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○『外来語の表記』の実施に伴う公用文及び法令における外来語使用について

(平成三年七月二六日)

(総第一一一号)

(各内部部局の長・社会保険庁総務部総務課長あて厚生省大臣官房総務課長通知)

平成三年六月二十八日付け内閣告示第二号により、「外来語の表記」が実施され、また、同日付け内閣訓令第一号「『外来語の表記』の実施について」により、各行政機関においては、この外来語表記を外来語使用の目安とすることとされたことに伴い、公用文及び法令における外来語使用については、今後、左記によることとしたので通知する。

○ 公用文及び法令における外来語使用について

公用文及び法令における外来語使用については、平成三年六月二十八日付け内閣官房長官通知(別添)の別紙「外来語の表記」によるものとする。

〔別添〕

『外来語の表記』に関する内閣告示及び内閣訓令について(依命通知)

(平成三年六月二八日 内閣閣第一一六号)

(厚生大臣あて内閣官房長官通知)

本日、『外来語の表記』を実施に移すため、内閣告示を定め、また、各行政機関においては、この『外来語の表記』を「外来語の表記」のよりどころとして実施すべきことを内閣訓令により示したので、通知します。

なお、貴管下職員への周知方につき、よろしく御配意願います。

〔別紙〕

外来語の表記

前書き

1 この『外来語の表記』は、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表すための「外来語の表記」のよりどころを示すものである。

2 この『外来語の表記』は、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。

3 この『外来語の表記』は、固有名詞など(例えば、人名、会社名、商品名等)でこれによりがたいものには及ぼさない。

4 この『外来語の表記』は、過去に行われた様々な表記(「付」参照)を否定しようとするものではない。

5 この『外来語の表記』は、「本文」と「付録」から成る。「本文」には「外来語の表記」に用いる仮名と符号の表を掲げ、これに留意事項その1(原則的な事項)と留意事項その2(細則的な事項)を添えた。「付録」には、用例集として、日常よく用いられる外来語を主に、留意事項その2に例示した語や、その他の地名・人名の例などを五十音順に掲げた。

本文

「外来語の表記」に用いる仮名と符号の表

1 第1表に示す仮名は、外来語や外国の地名・人名を書き表すのに一般的に用いる仮名とする。

2 第2表に示す仮名は、外来語や外国の地名・人名を原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いる仮名とする。

3 第1表・第2表に示す仮名では書き表せないような、特別な音の書き表し方については、ここでは取決めを行わず、自由とする。

4 第1表・第2表によって語を書き表す場合には、おおむね留意事項を適用する。

留意事項その1(原則的な事項)

1 この『外来語の表記』では、外来語や外国の地名・人名を片仮名で書き表す場合のことを扱う。

2 「ハンカチ」と「ハンケチ」、「グローブ」と「グラブ」のように、語形にゆれのあるものについて、その語形をどちらかに決めようとはしていない。

3 語形やその書き表し方については、慣用が定まっているものはそれによる。分野によって異なる慣用が定まっている場合には、それぞれの慣用によって差し支えない。

第1表

ア  イ  ウ  エ  オ

カ  キ  ク  ケ  コ

サ  シ  ス  セ  ソ

タ  チ  ツ  テ  ト

ナ  ニ  ヌ  ネ  ノ

ハ  ヒ  フ  ヘ  ホ

マ  ミ  ム  メ  モ

ヤ     ユ     ヨ

ラ  リ  ル  レ  ロ

ガ  ギ  グ  ゲ  ゴ

ザ  ジ  ズ  ゼ  ゾ

ダ        デ  ド

バ  ビ  ブ  ベ  ボ

パ  ピ  プ  ペ  ポ

キャ   キュ   キョ

シャ   シュ   ショ

チャ   チュ   チョ

ニャ   ニュ   ニョ

ヒャ   ヒュ   ヒョ

ミャ   ミュ   ミョ

リャ   リュ   リョ

ギャ   ギュ   ギョ

ジャ   ジュ   ジョ

ビャ   ビュ   ビョ

ピャ   ピュ   ピョ

ン(はつ音)

ッ(促音)

ー(長音符号)


        シェ

        チェ

ツァ      ツェ ツォ

   ティ

ファ フィ   フェ フォ

        ジェ

   ディ

      デュ

第2表


        イェ

   ウィ   ウェ ウォ

クァ クィ   クェ クォ

   ツィ

      トゥ

グァ

      ドゥ

ヴァ ヴィ ヴ ヴェ ヴォ

      テュ

      フュ

      ヴュ

4 国語化の程度の高い語は、おおむね第1表に示す仮名で書き表すことができる。一方、国語化の程度がそれほど高くない語、ある程度外国語に近く書き表す必要のある語―特に地名・人名の場合―は、第2表に示す仮名を用いて書き表すことができる。

