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○常用漢字表の実施に伴う公用文及び法令における漢字使用等について

(昭和五六年一〇月五日)

(総第一八七号)

(各内部部局の長・社会保険庁長官官房総務課長・各附属機関の長・各地方支分部局の長あて厚生省大臣官房総務課長通知)

昭和五十六年十月一日付け内閣告示第一号により、「常用漢字表」が実施され、また、同日付け内閣訓令第一号「「常用漢字表」の実施について」により、各行政機関においては、この常用漢字表を漢字使用の目安とすることとされたことに伴い、公用文及び法令における漢字使用等については、今後、左記によることとしたので通知する。

なお、これに伴い、昭和三十五年六月二十三日付け厚生省発総第二〇号本職通知「公文書の左横書きの実施について」の一部を別記のとおり改正する。

第一 公用公文における漢字使用等について

公用文における漢字使用等については、昭和五十六年十月一日付け内閣官房長官通知(別添1)の別紙同日付け事務次官等会議申合せ「公用文における漢字使用等について」及び同日付け内閣官房内閣参事官室首席内閣参事官及び文化庁文化部長連名通知(別添2)「「公用文における漢字使用等について」の具体的な取扱い方針について」によるものとする。

第二 法令における漢字使用等について

1 法律及び政令における漢字使用等については、昭和五十六年十月一日付け内閣法制次長通知(別添3)「法令における漢字使用等について」の別添「法令における漢字使用等について」及び昭和二十九年十一月二十五日付け法制局総発第八九号の法令用語改善の実施要領の別紙「法令用語改正要領」(別添4 昭和五十六年十月一日付け内閣法制次長通知「法令用語改正要領の一部改正について」参照)によるものとする。

2 省令、告示及び訓令における漢字使用等については、昭和五十六年十二月一日以後に公布する省令、告示又は訓令から、1に準じた取扱いとすることとする。

別記 略

〔別添1〕

公用文における漢字使用等について

(昭和五六年一〇月一日)

(内閣閣第一三八号)

(厚生事務次官あて内閣官房長官通知)

本日、常用漢字表に関する内閣訓令が定められたことに伴い、今後、各行政機関が作成する公用文における漢字使用等について、事務次官等会議において別紙のとおり申合せされました。

ついては、貴省(庁)においては、この申合せを十分了知され、実施されるよう御配意願います。

〔別紙〕

公用文における漢字使用等について

(昭和五六年一〇月一日)

(事務次官等会議申合せ)

昭和五十六年十月一日付け内閣訓令第一号「常用漢字表の実施について」が定められたことに伴い、今後、各行政機関が作成する公用文における漢字使用等は、左記によることとする。

なお、「公用文における当用漢字の音訓使用及び送り仮名の付け方について」(昭和四十八年六月十八日事務次官等会議申合せ)は、廃止する。

1 漢字使用について

(1) 公用文における漢字使用は、「常用漢字表」(昭和五十六年内閣告示第一号)の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)によるものとする。

なお、字体については通用字体を用いるものとする。

(2) 「常用漢字表」の本表に掲げる音訓によつて語を書き表すに当たつては、次の事項に留意する。

ア 次のような代名詞は、原則として、漢字で書く。

例  彼 何 僕 私 我々

イ 次のような副詞及び連体詞は、原則として、漢字で書く。

例  必ず 少し 既に 直ちに 甚だ 再び 全く 最も 専ら

余り 至つて 大いに 恐らく 必ずしも 辛うじて 極めて 殊に 更に 少なくとも 絶えず 互いに 例えば 次いで 努めて 常に 初めて 果たして 割に 概して 実に 切に 大して 特に 突然 無論 明るく 大きな 来る 去る 小さな 和が(国)

ただし、次のような副詞は、原則として仮名で書く。

例  かなり ふと やはり よほど

ウ 次の接頭語は、その接頭語が付く語を漢字で書く場合は、原則として、漢字で書き、その接頭語が付く語を仮名で書く場合は、原則として、仮名で書く。

例  御案内 御調査

ごあいさつ ごべんたつ

エ 次のような接尾語は、原則として、仮名で書く。

例  げ(惜しげもなく) ども(私ども) ぶる(偉ぶる) み(弱み) め(少なめ)

