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○飲食店営業(すし店)の振興指針

(令和五年三月二十七日)

(厚生労働省告示第九十一号)

生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和三十二年法律第百六十四号)第五十六条の二第一項の規定に基づき、飲食店営業(すし店)の振興指針(平成三十一年厚生労働省告示第六十号)の全部を次のように改正し、令和五年四月一日から適用する。

飲食店営業(すし店)の振興指針

すし店営業(主としてすしを扱う飲食店営業をいう。)の営業者が、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等の衛生規制に的確に対応しつつ、現下の諸課題にも適切に対応し、経営の安定及び改善を図ることは、国民生活の向上に資するものである。

このため、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号。以下「生衛法」という。)第56条の2第1項に基づき、飲食店営業(すし店)の振興指針を定めてきたところであるが、今般、営業者、生活衛生同業組合(生活衛生同業小組合を含む。以下「組合」という。)等の事業の実施状況等を踏まえ、営業者、組合等の具体的活用に資するよう、実践的かつ戦略的な指針として全部改正を行った。

今後、営業者、組合等において本指針が十分に活用されることを期待するとともに、新たな衛生上の課題や経済社会情勢の変化、営業者及び消費者等のニーズを反映して、適時かつ適切に本指針を改定するものとする。

第一 すし店営業を取り巻く状況

一 すし店営業の事業者の動向

すし店営業は、伝統的飲食業種として国民の日常生活に密接に関連し、食生活の充実と日本の食文化に大きく貢献してきた。しかし、近年、消費者の食生活の多様化及び嗜好の変化、法人等の交際費による需要の減少、原材料の価格上昇、「回転すし」に代表されるようなチェーン店を中心とした新規開業の増加、持ち帰り専門店や宅配専門店との競争の激化など、すし店営業を取り巻く経営環境は大きく変化している。

すし店営業の平成28年の事業所数は20,135事業所、従業者数は232,443人、売上(収入)金額は1,199,457百万円で(総務省・経済産業省「平成28年経済センサス―活動調査」による。)、10年前と比較して、事業所数は12,205事業所の減、従業者数は15,417人の増となっている(総務省「平成18年事業所・企業統計調査」による。)。また、営業者の規模は、従業者数5人未満の事業者が56.6%であり、経営者の年齢は、60歳から69歳の者の割合が21.2%、70歳以上の者の割合が36.5%となっており、60歳以上の者の割合が57.7%となっている((公財)全国生活衛生営業指導センター「生活衛生関係営業経営状況調査―令和4年4月~6月―」による。)。

後継者(候補者を含む。)の有無は、「あり」が39.6%、「なし」が60.4%となっており、また、経営上の課題・問題点(複数回答)としては、「原材料費・諸経費の増加」が97.2%、「客数の減少」が91.8%、「客単価の減少」が78.1%となっている((公財)全国生活衛生営業指導センター「生活衛生関係営業経営状況調査―特別調査―令和4年4月~6月」による。)。

また、日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という。)が行った「生活衛生関係営業の景気動向等調査(令和4年7~9月期)」において、すし店営業の経営上の問題点は、多い順に「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」が68.6%、「顧客数の減少」が63.4%、「客単価の低下」が16.6%となっている。

また、令和元年12月に確認された新型コロナウイルス感染症(COVID―19)(以下「新型コロナウイルス感染症」という。)の感染拡大は社会経済に大きな影響を与え、我が国のすし店営業も多大な影響を受けたところである。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う事業への影響について、飲食業の営業者で、売上が減少したと回答した者は95.6%で、その売上の減少幅(令和4年7月~9月の令和元年7~9月比)は、「20%未満」が35.7%、「20%以上50%未満」が45.3%、「50%以上80%未満」が16.9%、「80%以上」が2.1%となっている(日本公庫「生活衛生関係営業の景気動向等調査・特別調査結果令和4年7~9月期」による。)。

二 消費動向

令和3年の1世帯当たり(2人以上の世帯)の一般外食支出は115,296円で、前年比5,625円の減少であった。そのうち「すし(外食)」については、13,223円で、前年比472円の増であった(総務省「家計調査 家計収支編」による。)。

また、令和2年のすし店の市場規模は12,639億円で、前年比18.3%減少となっている(一般社団法人フードサービス協会「令和2年(令和2年1月~令和2年12月)外食産業市場規模推計について」による。)。

三 営業者の考える今後の経営方針

営業者の考える今後の経営方針(複数回答)としては、「価格の再設定」が89.0%、「接客サービスの向上」が88.0%、「既存の商品サービスの改善」が86.8%となっている((公財)全国生活衛生営業指導センター「生活衛生関係営業経営状況調査―特別調査―」による。)。

また、飲食業を営む者が、新型コロナウイルス感染症収束後に予定している取組としては、「新商品、新メューの開発」が39.6%、次いで「新たな販売方法の開拓」が37.4%、「広報活動の強化」が37.1%となっている一方、「特にない」が31.0%となっている(日本公庫「生活衛生関係営業の景気動向等調査(令和2年4~6月期)特別調査」による。)。

第二 前期の振興計画の実施状況

都道府県別に設立されたすし店営業の組合(令和4年3月末現在で42都道府県で設立)においては、前期の飲食店営業(すし店)の振興指針(平成31年厚生労働省告示第60号)を踏まえ、生衛法第56条の3第1項に基づき、振興計画を策定及び実施しているところであるが、当該振興計画について、全5か年のうち3か年終了時である令和3年度末に実施した自己評価は次表のとおりである。

表 振興計画の実施状況についての各組合による自己評価

(単位:%)


