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○旅館業の振興指針

(令和二年三月五日)

(厚生労働省告示第五十二号)

生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和三十二年法律第百六十四号)第五十六条の二第一項の規定に基づき、旅館業の振興指針(平成二十七年厚生労働省告示第二十四号)の全部を次のように改正し、令和二年四月一日から適用する。

旅館業の振興指針

旅館業の営業者(以下「営業者」という。)が、旅館業法(昭和23年法律第138号)等の衛生規制に的確に対応しつつ、現下の諸課題にも適切に対応し、経営の安定及び改善を図ることは、国民生活の向上に資するものである。

このため、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号。以下「生衛法」という。)第56条の2第1項に基づき、旅館業の振興指針を定めてきたところであるが、今般、営業者及び生活衛生同業組合(生活衛生同業小組合を含む。以下「組合」という。)等の事業の実施状況等を踏まえ、営業者及び組合等の具体的活用に資するよう、実践的かつ戦略的な指針として改正を行った。

今後、営業者及び組合等において本指針が十分に活用されることを期待するとともに、新たな衛生上の課題や経済社会情勢の変化、営業者及び利用者等のニーズを反映して、適時かつ適切に本指針を改定するものとする。

第一 旅館業を取り巻く状況

一 旅館業の営業者の動向

旅館業は、国民に健全で、衛生的かつ快適な宿泊サービスを提供することにより、国民生活の充実に大いに貢献するとともに、近年の訪日外国人旅行者の増加を踏まえ、外国人宿泊者についても積極的に受け入れてきたところである。旅館業は、大きく分けて和風様式の旅館営業と洋風様式のホテル営業の二つに分類できる。それぞれの施設数は、旅館は、平成25年度の43,363軒から平成29年度は38,622軒に減少する一方で、ホテルは同時期で9,809軒から10,402軒に増加している。客室数は、旅館は同時期で735,271室から688,342室に減少する一方で、ホテルは827,211室から907,500室に増加している。1軒当たりの客室数は、同時期で、旅館は約17.0室から約17.8室に増加し、ホテルは約84.3室から約87.2室に増加している(厚生労働省『衛生行政報告例』による。)。以上のことから、この5年間の状況として、旅館営業においては規模の小さな旅館の廃業が、ホテルにおいては規模の大きなホテルの開業が、それぞれ多い傾向にあったと考えられる。

経営上の問題としては、「店舗施設の狭隘・老朽化」(49.2%)が最も多く、次いで、「従業員の確保難(36.4%)」、「顧客数の減少」(36.2%)となっている(日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という。)『生活衛生関係営業の景気動向等調査(令和元年7~9月期)』による。)。

従業員の過不足感としては、「適正」が37.3%となっている一方で、「不足」が62.1%と約6割を占めている(日本公庫『生活衛生関係営業の景気動向等調査特別調査(平成30年10~12月期)』による。)。

また、外国人観光客の利用の有無については、「利用がある」が83.1%、「利用は全くない」が16.9%となっており、外国人観光客に対する今後の受け入れ方針としては、「積極的に受け入れていきたい」が36.1%、「受け入れてもよい」が42.6%となっている(日本公庫『生活衛生関係営業の景気動向等調査特別調査(令和元年4~6月期)』による。)。

また、令和元年12月に確認された新型コロナウイルス感染症(COVID―19)(以下「新型コロナウイルス感染症」という。)の感染拡大は社会経済に大きな影響を与え、我が国の旅館業も多大な影響を受けたところである。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う事業への影響について、ホテル・旅館業の営業者で、売上が減少したと回答した者は97.9%で、その売上の減少幅(令和2年2~5月の対前年比)は、「20%未満」が1.5%、「20%以上50%未満」が8.7%、「50%以上80%未満」が35.0%、「80%以上」が54.6%となっている(日本公庫『生活衛生関係営業の景気動向等調査(令和2年4~6月期)特別調査』による。)。

二 消費動向

平成30年の1世帯あたり(2人以上の世帯)の宿泊料支出は23,927円で、前年比670円増であった。また、「国内パック旅行費」については、28,726円で、前年比2,315円減であった。(総務省『家計調査報告』による。)。

また、平成30年の延べ宿泊者数は約5億3,800万人泊で、対前年度比5.6%の高い伸びを示しており、そのうち、外国人延べ宿泊者数は約9,428万人泊で、対前年度比18.3%と大幅な伸びを示している。国籍(出身地)別では、第1位は中国、第2位が台湾、第3位が韓国となっている(観光庁『宿泊旅行統計調査』による。)。

三 営業者の考える今後の経営方針

営業者の考える今後の経営方針としては(複数回答)、「接客サービスの充実」58.9%(前回振興指針では42.4%)、「広告・宣伝等の強化」48.6%(前回振興指針では記述なし)、「施設・設備の改装」47.7%(前回の振興指針では38.1%)、「食事メニューの工夫」46.7%(前回指針では31.4%)となっている(厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査』による。)。

また、ホテル・旅館業を営む者が、新型コロナウイルス感染症収束後に予定している取組としては、「広報活動の強化」が53.5%、次いで「新たな販売方法の開拓」が50.8%、「新商品、新メニューの開発」が44.9%となっている一方、「特にない」が20.9%となっている(日本公庫『生活衛生関係営業の景気動向等調査(令和2年4~6月期)特別調査』による。)。

第二 前期の振興計画の実施状況

都道府県別に設立された旅館業の組合(令和元年12月末現在47都道府県で設立されている組合)においては、前期の旅館業の振興指針(平成27年厚生労働省告示第24号)を踏まえ、生衛法第56条の3に基づき、振興計画を策定及び実施しているところであるが、当該振興計画について、全5か年のうち4か年終了時である平成30年度末に実施した自己評価は次表のとおりである。

表 振興計画の実施状況についての各組合による自己評価

(単位:%)


