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○人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針

(令和三年三月二十三日)

(/文部科学省/厚生労働省/経済産業省/告示第一号)

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針を次のように定める。なお、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成二十五年/文部科学省/厚生労働省/経済産業省/告示第一号)及び人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成二十六年/文部科学省/厚生労働省/告示第三号)は、令和三年六月三十日限り廃止する。

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針

目次

前文

第1章 総則

第1 目的及び基本方針

第2 用語の定義

第3 適用範囲

1 適用される研究

2 死者に係る情報

3 日本国外において実施される研究

第2章 研究者等の責務等

第4 研究者等の基本的責務

1 研究対象者等への配慮

2 教育・研修

第5 研究機関の長の責務等

1 研究に対する総括的な監督

2 研究の実施のための体制・規程の整備等

第3章 研究の適正な実施等

第6 研究計画書に関する手続

1 研究計画書の作成・変更

2 倫理審査委員会への付議

3 研究機関の長による許可等

4 研究の概要の登録

5 研究の適正な実施の確保

6 研究終了後の対応

第7 研究計画書の記載事項

第4章 インフォームド・コンセント等

第8 インフォームド・コンセントを受ける手続等

1 インフォームド・コンセントを受ける手続等

2 電磁的方法によるインフォームド・コンセントの取得

3 試料・情報の提供に関する記録

4 研究計画書の変更

5 説明事項

6 研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置くべき事項

7 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取扱い

8 インフォームド・コンセントの手続等の簡略化

9 同意の撤回等

第9 代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続等

1 代諾の要件等

2 インフォームド・アセントを得る場合の手続等

第5章 研究により得られた結果等の取扱い

第10 研究により得られた結果等の説明

1 研究により得られた結果等の説明に係る手続等

2 研究に係る相談実施体制等

第6章 研究の信頼性確保

第11 研究に係る適切な対応と報告

1 研究の倫理的妥当性及び科学的合理性の確保等

2 研究の進捗状況の管理・監督及び有害事象等の把握・報告

3 大臣への報告等

第12 利益相反の管理

第13 研究に係る試料及び情報等の保管

第14 モニタリング及び監査

第7章 重篤な有害事象への対応

第15 重篤な有害事象への対応

1 研究者等の対応

2 研究責任者の対応

3 研究機関の長の対応

第8章 倫理審査委員会

第16 倫理審査委員会の設置等

1 倫理審査委員会の設置の要件

2 倫理審査委員会の設置者の責務

第17 倫理審査委員会の役割・責務等

1 役割・責務

2 構成及び会議の成立要件等

3 迅速審査等

4 他の研究機関が実施する研究に関する審査

第9章 個人情報等、試料及び死者の試料・情報に係る基本的責務

第18 個人情報の保護等

1 個人情報等の取扱い

2 試料の取扱い

3 死者の試料・情報の取扱い

第10章 その他

第19 施行期日

第20 経過措置

第21 見直し

前文

人を対象とする生命科学・医学系研究は、生命科学・医学及び医療技術の進展を通じて、国民の健康の保持増進並びに患者の傷病からの回復及び生活の質の向上に大きく貢献し、人類の健康及び福祉の発展や新しい産業の育成等に重要な役割を果たしている。これらの研究基盤や研究そのものは、今後も持続的に発展が求められるものである。

その一方で、人を対象とする生命科学・医学系研究は、研究対象者の身体及び精神又は社会に対して大きな影響を与え、診療及び医療サービスの変化をもたらし、新たな倫理的、法的又は社会的課題を招く可能性がある。研究対象者の福利は、科学的及び社会的な成果よりも優先されなければならず、人間の尊厳及び人権は普遍のものとして守られなければならない。また、これらの研究は、社会の理解と信頼を得ることにより、より一層有益なものとなる。そこで、我が国では学問の自由を尊重しつつ、人を対象とする生命科学・医学系研究が人間の尊厳及び人権を尊重して適正かつ円滑に行われるために諸外国の制度も勘案し、制度的枠組みを構築してきた。

我が国では、日本国憲法、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)、条例、世界医師会による「ヘルシンキ宣言」及び科学技術会議生命倫理委員会における「ヒトゲノム研究に関する基本原則」(平成12年6月14日科学技術会議生命倫理委員会決定)に示された倫理規範等を踏まえ、平成13年以降、関係省庁において関係指針を順次定めてきた。加えて、研究対象及び手法の多様化並びに生命科学・医学及び医療技術の進展に伴い、規制範囲や方法等について継続的な見直しを行っている。

近年、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針とヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の両方に該当する研究が多く行われ、また、両指針に定められている手続に共通点が多いことから、令和3年に、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針にヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針を統合した、新たな倫理指針を定めた。

研究には、多様な形態があることに配慮して、本指針においては基本的な原則を示すこととし、研究者等は研究計画を立案し、その適否について倫理審査委員会が審査を行い、研究の実施においては、全ての関係者は、この原則を踏まえつつ、個々の研究計画の内容等に応じて適切に判断することが求められる。

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成13年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号、令和3年6月30日廃止)

疫学研究に関する倫理指針(平成14年文部科学省・厚生労働省告示第2号、平成27年3月31日廃止)

臨床研究に関する倫理指針(平成15年厚生労働省告示第255号、平成27年3月31日廃止)

人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号、令和3年6月30日廃止)

第1章 総則

第1 目的及び基本方針

この指針は、人を対象とする生命科学・医学系研究に携わる全ての関係者が遵守すべき事項を定めることにより、人間の尊厳及び人権が守られ、研究の適正な推進が図られるようにすることを目的とする。全ての関係者は、次に掲げる全ての事項を基本方針としてこの指針を遵守し、研究を進めなければならない。

① 社会的及び学術的意義を有する研究を実施すること

② 研究分野の特性に応じた科学的合理性を確保すること

③ 研究により得られる利益及び研究対象者への負担その他の不利益を比較考量すること

④ 独立した公正な立場にある倫理審査委員会の審査を受けること

⑤ 研究対象者への事前の十分な説明を行うとともに、自由な意思に基づく同意を得ること

⑥ 社会的に弱い立場にある者への特別な配慮をすること

⑦ 研究に利用する個人情報等を適切に管理すること

⑧ 研究の質及び透明性を確保すること

第2 用語の定義

この指針における用語の定義は、次のとおりとする。

(1) 人を対象とする生命科学・医学系研究

人を対象として、次のア又はイを目的として実施される活動をいう。

ア 次の①、②、③又は④を通じて、国民の健康の保持増進又は患者の傷病からの回復若しくは生活の質の向上に資する知識を得ること

① 傷病の成因(健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を含む。)の理解

② 病態の理解

③ 傷病の予防方法の改善又は有効性の検証

④ 医療における診断方法及び治療方法の改善又は有効性の検証

イ 人由来の試料・情報を用いて、ヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能並びに遺伝子の変異又は発現に関する知識を得ること