事業名

達成

概ね達成

主な事業

1

衛生に関する知識及び意識の向上に関する事業

43%

49%

・食品衛生等に関する講習会の開催

・巡回指導の実施

2

サービス、店舗及び設備の改善並びに業務の効率化に関する事業

29%

33%

・施設等の整備及び改装

3

消費者利益の増進及び商品の提供方法に関する事業

52%

33%

・テイクアウト商品の販売

・すしイベントの開催

・賠償責任保険等への加入促進

4

経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事業

24%

48%

・経営講習会又は各種研修会の開催

5

経営課題に即した相談支援に関する事業

27%

48%

・経営に関する相談及び指導の実施

6

営業者及び従業員の技能の向上に関する事業

31%

31%

・技術講習会の開催

・テイクアウトレシピ集の作成

7

事業の共同化及び協業化に関する事業

43%

23%

・資材等の共同購入

・すし券の発行

・地産地消メニューの開発

8

取引関係の改善に関する事業

16%

41%

・関係業界等との情報交換会の開催

9

従業員の福利の充実に関する事業

29%

32%

・各種保険・共済制度への加入促進

・優良従業員の表彰

・定期健康診断の実施

10

事業の承継及び後継者育成支援に関する事業

30%

24%

・出前授業や職場体験の実施

・青年部の活動支援

11

食品関連情報の提供や行政施策の推進に関する事業

39%

30%

・機関誌やパンフレット等による周知

・フードロス削減プロジェクトへの参加

・地産地消メニューのPR

12

環境の保全、省エネルギー強化及び食品循環資源の再生利用等の推進に関する事業

32%

32%

・機関誌やパンフレット等による周知

13

少子高齢化社会等への対応に関する事業

27%

30%

・地域イベントへの参加

・福祉施設への慰問

・高齢者向けメニュー講習会の開催

14

食育、食の安全への関心の高まり及び健康志向等への対応に関する事業

29%

40%

・出前授業の実施

15

禁煙等に関する対策に関する事業

29%

40%

・機関誌やパンフレット等による周知

・講習会や研修会の開催

16

地域との共生(地域コミュニティの再生及び強化(商店街の活性化))に関する事業

28%

31%

・地域イベントへの参加

・地域における防犯活動への参加

17

災害への対応と節電行動の徹底に関する事業

35%

35%

・機関誌やパンフレット等による周知

・防災設備の自主点検

18

最低賃金の引上げを踏まえた対応(生産性向上を除く)に関する事業

50%

28%

・機関誌やパンフレット等による周知

・講習会や研修会の開催

19

働き方・休み方改革に向けた対応に関する事業

36%

21%

・機関誌やパンフレット等による周知

(注) 組合からの実施状況報告を基に作成。

なお、国庫補助金としての予算措置(以下「予算措置」という。)については、平成23年度より、外部評価の導入を通じた効果測定の検証やPDCAサイクル(事業を継続的に改善するため、Plan(計画)―Do(実施)―Check(評価)―Act(改善)の段階を繰り返すことをいう。)の確立を目的として、「生活衛生関係営業の振興に関する検討会」の下に設けられた「生活衛生関係営業対策事業費補助金審査・評価会」において、補助対象となる事業の審査から評価までを一貫して行う等、必要な見直し措置を講じている。

このため、組合及び生活衛生同業組合連合会(以下「連合会」という。)等においても、振興計画に基づき事業を実施する際は、事業目標及び成果目標を可能な限り明確化した上で、達成状況についても評価を行う必要がある。

当該振興計画等の実施に向けて、組合及び連合会等においては、本指針及び振興計画の内容について広報を行い、組合未加入の営業者への加入勧誘及び組合未結成地域の営業者への組合結成の支援を図ることが期待される。

組合への加入、非加入は営業者の任意であるが、生衛法の趣旨、組合の活動内容等を詳しく知らない新規開設者等の営業者がいることも考えられるため、都道府県、保健所設置市又は特別区(以下「都道府県等」という。)は、営業者による営業の許可申請又は届出等の際に、営業者に対して、生衛法の趣旨並びに関係する組合の活動内容、所在地、連絡先等について情報提供を行う等の取組の実施が求められる。

第三 すし店営業の振興の目標に関する事項

一 営業者の直面する課題と地域社会から期待される役割

すし店営業の営業者は、伝統的日本食文化の担い手として、国民生活に欠かせない位置を占めており、食生活の充実や交友及び団らん、お祝い等の場の提供など大きな役割を果たしてきた。こうした重要な役割をすし店営業が引き続き担い、国民生活の向上に貢献できるよう、経営課題や国民のニーズ、衛生課題に適切に対応しつつ、各々の営業者の経営戦略に基づき、その特性を活かし、事業の安定と活力ある発展を図ることが求められる。

すし専門店は、職人の資質がサービスの質を左右することから、人材育成を図ることが極めて重要であるが、高い調理技術を持った職人の高齢化が進む一方、高い調理技術を持った若者の採用も難しいため、職人の育成が重要な課題である。

また、いわゆる「買い物弱者等」になりやすいことが危惧される高齢者、障害者及び一人暮らしの者並びに子育て世帯及び共働き世帯等のニーズに的確に対応することで、営業者が営業を行う地域の住民が日常生活を送るために必要なセーフティーネットとしての役割や商店街における重要な構成員としての位置づけが強化され、生活者の安心を支える役割を担うことが期待される。

併せて、社会全体の少子高齢化の進展や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)の施行を踏まえ、全ての消費者が店舗を円滑に利用できるよう、ソフト、ハード両面におけるバリアフリー化及びユニバーサルデザイン化の取組が求められる。

一方で、ホテル、旅館及びレストランにおける食品表示の不正事案が大きな社会問題となったところであり、すし店営業においても、食品表示法(平成25年法律第70号)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)等の関係法令を遵守し、表示の適正化を推進し、消費者に対し納得感と安心感を提供していくことが求められる。そのほか、高騰するエネルギー価格の問題に的確に対応するため、省エネルギー関係設備の導入等についても推進する必要がある。

さらに、受動喫煙防止への対応が求められる。

各々の営業者は、これらを十分に認識し、各般の対策に積極的に取り組むことにより、すし店営業に対する消費者の理解と信頼の向上を図ることを目標とすべきである。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う売上減や経営維持、雇用確保等に対応するため、日本公庫の融資や国・自治体の補助金・助成制度を積極的に活用して早期に業績回復を図る必要がある。

二 今後5年間(令和5年度から令和9年度末まで)における営業の振興の目標

1 衛生問題への対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、我が国でも3つの「密」(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離を空ける、消毒や換気の徹底、業種別の感染拡大予防ガイドラインの遵守・徹底など、感染症対策に関する「新しい生活様式」に向けて徹底した衛生対策が求められている。

食をとりまく環境の変化等に対応し食品の安全を確保するため食品衛生法が改正され(平成30年法律第46号)、HACCPの考え方を取り入れた営業者による衛生管理、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のために必要な対応等が盛り込まれており確実な実施が求められる。また、食中毒等の衛生問題に対しては、営業者、保健所等衛生関係行政機関や都道府県生活衛生営業指導センター(以下「都道府県指導センター」という。)等との連携を密にして対応することが求められる。

衛生問題は、営業者が一定水準の衛生管理を行っている場合、発生リスクが軽減されるため、発生防止に必要な費用及び手間について判断しにくい特質がある。しかし、一旦、処理、調製、加工、流通等の過程において細菌等の汚染により食中毒等の食品衛生上の問題が発生した場合には、多くの消費者に被害が及ぶことはもとより、営業自体の存続が困難になる可能性があること等から、日頃からの地道な衛生管理の取組が重要である。

特に、すし店営業の場合、その取り扱う食品が主として生鮮魚介類であり、その調理方法が直接人の手指によるものであることから、食中毒等食品衛生上の問題が起こりやすい環境にある。したがって、これらの衛生上の危険を防止し、消費者に対して安全で良質な商品を提供することは営業者の責務である。

