を必要とするものと解せられ本件に関してもブロツク会議の折質問しその際は帰省後至急回答する旨の指示なるが未だ回答なく至急何分の御回報を煩わしたい。
(昭和二三年一一月二日 衛発第二七八号)
(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長回答)
標記の件に関し十月五日山形県知事より別紙の如き照会あり、左記の通り回答したから念の為御通知する。
記
1 興行場法について
興行場法は、興行場に対する監督、取締を目的とするものであつて、興行を対象とするものでない。学校の附属施設又は集会場等が一時的に興行に使用されることがあつても、これ等の施設は業として興行場を経営するものでなく従つて仮設の興行場として取り扱うことは適当でない。但し、これ等の施設が実際上興行場として常時使用されている場合には、興行場として法の適用を受けさせる必要がある。
2 公衆浴場法について
法第二条第二項に規定されている公衆浴場の設置の場所の内容としては、公衆浴場のみについては公衆衛生の見地から浴場の適正配置を図るという趣旨に基き距離制限の意味が含まれているのであつて必要な場合には、県の施行規則に「土地の状況、人口の密度その他公衆衛生の見地から距離の制限をすることが出来る」等の距離制限の規定を設けて差し支えない。又この公衆衛生上の距離制限がもし、科学的に人口数或いはメートル等で表現出来る場合には「人口何千につき一軒」とか「何メートル以上離さなければならない」と規定しても差し支えない。
3 営業三法の施行規則について
興行場法、旅館業法、公衆浴場法の三法の施行規則第二条による記載事項の変更の届出に関して
(1) 氏名の変更とは、許可を受けた者が改姓或いは改名をしたときの氏名の変更を云うのであつて、営業の譲渡、相続の場合には、新たな許可を受けるものである。
(2) 所在地の変更とは、境界変更、廃置分合等による所在地の名称の変更を意味するものであつて、新らしい場所に変更した場合には新たな許可を受けることが必要である。