(2) 侵襲

研究目的で行われる、穿せん刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。

侵襲のうち、研究対象者の身体又は精神に生じる傷害又は負担が小さいものを「軽微な侵襲」という。

(3) 介入

研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。

(4) 試料

血液、体液、組織、細胞、排せつ物及びこれらから抽出したDNA等、人の体から取得されたものであって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

(5) 研究に用いられる情報

研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

(6) 試料・情報

試料及び研究に用いられる情報をいう。

(7) 既存試料・情報

試料・情報のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。

① 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報

② 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの

(8) 遺伝情報

試料・情報を用いて実施される研究の過程を通じて得られ、又は既に試料・情報に付随している子孫に受け継がれ得る情報で、個人の遺伝的特徴及び体質を示すものをいう。

(9) 研究対象者

次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。

① 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)

② 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者

(10) 研究対象者等

研究対象者に加えて、代諾者等を含めたものをいう。

(11) 研究機関

研究が実施される法人若しくは行政機関又は研究を実施する個人事業主をいう。ただし、試料・情報の保管、統計処理その他の研究に関する業務の一部についてのみ委託を受けて行われる場合を除く。

(12) 共同研究機関

研究計画書に基づいて共同して研究が実施される研究機関(当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し、他の研究機関に提供を行う研究機関を含む。)をいう。

(13) 研究協力機関

研究計画書に基づいて研究が実施される研究機関以外であって、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う試料の取得は除く。)、研究機関に提供のみを行う機関をいう。

(14) 試料・情報の収集・提供を行う機関

研究機関のうち、試料・情報を研究対象者から取得し、又は他の機関から提供を受けて保管し、反復継続して他の研究機関に提供を行う業務(以下「収集・提供」という。)を実施するものをいう。

(15) 学術研究機関等

個人情報保護法第16条第8項に規定する学術研究機関等をいう。

(16) 多機関共同研究

一の研究計画書に基づき複数の研究機関において実施される研究をいう。

(17) 研究者等

研究責任者その他の研究の実施(試料・情報の収集・提供を行う機関における業務の実施を含む。)に携わる者をいう。ただし、研究機関に所属する者以外であって、次に掲げるいずれかの者は除く。

① 新たに試料・情報を取得し、研究機関に提供のみを行う者

② 既存試料・情報の提供のみを行う者

③ 委託を受けて研究に関する業務の一部についてのみ従事する者

(18) 研究責任者

研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関において当該研究に係る業務を統括する者をいう。

なお、以下において、多機関共同研究に係る場合、必要に応じて、研究責任者を研究代表者と読み替えることとする。

(19) 研究代表者

多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関の研究責任者を代表する研究責任者をいう。

(20) 研究機関の長

研究が実施される法人の代表者若しくは行政機関の長又は研究を実施する個人事業主をいう。

(21) 倫理審査委員会

研究の実施又は継続の適否その他研究に関し必要な事項について、倫理的及び科学的な観点から調査審議するために設置された合議制の機関をいう。

(22) インフォームド・コンセント

研究の実施又は継続(試料・情報の取扱いを含む。)に関する研究対象者等の同意であって、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者から十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいてなされるものをいう。

(23) 適切な同意

試料・情報の取得及び利用(提供を含む。)に関する研究対象者等の同意であって、研究対象者等がその同意について判断するために必要な事項が合理的かつ適切な方法によって明示された上でなされたもの(このうち個人情報等については、個人情報保護法における本人の同意を満たすもの)をいう。

(24) 代諾者

生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセント又は適切な同意を与えることができる能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対してインフォームド・コンセント又は適切な同意を与えることができる者をいう。

(25) 代諾者等

代諾者に加えて、研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセント又は適切な同意を与えることができる者を含めたものをいう。

(26) インフォームド・アセント

インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される研究対象者が、実施又は継続されようとする研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施又は継続されることを理解し、賛意を表することをいう。

(27) 個人情報

個人情報保護法第2条第1項に規定する個人情報をいう。

(28) 個人識別符号

個人情報保護法第2条第2項に規定する個人識別符号をいう。

(29) 要配慮個人情報

個人情報保護法第2条第3項に規定する要配慮個人情報をいう。

(30) 仮名加工情報

個人情報保護法第2条第5項に規定する仮名加工情報をいう。

(31) 匿名加工情報

個人情報保護法第2条第6項に規定する匿名加工情報をいう。

(32) 個人関連情報

個人情報保護法第2条第7項に規定する個人関連情報をいう。

(33) 個人情報等

個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報及び個人関連情報をいう。

(34) 削除情報等

個人情報保護法第41条第2項に規定する削除情報等をいう。

(35) 加工方法等情報

個人情報の保護に関する法律施行規則(平成28年個人情報保護委員会規則第3号。以下「個人情報保護法施行規則」という。)第35条第1号に規定する加工方法等情報をいう。

(36) 有害事象

実施された研究との因果関係の有無を問わず、研究対象者に生じた全ての好ましくない又は意図しない傷病若しくはその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。

(37) 重篤な有害事象

有害事象のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。

① 死に至るもの

② 生命を脅かすもの

③ 治療のための入院又は入院期間の延長が必要となるもの

④ 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの

⑤ 子孫に先天異常を来すもの

(38) 予測できない重篤な有害事象

重篤な有害事象のうち、研究計画書、インフォームド・コンセントの説明文書等において記載されていないもの又は記載されていてもその性質若しくは重症度が記載内容と一致しないものをいう。

(39) モニタリング

研究が適正に行われることを確保するため、研究がどの程度進捗しているか並びにこの指針及び研究計画書に従って行われているかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。

(40) 監査

研究結果の信頼性を確保するため、研究がこの指針及び研究計画書に従って行われたかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。

(41) 遺伝カウンセリング

遺伝医学に関する知識及びカウンセリングの技法を用いて、研究対象者等又は研究対象者の血縁者に対して、対話と情報提供を繰り返しながら、遺伝性疾患をめぐり生じ得る医学的又は心理的諸問題の解消又は緩和を目指し、研究対象者等又は研究対象者の血縁者が今後の生活に向けて自らの意思で選択し、行動できるよう支援し、又は援助することをいう。

第3 適用範囲

1 適用される研究

この指針は、我が国の研究者等により実施され、又は日本国内において実施される人を対象とする生命科学・医学系研究を対象とする。ただし、他の指針の適用範囲に含まれる研究にあっては、当該指針に規定されていない事項についてはこの指針の規定により行うものとする。

また、次に掲げるアからウまでのいずれかの研究に該当する場合は、この指針の対象としない。

ア 法令の規定により実施される研究

イ 法令の定める基準の適用範囲に含まれる研究

ウ 試料・情報のうち、次に掲げるもののみを用いる研究

① 既に学術的な価値が定まり、研究用として広く利用され、かつ、一般に入手可能な試料・情報

② 個人に関する情報に該当しない既存の情報

③ 既に作成されている匿名加工情報

2 死者に係る情報

この指針は、我が国の研究者等により実施され、又は日本国内において実施される人を対象とする生命科学・医学系研究であって、死者に係る情報を取り扱うものについて準用する。