さらに、食の安全性及び信頼性に対する国民の関心が高まる中、産地、種類等品質に関する情報を、消費者に対し正確に提供し、消費者の納得や安心感を得ていく必要がある。こうした衛生問題は、個々の営業者の問題にとどまらず、業界全体に対する信頼を損ねることにもつながることから、組合及び連合会には、組合員、非組合員双方の営業者が食品の安全性の確保に関する自覚と責任感を持ち、衛生水準の向上が図られるよう、継続的に知識及び意識向上に資する普及啓発や適切な指導及び支援に努めることが求められる。

とりわけ、地域で孤立する中小規模あるいは零細な営業者は重要な公衆衛生情報の把握が困難となる場合が考えられるため、また、大規模チェーン店では経費節減を目的として衛生確保が損なわれないよう注意が必要であるため、これら営業者に対する組合加入の促進や公衆衛生情報の提供が円滑に行われることが期待される。

2 経営方針の決定と消費者及び地域社会への貢献

すし店営業といえば、高級で、単価が高いといった印象や、初めての顧客が店に入りにくく、単価の表示も明確でないという店が多かったため、消費者の需要が回転すし等のチェーン店や他の外食産業に向かう状況にあり、従来型の専門店の業績悪化につながっている。また、経済の停滞と人口減少・少子高齢化により国内市場が縮小する中で、原材料価格の高騰やスーパーやコンビニエンスストア等でもすしが広く販売されるなど、専門店の営業者を取り巻く経営環境は厳しい。

こうした中で、営業者は、消費者のニーズや世帯動向等を的確に把握し、専門性や地域密着、対面販売等の特性を活かし、競争軸となる強みを見いだし、独自性を十分に発揮し、以下の点に留意しつつ、創意工夫を凝らして経営展開を行っていくことが求められる。

(1) 消費者ニーズの把握と創意工夫による経営展開

高級店、地域に密着した店等の目指すべき経営戦略にもよるが、このような専門店離れの傾向に対処するためには、会計の明朗化、店の雰囲気、経営者及びすし職人等従事者の接客態度の改善を図ることにより、店に入りやすくする工夫に努めていく必要がある。特に、料金についても総額表示にすることが必要であり、「立ち」(カウンター等におけるお好み販売)において、すしの提供個数と単価表示の内容について誤解を与えないよう分かりやすい単価表示に努めることが望まれる。

さらに、多様化する消費者のニーズを的確に捉え、新たな顧客を確保するためには、宣伝活動や新メニューの開発が必要である。例えば、食を通じた健康づくりに関心が高まっていることを踏まえ、新鮮で栄養素に富んだすしの良さを情報提供するとともに、「量をたくさん食べたい」、「美味しいものを少しずつ食べたい」、さらに「材料等へのこだわり」、「オリジナル性のあるメニュー」、「見た目の美味しさ」等の若者から高齢者までの様々な要望に合うメニューを開発することにより、消費者のすしに対する様々な要望に対して積極的に応えていくことが必要である。

また、熟練の職人による技術や創意工夫を活かした看板メニューの提供など、専門店としての独自性を発揮し、付加価値を高め、差別化を図っていくことが重要である。

(2) 高齢者、障害者及び子育て世帯等への配慮

人口減少、少子高齢化及び過疎化の進展は、営業者の経営環境を厳しくする一方、買い物の場所や移動手段など日常生活に不可欠な生活インフラそのものを弱体化させる側面があることから、高齢者や障害者、子育て・共働き世帯等が身近な買い物に不便・不安を感じる、いわゆる「買い物弱者等」の問題を顕在化させる。地域に身近な営業者の存在は、地域社会に必要な商品及びサービスを提供することにより、買い物弱者等になりがちな高齢者等から頼られる位置付けを確立し、中長期的な経営基盤の強化につながることが期待される。

高齢化の進展は、シニア向けのサービス需要の拡がりにもつながることから、専門性や独自のこだわり等の特性を活かしながら、地域密着で高齢者世帯のニーズにきめ細かに応じた商品やサービスの提供を積極的に行っていくことが、大手資本によるチェーン店との差別化の観点からも求められる。また、障害者差別解消法において、民間事業者は、障害者に対し合理的な配慮を行うよう努めなければならないとされていることから、ソフト、ハード両面におけるバリアフリー化及びユニバーサルデザイン化の取組を進める必要がある。

※ 障害者差別解消法が令和3年6月に改正され、合理的配慮の提供について、民間営業者も義務化される。(施行は改正法公布日(令和3年6月4日)から3年以内の政令で定める日)

また、子育て世帯が安心・安全にサービスを利用できるための配慮も合わせて求められる。

(3) 省エネルギーへの対応

エネルギー価格が高騰する中、節電などの省エネルギーによる経営の合理化、コスト削減、環境保全に資するため、不要時の消灯や照明ランプの間引き、LED照明装置やエネルギー効率の高い空調設備等の導入等を推進することが期待される。

(4) 訪日・在留外国人への配慮

人口減少を迎えている我が国において、国内外からの交流人口を生み出す観光は、成長戦略の柱、地域活性化の切り札として期待されている重要な分野である。政府は今後の観光政策の方向性として、インバウンドの回復や高付加価値化で持続可能な観光地域づくり等に取り組むこととしている。

さらに、国際的にすしの人気が高まる中、「和食;日本人の伝統的な食文化」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、今後、国際化への更なる対応を行うことで、海外での事業展開や外国人旅行者の増加につなげていくことが期待される。

日本公庫の「生活衛生関係営業の景気動向等調査特別調査(令和元年4~6月期)」によると、飲食店営業の過半数がインバウンド対応に前向きであるとの回答があった一方で、外国語対応(「従業員の語学力の向上」(38.5%)、「メニューや施設内の案内等の外国語表記の実施」(27.0%))や機械・設備の導入(「キャッシュレス決済の導入」(24.5%))等を訪日外国人旅行者受入れの課題としてあげる営業者が多くなっている。

今後の訪日外国人旅行者、外国人労働者及び在留外国人の増加を踏まえ、すし店営業者においても、外国語表記の充実や外国人とのコミュニケーション能力の向上、キャッシュレス決済等の導入、宗教上の理由により特定の食材を忌避する必要のあるケースに配慮するなど、外国人が入りやすい店づくりが求められる。

さらに、インターネット経由での観光情報の入手を容易にし、訪日外国人旅行者の利便性を向上させるため、公衆無線LANの環境整備が期待される。

(5) 受動喫煙防止対策への対応

受動喫煙(人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされること)については、健康に悪影響を与えることが科学的に明らかにされており、国際的に見ても、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の締結国として、国民の健康を保護するために受動喫煙防止対策を推進することが求められている。そのため、受動喫煙による健康への悪影響をなくし、国民・労働者の健康の増進を図る観点から、健康増進法の一部改正(平成30年法律第78号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)により、望まない受動喫煙が生じないよう、多数の者が利用する施設の管理者や営業者は受動喫煙を防止するための措置を講ずることとされており、すし店営業においても、受動喫煙防止対策の強化を図り、その実効性を高めることが求められる。