オ 次のような接続詞は、原則として、仮名で書く。

例  おつて かつ したがつて ただし ついては ところが ところで また ゆえに

ただし、次の四語は、原則として、漢字で書く。

例  及び 並びに 又は 若しくは

カ 助動詞及び助詞は、仮名で書く。

例  ない(現地には、行かない。)

ようだ(それ以外に方法がないようだ。)

ぐらい(二十歳ぐらいの人)

だけ(調査しただけである。)

ほど(三日ほど経過した。)

キ 次のような語句を、( )の中に示した例のように用いるときは、原則として、仮名で書く。

例  こと(許可しないことがある。)

とき(事故のないときは連絡する。)

ところ(現在のところ差し支えない。)

もの(正しいものと認める。)

とも(説明するとともに意見を聞く。)

ほか(特別の場合を除くほか。)

ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)

わけ(賛成するわけにはいかない。)

とおり(次のとおりである。)

ある(その点に問題がある。)

いる(ここに関係者がいる。)

なる(合計すると一万円になる。)

できる(だれでも利用ができる。)

・・・てあげる(図書を貸してあげる。)

・・・ていく(負担が増えていく。)

・・・ていただく(報告していただく。)

・・・ておく(通知しておく。)

・・・てください(問題点を話してください。)

・・・てくる(寒くなつてくる。)

・・・てしまう(書いてしまう。)

・・・てみる(見てみる。)

ない(欠点がない。)

・・・てよい(連絡してよい。)

・・・かもしれない(間違いかもしれない。)

・・・にすぎない(調査だけにすぎない。)

・・・について(これについて考慮する。)

2 送り仮名の付け方について

(1) 公用文における送り仮名の付け方は、原則として、「送り仮名の付け方」(昭和四十八年内閣告示第二号)の本文の通則1から通則6までの「本則」・「例外」、通則7及び「付表の語」(1のなお書きを除く。)によるものとする。ただし、複合の語(「送り仮名の付け方」の本文の通則7を適用する語を除く。)のうち、活用のない語であつて読み間違えるおそれのない語については、内閣官房及び文化庁からの通知の定めるところにより、「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」を適用して送り仮名を省くものとする。

(2) (1)にかかわらず、必要と認める場合は、「送り仮名の付け方」の本文の通則2、通則4及び通則6((1)のただし書の適用がある場合を除く。)の「許容」並びに「付表の語」の1のなお書きを適用して差し支えない。

3 その他

(1) 1及び2は、固有名詞を対象とするものではない。

(2) 1及び2以外の事項は、「公用文作成の要領」(「公用文改善の趣旨徹底について」昭和二十七年内閣閣甲第一六号依命通達)による。

(3) 専門用語又は特殊用語を書き表す場合など、特別な漢字使用等を必要とする場合には、1、2及び3(2)によらなくてもよい。

(4) 専門用語等で読みにくいと思われるような場合は、必要に応じて、振り仮名を用いる等、適切な配慮をするものとする。

4 運用に関する事項

1から3までの運用に関し必要な事項については、内閣官房及び文化庁から通知するものとする。

5 法令における取扱い

法令における漢字使用等については、別途、内閣法制局からの通知による。

公用文改善の趣旨徹底について

(昭和二七年四月四日)

(内閣閣甲第一六号)

(各省庁次官あて内閣官房長官通知)

標記の件について、客年国語審議会から、別紙のとおり建議がありましたが、そのうち同会の審議決定した「公用文作成の要領」は、これを関係の向に周知徹底せしめることは、公用文改善の実をはかるため適当のことと思われるので、貴部内へ周知方しかるべく御配意願います。

別紙

公用文改善の趣旨徹底について

(昭和二六年一〇月三〇日)

(文調国第三六九号)

(内閣総理大臣・文部大臣あて)