3 日本国外において実施される研究

(1) 我が国の研究者等が日本国外において研究を実施する場合(日本国外の研究機関と共同して研究を実施する場合を含む。)は、この指針に従うとともに、研究が実施される国又は地域の法令、指針等の基準を遵守しなければならない。ただし、この指針の規定と比較して研究が実施される国又は地域の法令、指針等の基準の規定が厳格な場合には、この指針の規定に代えて当該研究が実施される国又は地域の法令、指針等の基準の規定により研究を実施するものとする。

(2) この指針の規定が日本国外の研究が実施される国又は地域における法令、指針等の基準の規定より厳格であり、この指針の規定により研究を実施することが困難な場合であって、次に掲げる全ての事項が研究計画書に記載され、当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴いて我が国の研究機関の長が許可したときには、この指針の規定に代えて当該研究が実施される国又は地域の法令、指針等の基準の規定により研究を実施することができるものとする。

① インフォームド・コンセントについて適切な措置が講じられる旨

② 研究に用いられる個人情報の保護について適切な措置が講じられる旨

(3) 日本国外の研究者等に対して我が国から既存試料・情報の提供のみを行う場合は、この指針が適用され、第8及び第9の関連する規定を遵守しなければならない。

第2章 研究者等の責務等

第4 研究者等の基本的責務

1 研究対象者等への配慮

(1) 研究者等は、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して、研究を実施しなければならない。

(2) 研究者等は、法令、指針等を遵守し、当該研究の実施について倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならない。

(3) 研究者等は、研究を実施するに当たっては、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。

(4) 研究者等は、研究対象者等及びその関係者からの相談、問合せ、苦情等(以下「相談等」という。)に適切かつ迅速に対応しなければならない。

(5) 研究者等は、研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。研究の実施に携わらなくなった後も、同様とする。

(6) 研究者等は、地域住民等一定の特徴を有する集団を対象に、当該地域住民等の固有の特質を明らかにする可能性がある研究を実施する場合には、研究対象者等及び当該地域住民等を対象に、研究の内容及び意義について説明し、研究に対する理解を得るよう努めなければならない。

2 教育・研修

研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。

第5 研究機関の長の責務等

1 研究に対する総括的な監督

(1) 研究機関の長は、実施を許可した研究が適正に実施されるよう、必要な監督を行うことについての責任を負うものとする。

(2) 研究機関の長は、当該研究がこの指針及び研究計画書に従い、適正に実施されていることを必要に応じて確認するとともに、研究の適正な実施を確保するために必要な措置をとらなければならない。

(3) 研究機関の長は、研究の実施に携わる関係者に、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して研究を実施することを周知徹底しなければならない。

(4) 研究機関の長は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。

2 研究の実施のための体制・規程の整備等

(1) 研究機関の長は、研究を適正に実施するために必要な体制・規程(試料・情報の取扱いに関する事項を含む。)を整備しなければならない。

(2) 研究機関の長は、当該研究機関において実施される研究に関連して研究対象者に健康被害が生じた場合、これに対する補償その他の必要な措置が適切に講じられることを確保しなければならない。

(3) 研究機関の長は、当該研究機関において実施される研究の内容に応じて、研究の実施に関する情報を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置かれることを確保しなければならない。

(4) 研究機関の長は、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、研究結果等、研究に関する情報が適切に公表されることを確保しなければならない。

(5) 研究機関の長は、当該研究機関における研究がこの指針に適合していることについて、必要に応じ、自ら点検及び評価を行い、その結果に基づき適切な対応をとらなければならない。

(6) 研究機関の長は、倫理審査委員会が行う調査に協力しなければならない。

(7) 研究機関の長は、研究に関する倫理並びに研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を当該研究機関の研究者等が受けることを確保するための措置を講じなければならない。また、自らもこれらの教育・研修を受けなければならない。

(8) 研究機関の長は、当該研究機関において定められた規程により、この指針に定める権限又は事務を当該研究機関内の適当な者に委任することができる。

第3章 研究の適正な実施等

第6 研究計画書に関する手続

1 研究計画書の作成・変更

(1) 研究責任者は、研究を実施しようとするときは、あらかじめ研究計画書を作成しなければならない。また、研究計画書の内容と異なる研究を実施しようとするときは、あらかじめ研究計画書を変更しなければならない。なお、第8の5((21))に掲げる事項について同意を受けた既存試料・情報を用いて研究を実施しようとする場合であって、当該同意を受けた範囲内における研究の内容(提供先等を含む。)が特定されたときは、当該研究の内容に係る研究計画書の作成又は変更を行わなければならない。

(2) 研究責任者は、(1)の研究計画書の作成又は変更に当たっては、研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるよう考慮しなければならない。また、研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益を総合的に評価するとともに、負担及びリスクを最小化する対策を講じなければならない。

(3) 多機関共同研究を実施する研究責任者は、当該多機関共同研究として実施する研究に係る業務を代表するため、当該研究責任者の中から、研究代表者を選任しなければならない。

(4) 研究代表者は、多機関共同研究を実施しようとする場合には、各共同研究機関の研究責任者の役割及び責任を明確にした上で一の研究計画書を作成又は変更しなければならない。

(5) 研究責任者は、研究に関する業務の一部について委託しようとする場合には、当該委託業務の内容を定めた上で研究計画書を作成又は変更しなければならない。

(6) 研究責任者は、研究に関する業務の一部を委託する場合には、委託を受けた者が遵守すべき事項について、文書又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)により契約を締結するとともに、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

(7) 研究責任者は、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって通常の診療を超える医療行為を伴うものを実施しようとする場合には、当該研究に関連して研究対象者に生じた健康被害に対する補償を行うために、あらかじめ、保険への加入その他の必要な措置を適切に講じなければならない。

2 倫理審査委員会への付議

(1) 研究責任者は、研究の実施の適否について、倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。

(2) 研究代表者は、原則として、多機関共同研究に係る研究計画書について、一の倫理審査委員会による一括した審査を求めなければならない。

(3) 研究責任者は、倫理審査委員会に意見を聴いた後に、その結果及び当該倫理審査委員会に提出した書類、その他研究機関の長が求める書類を研究機関の長に提出し、当該研究機関における当該研究の実施について、許可を受けなければならない。

(4) (1)から(3)までの規定にかかわらず、公衆衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急に研究を実施する必要があると判断される場合には、当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴く前に研究機関の長の許可のみをもって研究を実施することができる。この場合において、研究責任者は、許可後遅滞なく倫理審査委員会の意見を聴くものとし、倫理審査委員会が研究の停止若しくは中止又は研究計画書の変更をすべきである旨の意見を述べたときは、当該意見を尊重し、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更するなど適切な対応をとらなければならない。

(5) 研究責任者は、多機関共同研究について(2)の規定によらず個別の倫理審査委員会の意見を聴く場合には、共同研究機関における研究の実施の許可、他の倫理審査委員会における審査結果及び当該研究の進捗に関する状況等の審査に必要な情報についても当該倫理審査委員会へ提供しなければならない。