(6) メニュー表示等の食品表示に関する対応

平成26年に、景品表示法が二度にわたり改正され、表示に対する監視指導体制の強化や事業者の表示管理体制の強化に加え、不当な表示を行った事業者に対する課徴金の制度が設けられた。このため、営業者においても、これまで以上に表示の重要性を認識し、コンプライアンスの強化を図ることが求められる。

また、アレルギー疾患対策基本法(平成26年法律第98号)の制定により、国としてアレルギー疾患対策を総合的かつ計画的に推進することとされたことから、営業者においても、食物アレルゲン情報の自主的な情報提供の促進に向けた対応が望まれる。

3 税制及び融資の支援措置

すし店営業の組合又は組合員は、生活衛生関係営業の支援策の一つとして、税制優遇措置及び日本公庫を通した低利融資を受ける仕組みがある。

税制優遇措置については、組合が共同利用施設を取得した場合の特別償却制度が設けられており、組合において共同研修施設の整備、共同配送用車両、共同冷蔵・冷凍設備及び共同蓄電設備の購入時や組合の会館を建て替える際などに活用することができる。

融資については、対象設備及び運転資金について、振興計画を策定している組合の組合員である営業者が借りた場合は、組合員でない営業者が借りる場合よりも低利の融資を受けることができる。また、各都道府県の組合が作成した振興計画に基づき、一定の会計書類を備えている営業者が所定の事業計画を作成して設備資金及び運転資金を借りた場合には、さらに低利の融資を受けることができる振興事業促進支援融資制度が設けられており、特に設備投資を検討する営業者には、積極的な活用が期待される。

加えて、組合の経営指導を受けている小規模営業者においては、低利かつ無担保・無保証で融資を受けることができる生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付制度が設けられており、積極的な活用が期待される。

三 関係機関に期待される役割

1 組合及び連合会に期待される役割

組合は、公衆衛生の向上及び消費者の利益の増進に資する目的で、組合員たる営業者の営業の振興を図るための振興計画を策定することができる。組合には、地域の実情に応じ、適切な振興計画を策定することが求められる。

組合及び連合会には、予算措置や独自の財源を活用して、営業者の直面する衛生問題及び経営課題に対する適切な支援事業を実施することが期待される。

事業の実施に際しては、有効性及び効率性(費用対効果)の観点から、計画期間に得られる成果目標を明確にしながら事業の企画立案及び実施を行い、得られた成果については適切に効果測定する等、事業の適切かつ効果的な実施に努めることが求められる。

加えて、組合及び連合会には、振興指針及び振興計画の内容について広く広報を行い、組合未加入の営業者への加入勧誘及び組合未結成地域の営業者への組合結成の支援を図ることが期待される。広報を行う際には、組合活動への参画のイメージを分かりやすく提示するとともに、日本公庫の組合員向けの融資制度を周知するなど、営業者の目線に立った情報提供を行うことが求められる。

また、事業効果を最大限発揮し事業成果を広く国民や社会に還元できるよう、都道府県指導センター、保健所等衛生関係行政機関及び日本公庫支店等との連携及び調整を行うことが期待される。

2 都道府県等、都道府県指導センター及び日本公庫に期待される役割

営業許可申請等各種申請や届出、研修会、融資相談などの様々な機会を捉え、新規営業者をはじめとする組合未加入の営業者に対し、組合に関する情報提供を行うとともに、組合活動の活性化のための取組等を積極的に行うことが期待される。

また、多くの営業者が経営基盤の脆弱な中小零細規模の営業者であることに鑑み、都道府県指導センター及び日本公庫において、組合と連携しつつ、営業者へのきめ細かな相談及び指導その他必要な支援等を行い、予算措置、融資による金融措置(以下「金融措置」という。)及び税制優遇措置等の有効的な活用を図ることが期待される。

とりわけ、金融措置については、審査及び決定を行う日本公庫において営業者が利用しやすい融資の実施、生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握及び分析に努め、関係団体に情報提供するとともに、日本公庫と都道府県指導センターが協力して、融資手続や事業計画の作成に不慣れな営業者への支援の観点から、融資に係るきめ細かな相談及び融資手続の簡素化を行うことが期待される。低利融資制度については、各々の営業者の事業計画作成が前提とされることから、本指針の内容を踏まえ、営業者の戦略性を引き出す形での指導を行うことが求められる。

加えて、都道府県指導センターにおいて、組合が行う生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付に係る審査を代行するなど、金融措置の利用の促進を図ることが期待される。

3 国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センターに期待される役割

国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センター(以下「全国指導センター」という。)は、公衆衛生の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、都道府県等及び連合会と適切に連携を図り、信頼性の高い情報の発信及び的確な政策ニーズの把握等を行う必要がある。また、予算措置、金融措置及び税制優遇措置を中心とする政策支援措置については、営業者の衛生水準の確保及び経営の安定に最大限の効果が発揮できるよう、安定的に所要の措置を講ずるとともに、制度の活性化に向けた不断の改革の取組が必要である。

国は都道府県等に対し、営業許可申請等各種申請や届出等の機会を捉えた組合未加入の営業者への組合に関する情報提供や組合活動の活性化のための取組等を求めるものとする。

また、全国指導センターにおいては、地域で孤立する中小規模の営業者のほか、大規模チェーン店に対しても、組合加入の働きかけや公衆衛生情報の提供機能の強化を行うため、関係の組合及び連合会との連携を促すための取組が求められる。

第四 すし店営業の振興の目標を達成するために必要な事項

すし店営業の目標を達成するために必要な事項としては、次に掲げるように多岐にわたるが、営業者においては、衛生水準の向上等のために必須で取り組むべき事項と、戦略的経営を推進するために選択的に取り組むべき事項の区別を行うことで、課題解決と継続的な成長を可能にし、国民生活の向上に貢献することが期待される。

また、組合及び連合会においては、組合員である営業者等に対する指導及び支援並びに消費者のすし店営業への信頼向上に資する事業の計画的な推進が求められる。

このために必要となる具体的取組としては、次に掲げるとおりである。

一 営業者の取組

1 衛生水準の向上に関する事項

(1) 日常の衛生管理に関する事項

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、我が国でも3つの「密」(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離を空ける、消毒や換気の徹底、業種別の感染拡大予防ガイドラインの遵守・徹底など、感染症対策に関する「新しい生活様式」に向けて徹底した衛生対策を行う必要がある。

営業者は、食品衛生法等の関係法令を遵守することは当然であり、加えて衛生水準の一層の向上を図るため、食品衛生に関する専門的な知識を深めるとともに、食品衛生責任者の活用や調理器具、容器及び食器等の衛生管理の改善に取り組むことが必要である。