事業名

達成

概ね達成

主な事業

1

衛生に関する知識及び意識の向上に関する事業

49%

38%

・衛生管理講習会の開催

・衛生マニュアルの作成及び配布

2

施設及び設備並びにサービスの改善に関する事業

22%

51%

・施設特性を踏まえた改装や設備の導入投資

3

利用者の利益の増進に関する事業

40%

40%

・講習会の開催

・ネット事業サービスの充実化

・パンフレット等の配布

・シルバースター登録施設への加入促進

4

経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事業

27%

61%

・経営講習会又は各種研修会の開催

・経営に関する相談及び指導

5

営業者及び従業員の技能の向上に関する事業

26%

55%

・技術講習会の開催

6

事業の共同化及び協業化に関する事業

38%

48%

・共同購入の実施

7

取引関係の改善に関する事業

40%

43%

・関係業界等との情報交換会の開催

8

従業員の福祉の充実に関する事業

34%

34%

・共済制度等の加入促進

・定期健康診断の実施

9

事業の承継及び後継者支援に関する事業

30%

52%

・後継者育成支援のための研修会等の開催

・青年部の活動支援

10

環境の保全及び食品循環資源の再生利用の促進に関する事業

11%

49%

・省エネルギー機器の導入

・公害防止の遵守と設備改善の推進

・食品循環資源の再利用に関する情報提供

11

少子高齢化社会等への対応に関する事業

12%

44%

・子ども又は高齢者向けメニューの作成

・施設のバリアフリー化への促進

・人に優しい地域の宿づくりの推進

12

食の安全への関心の高まりや健康志向等に関する事項

20%

63%

・保健所等と連携した講習会の開催

13

禁煙等に関する対策に関する事項

28%

54%

・分煙設備の整備

・施設内消臭対応の推進

14

地域との共生に関する事業

32%

59%

・地域イベントへの参加

・福祉施設への慰問

・ポスター等の作成及び配布

15

東日本大震災への対応と節電行動の徹底に関する事業

31%

47%

・災害時に避難所とするための受け入れの推進

・節電への意識向上、啓発

(注) 組合からの実施状況報告を基に作成。

なお、国庫補助金としての予算措置(以下「予算措置」という。)については、平成23年度より、外部評価の導入を通じた効果測定の検証やPDCAサイクル(事業を継続的に改善するため、Plan(計画)―Do(実施)―Check(評価)―Act(改善)の段階を繰り返すことをいう。)の確立を目的として、「生活衛生関係営業の振興に関する検討会」の下に設けられた「生活衛生関係営業対策事業費補助金審査・評価会」において、補助対象となる事業の審査から評価までを一貫して行う等、必要な見直し措置を講じている。

このため、組合及び生活衛生同業組合連合会(以下「連合会」という。)等においても、振興計画に基づき事業を実施する際は、事業目標及び成果目標を可能な限り明確化した上で、達成状況についても評価を行う必要がある。

当該振興計画等の実施に向けて、組合、連合会等においては、本指針及び振興計画の内容について広報を行い、組合未加入の営業者への加入勧誘を図ることが期待される。

組合への加入、非加入は営業者の任意であるが、生衛法の趣旨及び組合の活動内容等を詳しく知らない新規開設者等の営業者がいることも考えられるため、都道府県、保健所設置市又は特別区(以下「都道府県等」という。)は、営業者による営業の許可申請又は届出等の際に、営業者に対して、生衛法の趣旨並びに関係する組合の活動内容、所在地及び連絡先等について情報提供を行う等の取組の実施が求められる。

第三 旅館業の振興の目標に関する事項

一 営業者の直面する課題と地域社会から期待される役割

旅館業は、国民に健全で、衛生的かつ快適な宿泊サービスを提供することにより、国民生活の充実に大いに貢献するとともに、近年の訪日外国人旅行者の増加を踏まえ、外国人宿泊者についても積極的に受け入れてきたところである。こうした重要な役割を旅館業が引き続き担い、衛生課題に適切に対応しつつ、国民生活の向上に貢献するとともに、国際化に対応し、増加する訪日外国人旅行者に対し、思い出に残る適切なサービスを提供できるよう、経営環境や利用者のニーズなど、各々の営業者の経営戦略に基づき、その特性を活かし、事業の安定と活力ある発展を図ることが求められる。

また、旅館業は、食品を取り扱う施設であることから、ノロウイルス等に起因する食中毒の発生防止対策を適切に講じるとともに、食をとりまく環境の変化等に対応し食品の安全を確保するため食品衛生法(昭和22年法律第233号)が改正され(平成30年法律第46号)、HACCPの考え方を取り入れた営業者による衛生管理、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のために必要な対応等が盛り込まれていることから、その確実な実施が求められる。

また、空調設備や入浴設備等におけるレジオネラ症の防止対策やトコジラミ等の衛生害虫の駆除対策など施設内の衛生的な環境の維持に引き続き取り組む必要があるとともに、ヒトやモノの国際的な往来が活発になってきていることから、感染症対策についても、行政機関と連携した対応がこれまで以上に求められる。

国内旅行の主流は、団体旅行から個人旅行や少人数のグループ旅行に移るとともに、ニューツーリズム等の新しい旅行形態の出現など、宿泊に対する旅行者のニーズも多様化していることから、このようなニーズに的確に対応することが必要である。

社会全体の少子高齢化の進展や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)の施行を踏まえ、全ての利用者が施設を円滑に利用できるよう、ソフト、ハード両面におけるバリアフリー化及びユニバーサルデザイン化の取組が求められる。

増加する訪日外国人旅行者への対応としては、宿泊施設においても、インターネットによる宿泊サービスの予約、公衆無線LAN環境の整備等の外国人宿泊者の受入れ体制を整備することが必要である。

ホテル、旅館及びレストランにおける食品表示の不正事案が大きな社会問題となったところであり、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)等の関係法令を遵守し、表示の適正化を推進し、消費者に対して納得と安心感を提供していくことが求められる。

建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第20号。以下「改正耐震改修促進法」という。)の施行を踏まえ、建築物の耐震診断を着実に実施するとともに、耐震改修を推進することが求められる。また、東日本大震災の際に見られたように、災害が発生した場合の被災者の受入れ等にも積極的に取り組むことが期待される。

高騰するエネルギー価格の問題に的確に対応するため、省エネルギー関係設備の導入等を推進する必要がある。

そのほか、受動喫煙防止対策や生活習慣病予防対策への積極的な取組が期待される。

各々の営業者は、これらを十分に認識し、各般の対策に積極的に取り組むことにより、旅館業に対する利用者の理解と信頼の向上を図ることを目標とすべきである。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う売上減や経営維持、雇用確保等に対応するため、日本公庫の融資や国・自治体の補助金・助成制度を積極的に活用して早期に業績回復を図る必要がある。

二 今後5年間における営業の振興の目標

1 衛生問題への対応

食中毒の防止やHACCPに沿った衛生管理等食品衛生上の問題、レジオネラ症の防止対策、衛生害虫の問題、感染症の流行対策及び食品の不当表示への対応等、営業者の地道な取組にとどまらず、保健所等衛生関係行政機関及び都道府県生活衛生営業指導センター(以下「都道府県指導センター」という。)等との連携を密にして対応することが求められる。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、我が国でも3つの「密」(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離を空ける、消毒や換気の徹底、業種別の感染拡大予防ガイドラインの遵守・徹底など、感染症対策に関する「新しい生活様式」に向けて徹底した衛生対策が求められている。

衛生問題は、営業者が一定水準の衛生管理を行っている場合、通常、頻繁に発生するものではないため、発生防止に必要な費用及び手間について判断しにくい特質がある。しかし、一旦、調理及び調製並びに流通の過程において細菌等の汚染により食中毒等食品衛生上の問題が生じた場合や、空調設備や入浴設備等の設備又はその周辺が発生源となる感染症が発生した場合には、一旦、衛生上の問題が発生した場合には、多くの利用者に被害が及ぶことはもとより、営業自体の存続が困難になる可能性があることから、日頃からの地道な衛生管理の取組が重要である。