3 研究機関の長による許可等

(1) 研究機関の長は、研究責任者から研究の実施の許可を求められたときは、倫理審査委員会の意見を尊重しつつ、当該研究の実施の許可又は不許可その他研究に関し必要な措置について決定しなければならない。この場合において、研究機関の長は、倫理審査委員会が研究の実施について不適当である旨の意見を述べたときには、当該研究の実施を許可してはならない。

(2) 研究機関の長は、当該研究機関において行われている研究の継続に影響を与えると考えられる事実を知り、又は情報を得た場合には、必要に応じて速やかに、研究の停止、原因の究明等の適切な対応をとらなければならない。

(3) 研究機関の長は、研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう若しくはそのおそれのある事実を知り、又は情報を得た場合には、速やかに必要な措置を講じなければならない。

4 研究の概要の登録

(1) 研究責任者は、介入を行う研究について、厚生労働省が整備するデータベース(Japan Registry of Clinical Trials: jRCT)等の公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて更新しなければならない。また、それ以外の研究についても当該研究の概要をその研究の実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて更新するよう努めなければならない。

(2) (1)の登録において、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可したものについては、この限りでない。

5 研究の適正な実施の確保

(1) 研究責任者は、研究計画書に従って研究が適正に実施され、その結果の信頼性が確保されるよう、当該研究の実施に携わる研究者をはじめとする関係者を指導・管理しなければならない。

(2) 研究責任者は、侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、速やかに必要な措置を講じなければならない。

6 研究終了後の対応

(1) 研究責任者は、研究を終了(中止の場合を含む。以下同じ。)したときは、その旨及び研究結果の概要を文書又は電磁的方法により遅滞なく倫理審査委員会及び研究機関の長に報告しなければならない。

(2) 研究責任者は、研究を終了したときは、遅滞なく、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、当該研究の結果を公表しなければならない。また、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて、結果の最終の公表を行ったときは、遅滞なく研究機関の長へ報告しなければならない。

(3) 研究責任者は、介入を行う研究を終了したときは、4(1)で当該研究の概要を登録した公開データベースに遅滞なく、当該研究の結果を登録しなければならない。また、それ以外の研究についても当該研究の結果の登録に努めなければならない。

(4) 研究責任者は、通常の診療を超える医療行為を伴う研究を実施した場合には、当該研究を終了した後においても、研究対象者が当該研究の結果により得られた最善の予防、診断及び治療を受けることができるよう努めなければならない。

第7 研究計画書の記載事項

(1) 研究計画書((2)の場合を除く。)に記載すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。

① 研究の名称

② 研究の実施体制(全ての研究機関及び研究協力機関の名称、研究者等の氏名並びに既存試料・情報の提供のみを行う者の氏名及び所属する機関の名称を含む。)

③ 研究の目的及び意義

④ 研究の方法及び期間

⑤ 研究対象者の選定方針

⑥ 研究の科学的合理性の根拠

⑦ 第8の規定によるインフォームド・コンセントを受ける手続等(インフォームド・コンセントを受ける場合には、同規定による説明及び同意に関する事項を含む。)

⑧ 個人情報等の取扱い(加工する場合にはその方法、仮名加工情報又は匿名加工情報を作成する場合にはその旨を含む。)

⑨ 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策

⑩ 試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む。)の保管及び廃棄の方法

⑪ 研究機関の長への報告内容及び方法

⑫ 研究の資金源その他の研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益その他の研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

⑬ 研究に関する情報公開の方法

⑭ 研究により得られた結果等の取扱い

⑮ 研究対象者等及びその関係者が研究に係る相談を行うことができる体制及び相談窓口(遺伝カウンセリングを含む。)

⑯ 代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、第9の規定による手続(第8及び第9の規定による代諾者等の選定方針並びに説明及び同意に関する事項を含む。)

⑰ インフォームド・アセントを得る場合には、第9の規定による手続(説明に関する事項を含む。)

⑱ 第8の7の規定による研究を実施しようとする場合には、同規定に掲げる全ての要件を満たしていることについて判断する方法

⑲ 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

⑳ 侵襲を伴う研究の場合には、重篤な有害事象が発生した際の対応

((21)) 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

((22)) 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応

((23)) 研究に関する業務の一部を委託する場合には、当該業務内容及び委託先の監督方法

((24)) 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨、同意を受ける時点において想定される内容並びに実施される研究及び提供先となる研究機関に関する情報を研究対象者等が確認する方法

((25)) 第14の規定によるモニタリング及び監査を実施する場合には、その実施体制及び実施手順

(2) 試料・情報の収集・提供を実施する場合の研究計画書に記載すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。

① 試料・情報の収集・提供の実施体制(試料・情報の収集・提供を行う機関の名称及び研究者等の氏名を含む。)

② 試料・情報の収集・提供の目的及び意義

③ 試料・情報の収集・提供の方法及び期間

④ 収集・提供を行う試料・情報の種類

⑤ 第8の規定によるインフォームド・コンセントを受ける手続等(インフォームド・コンセントを受ける場合には、同規定による説明及び同意に関する事項を含む。)

⑥ 個人情報等の取扱い(加工する場合にはその方法、仮名加工情報又は匿名加工情報を作成する場合にはその旨を含む。)

⑦ 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策

⑧ 試料・情報の保管及び品質管理の方法

⑨ 収集・提供終了後の試料・情報の取扱い

⑩ 試料・情報の収集・提供の資金源等、試料・情報の収集・提供を行う機関の収集・提供に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の収集・提供に係る利益相反に関する状況

⑪ 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

⑫ 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

⑬ 研究により得られた結果等の取扱い

⑭ 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨、同意を受ける時点において想定される内容並びに提供先となる研究機関に関する情報を研究対象者等が確認する方法

第4章 インフォームド・コンセント等

第8 インフォームド・コンセントを受ける手続等

1 インフォームド・コンセントを受ける手続等

研究者等が研究を実施しようとするとき又は既存試料・情報の提供のみを行う者が既存試料・情報を提供しようとするときは、当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、それぞれ次の(1)から(5)までの手続に従って、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けるとともに、外国(個人情報保護委員会が個人情報保護法施行規則第15条第1項各号のいずれにも該当する外国として定めるものを除く。以下同じ。)にある者に提供する場合にあっては、(1)、(3)又は(4)の手続によるほか、(6)の手続に従わなければならない。ただし、法令の規定により既存試料・情報を提供する場合又は既存試料・情報の提供を受ける場合については、この限りでない。

(1) 新たに試料・情報を取得して研究を実施しようとする場合

研究者等は、次のア又はイの手続を行わなければならない。

なお、研究者等は、研究協力機関を介して当該研究のために新たに試料・情報を取得する場合においても、自らア又はイの手続を行う必要がある。また、研究協力機関においては、当該手続が行われていることを確認しなければならない。

ア 侵襲を伴う研究

研究者等は、5の規定による説明事項を記載した文書により、インフォームド・コンセントを受けなければならない。

イ 侵襲を伴わない研究

(ア) 介入を行う研究

研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、5の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。