さらに、営業者は、消費者が信頼し、安心できる商品を提供するために、店舗の衛生管理及び従業員の健康管理を行い、食中毒等食品衛生上の問題が発生しないようにすることが重要である。特に、生鮮魚介類を保管する冷蔵設備の温度管理については、毎日定期的に実施するとともに、これらの工程管理を徹底し、HACCPに沿った衛生管理を行う必要がある。

また、衛生管理上の自主点検を行い、その結果を店内に表示するなど、衛生管理のために自店舗が講じている措置について、消費者に対し積極的に周知することが必要である。さらに、従業員の清潔な着衣の使用、手洗いの励行及び店舗の清掃等により、消費者に不快感を与えない配慮が必要である。

(2) 衛生面における施設及び設備の改善に関する事項

営業者は、日常の衛生的管理の取組に加えて、定期的かつ適切に自店舗の施設及び設備の衛生面の改善に取り組むことが必要である。特に、生鮮魚介類の保管管理を徹底することが重要であるため、その管理に必要な冷蔵設備、ショーケース、保管庫及び容器等の改善に取り組むことが必要である。

2 経営課題への対処に関する事項

個別の経営課題への対処については、営業者の自立的な取組が前提であるが、多様な消費者の要望に対応する商品及び良質なサービスを提供し、国民の食生活の向上に貢献する観点から、営業者においては、次に掲げる事項を念頭に置き、経営改革に積極的に取り組むことが期待される。特に、家族経営等の場合、営業者や従業員が変わることはほとんどないため、経営手法が固定的になりやすく、経営改革に取り組むことが重要であることから、以下の事項に選択的に取り組むことが期待される。

(1) 経営方針の明確化及び独自性の発揮に関する事項

現在置かれている経営環境や市場を十分に把握、分析し、自店舗の専門性や技術力、地域の特性、対面接客等の特性を踏まえ、強みを見いだし、経営方針を明確化し、自店舗の付加価値や独自性を高めていくとともに、経営管理の合理化及び効率化を図ることが必要である。

ア 自店舗の立地条件、消費者層、資本力、経営能力、技術力等の経営上の特質の把握

イ 周辺競合店舗に関する情報収集と比較

ウ ターゲットとする消費者層の特定

エ 重点商品の明確化

オ 店舗のコンセプト及び経営戦略の明確化

カ 売上状況の把握とそれを踏まえた仕入れの管理

キ 経営手法、熟練技能及び専門的知識の習得及び伝承並びに後継者の育成

ク 若手人材の活用による経営手法の開拓

ケ 都道府県指導センター等の経営指導機関による経営診断の積極的活用

コ 地区、グループ単位の個性あるサービスの共同実施や共同仕入れ、共同配送などの共同事業の推進

サ 団体契約等コスト削減の取組の促進

(2) サービスの見直し及び向上に関する事項

消費者のニーズやライフスタイル、世帯構造の変化、国民の食の安全への意識の高まりや健康志向に的確に対応し、消費者が安心して利用できるよう、商品、サービス及び店づくりの充実や情報提供の推進に努め、消費者の満足度を向上させるとともに、新たな消費者を獲得することが重要であることから、以下の事項に選択的に取り組むことが期待される。

ア サービスの充実

① 従業員等の教育及び研修の徹底

② 「手間」と「こだわり」による独自サービスの提供

③ マニュアルを超えた「おもてなしの心(気配り・目配り・心配り)」による温もりのあるサービスの提供

④ 消費者との信頼関係の構築

⑤ 専門性を高めた高付加価値の提供

⑥ 看板商品へのこだわり(高い商品力・価値訴求)

⑦ すしに関する情報提供

⑧ 専門店ならではの「楽しさ」、「賑わい」の演出、明確なコンセプトの提案

⑨ 経営者自らによる消費者の要望の把握

⑩ 優秀な人材の獲得並びに若手従業員の育成、指導及び資質向上

⑪ 魅力ある職場づくり(人と人の心のチームワーク)

⑫ 経営手法・熟練技能の効率的な伝承

⑬ 外国語表示の推進

⑭ 高齢者、障害者及び子育て世代への対応

⑮ クレジットカード決済、電子決済の導入・普及

イ 食の安全への関心の高まりや食を通じた健康づくりなどの健康志向への対応

① 安全な食材を使用し健康志向に対応したメニューの開発・提供

② 食材の原産地表示等への積極的な取組

③ 食物アレルギー物質の有無の表示

④ 総カロリー表示及び塩分量表示等の推進

⑤ 生活習慣病を予防する取組への参画

ウ 消費者のニーズやライフスタイルの変化等に対応した店づくり

① 清潔で入りやすく、誰もがくつろぎやすい店舗の雰囲気作り

② 分かりやすい価格表示

③ 高級・高品質な商品の設定

④ お得感を訴求したメニュー開発

⑤ 地産地消の食材を使用したメニューの提供

⑥ 四季折々の食材を使用し、季節の行事に合わせたメニューの提供

⑦ 昼食時の特別メニューの提供

⑧ 子どもや高齢者等に配慮したメニューの提供

⑨ 視覚からおいしさを伝えるための食材に応じた盛りつけの工夫及び器等で店舗の特色を表す工夫

⑩ 家族客をターゲットとした休日営業の実施や昼食時の営業に配慮した営業時間の設定

⑪ 出前サービスの強化

⑫ インターネット等による注文、予約等の実施

⑬ シニア層が気軽に集える「場」の提供

⑭ 平日の昼の時間帯での宴会の受入れ(シニアの同窓会需要等への対応)

⑮ 宅配サービス、御用聞き等の実施(買い物弱者等対策の強化)

⑯ 中食(弁当・惣菜類)を含む新たなサービスの開発、展開

⑰ 一人で気軽に入れる「場」の提供

⑱ 生鮮魚介類以外の食材を使用したメニューの提供

(3) 店舗及び設備の改善並びに業務改善等に関する事項

営業者は、鮮度管理の求められる食品を提供する営業店舗であることを十分認識するとともに、近年の省エネルギー及び節電の要請にも応じ、店舗及び設備の改善並びに業務の効率化等のため、以下の事項に取り組むことが期待される。