公用文の改善について、実施状況ならびに意見を調査しましたところ、別冊1「公用文の改善についての調査の結果」のとおり、まだ一般にはその趣旨はじゆうぶん徹底しているとはいえない状態にあります。それで、このことについての理解に資するため、公用文改善関係の諸通達を整理総合し、さらに検討を加え、別冊2「公用文作成の要領」を審議決定しました。ついては、公用文改善の実をはかるため、この「公用文作成の要領」が関係方面に周知徹底するよう適当な処置をとられることを要望いたします。

「公用文の改善についての調査の結果」 (省略)

公用文作成の要領

内閣官房注 この要領のうち、昭和五十六年十月一日の事務次官等会議において申合せされた「公用文における漢字使用等について」によつて当然改められることとなる部分については、必要な読替えを行い、又は収録を省略する措置を講じた。

まえがき

公用文の新しい書き方については、昭和二十一年六月十七日に「官庁用語を平易にする標準」が次官会議で申し合わせ事項となつた。その後、次官会議および閣議では、公用文改善協議会の報告「公用文の改善」の了解事項とし、昭和二十四年四月五日にそれを「公用文作成の基準について」として内閣官房長官から各省大臣に依命通達した。この「公用文の改善」は、いうまでもなく、さきに出た「官庁用語を平易にする標準」の内容を拡充したものである。しかし、具体的な準則としては、なお、「官庁用語を平易にする標準」その他から採つて参照すべき部分が少なくない。そこで、国語審議会では、これらを検討し、必要な修正を加え、「公用文の改善」の内容を本文とし、他から採つたものを補注の形式でまとめ、ここに「公用文作成の要領」として示すこととした。

公用文を、感じのよく意味のとおりやすいものとするとともに、執務能率の増進をはかるため、その用語用字・文体・書き方などについて、特に次のような点について改善を加えたい。

第一 用語用字について

一 用語について

1 特殊なことばを用いたり、かたくるしいことばを用いることをやめて、日常一般に使われているやさしいことばを用いる。(×印は、常用漢字表にない漢字であることを示す。)

たとえば

×請→申請 措置→処置・取り扱い 救護する→救う 懇請する→お願いする 一環として→一つとして 充当する→あてる 即応した→かなつた

2 使い方の古いことばを使わず、日常使いなれていることばを用いる。

たとえば

×保→周旋・あつせん 彩紋→模様・色模様

3 言いにくいことばを使わず、口調のよいことばを用いる。

たとえば

拒否する→受け入れない はばむ→さまたげる

4 音読することばはなるべくさけ、耳で聞いて意味のすぐわかることばを用いる。

たとえば

×→橋 塵埃××→ほこり 眼×→まぶた 充×する→うめる・つめる 堅持する→かたく守る 陳述する→のべる

5 音読することばで、意味の二様にとれるものは、なるべくさける。

たとえば

協調する(強調するとまぎれるおそれがある。)→歩調を合わせる 勧奨する(干渉する)→すすめる 衷心(中心)→心から 潜行する(先行する)→ひそむ 出航(出講)→出帆・出発

6 漢語をいくつもつないでできている長いことばは、むりのない略し方をきめる。

たとえば

経済安定本部→経本 中央連絡調整事務局→連調

7 同じ内容のものを違つたことばで言い表わすことのないように統一する。

たとえば

提起・起訴・提訴 口頭弁論・対審・公判

二 用字について

1 漢字は、常用漢字表による。

(1) 常用漢字表を使用するにあたつては、特に次のことがらに留意する。

1 (省略)

2 外国の地名・人名および外来語は、かたかな書きにする。(一部省略)

たとえば

イタリア スウェーデン フランス ロンドン等

エジソン ヴィクトリア等

ガス ガラス ソーダ ビール ボート マージャン マッチ等

ただし、外来語でも「かるた」「さらさ」「たばこ」などのように、外来語の意識のうすくなつているものは、ひらがなで書いてよい。

3 動植物の名称は、常用漢字表で認めている漢字は使つてもよい。(一部省略)