(イ) 介入を行わない研究

① 試料を用いる研究

研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、5の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。

② 試料を用いない研究

(i) 要配慮個人情報を取得する場合

研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には、原則として研究対象者等の適切な同意を受けなければならない。ただし、研究が実施又は継続されることについて研究対象者等が拒否できる機会が保障される場合であって、8(1)①から③までに掲げる要件を満たし、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当するときは、8(2)の規定による適切な措置を講ずることによって、要配慮個人情報を取得し、利用することができる。

a 学術研究機関等に該当する研究機関が学術研究目的で当該要配慮個人情報を取得する必要がある場合であって、研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがない場合

b 研究機関が当該要配慮個人情報を取得して研究を実施しようとすることに特段の理由がある場合で、研究対象者等からインフォームド・コンセント及び適切な同意を受けることが困難である場合

(ii) (i)以外の場合

研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセント及び適切な同意を受けることを要しないが、インフォームド・コンセント及び適切な同意のいずれも受けない場合には、当該研究の実施について、6①から⑪までの事項を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、研究が実施又は継続されることについて、研究対象者等が拒否できる機会を保障しなければならない(ただし、研究に用いられる情報(要配慮個人情報を除く。)を共同研究機関へ提供する場合は、(3)イを準用する。)。

(2) 自らの研究機関において保有している既存試料・情報を研究に用いる場合

研究者等は、次のア又はイの手続を行わなければならない。

ア 試料を用いる研究

研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、5の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。ただし、次に掲げる(ア)から(エ)までのいずれかの場合に該当するときには、当該手続を行うことを要しない。

(ア) 当該既存試料・情報の全てが次に掲げるいずれかの要件に該当するとき

① 当該既存試料が、既に特定の個人を識別することができない状態にあるときは、当該既存試料を用いることにより個人情報が取得されることがないこと

② 当該研究に用いられる情報が、仮名加工情報(既に作成されているものに限る。)であること

③ 当該研究に用いられる情報が、匿名加工情報であること

④ 当該研究に用いられる情報が、個人関連情報であること

(イ) (ア)に該当せず、かつ、インフォームド・コンセントを受けることが困難な場合であって、次に掲げる①又は②のいずれかの要件を満たしているとき

① 研究対象者等に6①から③まで及び⑦から⑩までの事項を通知した上で適切な同意を受けているとき

② 当該既存試料・情報の取得時に当該研究における利用が明示されていない別の研究に係る研究対象者等の同意のみが与えられているときであって、次に掲げる全ての要件を満たしているとき

(i) 当該研究の実施について、6①から③まで、⑦及び⑧の事項を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置いていること

(ii) その同意が当該研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められること

(ウ) (ア)に該当せず、かつ、当該既存試料・情報の取得時に5((21))に掲げる事項について同意を受け、その後、当該同意を受けた範囲内における研究の内容が特定された場合にあっては、当該特定された研究の内容についての情報を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障しているとき

(エ) (ア)から(ウ)までのいずれにも該当せず、かつ、次に掲げる①から③までの全ての要件を満たしているとき

① 当該既存試料を用いなければ研究の実施が困難である場合であって、次に掲げるいずれかの要件を満たしていること

(i) 学術研究機関等に該当する研究機関が学術研究目的で当該既存試料・情報を取り扱う必要がある場合であって、研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがないこと

(ii) 当該研究を実施しようとすることに特段の理由がある場合であって、研究対象者等からインフォームド・コンセント及び適切な同意を受けることが困難であること

② 当該研究の実施について、6①から③まで及び⑦から⑩までの事項を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置いていること

③ 当該研究が実施又は継続されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること

イ 試料を用いない研究

研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しない。ただし、インフォームド・コンセントを受けない場合には、次に掲げる(ア)から(エ)までのいずれかの場合に該当していなければならない。

(ア) 当該研究に用いられる情報が仮名加工情報(既に作成されているものに限る。)、匿名加工情報又は個人関連情報であること

(イ) (ア)に該当せず、かつ、当該研究に用いられる情報の取得時に当該研究における利用が明示されていない別の研究に係る研究対象者等の同意のみが与えられている場合であって、次に掲げる全ての要件を満たしていること

① 当該研究の実施について、6①から③まで、⑦及び⑧の事項を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置いていること

② その同意が当該研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められること

(ウ) (ア)に該当せず、かつ、当該研究に用いる情報の取得時に5((21))に掲げる事項について同意を受け、その後、当該同意を受けた範囲内における研究の内容が特定された場合にあっては、当該特定された研究の内容についての情報を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障していること

(エ) (ア)から(ウ)までのいずれにも該当せず、かつ、研究対象者等に6①から③まで及び⑦から⑩までの事項を通知した上で適切な同意を受けていること又は次に掲げる①から③までの全ての要件を満たしていること

① 次に掲げるいずれかの要件を満たしていること

(i) 当該研究に用いられる情報が仮名加工情報(既に作成されているものを除く。)であること

(ii) 学術研究機関等に該当する研究機関が学術研究目的で当該研究に用いられる情報を取り扱う必要がある場合であって、研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがないこと

(iii) 当該研究を実施しようとすることに特段の理由がある場合であって、研究対象者等から適切な同意を受けることが困難であること

② 当該研究の実施について、6①から③まで及び⑦から⑩までの事項を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置いていること

③ 当該研究が実施又は継続されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること

(3) 他の研究機関に既存試料・情報を提供しようとする場合

他の研究機関に対して既存試料・情報の提供を行う者は、次のア又はイの手続を行わなければならない。

ア 既存の試料及び要配慮個人情報を提供しようとする場合

必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、5の規定による説明事項(当該既存の試料及び要配慮個人情報を提供する旨を含む。)について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。ただし、これらの手続を行うことが困難な場合であって、次に掲げる(ア)から(ウ)までのいずれかの場合に該当するときは、当該手続を行うことを要しない。

(ア) 既存試料のみを提供し、かつ、当該既存試料を特定の個人を識別することができない状態で提供する場合であって、当該既存試料の提供先となる研究機関において当該既存試料を用いることにより個人情報が取得されることがないとき

(イ) (ア)に該当せず、かつ、当該既存の試料及び要配慮個人情報の取得時に5((21))に掲げる事項について同意を受け、その後、当該同意を受けた範囲内における研究の内容(提供先等を含む。)が特定された場合にあっては、当該特定された研究の内容についての情報を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障しているとき

(ウ) (ア)又は(イ)に該当せず、かつ、当該既存の試料及び要配慮個人情報を提供することについて、研究対象者等に6①から⑥まで及び⑨から⑪までの事項を通知した上で適切な同意を受けているとき又は次に掲げる①から③までの全ての要件を満たしているとき

① 次に掲げるいずれかの要件を満たしていること(既存試料を提供する必要がある場合にあっては、当該既存試料を用いなければ研究の実施が困難である場合に限る。)