ア 安全で衛生的な店舗となるような定期的な内外装の改装

イ 各店舗の特性に合致するような伝統を重んじた清潔な雰囲気の醸成

ウ 高齢者及び障害者等に配慮したバリアフリー対策の実施

エ 消費者の安全衛生及び従業員の労働安全衛生の観点からの店舗及び設備等の整備

オ 省エネルギー対応の冷凍冷蔵設備、空調設備、太陽光発電設備等の導入

カ 節電に資する人感センサー、LED照明、蓄電池設備等の導入

キ 作業手順の標準化・見える化やコンピュータ・情報システムの導入等による合理化・効率化

ク 都道府県指導センターなどが開催する生産性向上等を図るためのセミナー等への参加及び業務改善助成金等各種制度の活用

ケ 受動喫煙の防止

(4) 情報通信技術を利用した新規消費者の獲得及び消費者の確保に関する事項

営業者は、情報セキュリティの管理に留意しつつ、インターネット等の情報通信技術を効果的に活用する等、以下の事項に選択的に取り組むことが期待される。

ア ホームページの開設等による積極的な情報発信

イ 消費者情報のデータベース化等による適切な管理

ウ 誕生日又は記念日などの季節の行事に応じたダイレクトメールの郵送や広報チラシの配布

エ 飲食情報サイト及びスマートフォンアプリ等を介した割引サービスの実施

オ インターネット等の活用による注文及び予約の受付

カ クレジットカード決済、電子決済の導入及び普及

キ 店舗等における公衆無線LAN環境の整備

ク コンピュータ及び情報システムを利用した業務の合理化及び効率化

ケ 外国人客に対応するための多言語音声アプリ等の活用

(5) 表示の適正化と苦情の適切な処理に関する事項

営業者は、消費者の食の安全への関心の高まり及び健康志向等に対応し、景品表示法等の関係法令を遵守し、表示の適正化を図り、適切な情報提供を行い、消費者に納得感と安心感を与えるとともに、消費者からの苦情に誠実に対応し、問題の早急かつ円満な解決に努めることが重要であることから、以下の事項に取り組むことが期待される。

ア 関係法規等を遵守した適切な食材の原産地表示、天然と養殖を区別する表示等への積極的な取組

イ 食物アレルギー患者を中心とした健康被害防止を目的とした表示及び情報提供への取組

ウ 厚生労働省及び農林水産省が作成した食事バランスガイドや「健康な食事」に係るガイドラインの活用

エ 総カロリーや塩分量に関する表示

オ 分かりやすい価格表示

カ 消費者の疑問や苦情への適確な対応(苦情対応マニュアルの作成等)

キ 従業員に対する危機管理教育の徹底

ク 賠償責任保険等の活用

ケ 訪日外国人旅行者等の習慣に配慮した取組

コ 地域の特性に応じた外国語商品表示や外国の文化(ハラール等)に配慮した表示の推進

(6) 人材育成及び自己啓発の推進に関する事項

営業者は、職人の技術を向上、接客態度、消費者への知識提供等の面でのサービスの向上にも努めるとともに、適正な労働条件の確保に努めることが期待される。また、営業者は、後継者及び独立を希望する従業員が、経営、顧客管理及び従業員管理等の技能を取得できるよう、自己啓発を促すとともに、後継者及び従業員の人材育成に努めることが望まれる。

二 営業者に対する支援に関する事項

1 組合及び連合会による営業者の支援

組合及び連合会においては、営業者の自立的な経営改革を支援する都道府県指導センター等の関係機関との連携を密にし、次に掲げる事項を中心に積極的な支援に努めることが期待される。また、支援に当たっては、関係機関等が作成する、営業者の経営改善に役立つ手引や好事例集等を効果的に活用すること、及び関係機関が開催する生産性向上等を推進するためのセミナー等に関して組合員に対する参加の促進等必要な協力を行うことが期待される。

(1) 衛生に関する知識及び意識の向上に関する事項

食品衛生上の安全を確保し、かつ良質な食材の調理及び調製を行うために必要な支援に努めることが期待される。

ア 衛生管理を徹底するための研修会及び講習会の開催

イ 衛生管理に関するパンフレットの作成による普及啓発

ウ 衛生管理に関するポスターの掲示等による広報促進

エ 衛生基準の設定

オ HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を推進するための手引書作成

(2) サービス、店舗及び設備の改善並びに業務の効率化に関する事項

衛生水準の向上、経営マネジメントの合理化及び効率化、消費者の利益の増進等のため、サービス、店舗及び設備の改善並びに業務の効率化に関する指導、助言、情報提供を行い、業界全体で新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの影響による業績悪化からの回復を目指すとともに、今後デジタル化が推進され、事業の効率化・高付加価値化が進むよう、ICTの活用に係るサポート等必要な支援に努めることが期待される。

(3) 消費者利益の増進及び商品の提供方法に関する事項

消費者の利益を増進し、消費者に対する正しい情報の提供を行うため、以下の事項に取り組むことが期待される。

ア 接客手引の基本となるマニュアルの作成

イ 苦情相談窓口の開設

ウ 苦情対応マニュアルの作成及び普及啓発

エ 危機管理マニュアルの作成及び普及啓発

オ 商品の適正表示マニュアルの作成及び普及啓発

カ トレーサビリティを確保する取組の推進

キ 生産者、生産地等に関する情報の収集及び提供

ク 消費者調査に基づく消費者指向の把握

ケ 消費者の要望に対応したメニュー及びサービスについての情報提供

コ 消費者に対するすしに関する正しい知識に関する普及啓発

サ 賠償責任保険への加入促進

(4) 経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事項

先駆的経営事例、地域的経営環境条件並びにすし店営業の将来展望に関する情報の収集及び整理に努め、営業者への助言等に活用することが期待される。さらに、関係機関との連携の下での、創業や事業承継における助言・相談の取組の推進が期待される。

(5) 経営課題に即した相談支援に関する事項

営業者が直面する様々な経営課題に対して、経営特別相談員による経営指導事業の周知に努めるとともに、これを金融面から補完する生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付制度の趣旨や活用方法の周知が期待される。

さらに、複雑な税制を生活衛生関係営業者に分かりやすく周知し、税制に関する知識の普及を図り、経営改善につなげることが期待される。

(6) 営業者及び従業員の技能の向上に関する事項

営業者及び従業員の技能の向上を図るために必要な支援に努めることが期待される。

ア 研修会及び講習会の定期的開催等教育研修制度の充実強化

イ 技術講習会及び技能コンテスト等の開催による技術水準の向上

ウ 消費者の要望に対応したメニューやサービスの情報提供

(7) 事業の共同化及び協業化に関する事項

生活衛生関係営業は、大半が中小規模・零細事業者である。少子・高齢化、環境・エネルギー問題、物価高騰、賃上げ等の課題が生じる中で、個々の事業者が単独で施設整備や技術力向上等を進めるには限界があり、組合が中心となり、業界として、すし券事業や共同利用施設の整備など共同事業や協業化の取組を進めていくことが必要である。

このため、組合においては、地域との連携を図りつつ、諸課題に対応するための共同事業や協業化の取組を行うことが期待される。

(8) 取引関係の改善に関する事項

取引関係の改善を図るため、必要な支援に努めることが期待される。

ア 共同購入等取引面の共同化の推進

イ 食品等関連業界の協力の下で行う、取引条件の合理的改善及び組合員等の経済的地位の向上

(9) 従業員の福利の充実に関する事項

従業員の労働条件整備及び労働関係法令の遵守に関する助言、作業環境の改善及び健康管理充実(定期健康診断の実施等を含む。)のための支援、医療保険、年金保険及び労働保険の加入等に係る啓発、組合員等の大多数の利用に資する福利厚生の充実並びに共済等制度(退職金及び生命保険等をいう。)の整備及び強化に努めることが期待される。