たとえば

ねずみ らくだ いぐさ からむし等

犬 牛 馬 桑 桜等

4 (省略)

(2) 常用漢字表で書き表わせないものは、次の標準によつて書きかえ、言いかえをする。(言いかえをするときは、「一用語について」による。)

1 かな書きにする。

たとえば(一部省略)

ア ×る→さかのぼる 名×→名あて ×煮→つくだ煮 ×→はしけ 看×す→みなす 委ねる/常用漢字表の音/訓にはずれる。/→ゆだねる

イ 漢語でも、漢字をはずしても意味のとおる使いなれたものは、そのかな書きにする。

たとえば

でんぷん めいりよう あつせん等

ウ 他によい言いかえがなく、または言いかえをしてはふつごうなものは、常用漢字表にはずれた漢字だけをかな書きにする。

たとえば

×→右げん 改×→改ざん 口×→口こう

この場合、読みにくければ、音読する語では、横に点をうつてもよい。(縦書きの場合)

2 常用漢字表中の、音が同じで、意味の似た漢字で書きかえる。

たとえば

×→車両 ×動→扇動 ×泊→停泊 編×→編集 ×育→保育 ×棄→放棄 ×人→用人 ×合→連合 ×乳→練乳

3 同じ意味の漢語で言いかえる。

ア 意味の似ている、用い慣れたことばを使う。

たとえば(一部省略)

×報→雑報 印×→印形 改×→改心

イ 新しいことばをくふうして使う。

たとえば

×学校→口話学校 ×災救助金→災害救助金 ×除→切除 ×損→損傷 ×乱→騒乱 ×水→出水 ×責→戒告 ×職→汚職

4 漢語をやさしいことばで言いかえる。

たとえば(一部省略)

×する→隠す ×護する→かばう ×触する→ふれる 漏洩××する→漏らす 破×する→破る 酩酊××する→酔う ×→あしゆび

2 かなは、ひらがなを用いることとする。かたかなは特殊な場合に用いる。

1 地名は、さしつかえのないかぎり、かな書きにしてもよい。

2 事務用書類には、さしつかえのない限り、人名をかな書きにしてもよい。

3 外国の地名・人名および外来語・外国語は、かたかな書きにする。

4 左横書きに用いるかなは、かたかなによることができる。

3 (省略)

三 法令の用語用字について

1 法令の用語用字についても、特にさしつかえのない限り、「一 用語について」および「二 用字について」に掲げた基準による。

2 法令の一部を改正する場合および法令名を引用する場合には、特に、次のような取り扱いをする。

(1) 法令の一部を改正する場合について

1 文語体・かたかな書きを用いている法令を改正する場合は、改正の部分が一つのまとまつた形をしているときは、その部分は、口語体を用い、ひらがな書きにする。

2 にごり読みをすべきかなに、にごり点をつけていない法令を改正する場合は、改正の部分においては、にごり点をつける。

3 常用漢字表の通用字体を用いていない法令を改正する場合は、改正の部分においては、常用漢字表の通用字体を用いる。

4 旧かなづかいによる口語体を用いている法令を改正する場合は、改正の部分においては、現代かなづかいを用いる。

5 (省略)

(2) 法令名を引用する場合について

題名のつけられていない法令で、件名のある法令を引用する場合には、件名の原文にかかわらずその件名をひらがなおよび現代かなづかいによる口語体を用い、漢字は、常用漢字表による。

四 地名の書き表わし方について

1 地名はさしつかえのない限り、かな書きにしてもよい。地名をかな書きにするときは、現地の呼び名を基準とする。ただし、地方的ななまりは改める。

2 地名をかな書きにするときは、現代かなづかいを基準とする。(ふりがなの場合も含む。)

