添付一覧
○町村合併による政令市の境界変更等に伴う従前の都道府県知事等のした処分の効力について
(昭和三八年一月一七日)
(衛発第三八号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省公衆衛生局長通知)
福岡県における門司、小倉、八幡、戸畑、若松の五市は来る昭和三十八年二月十日合併することとなつたので、これに伴い政令市たる小倉市及び八幡市は消滅するため、厚生省としては、合併と同時に新市を政令市に指定する予定であるが、これに関し、福岡県知事から別紙甲のとおり照会があつたので、別紙乙のとおり回答を行なつた。
本照会に係る事項は、事柄の性質上、政令市に他の市町村が吸収合併される場合等における従前の都道府県知事のした当該市町村の区域に係る処分の効力及び政令市からその一部が分離して新たに都道府県知事の管轄権の及ぶ市町村が生ずる場合等における政令市長のした当該区域に係る処分の効力にも共通するものであるので、この旨通知する。
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(別紙甲)
政令市指定に伴う従前の都道府県知事のした処分の効力について
(昭和三七年一二月二〇日 三七医発第三七九四号)
(厚生省公衆衛生局長あて福岡県知事照会)
本県においては、門司、小倉、八幡、若松および戸畑の五市が来る昭和三十八年二月十日に合併してその区域をもつて、あらたに北九州市が誕生することとなつた。これに伴い新市は保健所法第一条の規定に基づく政令で定める市(以下「政令市」という。)に指定される運びとなることと思料するが、新市が政令市に指定された場合各種衛生法令に基づく都道府県知事の権限のうらには排他的に政令市長の権限となるものがある。ところが保健所法および各種衛生法律ならびにこれらに基づく政令においては、地方自治法の一部を改正する法律(昭和三十一年法律第百四十七号)附則第一五項およびこれに基づく地方自治法施行令の一部を改正する政令(昭和三十一年政令第二百五十三号)附則第七項のごとき規定が見受けられないが、政令市指定の日の前後にまたがつてした都道府県知事の処分等については、どのように解されるか、見解をお示し願いたい。
(別紙乙)
(昭和三二年一月一七日 衛発第三八号)
(福岡県知事あて厚生省公衆衛生局長回答)
昭和三七年一二月二〇日三七医発第三、七九四号をもつて照会のあつた標記については、次のとおり回答する。なおこの件に関しては、関係部局も了解ずみであることを申し添える。
記
1 都道府県知事又はその委任を受けた出先機関が門司、戸畑、若松の区域に係る管轄権に基づき、かつ、国の機関としての権限に基づいて住民に対してした処分の効力(例、食品衛生法第二十一条の規定による営業の許可、同法第二十二条の規定による営業の停止等、児童福祉法第二十一条の四の規定による給付の決定、結核予防法第二十九条の入所命令等)及びその処分に基づき地方公共団体が負う義務(例、結核予防法第三十五条の規定による費用負担)は、新市長のした処分及び新市の負う義務として当然引き継がれるものであり、照会文中引用の経過規定のうちこの種の性質を有する部分は入念規定であると解される。したがつて、この種の事務については、たとえば、食品衛生許可証に記載されてある知事名を新市長名に改めるため行なう許可証の交換その他の作業のごとく、外見的事象を法的実体に一致させるための作業は別として、法的効果の継続に関しては、何らの手続きを必要としない。
2 政令市長たる小倉市長若しくは、八幡市長又はそれらの委任を受けた小倉市若しくは、八幡市の出先機関が国の機関として住民に対して行なつた処分に関しても、1と同様である。
3 国の機関としての権限に基づく処分以外のもの、すなわち結核予防法第三十四条の規定に基づく医療費の負担については、知事並びに小倉市長及び八幡市長のした負担決定の処分は当然には新市長のした処分として引き継がれず、新市が政令市に指定された後に行なわれる医療に要する費用の負担については、新たに申請及び決定の行為が必要となるが、承認率の低下等により住民の医療が阻害されることのないよう、事務の引き継ぎに当たつて特に配慮されたい。
なお、今後五市の住民について費用負担の決定を行なう場合には、その有効期限が昭和三十八年二月九日までである旨を患者票に明記し、それ以降も公費負担を受けようとするときは改めて新市長あてに申請を行なうよう十分指導するとともに、昭和三十七年八月十日から現在までにすでに行なつた費用負担の決定については、当該患者及び医療機関に対し、患者票記載の有効期間中昭和三十八年二月十日以降の期間については、失効する旨すみやかに周知徹底させること。
4 医療法第二十五条第一項の規定に基づく報告命令のごとく、政令市指定後も都道府県知事の権限が政令市の区域に及ぶものについては、1に記載した関係は生じないことを念のため申し添える。