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○地方自治法の一部を改正する法律等の施行に伴う環境衛生関係事務の一部の特別区への移行について

(昭和四九年一一月一四日)

(環企第一二一号)

(東京都知事・各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)

昭和四十九年六月一日法律第七十一号をもつて地方自治法の一部を改正する法律が、同月十日政令第二百三号をもつて地方自治法施行令の一部を改正する政令が、それぞれ公布され、貴職においても所要の措置を講じられていることと思料されるが、これらの改正は、環境衛生行政関係事務の一部の特別区への移管を伴うものであり、数か月後の施行を控えるところとなつたので、以下の事項に留意のうえ、遺憾のないようにされたく、通知する。

第一 地方自治法改正及び地方自治法施行令改正の内容

今般の地方自治法等の一部改正の趣旨は、特別区の区長の選挙制の採用、都及び特別区間の事務の再配分等を行うこととするものであるが、とくに都及び特別区間の事務の再配分に関しては、特別区又は特別区の区長は、当分の間原則として保健所を設置する市(以下「政令市」という。)に属する事務又は保健所を設置する市の市長(以下「政令市の市長」という。)の権限に属する事務を処理し、又は管理し、及び執行することとされ、これに伴い、従来都又は都知事が行うこととされていた環境衛生関係の事務の一部を特別区又は特別区の区長が行なうこととなつたこと。ただし、これらの事務のうち、事務の広域性、事務処理の現状等の理由によつて、都又は都知事が行うことが適当であると考えられるものについては、従来どおり、都又は都知事が処理し、又は管理し、及び執行することとされたこと。

なお、今回の改正による環境衛生関係の事務の配分は、左記第二から第四のとおりであること。

第二 特別区又は特別区の区長が処理することとなる事務(第四の関係を除く。)

次に掲げる法律又は政令に定める政令市に属する事務又は政令市の市長の権限に属する事務は、特別区又は特別区の区長が処理し、又は管理し、及び執行することとされたこと。

(1) 興行場法(第五条関係)

(2) 公衆浴場法(第六条関係)

(3) 旅館業法(第七条関係)

(4) 理容師法(第十七条の二の規定により読み替えて適用される第九条第二項、第十条第二項、第十一条、第十一条の二、第十三条第一項、第十四条第一項及び第十四条の二関係)

(5) 理容師法施行令(第八条第二項関係)

(6) 美容師法(第二十二条の規定により読み替えて適用される第九条第二項、第十条第二項、第十一条、第十二条、第十四条第一項、第十五条及び第十六条関係)

(7) クリーニング業法(第十四条の規定により読み替えて適用される第五条、第五条の二及び第九条から第十三条まで関係)

(8) へい獣処理場等に関する法律(第六条関係)

(9) 墓地埋葬等に関する法律(第十九条の二の規定により読み替えて適用される第十八条及び第十九条関係)

第三 都又は都知事が処理する事務(第四の関係を除く。)

次に掲げる法律又は政令に定める政令市に属する事務又は政令市の市長の権限に属する事務は、事務の広域性、事務処理の現状等を総合的に勘案し、従来どおり、都又は都知事が処理し、又は管理し、及び執行することとされたこと。

(1) 狂犬病予防法(第二十五条の規定により読み替えて適用される第二条第二項、第三条第一項、第四条第一項、第二項及び第四項、第六条第二項、第五項及び第十項、第十条、第十三条から第十九条まで、第二十一条並びに第二十三条関係)

なお、同法第四条第一項の規定による登録の申請は、当然従来どおり特別区の区長を経由するものであり、また、同法第五条第二項、第八条第一項及び第二項並びに同法施行令第三条の規定による保健所長の事務については、特別区においては特別区の保健所長が行うものであること。

(2) と畜場法(第十三条第一項並びに第二十条の規定により読み替えて適用される第九条、第十条、第十二条、第十四条及び第十五条関係)

(3) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第八条第一項及び第三項、第十二条第四項、第十四条第一項、第二項及び第四項、第十五条第一項及び第三項、第十八条、第十九条並びに第二十条関係)

なお、地方自治法第二百八十一条第二項が改正されるとともに、附則第二十三条により、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二十三条の二が追加され、附則第二十四条によりそれに伴う経過措置が定められたが、その趣旨は、特別区が行う公衆便所及び公衆用ごみ容器の設置及び管理に関する事務を除いた一般廃棄物の収集及び運搬並びに大掃除の実施計画に関する事務については、都が、別に法律で定める日まで従来どおり処理するものであること。

(4) 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(第六条、第七条第一項及び第八条関係)

(5) 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(第五条、第七条第四項、第十一条第一項、第十二条並びに第十三条第二項及び第三項関係)

第四 食品衛生法関係事務

1 特別区又は特別区の区長が処理することとなる事務

食品衛生法又は同法施行令に定める政令市に属する事務又は政令市の市長の権限に属する事務(同法第十七条、第十八条第二項、第十九条第一項及び第三項、第二十八条及び第二十九条の二の規定により読み替えて適用される第十九条の十七第六項及び第二十一条から第二十四条並びに同法施行令第七条第二項関係)は、2に定めるものを除き、特別区又は特別区の区長が処理し、又は管理し、及び執行するものとされたこと。

なお、同法第二十七条第二項及び同法施行令第七条第一項に定める保健所長の事務は、特別区においては、特別区の保健所長が行うものであること。

2 都又は都知事が行う事務

(1) 食品衛生法及び同法施行令により、政令市又は政令市の市長の事務とされているものについては、原則として特別区又は特別区の区長の事務とされるが、都と特別区との関連とは、一般の府県と政令市との関連とは異つた性格を有することから、事務の広域性、従来の経緯等を総合的に勘案して、施行令第八条に定める営業に関する事務又は卸売市場法に定める卸売市場に係る事務は、都又は都知事が行うこととしたものであること。

(2) 施行令第八条に定める営業に関する事務とは、当該営業に係る法第十七条第一項、第十九条第三項、第十九条の十七第六項及び第二十一条から第二十四条に定める事務であること。

なお、施行令第八条に定める営業に係る同条に定める処分は、当然のことながら従前どおり都知事が行うものであること。

(3) 卸売市場法に定める卸売市場に係る事務とは、同法第二条第二項に規定する卸売市場の区域内における食品衛生法第十七条第一項、第十九条第三項、第十九条の十七第六項及び第二十一条から第二十四条に定める事務であること。

なお、同法施行令第八条に定める営業に係る同条に定める処分については、(2)と同様であること。

第五 留意すべき事項

(1) 特別区においては、今般の地方自治法等の改正によつて、新たに環境衛生行政の一部を実施することとなるものであり、これに伴う行政体制の整備が急務であるので、衛生行政の実施に必要な専門職員の確保、諸設備の整備、関係規則の制定等、各般にわたり十分な措置を講じ、事務の実施に際して遺漏のないようにすること。

(2) 環境衛生行政は、広域的な性格を有するものが多く、とくに、特別区については、その地域的条件等からしても他の政令市と異つた面を有するため、事務の迅速かつ統一的な処理がとくに必要とされるので、特別区相互間及び都と特別区の間の連絡を密にする体制を整えること。

(3) この環境衛生関係事務の一部の特別区への移行に係る改正規定は、昭和五十年四月一日から施行されること。