(i) 学術研究機関等に該当する研究機関が当該既存の試料及び要配慮個人情報を学術研究目的で共同研究機関に提供する必要がある場合であって、研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがないこと

(ii) 学術研究機関等に該当する研究機関に当該既存の試料及び要配慮個人情報を提供しようとする場合であって、当該研究機関が学術研究目的で取り扱う必要があり、研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがないこと

(iii) 当該既存の試料及び要配慮個人情報を提供することに特段の理由がある場合であって、研究対象者等から適切な同意を受けることが困難であること

② 当該既存の試料及び要配慮個人情報を他の研究機関へ提供することについて、6①から⑥まで及び⑨から⑪までの事項を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置いていること

③ 当該既存の試料及び要配慮個人情報が提供されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること

イ ア以外の場合

研究に用いられる情報(要配慮個人情報を除く。)の提供を行うときは、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には原則として適切な同意を受けなければならない。ただし、次の(ア)から(エ)までのいずれかの要件に該当するときは、当該手続を行うことを要しない。

(ア) 当該研究に用いられる情報が、個人関連情報である場合であって、次に掲げる①又は②のいずれかの場合に該当するとき

① 提供先となる研究機関が、当該個人関連情報を個人情報として取得することが想定されないとき

② 提供先となる研究機関が、当該個人関連情報を個人情報として取得することが想定される場合であって、次に掲げるいずれかの場合に該当するとき

(i) ア(ウ)①(i)から(iii)までの規定中「試料及び要配慮個人情報」とあるのを、「個人関連情報」と読み替えた場合におけるア(ウ)①(i)から(iii)までに掲げるいずれかを満たしていること

(ii) 提供先となる研究機関において研究対象者等の適切な同意が得られていることを当該研究に用いられる情報の提供を行う者が確認していること

(イ) 適切な同意を受けることが困難な場合であって、当該研究に用いられる情報が匿名加工情報であるとき

(ウ) (ア)又は(イ)に該当せず、かつ、当該研究に用いられる情報の取得時に5((21))に掲げる事項について同意を受け、その後、当該同意を受けた範囲内における研究の内容(提供先等を含む。)が特定された場合にあっては、当該特定された研究の内容についての情報を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障しているとき

(エ) (ア)から(ウ)までのいずれにも該当せず、かつ、適切な同意を受けることが困難な場合であって、ア(ウ)①から③までの規定中「試料及び要配慮個人情報」とあるのを、「研究に用いられる情報」と読み替えた場合におけるア(ウ)①から③までに掲げる全ての要件を満たしているとき

(4) 既存試料・情報の提供のみを行う者等の手続

既存試料・情報の提供のみを行う者等は、(3)の手続に加えて、次に掲げる全ての要件を満たさなければならない。

ア 既存試料・情報の提供のみを行う者が所属する機関の長(以下「所属機関の長」という。)は、既存試料・情報の提供が適正に行われることを確保するために必要な体制及び規程(試料・情報の取扱いに関する事項を含む。)を整備すること

イ 既存試料・情報の提供のみを行う者は、(3)ア(ア)又はイ(ア)①、②(i)若しくは(イ)により既存試料・情報の提供を行う場合、その提供について所属機関の長に報告すること

ウ 既存試料・情報の提供のみを行う者は、(3)ア(イ)若しくは(ウ)又はイ(ア)②(ii)、(ウ)若しくは(エ)により既存試料・情報を提供しようとするときは、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、所属機関の長の許可を得ていること

エ 既存試料・情報の提供のみを行う者が(3)ア(イ)若しくは(ウ)又はイ(ウ)若しくは(エ)により既存試料・情報の提供を行う場合には、所属機関の長は、当該既存試料・情報の提供に関する情報を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置かれることを確保すること

(5) (3)の手続に基づく既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合

(3)の手続に基づく既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合、研究者等は、次のア及びイの手続を行わなければならない。

ア 研究者等は、次に掲げる全ての事項を確認すること

(ア) 当該既存試料・情報に関するインフォームド・コンセントの内容又は(3)の規定による当該既存試料・情報の提供に当たって講じた措置の内容

(イ) 当該既存試料・情報の提供を行った他の機関の名称、住所及びその長の氏名

(ウ) 当該既存試料・情報の提供を行った他の機関による当該既存試料・情報の取得の経緯

イ 既存試料・情報の提供を受ける場合((3)ア(ア)又はイ(ア)①若しくは(イ)に該当する場合を除く。)であって、次に掲げるいずれかの要件を満たしていること

(ア) (3)イ(ア)②に該当することにより、既存の個人関連情報の提供を受けて研究を行う場合には、(2)イの規定に準じた手続を行うこと

(イ) (3)ア(イ)若しくは(ウ)又はイ(ウ)若しくは(エ)に該当することにより、特定の個人を識別することができる既存試料・情報の提供を受けて研究しようとする場合には、6①から③まで及び⑦から⑩までの事項を研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、かつ研究が実施又は継続されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること

(6) 外国にある者へ試料・情報を提供する場合の取扱い

ア 外国にある者(個人情報保護法施行規則第16条に定める基準に適合する体制を整備している者を除く。以下ア及びイにおいて同じ。)に対し、試料・情報を提供する場合(当該試料・情報の取扱いの全部又は一部を外国にある者に委託する場合を含む。)は、当該者に対し試料・情報を提供することについて、あらかじめ、イに掲げる全ての情報を当該研究対象者等に提供した上で、研究対象者等の適切な同意を受けなければならない。ただし、次に掲げる(ア)から(ウ)までのいずれかの場合に該当するときは、この限りでない。

(ア) 提供する試料・情報の全てが次に掲げる①又は②のいずれかの場合に該当するとき

① 当該試料・情報(②に該当する研究に用いられる情報を除く。)の全てが次に掲げるいずれかの要件に該当し、当該試料・情報の提供について、当該試料・情報の提供を行う機関の長に報告すること

(i) 適切な同意を受けることが困難な場合であって、提供しようとする試料が特定の個人を識別することができない状態にあり、提供先となる研究機関において当該試料を用いることにより個人情報が取得されることがないこと

(ii) 適切な同意を受けることが困難な場合であって、提供しようとする研究に用いられる情報が匿名加工情報であること

(iii) 提供しようとする研究に用いられる情報が、個人関連情報(提供先となる研究機関が当該個人関連情報を個人情報として取得することが想定される場合を除く。)であること

② 提供しようとする研究に用いられる情報が個人関連情報(提供先となる研究機関が当該個人関連情報を個人情報として取得することが想定される場合に限る。)であって、次に掲げるいずれかの要件に該当し又は提供先となる研究機関において同意が得られていることを当該個人関連情報の提供を行う者が確認し、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、当該個人関連情報の提供を行う機関の長の許可を得ていること

(i) 学術研究機関等に該当する研究機関が当該個人関連情報を学術研究目的で共同研究機関である外国にある者に提供する必要がある場合であって、研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがないこと

(ii) 学術研究機関等に該当する外国にある者に当該個人関連情報を提供する場合であって、提供先となる研究機関が学術研究目的で取り扱う必要があり、研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがないこと

(iii) 当該個人関連情報を提供することに特段の理由がある場合であって、提供先となる研究機関において研究対象者等の適切な同意を取得することが困難であること

(イ) (1)イ(イ)②(i)ただし書きの規定により要配慮個人情報を新たに取得して、当該要配慮個人情報を外国にある者に提供する場合であって、次に掲げる全ての要件を満たしていることについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で、試料・情報の提供を行う機関の長の許可を得ているとき

① 適切な同意を受けることが困難であること

② (ア)②(i)から(iii)までの規定中「個人関連情報」とあるのを、「要配慮個人情報」と読み替えた場合に、(ア)②(i)から(iii)までに掲げるいずれかの要件に該当すること

③ 8(1)に掲げる要件を全て満たし、8(2)の規定による適切な措置を講ずること

④ イに掲げる全ての情報を研究対象者等に提供すること

(ウ) 適切な同意を受けることが困難な場合であって、(ア)又は(イ)に該当しないときに、次に掲げる全ての要件を満たしていることについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で、試料・情報の提供を行う機関の長の許可を得ているとき

① (ア)②(i)から(iii)までの規定中「個人関連情報」とあるのを、「試料・情報」と読み替えた場合に(ア)②(i)から(iii)までに掲げるいずれかの要件を満たしていること

② 当該研究の実施及び当該試料・情報の外国にある者への提供について、あらかじめ、イに掲げる全ての情報並びに6①から⑥まで、⑨及び⑩の事項を研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置いていること

③ 当該試料・情報が提供されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること

イ 外国にある者に対し、試料・情報を提供する者が、アの規定において、研究対象者等に提供しなければならない情報は以下のとおりとする。

① 当該外国の名称

② 適切かつ合理的な方法により得られた当該外国における個人情報の保護に関する制度に関する情報

③ 当該者が講ずる個人情報の保護のための措置に関する情報

ウ 外国にある者(個人情報保護法施行規則第16条に定める基準に適合する体制を整備している者に限る。)に対し、試料・情報を提供する者は、研究対象者等の適切な同意を受けずに当該者に試料・情報を提供した場合には、個人情報の取扱いについて、個人情報保護法第28条第3項で求めている必要な措置を講ずるとともに、研究対象者等の求めに応じて当該必要な措置に関する情報を当該研究対象者等に提供しなければならない。

2 電磁的方法によるインフォームド・コンセントの取得

研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者は、次に掲げる全ての事項に配慮した上で、1における文書によるインフォームド・コンセントに代えて、電磁的方法によりインフォームド・コンセントを受けることができる。

① 研究対象者等に対し、本人確認を適切に行うこと

② 研究対象者等が説明内容に関する質問をする機会を確保し、かつ、当該質問に十分に答えること

③ インフォームド・コンセントを受けた後も5の規定による説明事項を含めた同意事項を容易に閲覧できるようにし、特に研究対象者等が求める場合には文書を交付すること

3 試料・情報の提供に関する記録

(1) 試料・情報の提供を行う場合

研究責任者又は試料・情報の提供のみを行う者は、当該試料・情報の提供に関する記録を作成し、当該記録に係る当該試料・情報の提供を行った日から3年を経過した日までの期間保管しなければならない。なお、研究協力機関においては、試料・情報の提供のみを行う者は、その提供について、当該研究協力機関の長に報告しなければならない。

(2) 試料・情報の提供を受ける場合

他の研究機関等から試料・情報の提供を受ける場合は、研究者等は、当該試料・情報の提供を行う者によって適切な手続がとられていること等を確認するとともに、当該試料・情報の提供に関する記録を作成しなければならない。

研究責任者は、研究者等が作成した当該記録を、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日までの期間保管しなければならない。

4 研究計画書の変更

研究者等は、研究計画書を変更して研究を実施しようとする場合には、変更箇所について、原則として改めて1の規定によるインフォームド・コンセントの手続等を行わなければならない。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長の許可を受けた場合には、当該許可に係る変更箇所については、この限りでない。

5 説明事項

インフォームド・コンセントを受ける際に研究対象者等に対し説明すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。

① 研究の名称及び当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けている旨

② 当該研究対象者に係る研究協力機関の名称、既存試料・情報の提供のみを行う者の氏名及び所属する機関の名称並びに全ての研究責任者の氏名及び研究機関の名称

③ 研究の目的及び意義

④ 研究の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的及び取扱いを含む。)及び期間

⑤ 研究対象者として選定された理由

⑥ 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益

⑦ 研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回できる旨(研究対象者等からの撤回の内容に従った措置を講ずることが困難となる場合があるときは、その旨及びその理由を含む。)

⑧ 研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって研究対象者等が不利益な取扱いを受けない旨

⑨ 研究に関する情報公開の方法

⑩ 研究対象者等の求めに応じて、他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を入手又は閲覧できる旨並びにその入手又は閲覧の方法

⑪ 個人情報等の取扱い(加工する場合にはその方法、仮名加工情報又は匿名加工情報を作成する場合にはその旨を含む。)

⑫ 試料・情報の保管及び廃棄の方法

⑬ 研究の資金源その他の研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益その他の研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

⑭ 研究により得られた結果等の取扱い

⑮ 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応(遺伝カウンセリングを含む。)

⑯ 外国にある者に対して試料・情報を提供する場合には、1(6)イに規定する情報

⑰ 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

⑱ 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、他の治療方法等に関する事項

⑲ 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応

⑳ 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

((21)) 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨、同意を受ける時点において想定される内容並びに実施される研究及び提供先となる研究機関に関する情報を研究対象者等が確認する方法

((22)) 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの場合には、研究対象者の秘密が保全されることを前提として、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者並びに倫理審査委員会が、必要な範囲内において当該研究対象者に関する試料・情報を閲覧する旨

6 研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置くべき事項

1の規定において、研究対象者等に通知し、又は研究対象者等が容易に知り得る状態に置くべき事項は以下のとおりとする。

① 試料・情報の利用目的及び利用方法(他の機関へ提供される場合はその方法を含む。)

② 利用し、又は提供する試料・情報の項目

③ 利用又は提供を開始する予定日

④ 試料・情報の提供を行う機関の名称及びその長の氏名

⑤ 提供する試料・情報の取得の方法

⑥ 提供する試料・情報を用いる研究に係る研究責任者(多機関共同研究にあっては、研究代表者)の氏名及び当該者が所属する研究機関の名称

⑦ 利用する者の範囲

⑧ 試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称

⑨ 研究対象者等の求めに応じて、研究対象者が識別される試料・情報の利用又は他の研究機関への提供を停止する旨

⑩ ⑨の研究対象者等の求めを受け付ける方法

⑪ 外国にある者に対して試料・情報を提供する場合には、1(6)イに規定する情報

7 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取扱い

研究者等は、あらかじめ研究計画書に定めるところにより、次に掲げる全ての要件に該当すると判断したときは、研究対象者等の同意を受けずに研究を実施することができる。ただし、当該研究を実施した場合には、速やかに、5の規定による説明事項を記載した文書又は電磁的方法によりインフォームド・コンセントの手続を行わなければならない。