さらに、食の安全性及び信頼性に対する国民の関心が高まる中、産地及び種類等品質に関する情報を、消費者に対し正確に提供し、消費者の納得感や安心感を得ていく必要がある。

また、こうした衛生問題は、個々の営業者の問題にとどまらず、業界全体に対する信頼を損ねることにもつながることから、組合及び連合会には、組合員、非組合員双方の営業者が食品の安全性の確保及び感染症対策に関する自覚と責任感を持ち、衛生水準の向上が図られるよう、継続的に知識及び意識向上に資する普及啓発並びに適切な指導及び支援に努めることが求められる。

とりわけ、中小規模の営業者は重要な公衆衛生情報の把握が困難となる場合が考えられ、また、大規模チェーン店では経費節減を目的として衛生確保が損なわれないよう注意が必要であるため、これら営業者に対する組合加入の促進や公衆衛生情報の提供が円滑に行われることが期待される。

2 経営方針の決定と利用者及び地域社会への貢献

旅館業は、訪日外国人旅行者の増加や時間に比較的余裕のある高齢者の増加により今後の市場拡大が見込まれる反面、大手外国資本の我が国への進出や既存施設を利用した新たな宿泊形態の出現による競争の激化、宿泊に対する利用者のニーズの多様化への対応などの課題があり、営業者を取り巻く経営環境は厳しい。

こうした中で、営業者は、利用者のニーズや世帯動向を的確に把握し、専門性や地域密着、対面接客等の特性を活かし、競争軸となる強みを見いだし、独自性を十分に発揮し、以下の点に留意しつつ、拡大する市場の中で経営展開を行っていくことが求められる。

(1) 消費者ニーズの把握と創意工夫による経営展開

多様化する宿泊に対する利用者のニーズに的確に対応するため、旅館ごとの独自の経営方針の下、他の旅館との「違い」をアピールし、利用者のリピート率を高める必要がある。また、これまで観光資源としては気付かれていなかったような地域固有の資源を新たに活用し、エコツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム及び産業観光等の取組を進めるとともに、地域の飲食店等と連携した取組を行うなど、地域活性化につながる新しい旅行の仕組みに対応することが望まれる。

(2) 高齢者、障害者及び子育て世帯等への配慮

高齢化が進展する中で、シニア層向けのサービスの提供は、単に売上げを伸ばすだけでなく、地域社会が抱える問題の課題解決や地域経済の活性化にも貢献するものである。

また、障害者差別解消法において、障害者の社会参加の推進がますます求められていることを踏まえ、専門性や独自のこだわり等の特性を活かしつつ、高齢者や障害者等が利用しやすい設備の整備など、これらのニーズにきめ細かに応じたサービスの提供を積極的に行っていくことが求められるとともに、同法において、民間事業者は、障害者に対し合理的な配慮を行うよう努めなければならない、とされていることから、ソフト、ハード両面におけるバリアフリー化及びユニバーサルデザイン化の取組が求められる。

また、子育て世帯が安心・安全にサービスを利用できるための配慮も合わせて求められる。

(3) 省エネルギーへの対応

節電などの省エネルギーによる経営の合理化、コスト削減、地球環境の保全に資するため高騰するエネルギー価格の問題に的確に対応するため、不要時の消灯や照明ランプの間引き、LED照明装置やエネルギー効率の高い空調設備等の導入等を推進することが期待される。

(4) 訪日・在留外国人への配慮

平成30年度の訪日外国人旅行者数は、史上初めて3,000万人を突破し、5年前と比較して3倍程度に増加しており、今後も訪日外国人旅行者数の更なる増加が見込まれる(日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」による。)。

政府においては、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年度までに訪日外国人旅行者4,000万人、2030年度までに6,000万人を目標に掲げ、「観光先進国」への新たな国づくりに向けた取組を進め、ビザ要件の緩和やいわゆるLCC(ローコストキャリア)の参入促進による航空ネットワークの充実等の取組を進めている。

また、訪日外国人旅行者の急増に加え、外国人労働者や在留外国人も増加していることから、旅館業においても、外国語表記の充実や外国人とのコミュニケーション能力の向上、キャッシュレス決済等の導入、宗教上の理由により特定の食材を忌避する必要のあるケースに配慮するなど、外国人が入りやすい店づくりが求められる。さらに、インターネット経由での観光情報の入手を容易にし、外国人客の利便性を向上させるため、公衆無線LANの環境整備が期待される。

(5) 受動喫煙防止への対応及び健康増進活動の推進

受動喫煙(人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされること)については、健康に悪影響を与えることが科学的に明らかにされており、国際的に見ても、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の締結国として、国民の健康を保護するために受動喫煙防止を推進することが求められている。

そのため、受動喫煙による健康への悪影響をなくし、国民・労働者の健康の増進を図る観点から、健康増進法(平成14年法律第103号)の一部改正(平成30年法律第78号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)により、望まない受動喫煙が生じないよう、多数の者が利用する施設の管理者や営業者は受動喫煙を防止するための措置を講じることとされており、旅館業においても、受動喫煙防止の強化を図り、その実効性を高めることが求められる。

また、生活習慣病予防等を目的とした宿泊型の保健指導プログラムの活用について、医療保険者等と連携して、積極的に協力することが期待される。

(6) メニュー表示等の食品表示に関する対応

平成26年に、景品表示法が二度にわたり改正され、表示に対する監視指導体制の強化や事業者の表示管理体制の強化に加え、不当な表示を行った事業者に対する課徴金の制度が設けられた。このため、事業者においても、これまで以上に表示の重要性を認識し、コンプライアンスの強化を図ることが求められる。

また、アレルギー疾患対策基本法(平成26年法律第98号)の制定により、国としてアレルギー疾患対策を総合的かつ計画的に推進することとされたことから、営業者においても、食物アレルゲン情報の自主的な情報提供の促進に向けた対応が望まれる。

(7) インターネットの活用の推進

個人旅行及び少人数のグループ旅行においては、旅行者が自ら宿泊施設を予約するケースが多いことから、旅館自らホームページ等の開設や宿ネット等の宿泊予約サイトの活用がこれまで以上に求められる。

また、インターネットの活用は外国人宿泊者の獲得にも有効であり、訪日外国人旅行者の無断キャンセルに対応するためのギャランティ・リザベーション制度(クレジットカード会社(以下「カード会社」という。)が間に入って宿泊予約をすることで、予約者に対しては宿泊部屋の確保を保証する制度であり、予約者が不泊となった場合でも、旅館に対しカード会社を通じてキャンセル料の支払が行われるものをいう。以下同じ。)の導入は、旅館業の経営を安定させる観点からも有効である。

さらに、公衆無線LANの環境整備により、インターネット経由で情報にアクセスしやすくすることで、観光情報の入手のみならず、災害時における情報の受発信も容易となることから、その推進が求められる。