また、男女共同参画社会の推進及び少子高齢化社会の進展を踏まえ、従業員の福利の充実に努めることが期待される。

(10) 事業の承継及び後継者育成支援に関する事項

営業者の高齢化が急激に進んでいることから、事業の円滑な承継に関するケーススタディ及び成功事例等の経営知識や各地域にある事業承継に関する相談機関及び最新の関連税制についての情報提供並びに後継者育成支援の促進を図るために必要な支援体制の整備に努めることが期待される。

(11) 食品関連情報の提供や行政施策の推進に関する事項

国内外における食に関する最新の情報や行政施策の動向等について、行政機関との連携等を通じ、組合員等への適切な情報提供を図り、特に、令和5年10月1日から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)については国等が実施する説明会等により周知に努めることが期待される。また、行政施策に基づく指導及び支援に努めることが期待される。

2 行政施策及び政策金融による営業者の支援及び消費者の信頼の向上

(1) 都道府県指導センター

組合との連携を密にして、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

ア 関係機関等が作成する手引や好事例集等を効果的に活用した、営業者に対する経営改善の具体的指導及び助言等の支援

イ 消費者からの苦情及び要望の営業者への伝達

ウ 消費者の信頼の向上に向けた積極的な取組

エ 都道府県等(保健所)と連携した組合加入促進に向けた取組

オ 連合会及び都道府県等と連携した振興計画の未策定に対する指導及び支援

カ 生産性向上や業務改善を推進するためのセミナー等の開催

(2) 全国指導センター

都道府県指導センターの取組を推進するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

ア 関係機関等が作成する手引や好事例集等、営業者の経営改革の取組に役立つ情報の収集、整理及び情報提供

イ 危機管理マニュアルの作成

ウ 苦情対応マニュアルの作成

エ 効果測定の支援及び政策提言機能の強化

オ 公衆衛生情報の提供機能の強化

(3) 国及び都道府県等

すし店営業に対する消費者の信頼の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努める。

ア 食品衛生に関する指導監督

イ 食品衛生に関する情報提供その他必要な支援

ウ 災害又は事故等の発生時における適時、適切な風評被害防止策の実施

エ 営業者の経営改善に役立つ手引や好事例集等の作成・更新及び各種支援策の周知

(4) 日本公庫

営業者の円滑な事業実施に資するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

ア 営業者が利用しやすい融資の実施

イ 生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握、分析及び情報提供

ウ 組合等と連携した経営課題の解決に資するセミナーの開催及び各種印刷物の発行による情報提供

エ 災害時等における速やかな相談窓口の設置

オ 事業承継の相談窓口に関する情報提供

第五 営業の振興に際し配慮すべき事項

すし店営業においては、他の生活衛生関係営業と同様に、衛生水準の確保と経営の安定のみならず、営業者の社会的責任として環境の保全や省エネルギー強化、食品循環資源の再生利用等の推進に努めるとともに、時代の要請である少子高齢化社会等への対応、すし店営業に密接に関連する食育への対応、受動喫煙対策、禁煙等に関する対策、地域との共生、災害への対応及び従業員の賃金引上げに向けた対応、働き方・休み方改革への対応、サービス業界全体の活性化や生産性向上に向けた取組の推進といった課題に応えていくことが要請される。こうした課題への対応は、個々の営業者が中心となって関係者の支援の下で行われることが必要であり、これらの取組を通じて、現在、国連の国際目標であり、我が国の政府や多数の企業・地方自治体・関係団体でも取り組まれているSDGs(持続可能な開発目標)に貢献し、地域社会に確固たる位置付けを確保することが期待される。

一 食育、食の安全への関心の高まり及び健康志向等への対応

1 営業者に期待される役割

営業者は、健康づくりのための食育の推進に積極的に取り組むため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

(1) 食文化の継承のための食事マナー及び調理方法の普及

(2) 地域における食生活の改善の支援

(3) 食品の安全性に関する知識の普及の支援

(4) 食物アレルギー物質の有無の表示

(5) 安全な食材を使用した健康に良い食品の開発及び提供

(6) 総カロリー表示及び塩分量表示等の推進

(7) 訪日外国人旅行者への対応

(8) 健康増進への取組

(9) 食材の原産地表示の推進

2 組合及び連合会に期待される役割

効果的な食育の実施方法についての研究を実施する。

3 日本公庫に期待される役割

融資の実施等により営業者を支援する。

二 サービス産業の活性化及び生産性向上への対応

1 営業者に期待される役割

(1) 従業員の待遇改善

(2) 高付加価値化・低コスト化の取組

ア ICTの活用、高品質なサービスの提供等による高付加価値化

イ 団体契約等、コスト削減等の取組の促進

2 組合、連合会及び都道府県指導センターに期待される役割

(1) 好事例の展開

ア 生産性向上に成功した事例をとりまとめた事例集の周知

イ 生活衛生関係営業対策事業費補助金等を利用した生産性向上に係るモデル事例の研究及び情報提供

ウ 地域、商店街活性化に資する組合活動事例の周知

(2) 高付加価値化・低コスト化の取組

すし店営業における高付加価値化、共同購入をするための体制構築

3 日本公庫に期待される役割

電子商取引に必要な設備(電子マネー等)導入時に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知等を図る。

三 少子高齢化社会等への対応

1 営業者に期待される役割

営業者は、高齢者、障害者、一人暮らしの者及び妊産婦並びに子育て世帯及び共働き世帯等が住み慣れた地域社会で安心かつ充実した日常生活を営むことができるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

(1) 出前サービスの実施(買い物弱者等対策の強化、他の生活衛生関係営業者等との連携を含む。)

(2) 高齢者に配慮したメニューや少量メニューの提供

(3) 高齢者、障害者、妊産婦や子ども連れの顧客等に配慮した店舗の積極的なバリアフリー対策の実施

(4) 身体障害者が同伴する身体障害者補助犬への適切な対応

(5) 障害者差別解消法の規定に基づく障害者への合理的配慮

(6) 受動喫煙の防止

(7) 従業員に対する教育及び研修の充実及び強化

(8) 子育て世帯、共働き世帯等が働きやすい職場環境の整備

(9) 地域社会とのつながりを強化する観点も含めた地域の高齢者・障害者等の積極的雇用の推進

2 組合及び連合会に期待される役割

高齢者、障害者、妊産婦及び子ども連れの顧客等の利便性を考慮した店舗設計やサービス提供に係る研究を実施する。

3 日本公庫に期待される役割

高齢者、障害者、妊産婦及び子ども連れの顧客等の利用の円滑化を図るために必要な設備(バリアフリー化等)導入時に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知等を図る。

