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○行政不服審査法の施行及び関係法令の改正について

(昭和三七年一二月一五日)

(保発第四九号)

(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

行政不服審査法は、昭和三十七年九月十五日法律第百六十号をもつて公布され、「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」(昭和三十七年法律第百六十一号)、「行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の施行に伴う関係政令の整理に関する政令」(昭和三十七年政令第三百九十一号)及び「優生保護法施行規則等の一部を改正する省令」(昭和三十七年厚生省令第四十七号)とともに、昭和三十七年十月一日から施行された。

これに伴い、行政不服審査法の趣旨及び運用上の留意事項については、さきに昭和三十七年十月二十二日厚生省発総第五八号をもつて厚生事務次官から各都道府県知事あて通知されたところであるが、当局所管にかかる関係法令の改正の概要は次のとおりであるので留意されたい。

おつて、関係改正条文その他関係資料を添付するので参考とされたい。

第一 健康保険法関係

一 健康保険法の一部改正について

(一) 被保険者の資格、標準報酬若しくは保険給付に関する処分又は保険料その他の徴収金の賦課徴収に関する処分については、従前どおり社会保険審査官又は社会保険審査会に対して審査請求をすることができることとし、その手続については、一般法たる行政不服審査法の規定の適用を大巾に除外して特別法たる社会保険審査官及び社会保険審査会法の定めるところによることとしたこと。

(二) 第六章の章名をはじめとし、字句の訂正を行なつたこと。

二 健康保険法施行令の一部改正について

(一) 同令第二十三条第三項に規定する訴願について、訴願法が廃止されたため、これに代えて新たに審査の申立てという制度を設け、これによつて不服申立てを行なうべきものとしたこと。

(二) 審査の申立ての手続については、行政不服審査の規定を準用することとしたこと。

(三) 字句の整理を行なつたこと。

三 健康保険法施行規則の一部改正について

行政不服審査法第五十七条に規定する審査庁等の教示の義務が一般的に適用されることとなるため、健康保険法施行規則第五章(第七十二条及び七十三条)の規定は不要となるので、これを削除したこと。

四 健康保険法の施行に関し留意すべき事項

以上の改正に伴い、健康保険法の施行に関しては、以下の点に留意されたいこと。

(一) 被保険者の資格、標準報酬若しくは保険給付に関する処分又は保険料その他の徴収金の賦課徴収に関する処分については、審査手続に改正が加えられたほかは、従前と同様であること。

なお、審査手続の改正については、社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部改正の項を参照されたいこと。

(二) 前記(一)に掲げた処分以外の処分については、すべて、行政不服審査法の規定による不服申立てを行なうことができるものであること。

(三) 健康保険法施行令第二十三条第三項において新たに規定された組合会の議員の選挙又は当選の効力に関する審査の申立ては、行政不服審査法に基づく不服申立てとは全く別個のものであつて、本令の規定によつてとくに設けられたものであり、その手続について行政不服審査法の規定が準用されているものであること。

(四) 健康保険法施行規則の改正は、これによつて審査制度の教示の義務を失なわしめるものではなく、行政不服審査法第五十七条の規定が適用されることにより、これらの事項についても当然従来と同様に教示を行なわなければならないものであること。

第二 日雇労働者健康保険法及び船員保険法関係

日雇労働者健康保険法及び同法施行規則並びに船員保険法及び同法施行規則の一部改正については、その要点及び趣旨は、健康保険法及び同法施行規則の一部改正と同様であること。

第三 国民健康保険法関係

一 国民健康保険法の一部改正について

(一) 国民健康保険法の規定に基づく処分に対する不服申立ては、行政不服審査法の規定によるものであるが、そのうち、保険給付及び保険料等本法の規定による徴収金についての不服申立ての審査庁は特に国民健康保険審査会とされたこと。

(二) 国民健康保険審査会に審査請求をする場合の手続き等については従来から、国民健康保険法に詳細に規定されていたのであるが、そのうち、今回の行政不服審査法に同様の趣旨の規定が設けられたものについては、削除することとし、特に国民健康保険の特殊性により必要とされる規定は存置したこと。

(三) その他字句について行政不服審査法にあわせるための所要の改正がされたこと。

二 国民健康保険法施行令の一部改正について

(一) 審査請求書の記載事項については、原則として行政不服審査法の規定によることにしつつ、なお国民健康保険の審査に関して必要な事項を記載するものとして、所要の改正がなされたこと。

(二) 前記のほか施行令の規定中行政不服審査法に同様の規定が設けられたものは削除されたこと。

(三) その他字句について行政不服審査法にあわせるための所要の改正がされたこと。

第四 社会保険審査官及び社会保険審査会法関係

一 社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部改正について

(一) 国民年金の保険料その他徴収金の賦課徴収又は滞納処分に対する審査請求について、新たに管轄審査官が定められたこと。

(二) 審査請求書が郵送された場合の審査請求期間の計算については、郵送日数を算入しないこととされたこと。

(三) 従来解釈上認められていた代理人による審査請求について明文の規定を設けたこと。

(四) 審査請求の取下げについては、従来特別の規定がなく、審査請求の代理人においても行なうことができたのであるが、今回の改正により、取下げについて明文の規定を設けるとともに、代理人において取下げる場合には、取下げについての特別の委任が必要となつたこと。

(五) 決定は、審査請求人に送達された時にその効力を生ずる旨の明文の規定を設けるとともに、送達を受けるべき者の所在が知れないときその他決定書の謄本を送付することができないときは、公示送達ができることとされたこと。

(六) 社会保険審査会に対する飛躍請求ができる場合の再審査請求期間の制限が撤廃されたこと。

二 社会保険審査官及び社会保険審査会法施行令の一部改正について

(一) 法人が審査請求を行なう場合の請求書の記載事項等を明確に規定したこと。

(二) 審査請求ができることについての教示の有無及びその内容を請求書の記載事項として追加したこと。

(三) その他、今回の法改正に伴い字句の整備を行なつたこと。

三 社会保険審査官及び社会保険審査会法の施行に関し留意すべき事項

以上の改正に伴い同法の施行に関しては、以下の点に留意されたいこと。

(一) 法においては、社会保険審査官がした処分については行政不服審査法の適用を大部分排除しているが、社会保険審査官が、審査請求について相当の期間なんらの処分をしない場合の不作為については、行政不服審査法が適用され、不服の申立てが行なわれるものであること。

(二) この場合、社会保険審査官には、直近上級行政庁に相当する機関がないので、社会保険審査官の不作為については異議申立ての手続きによることとなること。

(三) 本年十月一日以前から継続中の審査請求事件にかかる社会保険審査官の不作為についても行政不服審査法が適用され、異議申立てがなされ得るものであること。

添付書類 略