(8) 耐震改修の促進と災害時の被災者の受入れ等

改正耐震改修促進法の施行を踏まえ、一定規模以上の建築物について耐震診断の実施が義務付けられるとともに、耐震化の円滑な促進のための措置が講じられることとなったことから、対象建築物の耐震診断の着実な実施と耐震改修の促進を図ることが求められる。

また、被災者にとって、長期の避難所生活は心身の負担が大きいことから、東日本大震災時に積極的な取組がなされたように、プライバシーが確保され、心身の疲労を癒やせる施設の提供にも積極的に取り組むことが期待される。

3 税制及び融資の支援措置

組合又は組合員は、生活衛生関係営業の支援等の一つとして、税制優遇措置及び日本公庫を通して低利融資を受ける仕組みがある。

税制優遇措置については、組合が共同利用施設を取得した場合の特別償却制度が設けられており、組合において共同配送用車輌及び共同蓄電設備の購入時や組合の会館を建て替える際などに活用することができる。

融資については、対象設備及び運転資金について、振興計画を策定している組合の組合員である営業者が借りた場合は、組合員でない営業者が借りる場合よりも低利の融資を受けることができる。また、各都道府県の組合が作成した振興計画に基づき、一定の会計書類を備えている営業者が所定の事業計画を作成して設備資金及び運転資金を借りた場合には、さらに低利の融資を受けることができる振興事業促進支援融資制度が設けられており、特に設備投資を検討する営業者には、積極的な活用が期待される。

加えて、組合の経営指導を受けている小規模事業者においては、低利かつ無担保・無保証で融資を受けることができる生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付制度が設けられており、積極的な活用が期待される。

三 関係機関に期待される役割

1 組合及び連合会に期待される役割

組合は、公衆衛生の向上及び利用者の利益の増進に資する目的で、組合員たる営業者の営業の振興を図るための振興計画を策定することができる。組合には、地域の実情に応じ、適切な振興計画を策定することが求められる。

組合及び連合会には、予算措置や独自の財源を活用して、営業者の直面する衛生問題及び経営課題に対する適切な支援事業を実施することが期待される。

事業の実施に際しては、有効性及び効率性(費用対効果)の観点から、計画期間に得られる成果目標を明確にしながら事業の企画立案及び実施を行い、得られた成果については適切に効果測定する等、事業の適切かつ効果的な実施に努めることが求められる。

加えて、組合及び連合会には、振興指針及び振興計画の内容について広く広報を図り、組合未加入の営業者への加入勧誘を図ることが期待される。広報を行う際には、組合活動への参画のイメージを分かりやすく提示するなど、営業者の目線に立った情報提供を行うことが求められる。

また、事業効果を最大限発揮し事業成果を広く国民や社会に還元できるよう、都道府県指導センター、保健所等衛生関係行政機関及び日本公庫支店等との連携及び調整を行うことが期待される。

2 都道府県等、都道府県指導センター及び日本公庫に期待される役割

営業許可申請等各種申請や届出、研修会、融資相談などの様々な機会を捉え、新規営業者をはじめとする組合未加入の営業者に対し、組合に関する情報提供を行うとともに組合活動の活性化のための取組等を積極的に行うことが期待される。

また、多くの営業者が経営基盤の脆弱な中小規模の営業者であることに鑑み、都道府県指導センター及び日本公庫において、組合と連携しつつ、営業者へのきめ細かな相談、指導その他必要な支援等を行い、予算措置、融資による金融措置(以下「金融措置」という。)及び税制措置等の有効的な活用を図ることが期待される。

とりわけ、金融措置については、審査及び決定を行う日本公庫において営業者が利用しやすい融資の実施、生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握及び分析に努め、関係団体に情報提供するとともに、日本公庫と都道府県指導センターが協力して、融資手続や事業計画の作成不慣れな営業者への支援の観点から、融資に係るきめ細かな相談及び融資手続の簡素化を行うことが期待される。低利融資制度については、各々の営業者の事業計画作成が前提とされることから、本指針の内容を踏まえ、営業者の戦略性を引き出す形での指導を行うことが求められる。

加えて、都道府県指導センターにおいて、組合が行う生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付に係る審査を代行するなど、金融措置の利用の促進を図ることが期待される。

3 国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センターに期待される役割

国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センター(以下「全国指導センター」という。)は、公衆衛生の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、都道府県等及び連合会と連携を図り、信頼性の高い情報の発信及び的確な政策ニーズの把握等を行う必要がある。また、予算措置、金融措置及び税制措置を中心とする政策支援措置については、営業者の衛生水準の確保及び経営の安定に最大限の効果が発揮できるよう、安定的に所要の措置を講じるとともに、制度の活性化に向けた不断の改革の取組が必要である。

また、全国指導センターにおいては、地域で孤立する中小規模の営業者のほか、大規模チェーン店に対しても、組合加入の働きかけや公衆衛生情報の提供機能の強化を行うため、関係の組合及び連合会との連携を促すための取組が求められる。

第四 旅館業の振興の目標を達成するために必要な事項

旅館業の目標を達成するために必要な事項としては、次に掲げるように多岐にわたるが、営業者においては、衛生水準の向上等のために必須で取り組むべき事項と、戦略的経営を推進するために選択的に取り組むべき事項の区別を行うことで、課題解決と継続的な成長を可能にし、国民生活の向上に貢献することが期待される。

また、組合及び連合会においては、組合員である営業者等に対する指導及び支援並びに利用者の旅館業への信頼向上に資する事業の計画的な推進が求められる。

このために必要となる具体的取組としては、次に掲げるとおりである。

一 営業者の取組

1 衛生水準の向上に関する事項

(1) 日常の衛生管理に関する事項

旅館業は、食品に加え、寝具、空調設備及び入浴設備等の的確な衛生管理が求められる営業である。このため、営業者は、食品衛生法や旅館業法等の関係法令を遵守することは当然であり、加えて衛生水準の一層の向上を図るため、食品衛生や感染症の予防に関する専門的な知識を深めるとともに、施設の衛生管理及び従業員の健康管理にも十分留意し、調理器具、寝具、空調設備及び入浴設備等の衛生管理の改善に取り組むことが必要である。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、我が国でも3つの「密」(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離を空ける、消毒や換気の徹底、業種別の感染拡大予防ガイドラインの遵守・徹底など、感染症対策に関する「新しい生活様式」に向けて徹底した衛生対策を行う必要がある。

また、食品取扱施設でのノロウイルス等に起因する食中毒の発生や二次感染を防止するため、手洗いの徹底、調理器具の消毒、従業員の健康管理及び施設の衛生管理上の自主点検を行い、食中毒等食品衛生上の問題が発生しないようにすること、ノロウイルスの感染を拡大させないよう、おう吐物等の処理や寝具等の消毒に関して適切に対応しなければならない。特に、食材を保管する冷蔵設備の温度管理については、毎日定期的に実施するとともに、これらの工程管理を徹底し、HACCPに沿った衛生管理を行う必要がある。

空調設備や入浴設備の衛生管理においては、レジオネラ症の発生を防止するために、自主管理手引書及び点検表を作成し、営業者又は従業員の中から日常の衛生管理に係る責任者を定める等の対策の充実を図ることが必要である。