3 特にジ・ヂ、ズ・ヅについては、区別の根拠のつけにくいものは、ジ・ズに統一する。

4 さしつかえのない限り、常用漢字表の通用字体を用いる。常用漢字表以外の漢字についても、常用漢字表の通用字体に準じた字体を用いてもよい。

五 人名の書き表わし方について

1 人名もさしつかえのない限り、常用漢字表の通用字体を用いる。

2 事務用書類には、さしつかえのない限り、人名をかな書きにしてもよい。人名をかな書きにするときは、現代かなづかいを基準とする。

第二 文体について

1 公用文の文体は、原則として「である」体を用いる。ただし、公告・告示・掲示の類ならびに往復文書(通達・通知・供覧・回章・伺い・願い・届け・申請書・照会・回答・報告等を含む。)の類はなるべく「ます」体を用いる。

1 「だ、だろう、だつた」の形は、「である、であろう、であつた」の形にする。

2 「まするが、まするけれども」は、「ますが、ますけれども」とする。「ますれば、くださいませ(―まし)」の表現は用いない。

3 打ち消しの「ぬ」は、「ない」の形にする。「ん」は、「ません」のほかは用いない。「せねば」は、「しなければ」とする。

2 文語脈の表現はなるべくやめて、平明なものとする。

1 口語化の例

これが処理→その処理 せられんことを→されるよう ごとく・ごとき→のような・のように 進まんとする→進もうとする 貴管下にして→貴管下で(あつて)

2 「おもなる・必要なる・平等なる」などの「なる」は、「な」とする。ただし、「いかなる」は用いてもよい。

3 「べき」は、「用いるべき手段」「考えるべき問題」「論ずべきではない」「注目すべき現象」のような場合には用いてもよい。「べく」「べし」の形は、どんな場合にも用いない。「べき」がサ行変格活用の動詞に続くときには、「するべき」としないで「すべき」とする。

4 漢語につづく「せられる、せさせる、せぬ」の形は、「される、させる、しない」とする。「せない、せなければ」を用いないで、「しない、しなければ」の形を用いる。

5 簡単な注記や表などの中では、「あり、なし、同じ」などを用いてもよい。

例 「配偶者………あり」

「ムシバ………上一、下なし」

「現住所………本籍地に同じ」

3 文章はなるべくくぎつて短くし、接続詞や接続助詞などを用いて文章を長くすることをさける。

4 文の飾り、あいまいなことば、まわりくどい表現は、できるだけやめて、簡潔な、論理的な文章とする。

敬語についても、なるべく簡潔な表現とする。

注1 時および場所の起点を示すには、「から」を用いて、「より」は用いない。「より」は、比較を示す場合にだけ用いる。

例 東京から京都まで。

午後一時から始める。

恐怖から解放される。

長官から説明があつた。

2 推量を表わすには「であろう」を用い、「う、よう」を用いない。「う、よう」は意思を表わす場合にだけ用いる。

 

 

 

役に立つであろう

 

推量

そのように思われるであろうか

 

 

 

 

 

対等の関係に立とうとする

 

意思

思われようとして

 

 

3 並列の「と」は、まぎらわしいときには最後の語句にもつける。

例 横浜市と東京都の南部との間

4 「ならば」の「ば」は略さない。

5 文書には、できるだけ、一見して内容の趣旨がわかるように、簡潔な標題をつける。また、「通達」「回答」のような、文書の性質を表わすことばをつける。

注 例 公団の性質に関する件→公団の性質について(依命通達)

閣議付議事項の取り扱いについて→一月二十七日閣甲第一九号第八項の責任者について(回答)

6 内容に応じ、なるべく箇条書きの方法をとりいれ、一読して理解しやすい文章とする。

第三 書き方について

執務能率を増進する目的をもつて、書類の書き方について、次のことを実行する。

1 一定の猶予期間を定めて、なるべく広い範囲にわたつて左横書きとする。

2 左横書きに用いるかなは、かたかなによることができる。

3 左横書きの場合は、特別の場合を除き、アラビア数字を使用する。

1 横書きの文書の中でも「一般に、一部分、一間(ひとま)、三月(みつき)」のような場合には漢字を用いる。

「100億、30万円」のような場合には、億・万を漢字で書くが、千・百は、たとえば「5千」「3百」としないで、「5,000」「300」と書く。

2 日付は、場合によつては、「昭和24.4.1」のように略記してもよい。

3 大きな数は、「5,000 」「62,250円」のように三けたごとにコンマでくぎる。

4 タイプライタの活用を期するため、タイプライタに使用する漢字は、常用漢字表のうちから選んださらに少数の常時必要なものに限り、それ以上の漢字を文字盤から取り除くことなどに努める。ぜひとも文字盤にない漢字を使用する必要がある場合には、手書きする。

