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○衛生事務に関する権限の委任について

(昭和二五年六月一五日)

(厚生省発衛第九四号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生事務次官通知)

標記のことについては、昭和二十三年六月以来数次の通牒によって、それぞれお取り計らい方お願いしてきたのであるが、既に、御承知の通り、今回性病予防法等の一部改正並びにこれに関する政令、省令の制定若しくは一部改正が行われたので、これに伴い、保健所法第三条及び地方自治法第百五十三条第二項によって、都道府県知事から都道府県保健所長へ、また、保健所法第一条の規定に基く政令で定める市(以下市という。)の市長から、その保健所長へ委任すべき事項につき、一部改訂を行い、これを別紙の通り定めたから、左記御了知の上、よろしく御取り計らい願いたい。

(1) 昭和二十三年六月二十一日厚生省発健第五九号

(2) 昭和二十三年七月十九日 厚生省発予第五八号

(3) 昭和二十三年十一月五日 厚生省発予第八七号の各通牒は、これを廃止するから、御了知ありたい。

また、当該市の存する道府県にあっては、本件の実施につき、当該市を十分指導監督願いたく、なお、当該市長宛これと同文の通牒をしたからお含みありたい。

1 委任の範囲に関する原則は、従来通り、全都道府県的考慮の必要あるもの、その他、特殊の考慮を要するもの以外は、これを保健所長に委任するものとしたこと。

2 従来は、知事から市長へ委任したもののうち、市保健所長へ委任しなかったものもあったが、今回は、法令の改正によって、市長の権限となったものは、原則として、市保健所長へ委任するものとしたこと。即ち、これによって、市保健所における行政事務の充実を図るとともに、なるべく都道府県保健所長と市保健所長の権限の差を少なからしめることとしたこと。

したがって、都道府県保健所長への委任事項と市保健所長への委任事項とを一表として表示し、かつ、何れか一方に適用されないものは、その旨附記することとしたこと。

3 今回の法令改正にあたって払われた考慮に伴い、従来に比し、加除したもののあること。

4 今回新たに法令において、市町村長の権限となっている事項のうち、適当とみられるものを、市保健所長に委任するものとし、これを別表として表示したこと。

別紙

第一 都道府県知事より都道府県保健所長、市長より市保健所長へ委任する事項

1 性病予防法

(イ) 第六条 患者診断の届出を受理すること。

(ロ) 第七条 患者が医師の指示に従わないとき、治療を受けないときの届出及び治、死亡、転居のときの届出を受理すること。

(ハ) 第十条 第六条の届出に基いて、接触者の健康診断を受けるよう命ずること。

(ニ) 第十四条第一項 患者又はその保護者に対し、性病治療に関する措置について報告を求めること。

(ホ) 第十五条第一項 患者又は保護者に対し、治療をうけ又は受けさせるよう命ずること。

(ヘ) 第二十二条 当該吏員をして患者又は性病にかかっていると疑うに足りる正当の理由のある者の住所若しくは居所又はその従業する場所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせること。

2 癩予防法

(イ) 第一条、規則第一条 患者診断、転帰、死体検案の届出を受理すること。

(ロ) 第二条の二 予防上必要と認めるとき、従業禁止その他の行政処分を行うこと。

3 「トラホーム」予防法

(イ) 第三条、規則第四条 治療を受ける途なき者にトラホーム治療を施行すること。

(ロ) 第四条 検診、従業停止その他の行政処分を行うこと。

4 寄生虫病予防法

(イ) 第二条 予防上必要あるとき健康診断、糞便検査をなすこと。

5 伝染病予防法

(イ) 第十九条中、予防上必要と認めるとき、左の各号を行うこと。

第一号 健康診断、死体検案を行うこと。

第四号及び第五号に規定する事項を行うこと(但し、このうち、重大な権利制限的行為については、知事又は市長の指示を受けること。)