加えて、トコジラミ等の衛生害虫の駆除対策として、トコジラミ等に関する正しい知識を持ち、適切な防除法を選択して対応することが必要である。

また、営業者は、従業員に対し、衛生管理を徹底するための研修会及び講習会を受講させ、衛生管理の手引の作成等による普及啓発を行うとともに、施設内における感染症の予防のため、発熱等の感染症が疑われる症状のある従業員に適切な対応を行うなど従業員の健康管理に十分留意するとともに、感染症が疑われる利用者への対応も含めた危機管理体制を整備することが必要である。

また、衛生管理上の自主点検を行い、その結果を施設内に表示するなど、衛生管理のために自施設が講じている措置について、利用者に対し積極的に周知することが必要である。また、従業員の清潔な着衣の使用、手洗いの励行及び施設の清掃等により、利用者に不快感を与えない配慮が必要である。

(2) 衛生面における施設及び設備の改善に関する事項

営業者は、日常の衛生的管理の取組に加えて、定期的かつ適切に施設及び設備の衛生面の改善に取り組むことが必要である。特に、食事を提供するための調理器具、容器及び食器等の衛生管理の改善に取り組むことや、清潔で快適な入浴設備を整備するために、換気、防湿、衛生害虫等の駆除並びに脱衣室及びトイレ等の清掃を行うほか、足拭きマット等の設備についても衛生の保持を図り、利用者が衛生的な環境で快適な入浴が行えるよう衛生管理に努めることが必要である。

また、営業者は、消防法(昭和23年法律第186号)等の関係法令に基づき、非常口表示等の防火安全対策を講じ、従業員の安全教育の徹底を図るとともに、利用者に対して安全対策に関する適切な情報提供を行う必要がある。

2 経営課題への対処に関する事項

個別の経営課題への対処については、営業者の自立的な取組が前提であるが、多様な利用者の要望に対応する良質なサービスを提供し、国民生活の向上に貢献する観点から、営業者においては、次に掲げる事項を念頭に置き、経営改革に積極的に取り組むことが期待される。

特に、家族経営等の場合、営業者や従業員が変わることはほとんどないため、経営手法が固定的になりやすく、経営改革に取り組むことが重要であることから、以下の事項に選択的に取り組むことが期待される。

(1) 経営方針の明確化及び独自性の発揮に関する事項

現在置かれている経営環境や市場を十分に把握、分析し、自施設や地域の特性を踏まえ、強みを見いだし、経営方針を明確化し、自施設の付加価値や独自性を高めていくとともに、経営管理の合理化及び効率化を図ることが必要である。

ア 自施設の立地条件、利用者層、資本力及び経営能力等の経営上の特質の把握

イ 周辺競合施設に関する情報収集と比較

ウ ターゲットとする利用者層の特定

エ 重点サービスの明確化

オ 施設のコンセプト及び経営戦略の明確化

カ 売上状況の把握とそれを踏まえた仕入れの管理

キ 経営手法、熟練技能及び専門的知識の習得及び伝承並びに後継者の育成

ク 施設の有効活用による収益源の多様化

ケ 若手人材の活用による経営手法の開拓

コ 都道府県指導センター等の経営指導機関による経営診断の積極的活用

(2) サービスの見直し及び向上に関する事項

利用者のニーズやライフスタイルの変化に的確に対応し、利用者が安心して利用できるよう、自施設の魅力を増し、利用者の満足度を向上させるとともに、新たな利用者を獲得することが重要であることから、以下の事項に選択的に取り組むことが期待される。

ア サービスの充実

① 従業員等の教育及び研修の徹底

② 「手間」と「こだわり」による独自サービスの提供

③ マニュアルを超えた「おもてなしの心(気配り・目配り・心配り)」による温もりのあるサービスの提供

④ 飲食等の附帯的サービスの充実

⑤ 高齢者及び障害者への対応

⑥ 子育て世帯への対応

⑦ 若者の一人旅への対応

⑧ 利用者との信頼関係の構築

⑨ 専門性を高めた高付加価値の提供

⑩ 看板サービスへのこだわり

⑪ 優秀な人材の獲得並びに若手従業員の育成、指導及び資質向上

⑫ 魅力ある職場作り(人と人の心のチームワーク)

⑬ 経営手法・熟練技能の効率的な伝承

⑭ 外国語表示の推進

イ 食の安全への関心の高まりや食を通じた健康づくりなどの健康志向への対応

① 安全な食材を使用し健康志向に対応したメニューの提供

② 食材の原産地表示等への積極的な取組

③ 食物アレルギー物質の有無の表示

④ 総カロリー表示及び塩分量表示等の推進

⑤ 生活習慣病を予防する取組への参画

ウ 利用者のニーズやライフスタイルの変化等に対応した施設作り

① 清潔で入りやすく、誰もがくつろぎやすい施設の雰囲気作り

② インターネット等による予約等の実施

③ 地産地消の食材を使用したメニューの提供

④ 四季折々の食材を使用したメニューの提供

エ 訪日外国人旅行者の受入れ対応

① 訪日外国人旅行者とのコミュニケーション能力の向上

② 外国語表示の推進

③ 施設等における公衆無線LAN環境の整備

④ インターネット等による予約等の実施

⑤ 旅行ガイドブックへの掲載

⑥ 外国語エリアマップの提供

⑦ 我が国の伝統行事等に触れる機会の創出

⑧ 訪日外国人旅行者の習慣への対応

⑨ クレジットカード決済及び電子決済の導入及び普及

⑩ ギャランティ・リザベーション制度の導入

(3) 施設及び設備の改善並びに業務改善等に関する事項

営業者は、施設及び設備並びに業務改善等のため、以下の事項に取り組むことが期待される。

ア 安全で衛生的な施設となるような定期的な内外装の改装

イ 各施設の特性に合致するような伝統を重んじた清潔な雰囲気の醸成(個人旅行や少人数のグループ旅行への対応のための施設の改修を含む。)

ウ 高齢者及び障害者等に配慮したバリアフリー対策の実施

エ 省エネルギー対応の冷凍冷蔵設備、空調設備、太陽光発電設備等の導入

オ 節電に資する人感センサー、LED照明、蓄電池設備等の導入

カ 作業手順の標準化・見える化やコンピュータ・情報システムの導入等による合理化・効率化

キ 都道府県指導センターなどが開催する生産性向上等を図るためのセミナー等への参加及び業務改善助成金等各種制度の活用

ク 受動喫煙の防止

ケ 耐震改修の推進

(4) 情報通信技術を利用した新規利用者の獲得及び利用者の確保に関する事項

営業者は、情報セキュリティの管理に留意しつつ、インターネット等の情報通信技術を効果的に活用する等、以下の事項に選択的に取り組むことが期待される。

ア ホームページの開設等による積極的な情報発信

イ 利用者情報のデータベース化等による適切な管理

ウ 季節の行事に応じたダイレクトメールの郵送や広報チラシの配布

エ インターネット等による予約等の実施

オ クレジットカード決済及び電子決済の導入及び普及

カ 施設等における公衆無線LAN環境の整備

キ コンピュータ及び情報システムを利用した業務の合理化及び効率化

(5) 表示の適正化と苦情の適切な処理に関する事項

営業者は、景品表示法等の関係法令を遵守し、提供するサービス内容及び料金について表示の適正化を図り、適切な情報提供を行い、利用者に納得と安心感を与えるとともに、利用者からの苦情に誠実に対応し、問題の早急かつ円滑な解決に努めることが重要であることから、以下の事項に取り組むことが期待される。

