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○行政不服審査法の施行に伴う戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正について

(昭和三七年一〇月二二日)

(援発第八八四号)

(各都道府県知事那覇日本政府南方連絡事務所長あて厚生省援護局長通知)

行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律(昭和三十七年法律第百六十一号。以下「整理法」という。)行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係政令の整理に関する政令(昭和三十七年政令第三百九十一号。以下「整理令」という。)及び優生保護法施行規則等の一部を改正する省令(昭和三十七年厚生省令第四十七号。以下「整理省令」という。)の施行による不服申立制度の改正については、別途事務次官から昭和三十七年十月二十二日厚生省発総第五八号通達「行政不服審査法の施行について」をもつて通達されたところであるが、整理法により戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号。以下「遺族援護法」という。)及び引揚者給付金等支給法(昭和三十二年法律第百九号)中不服の申立の規定が別紙(一)のとおり、整理令により戦傷病者戦没者遺族等援護法施行令(昭和二十七年政令第百四十三号。以下「遺族援護法施行令」という。)及び引揚者給付金等支給法施行令(昭和三十二年政令第百十二号)が別紙(二)のとおり、また、整理省令により戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則(昭和二十七年厚生省令第十六号。以下「遺族援護法施行規則」という。)及び引揚者給付金等支給法施行規則(昭和三十二年厚生省令第二十五号)が別紙(三)のとおり、更に戦傷病者戦没者遺族等援護法施行事務取扱規程(昭和二十七年厚生省訓第十八号。以下「事務取扱規程」という。)が別紙(四)〔略〕のとおりそれぞれ改正されたので、遺族援護法による障害年金、障害一時金、遺族年金、遺族給与金又は弔慰金に係る処分についての不服申立て及び引揚者給付金等支給法による引揚者給付金又は遺族給付金に係る処分についての不服申立ての運用にあたつては、記左事項に留意のうえ、不服申立人等の権利の救済に遺憾のないように配意されたく、通達する。

第一 遺族援護法に関すること

一 改正の主要事項及び留意すべき事項について

遺族援護法関係の不服申立ての制度は、行政不服審査法の施行並びに整理法、整理令及び整理省令による遺族援護法関係法令の改正により、形式的には改められたが、実態的にはおおむね従前と同様であること。

なお、改正の主要事項及び改正に伴つて留意すべき事項は、次のとおりであること。

(一) 従前の「不服の申立」の名称は、「異議申立て」となること。

(二) 異議申立てをすべき行政庁は、従前と同様に厚生大臣であること。

(三) 異議申立書を厚生大臣に提出するまでの経由庁については、従前は改正前の遺族援護法施行令第六条の二第一項に定められていたが、今後は改正後の遺族援護法施行規則第四十五条第四項及び第四十五条の四第五項に同趣旨の規定が設けられることとなつたこと。また、その手続については、事務取扱規程第十九条の二の改正によつて異議申立書の提出又は送付を受けたときから本籍地の都道府県知事又は厚生大臣に送付するまでの期間が「二十日以内」であつたものを「すみやかに」と改められたほかは、従前と同様であること。

(四) 異議申立てをなし得る期間は、当該処分の通知を受けた日の翌日から起算して一年以内であり、従前と同様であること。

(五) 異議申立てに対して厚生大臣が行なう処分の名称は、従前は「裁決」であつたが、今後は「決定」となつたこと。この「決定」は「異議申立ての却下」、「異議申立ての棄却」及び「原処分の取消し又は変更」を総称する名称であること。

(六) 多数人による共同しての異議申立て及び代理人による異議申立ての制度が設けられたこと。

(七) 法令に基づく申請に対し、行政庁が相当の期間内に何等の処分が行なわない場合に、これを行政庁の「不作為」として異議申立てをすることができることとなつたこと。

二 不作為に対する異議申立てについて

遺族年金等の請求については、請求後相当の期間を経過するも、未だ裁定が行なわれないものが相当数あるが、今般の行政不服審査法の施行に伴い、昭和三十七年十月一日前に請求したものについても不作為として異議申立てができることとなつたこと。厚生大臣がこの不作為の異議申立てを受理したときは、二十日以内に裁定を行なうか又は書面で不作為の理由を示さなければならないことになつたこと。したがつて、当省においてもこのような制度が設けられた趣旨にかんがみ、権利の裁定等を迅速化することに努めるが、貴職におかれても、請求書の進達、権利の裁定に関する調査等の迅速化を図つて、これが処理に協力されたいこと。

三 経過措置について

行政不服審査法の施行に伴う経過措置については、次の点に留意すること。

(一) 昭和三十七年十月一日前(行政不服審査法施行前)にされた処分及び同日前にされた申請に係る不作為についても異議申立てができること。

(二) 昭和三十七年十月一日前にされた不服の申立てについては、同日後も改正前の不服の申立の手続によるものであること。また、同日前にすでに不服の申立の裁決が行なわれた処分及び同日前に提起されて改正前の遺族援護法の規定により同日後に裁決が行なわれた処分については、異議申立てはできないものであること。

