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○精神衛生法第三十二条の規定による通院医療費公費負担制度の運用について

(昭和四一年二月八日)

(衛精第七号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省公衆衛生局精神衛生課長通知)

標記については、昭和四十年八月二十五日厚生省衛発第一八四号厚生事務次官通達及び昭和四十年九月十五日衛発第六四八号厚生省公衆衛生局長通知に示されているが、細部についてはなお若干の疑義が生じているようであるので今後は次のとおり解釈を明らかにし、運用の統一を図ることとしたから御了知のうえ、遺憾なきを期されたい。

なお、過日、日本医師会との間に別添のとおり申合わせが行なわれたのでこの点についても御了知ありたい。

第一 通院医療費公費負担の申請手続に関する事項

1 申請書、意見書及び患者票の記載について

(問一) 申請書の「保健所長の意見」欄にはどのような記載をすべきか。

(答) 患者の生活状況、家庭環境等、精神衛生診査協議会における診査に当たつて参考となるような事項について記載すること。

(問二) 意見書の「継続」及び「再」の区分如何。

(答) 「継続」とは、公費負担の承認期間が満了した後引き続き公費負担医療を受けようとする場合をいい、「再」とは、以前公費負担を受けたことがあり一時中断の後再び公費負担による医療を受けようとする場合をいう。

(問三) 意見書の「薬物療法」欄の薬物名についてはどの程度記載すべきか。

(答) 精神科特殊薬物については使用しようとするものをすべて記載し、その他の薬物については使用しようとするもののうち主要なものを記載すること。

(問四) 意見書及び患者票の「担当医療機関」欄に薬剤の交付を受ける薬局名を記載する必要はないか。

(答) 薬剤の交付を受ける薬局は特定しなくてもよいので、記載する必要はない。

(問五) 意見書及び患者票の病名の記載を符号によつて行なつてもよいか。

(答) 現在のこところ病名について公定化された符号はなく、符号による記載は混乱を生じ事故を発生させるおそれもあるので行なうべきではない。

2 公費負担の承認又は不承認の場合の取扱いについて

(問一) 公費負担の承認の場合に、患者票を直接担当医療機関に送付してもよいか。

(答) 差しつかえない

(問二) 公費負担の不承認の場合には、同一の理由によつて不承認となるような事例につき無用な申請をしないで済むように意見書を記載した医師に不承認の理由を知らせることが適当と思われるかどうか。

(答) 不承認の理由を連絡するのが適当である。

3 意見書の作成にかかる費用について

(問) 意見書の作成にかかる費用の負担はどうすべきか。

(答) 意見書の作成にかかる費用について社会保険診療報酬の対象とすることは困難である。

また、精神障害者の経済力にかんがみ、患者に負担のかからないような取扱いをすべきであるが、当分の間、結核の公費負担診断書料等に準じた金額を限度とし、本人負担とすることもやむをえない。

第二 通院医療費公費負担の実施に関する事項

1 公費負担の対象について

(問一) 外国人は、公費負担の対象となるか。

(答) 対象となる。

(問二) 精神薄弱者施設に収容されている者が通院によつて精神障害の医療を受ける場合は公費負担の対象となるか。

(答) 対象となる。

(問三) 他県の患者についての公費負担医療はできるか。

(答) できる。ただし、費用の負担は、当該患者の居住地の都道府県が行なう。

(問四) 「精神分裂病の疑」と診断された者は、公費負担の対象となるか。

(答) 診断病名が「精神分裂病の疑」とある場合であつても、精神障害のあることが確実な者は対象となる。

2 公費負担の始期について

(問一) 公費負担の始期は何時か。

(答) 公費負担の始期は、申請の受理日である。ただし、申請書の提出が郵送その他特別の事情のため時日を要した場合には、当該事情の継続した期間についても公費負担を承認して差しつかえない。

(問二) 公費負担の申請受理日から公費負担の承認決定までの間は、公費負担による医療はどのようにして行なわれるか。

(答) 公費負担の申請と同時に、医療機関において公費負担医療としての取扱いをすることも考えられるが、公費負担の承認決定までは全面的にこのような取扱いが行なわれることは期待しがたい。しかし、この間、公費負担医療としての取り扱いが行なわれなかつた場合には、公費負担の承認決定後に申請の受理日に遡つて調整を行なう必要が生じる。