ア 関係法規等を遵守した適切な食材の原産地表示等への積極的な取組

イ 食物アレルギー患者を中心とした健康被害防止を目的とした表示

ウ 源泉の温泉成分、浴槽の循環ろ過や加水等の有無の表示

エ 分かりやすい価格表示

オ 利用者の疑問や苦情への的確な対応(苦情処理マニュアルの作成等)

カ 従業員に対する危機管理教育の徹底

キ 賠償責任保険等の活用

ク 訪日外国人旅行者等の習慣に配慮した取組

(6) 人材育成及び自己啓発の推進に関する事項

旅館業は、対人サービスであり、従業員の資質がサービスの質を左右することから、優秀な人材の確保及び育成を図ることが極めて重要な課題である。特に、若手従業員の育成及び指導を図るとともに、若者に魅力ある職場作りに努めることが必要である。

したがって、営業者は、従業員の資質の向上に関する情報を収集し、接客技術や調理技術に関する知識の習得を目指した職場内指導を充実するとともに、都道府県指導センターや組合等の実施する研修会及び講習会への積極的参加等、あらゆる機会を活用して従業員の資質の向上を図り、その能力を効果的に発揮できるよう努めるとともに、適正な労働条件の確保に努めるものとする。

特に、今後増加する外国人宿泊者への対応能力の向上は重要な課題であり、先進的な取組事例等も参考にしつつ、外国人宿泊者とのコミュニケーション能力の向上を図る。

(7) シルバースター登録制度の推進に関する事項

シルバースター登録制度とは、高齢者等が快適に過ごせる利用しやすい宿泊施設の整備を図る必要から、設備、サービス及び料理面で一定の基準を充足する旅館を対象に、連合会が認定登録する制度である。

営業者は、高齢者等が安心して利用できる施設整備等の重要性を認識し、利用者の利便を図るため、シルバースターの認定登録を受けるよう努めるものとする。

二 営業者に対する支援に関する事項

1 組合及び連合会による営業者の支援

組合及び連合会においては、営業者の自立的な経営改革を支援する都道府県指導センター等の関係機関との連携を密にし、次に掲げる事項を中心に積極的な支援に努めることが期待される。

また、支援に当たっては、関係機関等が作成する、営業者の経営改善に役立つ手引や好事例集等を効果的に活用すること、及び関係機関が開催する生産性向上等を推進するためのセミナー等に関して組合員に対する参加の促進等必要な協力を行うことが期待される。

(1) 衛生に関する知識及び意識の向上に関する事項

営業者に対して衛生管理を徹底するための研修会及び講習会の開催、衛生管理に関するマニュアル等の普及、衛生管理に関するパンフレット及びHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を推進するための手引書の作成等に係る指導及び助言に努めることが期待される。

(2) サービス、店舗及び設備並びに業務の効率化に関する事項

衛生水準の向上、経営マネジメントの合理化及び効率化、利用者の利益の増進等、高齢者、障害者及び外国人宿泊者等への対応並びに省エネルギーへの対応等に資するための施設及び設備の改善並びに業務の効率化に関する指導、助言、情報提供、ICTの活用に係るサポート等必要な支援に努めることが期待される。

また、高齢者、障害者等の利便性を考慮した施設の設計やサービスの提供等について研究を行い、その成果の普及に努めることが期待される。

(3) 利用者利益の増進及び商品の提供方法に関する事項

サービス内容の適正表示や営業者における接客手引及び作業手引の基本となるマニュアルの作成、苦情相談窓口の開設や苦情処理の対応に関するマニュアルの作成に努めることが期待される。

また、連合会が運営する宿ネットの充実、共通利用券の発行、旅行案内所の設置及び施設便覧等の作成に努めるとともに、国際化に伴う訪日外国人旅行者の受入れ促進のため、外国人宿泊者に対するコミュニケーション能力向上に関する研修の充実に努めることが期待される。

さらに、連合会が実施している還暦等を旅館で祝うキャンペーンの推進、シルバースター登録制度の普及及び人に優しい地域の宿づくり賞等の顕彰制度の推進に努めることが期待される。

(4) 経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事項

先駆的な経営事例等経営管理の合理化及び効率化に必要な情報、地域的な経営環境条件に関する情報及び旅館業の将来の展望に関する情報の収集及び整理並びに営業者に対するこれらの情報提供に努めることが期待される。

また、事業再生を進める観点から、そのための調査及び研究並びに経営オペレーター(事業再生を行うために、経営の専門的な支援に携わる者をいう。)の養成の推進に努めることが期待される。

さらに、関係機関との連携の下での、創業や事業承継における助言・相談の取組の推進が期待される。

(5) 経営課題に即した相談支援に関する事項

営業者が直面する様々な経営課題に対して、経営特別相談員による経営指導事業の周知に努めるとともに、これを金融面から補完する生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付制度の趣旨や活用方法の周知が期待される。

(6) 営業者及び従業員の技能の改善向上に関する事項

接客及び調理等の基礎的な技術の向上並びに効果的な入浴方法の指導に資するための研修会及び講習会の開催並びに技能コンテストの開催等の教育制度の充実強化に努めることが期待される。

(7) 事業の共同化及び協業化に関する事項

事業の共同化及び協業化の企画立案及び実施に係る指導に努めることが期待される。

(8) 取引関係の改善に関する事項

共同購入等取引面の共同化を推進するとともに、食品業界や宿泊施設関係設備業界等関係業界の協力を得ながら、取引条件の合理的改善及び組合員等の経済的地位の向上に努めることが期待される。

また、旅行業等の関連業界と連携し、情報の収集及び交換の機会の確保に努めるとともに、誘客宣伝事業の推進に努めることが期待される。

(9) 従業員の福利の充実に関する事項

従業員の労働条件整備及び労働関係法令の遵守に関する助言、作業環境の改善及び健康管理充実(定期健康診断の実施等を含む。)のための支援、医療保険、年金保険及び労働保険の加入等に係る啓発、組合員等の大多数の利用に資する福利厚生の充実並びに共済等制度(退職金及び生命保険等をいう。)の整備及び強化に努めること。