5 第2表に示す仮名を用いる必要がない場合は、第1表に示す仮名の範囲で書き表すことができる。

例 イェ→イエ ウォ→ウォ トゥ→ツ、ト ヴァ→バ

6 特別な音の書き表し方については、取決めを行わず、自由とすることとしたが、その中には、例えば、「スィ」「ズィ」「グィ」「グェ」「グォ」「キェ」「ニェ」「ヒェ」「フョ」「ヴョ」等の仮名が含まれる。

留意事項その2(細則的な事項)

以下の各項に示す語例は、それぞれの仮名の用法の一例として示すものであって、その語をいつもそう書かなければならないことを意味するものではない。語例のうち、地名・人名には、それぞれ(地)、(人)の文字を添えた。

Ⅰ 第1表に示す「シェ」以下の仮名に関するもの

1 「シェ」「ジェ」は、外来音シェ、ジェに対応する仮名である。

〔例〕 シェーカー シェード ジェットエンジン ダイジェスト シェフィールド(地) アルジェリア(地) シェークスピア(人) ミケランジェロ(人)

注 「セ」「ゼ」と書く慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 ミルクセーキ ゼラチン

2 「チェ」は、外来音チェに対応する仮名である。

〔例〕 チェーン チェス チェック マンチェスター(地) チェーホフ(人)

3 「ツァ」「ツェ」「ツォ」は、外来音ツァ、ツェ、ツォに対応する仮名である。

〔例〕 コンツェルン シャンツェ カンツォーネ フィレンツェ(地) モーツァルト(人) ツェッペリン(人)

4 「ティ」「ディ」は、外来音ティ、ディに対応する仮名である。

〔例〕 ティーパーティー ボランティア ディーゼルエンジン ビルディング アトランティックシティー(地) ノルマンディー(地) ドニゼッティ(人) ディズニー(人)

注1 「チ」「ジ」と書く慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 エチケット スチーム プラスチック スタジアム スタジオ ラジオ チロル(地) エジソン(人)

注2 「テ」「デ」と書く慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 ステッキ キャンデー デザイン

5 「ファ」「フィ」「フェ」「フォ」は、外来音ファ、フィ、フェ、フォに対応する仮名である。

〔例〕 ファイル フィート フェンシング フォークダンス バッファロー(地) フィリピン(地) フェアバンクス(地) カリフォルニア(地) ファーブル(人) マンスフィールド(人) エッフェル(人) フォスター(人)

注1 「ハ」「ヒ」「ヘ」「ホ」と書く慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 セロハン モルヒネ プラットホーム ホルマリン メガホン

注2 「ファン」「フィルム」「フェルト」等は、「フアン」「フイルム」「フエルト」と書く慣用もある。

6 「デュ」は、外来音デュに対応する仮名である。

〔例〕 デュエット プロデューサー デュッセルドルフ(地) デューイ(人)

注 「ジュ」と書く慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 ジュース(deuce) ジュラルミン

Ⅱ 第2表に示す仮名に関するもの

第2表に示す仮名は、原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いる仮名で、これらの仮名を用いる必要がない場合は、一般的に、第1表に示す仮名の範囲で書き表すことができる。

1 「イェ」は、外来音イェに対応する仮名である。

〔例〕 イェルサレム(地) イェーッ(人)

注 一般的には、「イエ」又は「エ」と書くことができる。

〔例〕 エルサレム(地) イエーッ(人)

2 「ウィ」「ウェ」「ウォ」は、外来音ウィ、ウェ、ウォに対応する仮名である。

〔例〕 ウィスキー ウェディングケーキ ストップウォッチ ウィーン(地) スウェーデン(地) ミルウォーキー(地) ウィルソン(人) ウェブスター(人) ウォルポール(人)

注1 一般的には、「ウイ」「ウエ」「ウオ」と書くことができる。

〔例〕 ウイスキー ウイット ウエディングケーキ ウエハース ストップウオッチ

注2 「ウ」を省いて書く慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 サンドイッチ スイッチ スイートピー

注3 地名・人名の場合は、「ウィ」「ウェ」「ウォ」と書く慣用が強い。

3 「クァ」「クィ」「クェ」「クォ」は、外来音クァ、クィ、クェ、クォに対応する仮名である。

〔例〕 クァルテット クィンテット クェスチョンマーク クォータリー

注1 一般的には、「クア」「クイ」「クエ」「クオ」又は「カ」「キ」「ケ」「コ」と書くことができる。

〔例〕 クアルテット クインテット クエスチョンマーク クオータリー カルテット レモンスカッシュ キルティング イコール

注2 「クァ」は、「クヮ」と書く慣用もある。

4 「グァ」は、外来音グァに対応する仮名である。

〔例〕 グァテマラ(地) パラグァイ(地)

注1 一般的には、「グア」又は「ガ」と書くことができる。

〔例〕 グアテマラ(地) パラグアイ(地)

ガテマラ(地)

注2 「グァ」は、「グヮ」と書く慣用もある。

5 「ツィ」は、外来音ツィに対応する仮名である。

〔例〕 ソルジェニーツィン(人) ティツィアーノ(人)