第六号 製造所若しくは多人数集合する場所に対し、予防上必要な措置をなさしめること。

第七号に規定する事項中、上水、下水の新設、改築、変更、廃止を除く他の事項を行うこと。

第九号 族、昆虫の駆除及びこれに関する施設をなさしめること。

6 旅館業法

(イ) 第七条 必要あるとき報告を求め、又は当該吏員をして旅館に立入検査させること。

7 興行場法

(イ) 第五条 必要あるとき報告を求め、又は当該吏員をして興行場に立入検査させること。

8 公衆浴場法

(イ) 第六条 必要あるとき報告を求め、又は当該吏員をして公衆浴場に立入検査させること。

9 理容師法

(イ) 第十条、規則第八条中、期間を定めて、理容師の業務を停止し、その免許証を領置すること。

(ロ) 第十一条、規則二十条及び同三十条 理容所の開設、変更、廃止の届出を受理すること。

(ハ) 第十三条 当該吏員をして理容所に立入検査させること。

10 墓地、埋葬等に関する法律

(イ) 第十八条及び第二十二条の二 必要あるとき当該吏員をして火葬場に立入検査させ、又は墓地、納骨堂、火葬場につき、報告を求めること。

11 汚物掃除法

(イ) 規則第九条 掃除汚物の運搬処分に関する方法、順序の届出を受理すること。(但し、都道府県保健所長のみとする。)

(ロ) 規則第十一条 掃除監視吏員に関する届出を受理すること。(但し、都道府県保健所長のみとする。)

12 水道条例

(イ) 第八条中、水質を検査せしめ、これに基き、水質の改良を市町村に命ずること。(但し、都道府県保健所長のみとする。)

13 食品衛生法

(イ) 第十七条 必要あるとき報告を求め、当該吏員をして関係場所に臨検せしめ若しくは関係物件を検査し、又は、収去させること。

(ロ) 第二十一条から第二十四条までの事項を行うこと。

但し、営業の許可及び取消権並びに営業の禁止権については、「食品衛生法第二十九条の二の規定による営業及び処分を定める政令」(昭和二十五年政令第五十二号)に列挙された営業に関するものを除く。

14 屠場法

(イ) 第三条 屠場外屠殺に関し、規則第三条第一号の自家用の場合の許可を行うこと。(但し、都道府県保健所長のみとする。)

(ロ) 第四条 屠畜検査員をして屠畜検査を行わしめること。

(ハ) 第十一条中、屠場の使用を停止すること。(但し、都道府県保健所長のみとする。)

(ニ) 第十二条 屠場設備の変更を命ずること。(但し、都道府県保健所長のみとする。)

15 へい・・獣処理場等に関する法律

(イ) 第六条 必要あるとき報告を求め、又は当該吏員をしてへい・・獣処理場に立入検査させること。

16 あん・・摩、はり・・きゆう・・・、柔道整復師等営業法

(イ) 第十条 必要な報告を提出させ、当該吏員をして、施術所に臨検検査せしめること。

左にかかげるものは、市については、地方自治法第百五十三条第二項により、知事より市長に委任した上、市長より市保健所長に委任するものとする。

1 結核予防法

(イ) 第一条、規則第一条 環境上、病毒伝播の虞ある患者診断の届出を受理すること。

(ロ) 第三条、規則第八条 家屋物件の消毒その他の予防法を施行し、又はその施行を患者等に命ずること。

(ハ) 第四条、規則第八条 健康診断、従業禁止その他の行政処分を行うこと。

2 精神病者監護法(精神衛生法第四十八条第二項による。)

(イ) 第五条、規則第七条 監置精神病患者の治、死亡、行方不明、監置廃止の届を受理すること。

(ロ) 第七条中、精神病患者の監置の許可を取り消し、監置の廃止を命じ、又は直接に監置を廃止すること。

(ハ) 第十一条 指定医師をして検診、尋問せしめ家宅、病院等を臨検せしめること。

3 有毒飲食物等取締令

(イ) 第三条 必要あるとき、報告を徴し、又は当該吏員をして必要な場所に臨検検査せしめること。

4 へい・・獣処理場等に関する法律

(イ) 第七条中、期間を定めてへい・・〉獣処理場の施設の使用の制限若しくは禁止を命ずること。

第二 市長から市保健所長へ委任する事項

1 伝染病予防法

(イ) 第五条、規則第十四条中、患家の消毒方法、清潔方法を指示すること。

(ロ) 第九条、規則第三十二条 患者又は死体の移動を認可すること。

(ハ) 第十条、規則第三十二条 汚染物件の使用後、授与、移転、遺棄、洗滌を認可すること。

(ニ) 第十一条中、規則第十五条 患者死体消毒方法を認定すること。

(ホ) 第十一条中、規則第三十二条 患者死体を二十四時間内に埋葬することを認可すること。

(ヘ) 第十三条中、規則第三十三条 伝染病患者たりし疑いある死体及び家屋その他に対して、相当の処分をなさしめること。

(ト) 第二十六条、規則第十六条 清潔方法、消毒方法を代執行すること。