5 人名・件名の配列は、アイウエオ順とする。

1 文の書き出しおよび行を改めたときには一字さげて書き出す。

2 句読点は、横書きでは「,」および「。」を用いる。

事物を列挙するときには「・」(なかてん)を用いることができる。

3 同じ漢字をくりかえすときには「々」を用いる。

4 項目の細別は、たとえば次のような順序を用いる。

5 文書のあて名は、たとえば「東京都知事殿」「文部大臣殿」のように官職名だけを書いて、個人名は省くことができる。

〔別添2〕

「公用文における漢字使用等について」の具体的な取扱い方針について

(昭和五六年一〇月一日)

(内閣閣第一五〇号・庁文国第一九号)

(厚生大臣官房総務課長あて内閣官房内閣参事官室首席内閣参事官・文化庁文化部長連名通知)

本日、「公用文における漢字使用等について」が事務次官等会議の申合せとなり、また、同日付けで「法令における漢字使用等について」が内閣法制局から通知されました。

ついては、公用文と法令における表記の一体化の実を挙げる趣旨から、「公用文における漢字使用等について」(昭和五十六年十月一日事務次官等会議申合せ)の記の「2 送り仮名の付け方について」の(1)のただし書の具体的な取扱いは、今後、左記によられるよう、よろしく御配意願います。

「公用文における漢字使用等について」(昭和五十六年十月一日事務次官等会議申合せ)の記の「2 送り仮名の付け方について」の(1)のただし書により送り仮名を省くものとされている語は、昭和五十六年十月一日付け内閣法制局総発第一四一号による通知の別紙「法令における漢字使用等について」の「2 複合の語」の(1)のただし書に例示されている語とする。

〔別添3〕

法令における漢字使用等について

(昭和五六年一〇月一日)

(内閣法制局総発第一四一号)

(厚生事務次官あて内閣法制次長通知)

昭和五十六年十月一日付け内閣訓令第一号「「常用漢字表」の実施について」により、各行政機関においては、同日付け内閣告示第一号の「常用漢字表」を漢字使用の目安とするものとされ、同日事務次官等会議で「公用文における漢字使用等について」の申合せがされたので、当局において、法令における漢字使用等について検討した結果、従前の「法令における当用漢字の音訓使用及び送り仮名の付け方」に代えて、別添により実施することとしたから、通知します。

別添

法令における漢字使用等について

一 法令における漢字使用等は、法律については次回国会(常会)に提出するものから、政令については昭和五十六年十二月一日以後最初の閣議に提出するものから、別紙「法令における漢字使用等について」による。

二 新たに法律又は政令を起案する場合に別紙「法令における漢字使用等について」によるのはもちろん、既存の法律又は政令の改正について起案する場合(文語体の法律又は勅令を文体を変えないで改正する場合を除く。)にも、同様とする。したがつて、改正されない部分に用いられている語と改正すべき部分に用いるこれと同一の内容を表す語とが書き表し方において異なることとなつても、差し支えない。

三 一及び二は、条約についても、同様とする。

別紙

法令における漢字使用等について

一 漢字使用について

昭和五十六年十月一日事務次官等会議申合せ「「公用文における漢字使用等について」記1漢字使用について」による。

二 送り仮名の付け方について

1 単独の語

(1) 活用のある語は、昭和四十八年内閣告示第二号の「送り仮名の付け方」の本文の通則1の「本則」・「例外」及び通則2の「本則」の送り仮名の付け方による。

(2) 活用のない語は、「送り仮名の付け方」の本文の通則3から通則5までの「本則」・「例外」の送り仮名の付け方による。

〔備考〕 表に記入したり記号的に用いたりする場合には、次の例に示すように、原則として、( )の中の送り仮名を省く。

例 晴(れ) 曇(り) 問(い) 答(え) 終(わり) 生(まれ)

