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○精神衛生法第二十六条による通報について

(昭和三〇年七月二一日)

(衛発第四四五号)

(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通知)

精神衛生法第二十六条の規定により矯正施設の長が精神障害者又はその疑のある収容者を釈放又は退院させようとするときは、原則として帰住地の都道府県知事に通報するものとし、帰住地のない場合に限つて当該矯正施設所在地の都道府県知事に通報することになつているが、従来、矯正施設特に医療刑務所に収容中の精神障害者については、当該矯正施設の長が帰住地の都道府県知事に通報するにもかかわらず、多くの場合、何らの回答もなく、また、精神衛生鑑定医の派遣も得られないために、やむを得ず帰住地のない者として当該施設所在地の都道府県知事に通報し、当該都道府県において精神障害者の医療保護の措置を講じている実情である。

今般これらの通報事務の円滑な運用を期するため、法務省当局と協議の上、通報にかかる精神障害者の取扱を左記(別紙法務省矯正局長各矯正施設長あて通知参照のこと。)により処理することといたしたいので御了知の上遺憾のないよう御配意願いたい。

なお、法務省当局と協議の際、帰住地の都道府県における積極的協力及び帰住地のない者又は症状により移送に堪えない者に対する施設所在地都道府県における一層の協力を特に要望されているので、通報事項の処理に関しては迅速適切なる措置をとられるよう格段の御配意を煩わしたく重ねて御願いする。

1 矯正施設より精神障害者又はその疑いのある者を釈放又は退院させようとするときは、原則として、その直前に帰住地 最寄りの矯正施設に移送しその施設より釈放又は退院させる等の方法を講じ、当該精神障害者の医療及び保護に遺憾のないように措置すること。

2 都道府県知事に対する通報事項については、精神衛生法第二十六条に定める事項のほか、帰住地の都道府県知事の行うべき鑑定希望日時及び希望受診場所を通報することとし、都道府県知事は右の通報された事項に基き、すみやかに鑑定日時及び鑑定場所を当該施設の長に通知するとともに、当該精神障害者の引取人又は保護義務者に通知すること。

3 帰住地がない者又は症状の程度その他やむを得ない事情により、帰住地 最寄施設に移送することができない者については、当該施設所在地の都道府県知事に通報するものとすること。

医療刑務所より退所する精神障害者の取扱について

(昭和三〇年七月六日 法務省矯正甲第八五〇号)

(厚生省公衆衛生局長あて法務省矯正局長通知)

標記のことについて五月二十三日付衛発第三〇四号をもつて御来照があつたので管下各施設に対し別紙のとおり指示したから御了知ありたく、なお左記の点については特段の御配意をお願する。

1 入院措置を必要と思料される者についてその都道府県知事に通報するも何ら回答もなく鑑定医等の派遣もないので已むを得ず施設において附近の病院に入院させる等のことがあったので、かかる場合帰住地の都道府県においては本人の医療保護について積極的な協力が得られるよう措置願いたいこと。

2 帰住地のない者、又は症状により移送に堪えないものに対する施設所在地の適当施設に収容方については従来にもまして御配意を煩わしたいこと。

別紙

精神障害者等収容者の釈放、退院退所時の取扱について

(昭和三〇年七月六日 法務省矯正甲第八四九号)

(矯正管区長・拘置所長・刑務所長・少年刑務所長・少年院長・少年鑑別所長あて法務省矯正局長通知)

標記事案の場合は精神衛生法第二十六条の規定により、あらかじめ当該施設の長より帰住地の都道府県知事に通報することとなっているが、その釈放等事務処理にあたり関係方面との折衝に円滑を欠くきらいがあるので、その取扱について厚生省当局と協議の上、今後左記趣旨により処理することとしたから御了知の上これらの者に対する医療、保護について万全を期せられたい。

追て昭和二十五年十一月矯保甲第一、七七七号(精神衛生法の実施について)通牒は廃止されたものと御了知ありたい。

1 精神衛生法第二十六条に基く通報については洩れのないように留意するとともに、事前に本人の帰住地の都道府県衛生部、保護観察所及び収容予定施設等と連絡を密にし、なるべく釈放又は退院日の直前に帰住地最寄りの矯正施設に移送し、その施設より釈放又は退院させる等の方法を講じ、できる限り医療、保護の便宜をはかること。

2 都道府県知事に対する通報事項については同法第二十六条に定める事項の外帰住地の都道府県知事が行うべき鑑定希望日時並びに希望受診場所を通報すること。

3 同条第二号(症状の概要)の記載事項については症状の軽重により左によること。

(1) 本人を放置した場合、他人に害を及ぼし又は社会生活を破壊するおそれがあって、精神病院に収容するか、或は特別の保護指導を必要と認められる者については、なるべく症状を詳細に記載し、入院についての意見を付すること。

(2) 前号以外の軽症度の者については、病名の記載にとどめ特に参考となるべき事項があれば併記すること。

4 帰住地がない者又は症状の程度その他已むを得ない事情により帰住地最寄り施設に移送することができない者については、施設所在地の都道府県知事に通報するとともに入院その他適当な措置を講ずること。

5 第二十六条にいう釈放、退院又は退所には矯正施設より出所するすべての場合を含む。但し矯正施設間相互における身柄送致の場合はのぞく。

6 あらかじめ釈放、退院又は退所の期日を知ることができない場合は釈放、退院又は退所後速やかに通報を行うこと。