3 公費負担医療の範囲について

(問一) 精神障害に附随する軽易な傷病とはどの範囲を指すか。

(答) 精神障害に附随する軽易な傷病とは、精神衛生法に基づく公費負担による通院医療を担当する医療担当者によつて通院による医療を行なうことができる範囲の傷病とする。ただし、総合病院にあつては、当該診療科以外において行なつた医療は範囲外とする。

なお、結核性疾患は、結核予防法に基づいて医療が行なわれるので、範囲外とする。

(問二) 往診による医療は、公費負担医療の範囲に含まれるか。

(答) 往診による医療は公費負担医療の範囲に含まれる。なお、往診料についても公費負担が行なわれる。

(問三) 初診料について公費負担は行なわれるか。

(答) 公費負担の申請のために行なつた初診については、公費負担は行なわれないが、公費負担開始後に医療機関を変更した場合に変更後の医療機関で最初に行なわれた診察については、初診として公費負担が行なわれる。

(問四) インシユリン療法は、公費負担医療の範囲に含まれるか。

(答) インシユリン療法は、原則として入院によつて行なうことが適当であるので、公費負担医療の範囲に含まれない。

(問五) 院外処方せんを発行した場合は、処方料について公費負担は行なわれるか。

(答) 公費負担は行なわれる。

4 その他

(問) 患者票の有効期間内に入院した場合には、患者票は返納すべきか。

(答) 単に入院したことのみをもつて返納する必要はない。

第三 費用の請求及び審査に関する事項

1 費用の請求について

(問一) 他県の患者医療にかかる費用の請求はどこに対して行なえばよいか。

(答) 当該医療を担当した医療機関の所在地の都道府県の支払基金事務所を経由して、当該患者の居住地の都道府県に対して行なう。

(問二) 費用の請求に要する用紙は、医療機関に無償で配布するのか。

(答) 都道府県において作成のうえ、無償で医療機関に配布するものとする。

2 審査について

(問) 支払基金における審査は何に基づいて行なわれるか。

(答) 精神科の治療指針及び公費負担の承認事項に基づいて行なわれる。このため、都道府県は、支払基金事務所に対し、公費負担の承認事項を連絡するものとする。

別添

精神衛生法による通院医療費公費負担制度の運用に関する疑義解釈についての日本医師会と厚生省の申合わせ

1 往診医療について

往診医療は可とする。往診料も公費負担する。

2 精神障害に附随する軽易な傷病について

「精神障害に附随する軽易な傷病」とは、精神衛生法に基づく公費負担による通院医療を担当する医療担当者(以下「当該医療担当者」という)によつて通院による医療を行なうことができる範囲の傷病とする。ただし総合病院にあつては当該診療科以外において行なつた医療は範囲外とする。

なお、結核性疾患は、結核予防法に基づいて医療が行なわれるので範囲外とする。

3 不承認の場合

当該医療担当者にその理由を連絡する。

4 公費負担の始期及び公費負担医療の取り扱いについて

公費負担の始期は、申請の受理の日とする。ただし当該医療担当者は患者票を確認したうえで当該医療を開始するか、あるいは申請受理の日以前に開始された診療について遡及して公費負担を行なうこともあり得る。

なお、患者票は直接当該医療担当者に送付しても差し支えない。

5 健保及び国保との調整について

健保及び国保の請求明細書に精神衛生法による公費負担医療の開始の日を記入すること。(開始当月分のみ)

6 請求書の返戻について

支払基金及び国保連合会の審査委員会においては、公費負担の有無のみを確かめるための返戻はしない。

7 意見書料について

意見書作成にかかる費用については、社会保険診療報酬の対象とすることは困難であるが、精神障害者の経済力にかんがみ、なるべく患者に負担をかけないよう配慮されるべきである。ただし当分の間、結核の公費負担診断書料等に準じた金額を限度とし、本人負担とすることもやむを得ない。

8 診療報酬請求の用紙について

無償で提供する。