2 複合の語

(1) (2)に該当する語を除き、原則として、「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「本則」の送り仮名の付け方による。ただし、活用のない語で読み間違えるおそれのない語については、「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」の送り仮名の付け方により、次の例に示すように送り仮名を省く。

例 明渡し 預り金 言渡し 入替え 植付け 魚釣用具 受入れ 受皿 受持ち 受渡し 渦巻 打合せ 打合せ会 打切り 内払 移替え 埋立て 売上げ 売惜しみ 売出し 売場 売払い 売渡し 売行き 縁組 追越し 置場 贈物 帯留 折詰 買上げ 買入れ 買受け 買換え 買占め 買取り 買戻し 買物 書換え 格付 掛金貸切り 貸金 貸越し 貸倒れ 貸出し 貸付け 借入れ 借受け 借換え 刈取り 缶切 期限付 切上げ 切替え 切下げ 切捨て 切土 切取り 切離し 靴下留 組合せ組入れ 組替え 組立て くみ取便所 繰上げ 繰入れ 繰替え 繰越し 繰下げ 繰延べ 繰戻し 差押え 差止め 差引き 差戻し 砂糖漬 下請 締切り 条件付 仕分 据置き 据付け 捨場 座込み 栓抜 備置き 備付け 染物 田植 立会い 立入り 立替え 立札 月掛 付添い 月払 積卸し 積替え 積込み 積出し 積立て 積付け 釣合い 釣鐘 釣銭 釣針 手続 届出 取上げ 取扱い 取卸し 取替え 取決め 取崩し 取消し 取壊し 取下げ 取締り 取調べ 取立て 取次ぎ 取付け 取戻し 投売り 抜取り 飲物 乗換え 乗組み 話合い 払込み 払下げ 払出し 払戻し 払渡し 払渡済み 引上げ 引揚げ 引受け 引起し 引換え 引込み 引下げ 引締め 引継ぎ 引取り 引渡し 日雇 歩留り 船着場 不払 賦払 振出し 前払 巻付け 巻取り 見合せ 見積り 見習 未払 申合せ 申合せ事項 申入れ 申込み 申立て 申出 持家 持込み 持分 元請 戻入れ 催物 盛土 焼付け 雇入れ 雇主 譲受け 譲渡し 呼出し 読替え 割当て 割増し 割戻し

