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○行政不服審査法の施行に伴う生活保護法の一部改正について

(昭和三七年一二月一日)

(社発第七八七号)

(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)

行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和三十七年法律第百六十一号。以下「整理法」という。)行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の施行に伴う関係政令の整理に関する政令(昭和三十七年政令第三百九十一号。以下「整理令」という。)及び優生保護法施行規則等の一部を改正する省令(昭和三十七年厚生省令第四十七号。以下「整理省令」という。)の施行による不服申立ての制度の改正については、別途厚生事務次官から昭和三十七年十月二十二日厚生省発総第五八号通達「行政不服審査法の施行について」をもつて通達されたところであるが、整理法により生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)が別紙(一)のとおり、整理令により生活保護法施行令(昭和二十五年政令第百四十八号)が別紙(二)のとおり、また、整理省令により生活保護法施行規則(昭和二十五年厚生省令第二十一号)が別紙(三)のとおりそれぞれ改正されたので、生活保護法に基づく処分等についての不服申立ての運用にあたつては、次の事項に留意のうえ、不服申立人の権利の救済に遺憾のないように配意されたく、通達する。

一 留意すべき事項について

行政不服に関する一般法として行政不服審査法が制定され、生活保護法関係の不服申立てについても、これによることになり、生活保護関係法令の改正が行なわれたが、保護の決定及び実施に関する処分については、実態的にはおおむね従前と同様であること。

なお、改正に伴つて留意すべき事項は次のとおりであること。

(一) 保護の決定及び実施にかかる処分については都道府県知事に審査請求ができること。この場合審査請求の裁定に不服がある者は厚生大臣に再審査請求をすることができること。ただし、都道府県知事が保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任していない場合においては、審査請求は厚生大臣に対して行なうこととなること。

(二) 保護の決定及び実施に関する処分以外の処分等については、都道府県の知事のしたものについては厚生大臣に、市町村長のしたものについては都道府県知事にそれぞれ審査請求ができるが、この場合、再審査請求はできないこと。

(三) 不服申立てをすることのできる処分を書面でする場合は、その処分について不服申立てができること、不服申立てをすべき行政庁及び申立てをすることができる期間を相手方に教示しなければならないこと。

なお、審査請求期間は処分のあつたことを知つた日の翌日から起算して六十日、再審査請求期間は三十日となつたこと。

(四) 手続については、生活保護法施行令第三条から第八条まで、生活保護法施行規則第三条、第十九条、第二十条及び様式第五号が削除されたが、今後は行政不服審査法第九条から第五十六条までの規定によることとなつたこと。

この場合、次に留意されたいこと。

ア 不服申立ては従来どおり、書面を提出してしなければならないこと。

イ 不服申立ては代理人によつてすることができること。

ウ 従来の不服の申立は処分を行なつた保護の実施機関を経由すべきこととされていたが、審査請求は直接審査庁に対してすることを原則とし、処分庁を経由してすることも例外としてできることになつたこと。

エ 審査請求人が死亡した場合は審査請求の目的である処分にかかる権利を承継した者が審査請求人の地位を承継することとなつたこと。この場合、保護の受益者本人が審査請求人であるときはその者の同一世帯員が審査請求人の地位を承継し、本人以外の者が審査請求人であるときは本人が承継するものであること。この関係は再審査請求についても同様であること。

オ 都道府県知事は保護の決定及び実施に関する処分についての審査請求があつたときは、五十日以内に裁決をしなければならないこと。この期間内に裁決がない場合、審査請求人は審査請求が棄却されたものとみなすことができること。

(五) 法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何等の処分も行なわない場合に、「不作為」として不服申立てをすることができることになったこと。この場合、不服申立てをすべき行政庁は(一)及び(二)によること。

二 経過措置について

行政不服審査法の施行に伴う経過措置については、次の点に留意すること。

(一) 昭和三十七年十月一日前(行政不服審査法施行前)にされた処分及び同日前にされた申請にかかる不作為についても審査請求ができること。

(二) 昭和三十七年十月一日前にされた不服申立てについては同日後も改正前の不服の申立の手続によるものであること。

三 行政事件訴訟法との関係について

(一) 行政不服審査法の施行と同時に、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)が施行され、従前の行政事件訴訟特例法は廃止されたものであること。行政事件訴訟特例法においては、「行政庁の違法な処分の取消又は変更を求める訴は、行政庁に対する不服の申立のできる場合には、これに対する裁決を経た後でなければ、これを提起することができない」旨のいわゆる「訴願前置主義」の規定が設けられていたが、行政事件訴訟法においては、関係法律に当該処分についていわゆる「不服申立ての前置」の規定があるときのみ訴願前置主義を認めることとしていること。

(二) 行政事件訴訟法と同時に施行された行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十号)による改正後の生活保護法においては、第六十九条において、保護の実施機関がした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起できない旨を規定しているので、おおむね従前と変りないものであること。

別紙 (1)~(3) 略