注 一般的には、「チ」と書くことができる。

〔例〕 ライプチヒ(地) ティチアーノ(人)

6 「トゥ」「ドゥ」は、外来音トゥ、ドゥに対応する仮名である。

〔例〕 トゥールーズ(地) ハチャトゥリヤン(人) ヒンドゥー教

注 一般的には、「ツ」「ズ」又は「ト」「ド」と書くことができる。

〔例〕 ツアー(tour) ツーピース ツールーズ(地) ヒンズー教 ハチャトリヤン(人) ドビュッシー(人)

7 「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」は、外来音ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォに対応する仮名である。

〔例〕 ヴァイオリン ヴィーナス ヴェール ヴィクトリア(地) ヴェルサイユ(地) ヴォルガ(地) ヴィヴァルディ(人) ヴラマンク(人) ヴォルテール(人)

注 一般的には、「バ」「ビ」「ブ」「ベ」「ボ」と書くことができる。

〔例〕 バイオリン ビーナス ベール ビクトリア(地) ベルサイユ(地) ボルガ(地) ビバルディ(人) ブラマンク(人) ボルテール(人)

8 「テュ」は、外来音テュに対応する仮名である。

〔例〕 テューバ(楽器) テュニジア(地)

注 一般的には、「チュ」と書くことができる。

〔例〕 コスチューム スチュワーデス チューバ チューブ チュニジア(地)

9 「フュ」は、外来音フュに対応する仮名である。

〔例〕 フュージョン フュン島(地・デンマーク) ドレフュス(人)

注 一般的には、「ヒュ」と書くことができる。

〔例〕 ヒューズ

10 「ヴュ」は、外来音ヴュに対応する仮名である。

〔例〕 インタヴュー レヴュー ヴュイヤール(人・画家)

注 一般的には、「ビュ」と書くことができる。

〔例〕 インタビュー レビュー ビュイヤール(人)

Ⅲ はつ音、促音、長音その他に関するもの

1 撥音は、「ン」を用いて書く。

〔例〕 コンマ シャンソン トランク メンバー ランニング ランプ ロンドン(地) レンブラント(人)

注1 撥音を入れない慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 イニング(↑インニング) サマータイム(↑サンマータイム)

注2 「シンポジウム」を「シムポジウム」と書くような慣用もある。

2 促音は、小書きの「ッ」を用いて書く。

〔例〕 カップ シャッター リュックサック ロッテルダム(地) バッハ(人)

注 促音を入れない慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 アクセサリー(↑アクセッサリー) フィリピン(地)(↑フィリッピン)

3 長音は、原則として長音符合「ー」を用いて書く。

〔例〕 エネルギー オーバーコート グループ ゲーム ショーテーブル パーティー ウェールズ(地) ポーランド(地) ローマ(地) ゲーテ(人) ニュートン(人)

注1 長音符号の代わりに母音字を添えて書く慣用もある。

〔例〕 バレエ(舞踊) ミイラ

注2 「エー」「オー」と書かず、「エイ」「オウ」と書くような慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 エイト ペイント レイアウト スペイン(地) ケインズ(人) サラダボウル ボウリング(球技)

注3 英語の語末の‐er、‐or、‐arなどに当たるものは、原則としてア列の長音とし長音符号「ー」を用いて書き表す。ただし、慣用に応じて「ー」を省くことができる。

〔例〕 エレベーター ギター コンピューター マフラー エレベータ コンピュータ スリッパ

4 イ列・エ列の音の次のアの音に当たるものは、原則として「ア」と書く。

〔例〕 グラビア ピアノ フェアプレー アジア(地) イタリア(地) ミネアポリス(地)

注1 「ヤ」と書く慣用のある場合は、それによる。

〔例〕 タイヤ ダイヤモンド ダイヤル ベニヤ板

注2 「ギリシャ」「ペルシャ」について「ギリシア」「ペルシア」と書く慣用もある。

5 語末(特に元素名等)の‐(i)umに当たるものは、原則として「‐(イ)ウム」と書く。

〔例〕 アルムニウム カルシウム ナトリウム ラジウム サナトリウム シンポジウム プラネタリウム

注 「アルミニウム」を「アルミニューム」と書くような慣用もある。

6 英語のつづりのxに当たるものを「クサ」「クシ」「クス」「クソ」と書くか、「キサ」「キシ」「キス」「キソ」と書くかは、慣用に従う。

〔例〕 タクシー ボクシング ワックス オックスフォード(地) エキストラ タキシード ミキサー テキサス(地)

7 よう音に用いる「ヤ」「ユ」「ヨ」は小書きにする。また、「ヴァ」「ヴィ」「ヴェ」「ヴォ」や「トゥ」のように組み合せて用いる場合の「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」も、小書きにする。

8 複合した語であることを示すための、つなぎの符号の用い方については、それぞれの分野の慣用に従うものとし、ここでは取決めを行わない。

〔例〕 ケース バイ ケース ケース・バイ・ケース ケース‐バイ‐ケース マルコ・ポーロ マルコ=ポーロ

付録

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