四 地域との共生(地域コミュニティの再生及び強化(商店街の活性化))

1 営業者に期待される役割

営業者は、地域住民に対してすし店営業の存在、提供する商品及びサービスの内容並びに営業の社会的役割及び意義をアピールするとともに、地域で増加する「買い物弱者等」の新たなニーズに対応し、地域のセーフティーネットとしての役割や地域コミュニティの基盤である商店街における重要な構成員としての位置付けが強化されるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的に取り組むことで、地域コミュニティの再生及び強化や商店街の活性化につなげることが期待される。

(1) 地域の街づくりへの積極的な参加及び地域の営業者と連携したサービスの提供

ア 祭りや商店街による手作りイベント等共同事業の立案及び参加

イ 商店街の活性化を通じた地域生活者の「ふれあい」、「憩い」、「賑わい」の創出

(2) 「賑わい」や「つながり」を通じた豊かな人間関係(ソーシャル・キャピタル)の形成

(3) 共同ポイントサービス事業及びスタンプ事業の実施

(4) 地域の防犯、消防、防災、交通安全及び環境保護活動の推進に対する協力

(5) 地産地消の推進

(6) 災害対応能力及び危機管理能力の維持向上

(7) 地震等の大規模災害が発生した場合における、地域住民への支援

(8) 暴力団排除等への対応

(9) 商店街の空き店舗の有効的活用(子育て支援施設、高齢者交流サロン、地域ブランド品販売等へ利用)

(10) 商店街運営店主との共同経営店舗の出店、買い物代行サービス及びインターネット販売

(11) 郷土料理やご当地グルメ等地域資源を活用した地域おこし

(12) 地元農家や各種団体と連携した朝市の開催

(13) 福祉施設における食事の提供

2 組合及び連合会に期待される役割

(1) 地域の自治体等と連携し、社会活動の企画、指導及び援助ができる指導者を育成

(2) 業種を超えた相互協力の推進

(3) 地域における特色ある取組の支援

(4) 自治会、町内会、地区協議会、NPO及び大学等との連携活動の推進

(5) 商店街役員へのすし店営業の若手経営者の登用

(6) 地域における事業承継の推進(承継マッチング支援)及び新規開業希望者の育成

(7) 地域、商店街活性化に資する組合活動事例の周知

3 日本公庫に期待される役割

きめ細かな相談、指導、融資の実施等により営業者及び新規開業希望者を支援する。

五 環境の保全、省エネルギー強化及び食品循環資源の再生利用等の推進

1 営業者に期待される役割

営業者は、将来に向けた持続可能な消費と生産のパターンを確保する社会的役割・責任が求められており、限りある資源エネルギーや環境の保全、食品・資源循環型社会を実現するため、以下に掲げる事項を中心に積極的に取り組むことが期待される。

(1) 省エネルギー対応の冷凍冷蔵設備、空調設備及び太陽光発電設備等の導入

(2) 冷凍冷蔵設備入れ替え時における適切な廃棄処理

(3) 節電に資する人感センサー、LED照明及び蓄電設備等の導入

(4) 食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量

(5) 食品循環資源の再生利用等実施率の向上

(6) 廃棄物の最小化、再生品の利活用

(7) 温室効果ガス排出の抑制

(8) プラスチック製買物袋の有料化等プラスチック製品削減に向けた取組

2 組合及び連合会に期待される役割

(1) 食品循環資源の再生利用の仕組みの構築

(2) 業種を超えた組合間の相互協力

(3) 食品循環資源の再生利用に向けた組合員以外の営業者への参加促進及び普及啓発

3 日本公庫に期待される役割

省エネルギー設備導入時に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知を図る。

六 禁煙等に関する対策

1 営業者に求められる役割

営業者は、顧客層、経営方針、店舗の規模等に配慮した上で、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが求められる。

(1) 望まない受動喫煙の防止

ア 施設内の禁煙の徹底及び喫煙専用室等の設置

イ 受動喫煙による健康影響が大きい子どもなど20歳未満の者、患者等への配慮

ウ 従業員に対する受動喫煙防止対策

(2) アルコール類の提供

飲酒運転根絶に向けた必要な措置及びアルコール健康障害を発生させるような不適切な飲酒の誘引防止。また、20歳未満の者へのアルコール類の提供禁止。

2 組合及び連合会に期待される役割

効果的な受動喫煙防止対策及び飲酒運転根絶等に関する情報提供を行い、併せて制度周知を図る。

3 国及び都道府県等の役割

受動喫煙防止に関する制度周知や受動喫煙防止対策に有効な予算措置、金融措置等に関する情報提供を行う。

4 日本公庫に期待される役割

受動喫煙防止設備の導入時に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知等を図る。

七 災害への対応と節電行動の徹底

我が国は、その位置、地形、地質、気象等の自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火等による災害が発生しやすい国土となっており、継続的な防災対策及び災害時の地域支援を含めた対応並びに節電行動への取組が期待される。

1 営業者に期待される役割(災害時は営業者自身の安全を確保した上で対応する)

(1) 災害発生前段階における防災対策の実施及び災害対応能力の維持向上

(2) 地域における防災訓練への参加及び自店舗等での防災訓練の実施

(3) 地域との共生により培っている近隣住民等の安否確認や被災状況の把握及び自治体等への情報提供

(4) 地震等の大規模災害が発生した場合における、地域住民への支援

(5) 災害発生時における、被災営業者のみならず営業者全体による相互扶助と連携の下での役割発揮

(6) 災害発生時における、被災営業者の営業再開を通じた被災者への支援、サービスの確保・充実及び地域コミュニティの復元

(7) 従業員及び消費者に対する節電啓発

(8) 中長期の節電に資する省エネルギー対応の設備の導入

(9) 節電を通じた経営の合理化

(10) 電力制約下における新たな需要(ビジネス機会)の取り込み

2 組合及び連合会に期待される役割

(1) 営業者及び地域並びに災害種別を想定した防災対策への支援

(2) 同業者による支え合い(太い「絆」で再強化)

(3) 災害発生時の被災者の避難誘導などを通じた帰宅困難者防止等への取組

(4) 被災した地域住民へのボランティアに関する呼びかけ

(5) 節電啓発や節電行動に対する支援

(6) 災害発生時の電源確保や節電に資する共同利用施設(共同蓄電設備等)の設置

3 国及び都道府県等の役割

過去の災害を教訓とした防災対策や情報収集、広報の実施等、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努める。

(1) 過去の災害を教訓とした緊急に実施する必要性が高く、即効性の高い防災、減災等の施策

(2) 節電啓発や節電行動の取組に対する支援

4 日本公庫に期待される役割

災害発生時には、被災した営業者に対し低利融資を実施し、きめ細やかな相談及び支援を行う。

八 最低賃金の引上げを踏まえた対応(生産性向上を除く。)