さらに、男女共同参画社会の推進及び少子高齢化社会の進展を踏まえ、従業員の福利の充実に努めることが期待される。

(10) 事業の承継及び後継者育成支援に関する事項

営業者の高齢化が急激に進んでいることから、事業の円滑な承継に関するケーススタディ及び成功事例等の経営知識や各地域にある事業承継に関する相談機関及び最新の関連税制についての情報提供並びに後継者育成支援の促進を図るために必要な支援体制の整備に努めることが期待される。

(11) 食品関連情報の提供や行政施策の推進に関する事項

国内外における食に関する最新の情報や行政施策の動向等について、行政機関との連携等を通じ、組合員等への適切な情報提供を図るとともに、行政施策に基づく指導及び支援に努めることが期待される。

2 行政施策及び政策金融による営業者の支援及び利用者の信頼の向上

(1) 都道府県指導センター

組合との連携を密にして、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

ア 関係機関等が作成する手引や好事例集等を効果的に活用した、営業者に対する経営改善の具体的指導及び助言等の支援

イ 利用者からの苦情及び要望の営業者への伝達

ウ 利用者の信頼の向上に向けた積極的な取組

エ 都道府県等と連携した組合加入促進に向けた取組

オ 連合会及び都道府県等と連携した組合の振興計画の策定に対する指導及び支援

カ 生産性向上や業務改善を推進するためのセミナー等の開催

(2) 全国指導センター

都道府県指導センターの取組を推進するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

ア 関係機関等が作成する手引や好事例集等、営業者の経営改革の取組に役立つ情報の収集、整理及び情報提供

イ 危機管理マニュアルの作成

ウ 苦情処理マニュアルの作成

エ 効果測定の支援及び政策提言機能の強化

オ 公衆衛生情報の提供機能の強化

(3) 国及び都道府県等

旅館業に対する利用者の信頼の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めること。

ア 旅館に関する指導監督

イ 旅館に関する情報提供その他必要な支援

ウ 災害又は事故等の発生時における適時、適切な風評被害防止策の実施

エ 営業者の経営改善に役立つ手引や好事例集等の作成・更新及び各種支援策の周知

(4) 日本公庫

営業者の円滑な事業実施に資するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

ア 営業者が利用しやすい融資の実施

イ 生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握、分析及び情報提供

ウ 組合等と連携した経営課題の解決に資するセミナーの開催及び各種印刷物の発行による情報提供

エ 災害時等における速やかな相談窓口の設置

オ 事業承継の円滑化に資する情報提供

第五 営業の振興に際し配慮すべき事項

旅館業においては、他の生活衛生関係営業と同様に、衛生水準の確保と経営の安定のみならず、営業者の社会的責任として環境の保全や省エネルギーの強化、食品循環資源の再生利用等の推進に努めるとともに、時代の要請である少子高齢化社会等への対応、禁煙等に関する対策、地域との共生、災害への対応及び従業員の賃金引上げに向けた対応、働き方・休み方改革への対応といった課題に応えていくことが要請される。

こうした課題への対応は、個々の営業者が中心となって関係者の支援の下で行われるとともに、適切に対応することを通じて、地域社会に確固たる位置付けを確保することが期待される。

一 食育、食の安全への関心の高まり及び健康志向等への対応

営業者は、食の安全への関心の高まりや健康志向等について、下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

1 営業者に期待される役割

(1) 食品の安全性に関する知識の普及の支援

(2) 食物アレルギー物質の有無の表示

(3) 健康増進への取組

(4) 訪日外国人旅行者への対応

2 組合及び連合会に期待される役割

食の安全への関心の高まりや健康志向等へ効果的に対応する方法についての研究を実施する。

3 日本公庫に期待される役割

融資の実施等により営業者を支援する。

二 少子高齢化社会等への対応

1 営業者に期待される役割

営業者は、高齢者、障害者及び一人暮らしの者並びに子育て世帯及び共働き世帯等が住み慣れた地域社会で安心かつ充実した日常生活を営むことができるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。

(1) 高齢者に配慮したメニューや少量メニューの提供

(2) 高齢者、障害者、妊産婦や子ども連れの顧客等に配慮した店舗のバリアフリー対策

(3) 障害者差別解消法の規定に基づく障害者への合理的配慮

(4) 受動喫煙の防止

(5) 従業員に対する教育及び研修の充実及び強化

(6) 子育て世帯、共働き世帯等が働きやすい職場環境の整備

(7) 地域社会とのつながりを強化する観点も含めた地域の高齢者、障害者及び女性等の積極的雇用の推進

2 組合及び連合会に期待される役割

高齢者、障害者、妊産婦及び子ども連れの顧客等の利便性を考慮した店舗設計やサービス提供に係る研究を実施する。

3 日本公庫に期待される役割

高齢者、障害者、妊産婦及び子供連れの顧客等の利用の円滑化を図るために必要な設備(バリアフリー化等)導入時に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知等を図る。

三 地域との共生(地域コミュニティの再生及び強化(商店街の活性化))