① 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じていること

② 介入を行う研究の場合には、通常の診療では十分な効果が期待できず、研究の実施により研究対象者の生命の危機が回避できる可能性が十分にあると認められること

③ 研究の実施に伴って研究対象者に生じる負担及びリスクが必要最小限のものであること

④ 代諾者又は代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと

8 インフォームド・コンセントの手続等の簡略化

1又は4の規定において、次の(1)①から④までに掲げる要件を全て満たし、(2)①から③までに掲げる措置を講ずる場合には、1又は4の規定に基づきインフォームド・コンセントの手続等の簡略化を行うことができる。

(1) 研究者等は、次に掲げる全ての要件に該当する研究を実施しようとする場合には、当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、1及び4に規定されているとおり手続の一部を簡略化することができる。

① 研究の実施に侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴わないこと

② 1及び4の規定による手続を簡略化することが、研究対象者の不利益とならないこと

③ 1及び4の規定による手続を簡略化しなければ、研究の実施が困難であり、又は研究の価値を著しく損ねること

④ 社会的に重要性が高い研究と認められるものであること(1(6)ア(イ)に基づき外国にある者へ試料・情報を提供する場合に限る。)

(2) 研究者等は、(1)の規定により手続が簡略化される場合には、次に掲げるもののうち適切な措置を講じなければならない。

① 研究対象者等が含まれる集団に対し、試料・情報の取得及び利用の目的及び内容(方法を含む。)について広報すること

② 研究対象者等に対し、速やかに、事後的説明(集団に対するものを含む。)を行うこと

③ 長期間にわたって継続的に試料・情報が取得され、又は利用される場合には、社会に対し、その実情を当該試料・情報の取得又は利用の目的及び方法を含めて広報し、社会に周知されるよう努めること

9 同意の撤回等

研究者等は、研究対象者等から次に掲げるいずれかに該当する同意の撤回又は拒否があった場合には、遅滞なく、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講ずるとともに、その旨を当該研究対象者等に説明しなければならない。ただし、当該措置を講ずることが困難な場合であって、当該措置を講じないことについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で研究機関の長が許可したときは、この限りでない。この場合において、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講じない旨及びその理由について、研究者等が研究対象者等に説明し、理解を得るよう努めなければならない。

① 研究が実施又は継続されることに関して与えた同意の全部又は一部の撤回

② 研究について通知され、又は容易に知り得る状態に置かれた情報に基づく、当該研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否(第9の1(1)イ(ア)②の拒否を含む。)

③ 7の規定によるインフォームド・コンセントの手続における、研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否

④ 代諾者が同意を与えた研究について、研究対象者からのインフォームド・コンセントの手続における、当該研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否

第9 代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続等

1 代諾の要件等

(1) 研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者が、第8の規定による手続において代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、次に掲げる全ての要件を満たさなければならない。

ア 研究計画書に次に掲げる全ての事項が記載されていること

① 代諾者等の選定方針

② 代諾者等への説明事項(イ(ア)又は(イ)に該当する者を研究対象者とする場合には、当該者を研究対象者とすることが必要な理由を含む。)

イ 研究対象者が次に掲げる(ア)から(ウ)までのいずれかの場合に該当していること

(ア) 未成年者であること。ただし、研究対象者が中学校等の課程を修了している又は16歳以上の未成年者であり、かつ、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断される場合であって、次に掲げる全ての事項が研究計画書に記載され、当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴き、研究機関の長の許可を受けたときは、代諾者ではなく当該研究対象者からインフォームド・コンセントを受けるものとする。

① 研究の実施に侵襲を伴わない旨

② 研究の目的及び試料・情報の取扱いを含む研究の実施についての情報を親権者又は未成年後見人等が容易に知り得る状態に置き、当該研究が実施又は継続されることについて、当該者が拒否できる機会を保障する旨

(イ) 成年であって、インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される者であること

(ウ) 死者であること。ただし、研究を実施されることが、その生前における明示的な意思に反している場合を除く。

(2) 研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者が、第8の規定による手続において代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、(1)ア①の選定方針に従って代諾者等を選定し、当該代諾者等に対して、第8の5の規定による説明事項に加えて(1)ア②に規定する説明事項を説明しなければならない。

(3) 研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、研究対象者が中学校等の課程を修了している又は16歳以上の未成年者であり、かつ、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断されるときには、当該研究対象者からもインフォームド・コンセントを受けなければならない。

2 インフォームド・アセントを得る場合の手続等

(1) 研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、研究対象者が研究を実施されることについて自らの意向を表することができると判断されるときには、インフォームド・アセントを得るよう努めなければならない。ただし、1(3)の規定により研究対象者からインフォームド・コンセントを受けるときは、この限りでない。

(2) 研究責任者は、(1)の規定によるインフォームド・アセントの手続を行うことが予測される研究を実施しようとする場合には、あらかじめ研究対象者への説明事項及び説明方法を研究計画書に記載しなければならない。

(3) 研究者等及び既存試料・情報の提供のみを行う者は、(1)の規定によるインフォームド・アセントの手続において、研究対象者が、研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否の意向を表した場合には、その意向を尊重するよう努めなければならない。ただし、当該研究を実施又は継続することにより研究対象者に直接の健康上の利益が期待され、かつ、代諾者がそれに同意するときは、この限りでない。

第5章 研究により得られた結果等の取扱い

第10 研究により得られた結果等の説明

1 研究により得られた結果等の説明に係る手続等

(1) 研究責任者は、実施しようとする研究及び当該研究により得られる結果等の特性を踏まえ、当該研究により得られる結果等の研究対象者への説明方針を定め、研究計画書に記載しなければならない。当該方針を定める際には、次に掲げる全ての事項について考慮する必要がある。

ア 当該結果等が研究対象者の健康状態等を評価するための情報として、その精度や確実性が十分であるか

イ 当該結果等が研究対象者の健康等にとって重要な事実であるか

ウ 当該結果等の説明が研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす可能性があるか

(2) 研究者等は、研究対象者等からインフォームド・コンセントを受ける際には、(1)における研究により得られた結果等の説明に関する方針を説明し、理解を得なければならない。その上で、研究対象者等が当該研究により得られた結果等の説明を希望しない場合には、その意思を尊重しなければならない。ただし、研究者等は、研究対象者等が研究により得られた結果等の説明を希望していない場合であっても、その結果等が研究対象者、研究対象者の血縁者等の生命に重大な影響を与えることが判明し、かつ、有効な対処方法があるときは、研究責任者に報告しなければならない。

(3) 研究責任者は、(2)の規定により報告を受けた場合には、研究対象者等への説明に関して、説明の可否、方法及び内容について次の観点を含めて考慮し、倫理審査委員会の意見を求めなければならない。

① 研究対象者及び研究対象者の血縁者等の生命に及ぼす影響