(2) 活用のない語で慣用が固定していると認められる次の例に示すような語については、「送り仮名の付け方」の本文の通則7により、送り仮名を付けない。

例 ※合図 合服 ※合間 預入金 編上靴 ※植木 ((進退))伺 浮袋 ※浮世絵 受入額 受入先 受入年月日 ※請負 ※受付 受付係 ※受取 受取人 受払金 打切補償 埋立区域 埋立事業 埋立地 裏書 ※売上((高)) 売掛金 売出発行 売手 売主 ※売値 売渡価格 売渡先 ※絵巻物 ※襟巻 沖合 ※置物 ※奥書 奥付 押売 押出機 覚書 ※((博多))織 折返線 織元 ※織物 卸売 買上品 買受人 買掛金 外貨建債権 概算払 買手 買主 ※買値 書付 ※書留 過誤払 貸方 貸越金 貸室 貸席 貸倒引当金 貸出金 貸出票 ※貸付((金)) 貸主 貸船 貸本 貸間 ※貸家 箇条書 貸渡業 肩書 ※借入((金)) 借受人 借方 借越金 刈取機 借主 仮渡金 缶詰 ※気付 ※切手 ※切符 切替組合員 切替日 くじ引 ※組合 組入金 組立工 ※倉敷料 繰上償還 繰入金 繰入限度額 繰入率 繰替金 ※繰越((金)) 繰延資産 ※消印 月賦払 現金払 小売 ※小売((商)) 小切手 ※木立 ※小包 ※子守 ※献立 先取特権 ※作付面積 挿絵 差押((命令)) ※座敷 指図 差出人 差引勘定 差引簿 刺身 ※試合 仕上機械 仕上工 仕入価格 仕掛花火 仕掛品 敷網敷居 ※敷石 敷金 ※敷地 敷布 ※敷物 軸受 下請工事 仕出屋 仕立券 仕立物 ※仕立屋 質入証券 支払 支払元受高 ※字引 仕向地 ※事務取扱 事務引継 締切日 所得割 新株買付契約書 据置((期間)) ((支出))済((額)) ※関取 備付品 ※((型絵))染 ただし書 立会演説 立会人 立入検査 ※立場 竜巻 立替金 立替払 建具 建坪 建値 建前 ※建物 棚卸資産 ((条件))付((採用)) 月掛貯金 付添人 漬物 積卸施設 積出地 ※積立((金)) 積荷 詰所 釣堀 ※手当 出入口 出来高払 手付金 手引 手引書 手回品 手持品 灯台守 ※頭取 ((欠席))届 留置電報 ※取扱((所)) ※取扱((注意)) 取入口 取替品 取組 取消処分 ((麻薬))取締法 ※取締役 取立金 取立訴訟 ※取次((店)) 取付工事 取引 ※取引((所)) 取戻請求権 問屋 ※仲買 仲立業 投売品 ※並木 縄張 荷扱場 荷受人 荷造機 荷造費 ※((春慶))塗 ((休暇))願 乗合船 乗合旅客 ※乗換((駅)) 乗組((員)) ※場合 ※羽織 履物 ※葉巻 払込((金)) 払下品 払出金 払戻金 払戻証書 払渡金 払渡郵便局 ※番組 ※番付 控室 引当金 ※引受((時刻)) ※引受((人)) ※引換((券)) ※((代金))引換 引継事業 引継調書 引取経費 引取税 引渡((人)) ※日付 引込線 瓶詰 ※歩合 封切館 福引((券)) 船積貨物 ※踏切 ※振替 振込金 ※振出((人)) 不渡手形 分割払 ※((鎌倉))彫 掘抜井戸 前受金 前貸金 巻上機 ※巻紙 巻尺 巻物 ※待合((室)) 見返物資 見込額 見込数量 見込納付 水張検査 ※水引 ※見積((書)) 見取図 見習工 未払勘定 未払年金 見舞品 名義書換 ※申込((書)) 申立人 持込禁止 元売業者 ※物置 ※物語 物干場 ※((備前))焼 ※役割 ※屋敷 雇入契約 雇止手当 ※夕立 譲受人 湯沸器 呼出符号 読替規定 陸揚地 陸揚量 ※両替 ※割合 割当額 割高 ※割引 割増金 割戻金 割安

〔備考〕 ※印を付けた語は、「送り仮名の付け方」の本文の通則7において例示された語であることを示す。

3 付表の語

「送り仮名の付け方」の本文の付表の語(1のなお書きを除く。)の送り仮名の付け方による。

三 その他

1 一及び二は、固有名詞を対象とするものではない。

2 一及び二については、これらを専門用語及び特殊用語に適用するに当たつて、必要と認める場合は、特別の考慮を加える余地があるものとする。

〔別添4〕

法令用語改正要領の一部改正について

(昭和五六年一〇月一日)

(内閣法制局総発第一四二号)

(厚生事務次官あて内閣法制次長通知)

昭和二十九年十一月二十五日付け法制局総発第八九号の法令用語改善の実施要領の別紙「法令用語改正要領」の一部を、差し当たり、別紙のとおり改正し、昭和五十六年十月一日付け内閣法制局総発第一四一号の「法令における漢字使用等について」と併せて実施することとしたから、お知らせします。

なお、「法令用語改正要領」については、今後引き続きその改正を検討していく予定であるので、念のため申し添えます。

別紙 略

〔参考資料〕

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