1 営業者に期待される役割

(1) 地域の街づくりへの積極的な参加及び地域の営業者と連携したサービスの提供

(2) 「賑わい」や「つながり」を通じた豊かな人間関係(ソーシャル・キャピタル)の形成

(3) 共同ポイントサービス事業及びスタンプ事業の実施

(4) 地域の防犯、消防、防災、交通安全及び環境保護活動の推進に対する協力

(5) 暴力団排除等への対応

(6) 災害対応能力及び危機管理能力の維持向上

(7) 地震等の大規模災害が発生した場合における、地域住民への支援

2 組合及び連合会に期待される役割

(1) 地域の自治体等と連携し、社会活動の企画、指導及び援助ができる指導者の育成

(2) 業種を超えた相互協力の推進

(3) 地域における特色ある取組の支援

(4) 自治会、町内会、地区協議会、NPО及び大学等との連携活動の推進

(5) 地域・商店街役員への旅館業の若手経営者の登用

(6) 地域における事業承継の推進(承継マッチング支援)及び新規開業希望者の育成

(7) 地域、商店街活性化に資する組合活動事例の周知

3 日本公庫に期待される役割

きめ細かな相談、融資の実施等により営業者及び新規開業希望者を支援する。

四 環境の保全、省エネルギー強化及び食品循環資源の再生利用等の推進

1 営業者に期待される役割

(1) 省エネルギー対応の空調設備及び太陽光発電設備等の導入

(2) 節電に資する人感センサー、LED照明装置及び蓄電設備等の導入

(3) 廃棄物の最小化及び分別回収の実施

(4) 温室効果ガス排出の抑制につながる施策及び省エネルギーへの啓発

(5) 食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量

(6) 食品循環資源の再生利用等実施率の向上

2 組合及び連合会に期待される役割

(1) 食品循環資源の再生利用の仕組みの構築

(2) 業種を超えた組合間の相互協力

(3) 食品循環資源の再生利用に向けた組合員以外の営業者への参加促進及び普及啓発

3 日本公庫に期待される役割

省エネルギー設備導入時に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知を図る。

五 禁煙等に関する対策

1 営業者に求められる役割

営業者は、顧客層、経営方針、施設の規模等を考慮した上で、以下に掲げる事項を中心に必要な対応を図ることが求められる。

(1) 望まない受動喫煙の防止

ア 施設内の禁煙の徹底及び喫煙専用室等の設置

イ 受動喫煙による健康影響が大きい子どもなど20歳未満の者、患者等への配慮

ウ 従業員に対する受動喫煙防止対策

(2) アルコール類の提供

飲酒運転根絶に向けた必要な措置及びアルコール健康障害を発生させるような不適切飲酒の誘引防止

2 組合及び連合会に期待される役割

効果的な受動喫煙防止対策及び飲酒運転根絶等に関する情報提供を行い、併せて制度周知を図る。

3 国及び都道府県等の役割

受動喫煙防止に関する制度周知や受動喫煙防止対策に有効な予算措置、金融措置等に関する情報提供を行う。

4 日本公庫に期待される役割

融資の実施等により営業者を支援する。

六 災害への対応と節電行動の徹底

我が国は、その位置、地形、地質、気象等の自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火等による災害が発生しやすい国土となっており、継続的な防災対策及び災害時の地域支援を含めた対応並びに節電行動への取組が期待される。

1 営業者に期待される役割(災害時は営業者自身の安全を確保した上で対応する。)

(1) 災害発生前段階における防災対策の実施及び災害対応能力の維持向上

(2) 地域における防災訓練への参加及び自店舗等での防災訓練の実施

(3) 近隣住民等の安否確認や被災状況の把握及び自治体等への情報提供

(4) 地震等の大規模災害が発生した場合における、地域住民への支援

(5) 被災した営業者のみならず営業者全体による相互扶助と連携の下での役割発揮

(6) 災害発生時における、被災営業者の営業再開を通じた被災者への支援及び地域コミュニティの復元

(7) 災害時等に対応した非常用電源設備の整備

(8) 従業員及び利用者に対する節電啓発

(9) 中長期の節電に資する省エネルギー対応の設備の導入

(10) 節電を通じた経営の合理化

(11) 電力制約下における新たな需要(ビジネス機会)の取り込み

2 組合及び連合会に期待される役割

(1) 営業者及び地域並びに災害種別を想定した防災対策への支援

(2) 同業者による支え合い(太い「絆」で再強化)

(3) 災害発生時の被災者の避難誘導などを通じた帰宅困難者防止等への取組

(4) 被災した地域住民へのボランティアに関する呼びかけ

(5) 節電啓発や節電行動に対する支援

(6) 節電に資する共同利用施設(共同蓄電設備等)の設置

3 国及び都道府県等の役割

過去の災害を教訓とした防災対策や情報収集、広報の実施等、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努める。

(1) 過去の災害を教訓とした緊急に実施する必要性が高く、即効性の高い防災、減災等の施策

(2) 節電啓発や節電行動の取組に対する支援

4 日本公庫に期待される役割

災害発生時には、被災した営業者に対し低利融資を実施し、きめ細やかな相談及び支援を行う。

七 最低賃金の引上げを踏まえた対応(生産性向上を除く。)

最低賃金については、政府の目標として「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げ、全国加重平均が1,000円となることを目指す」ことが示されていることから、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努める必要がある。

1 営業者に求められる役割

(1) 最低賃金の遵守

(2) 業務改善助成金及びキャリアアップ助成金等各種制度の必要に応じた活用

(3) 関係機関が開催する最低賃金に関するセミナー等への参加を通じた最低賃金制度の理解

2 組合及び連合会に期待される役割

(1) 最低賃金の制度周知

(2) 助成金の利用促進

助成金等各種制度や関係機関が開催する最低賃金に関するセミナー等の周知を図る。

3 都道府県指導センターに期待される役割

(1) 最低賃金の周知

従業員等の最低賃金違反に関する相談窓口(労働基準監督署等)の周知を図る。

(2) 助成金の利用促進に向けた体制の整備

助成金等の申請に係る支援の周知や相談体制の整備を図る。

(3) 関係機関との連携によるセミナー等の開催

労働局等との連携により経営相談事業等を実施するほか、関係機関との連携により最低賃金に関するセミナー等を開催する。

4 国及び都道府県等の役割

(1) 営業許可等を行っている自治体における事業者向け講習会等の機会を利用した周知

(2) 営業許可等の際における窓口での個別周知

(3) 研修会等を通じた助成金制度の周知

5 日本公庫に期待される役割

従業員の賃金引上げや人材確保に必要な融資に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知等を図る。

八 働き方・休み方改革に向けた対応

従業員がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる職場環境を作ることで人材の確保や生産性の向上が図られるよう、営業者には長時間労働の是正や雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、また、職場のハラスメント対策に必要な措置を図ることが求められる。

1 営業者に求められる役割

(1) 時間外労働の上限規制及び月60時間超の時間外割増賃金率の引上げへの対応による長時間労働の是正

(2) 年5日の年次有給休暇の確実な取得

(3) 雇用形態や就業形態に関わらない公正な待遇の確保

(4) 従業員に対する待遇に関する説明義務

(5) セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等職場のハラスメント対策

2 組合及び連合会に期待される役割

相談窓口及び関係機関が開催するセミナー等の周知を図る。

3 都道府県指導センターに期待される役割

相談窓口及び関係機関が開催するセミナー等の周知を図る。

4 国及び都道府県等の役割

(1) 営業許可等を行っている自治体における事業者向け講習会等の機会を利用した制度周知

(2) 営業許可等の際における窓口での制度周知

(3) 研修会等を通じた制度周知

5 日本公庫に期待される役割

従業員の長時間労働の是正や非正規雇用の処遇改善に取り組むために必要な融資に、振興事業貸付等が積極的に活用されるよう、引き続き制度の周知等を図る。

改正文 (令和三年三月一八日厚生労働省告示第七九号) 抄

令和三年四月一日から適用する。ただし、この告示による改正後の飲食店営業(一般飲食業、中華料理業、料理業及び社交業)及び喫茶店営業の振興指針(平成二十九年厚生労働省告示第六十八号)、理容業の振興指針(平成三十一年厚生労働省告示第五十七号)、美容業の振興指針(平成三十一年厚生労働省告示第五十八号)、クリーニング業の振興指針(平成三十一年厚生労働省告示第五十九号)、飲食店営業(すし店)の振興指針(平成三十一年厚生労働省告示第六十号)、興行場営業の振興指針(令和二年厚生労働省告示第五十一号)、旅館業の振興指針(令和二年厚生労働省告示第五十二号)、浴場業の振興指針(令和二年厚生労働省告示第五十三号)及び飲食店営業(めん類)の振興指針(令和二年厚生労働省告示第五十四号)の規定は、この告示の告示の日以後に行われた生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律施行規則(昭和三十二年厚生省令第三十七号)第十五条第一項に基づく認定の申請又は同令第十六条第一項に基づく変更に係る認定の申請について適用し、同日前に行われた同令第十五条第一項に基づく認定の申請又は同令第十六条第一項に基づく変更に係る認定の申請については、なお従前の例による。