四 行政事件訴訟法との関係について

(一) 行政不服審査法の施行と同時に行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)が施行され、従前の行政事件訴訟特例法は廃止されたものであること。行政事件訴訟特例法においては、「行政庁の違法な処分の取消又は変更を求める訴は、行政庁に対する不服の申立のできる場合には、これに対する裁決を経た後でなければ、これを提起することができない」旨のいわゆる「訴願前置主義」の規定が設けられていたが、行政事件訴訟法においては、関係法律に当該処分についていわゆる「不服申立ての前置」の規定があるときのみ訴願前置主義を認めることとしていること。

(二) 行政事件訴訟法と同時に施行された行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十号)による改正後の遺族援護法においては、第四十二条の二に、異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければこれらの処分に対する訴訟は、提起できない旨を規定しているので、従前と変りはないものであること。

第二 引揚者給付金等支給法に関すること。

一 改正の主要事項及び留意すべき事項

引揚者給付金等支給法関係の不服申立ての制度は、行政不服審査法の施行並びに整理法、整理令及び整理省令による引揚者給付金等支給法関係法令の改正により改められたが、改正の主要事項及び改正に伴つて留意すべき事項は、次のとおりであること。

(一) 引揚者給付金等支給法における厚生大臣の処分は、同法第二条第一項第一号の「日本国政府の命令又は要請により外地に生活の本拠を有するに至つたものである」との認定(以下「法第二条第一項の認定」という。)を除き、都道府県知事又は那覇日本政府南方連絡事務所長(以下「都道府県知事等」という。)に委任されているので、委任されている処分については従前の「不服の申立」の名称がすべて厚生大臣に対する「審査請求」となり、法第二条第一項の認定に関する処分に係る不服の申立は厚生大臣に対する「異議申立て」となるものであること。

(二) 審査請求をすべき行政庁は、従前と同様に厚生大臣であり、法第二条第一項の認定に関する処分に係る異議申立てをすべき行政庁も厚生大臣であること。

(三) 審査請求書を厚生大臣に提出するまでの経由庁については、従前は引揚者給付金等支給法施行令第四条に定められていたのに対し、今後は行政不服審査法第十七条の規定により、審査請求者の利便、事務処理の確実性等を考慮し、従前と同様処分を行なつた都道府県知事等を経由してすることとしたので、審査請求者にその旨を周知させるよう指導すること。また、法第二条第一項の認定に関する処分に係る異議申立てについても、審査請求と同様に処理すること。

(四) 審査請求又は異議申立てをなし得る期間は、当該処分の通知を受けた日の翌日から起算して一年以内であり、従前と同様であること。

(五) 審査請求に対して厚生大臣が行なう処分の名称は、従前どおり「裁決」であつて、これは「審査請求の却下」、「審査請求の棄却」及び「原処分の取消しは変更」を総称するものであり、法第二条第一項の認定に関する処分に係る異議申立てに対して厚生大臣が行なう処分の名称は「決定」であつて、第一の一の(五)の場合と同様であること。

(六) 多数人による共同しての審査請求又は異議申立て及び代理人による審査請求又は異議申立て並びに行政庁の不作為に対する審査請求又は異議申立ての制度が設けられたことについては、遺族援護法と同様であるから、第一の一の(六)及び(七)を参照すること。

二 不作為に対する異議申立て及び審査請求について

引揚者給付金等の請求については、請求後、相当の期間を経過するも、未だ認定が行なわれていないものが、多数見受けられるが、これらについては、行政庁の不作為として都道府県知事等に対する異議申立て又は厚生大臣に対する審査請求のいずれかをすることができることとなつたこと。この場合、異議申立てが適法であるときは、都道府県知事等は、二十日以内に認定を行なうか、又は書面による不作為の理由の通知を行なわなければならず、また、審査請求が適法で理由があるときは、厚生大臣は、都道府県知事等に対しすみやかに何等かの行為をすべきことを命ずるとともに、当該審査請求人に対し裁決書をもつてその旨を通知しなければならないこととなつているので、このような不作為に対する異議申立て又は審査請求が多数生ずることのないよう、従前から請求のなされている事案の認定を迅速に行なうとともに、不作為に対する異議申立てがなされた場合には、行政不服審査法の規定によるその処理に遺憾のないよう努めること。

三 経過措置について

行政不服審査法の施行に伴う経過措置について留意すべき点は、遺族援護法と同様であるから、第一の三を参照すること。

四 行政事件訴訟法との関係について

第一の四の(一)で述べたとおり、行政事件訴訟法においては、法律に当該処分についての「不服申立ての前置」の規定のない限り訴願前置主義を認めないことになり、行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律による改正後の引揚者給付金等支給法では「不服申立ての前置」の規定が置かれていないので、従前とは異なり、同法に関する処分につき、請求者等は審査請求若しくは異議申立て又は行政事件訴訟のいずれをも提起することができることとなつたこと。

別紙 (1)~(4) 略