添付一覧
○医療分野に係る中小企業等経営強化法第十六条第一項に規定する事業分野別指針
(平成二十八年七月一日)
(厚生労働省告示第二百八十一号)
中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号)第十二条第一項の規定に基づき、医療分野に係る中小企業等経営強化法第十二条第一項に規定する事業分野別指針を次のように定め、平成二十八年七月一日から適用することとしたので、同条第五項の規定に基づき公表する。
医療分野に係る中小企業等経営強化法第十六条第一項に規定する事業分野別指針
(令元厚労告65・令2厚労告341・改称)
第1 基本認識
1 市場動向
少子高齢化が進む中で、平成12年度に約30兆円であった国民医療費は、平成30年度には約43兆円に増大しており、そのうち、およそ38%にあたる約17兆円は、75歳以上に係るものである。
2 産業構造・業態の特徴
医療機関 |
179,416施設 |
令和元年10月1日時点 |
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病院 |
8,300施設 |
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一般診療所 |
102,616施設 |
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有床診療所 |
6,644施設 |
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無床診療所 |
95,972施設 |
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歯科診療所 |
68,500施設 |
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有床診療所 |
20施設 |
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無床診療所 |
68,480施設 |
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歯科技工所 |
21,004施設 |
平成30年12月末日時点 |
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あん摩マッサージ指圧、はり又はきゅうを行う施術所 |
90,688施設 |
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柔道整復の施術所 |
50,077施設 |
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訪問看護ステーション |
9,665施設 |
令和2年12月時点 |
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助産所 |
2,523施設 |
令和元年3月末日時点 |
3 経営の特徴
医療等サービス(病院、診療所、あん摩マッサージ指圧、はり又はきゅうを行う施術所、柔道整復の施術所、助産所、歯科技工所及び看護業の事業所等の各施設において提供されるサービスをいう。以下同じ。)は「人」が支えるサービス業であり、優れた人材の確保及び定着は各医療機関等にとっては重要である。ただ、病床を有する医療機関においては、夜間勤務や宿日直勤務に対応する医療等従事者(医療等サービスに従事する者をいう。以下同じ。)の配置が必要となること等に伴い、医療等従事者の勤務環境について医療等従事者の働き方の希望や健康面に十分配慮する必要がある。
第2 経営力向上の実施方法に関する事項
1 支援対象
医療分野における経営力向上のための支援の対象は、医療等サービスにおいて、事業活動に有用な知識又は技能を有する人材の育成、組織の活力の向上による人材の有効活用、財務内容の分析の結果の活用、商品又は役務の需要の動向に関する情報の活用、経営能率の向上のためのデジタル技術の活用その他の経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行う取組とする。ただし、中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号。以下「法」という。)第二条第六項に規定する特定事業者等(以下「特定事業者等」という。)が事業承継等(法第二条第十項第九号に掲げるものを除く。以下同じ。)により、他の事業者から取得した又は提供された経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行う場合にあっては、事業の継続が困難である他の事業者の事業を承継するもののうち、事業の経営の承継を伴う取組及び他の事業者の事業を承継するもののうち、事業承継等による経営資源の組合せを通じた労働生産性の向上を目的とする取組を支援対象とする。
2 経営力向上に係る指標
多くの医療等サービスにおいては、収益(収入)の中心が保険診療収益となっているが、保険診療は公定価格により行われるため、医療機関の収入増を目指すに当たっては一定の制約があるといえる。
このため、医療分野における経営力を測るための指標としては、職員の離職率、勤続年数、定着率、利用者満足度、ICTの活用等によるコストの削減その他の各特定事業者等において設定する客観的に評価可能な指標を用いることが適当である。
3 経営力向上に係る事業の実施に当たり留意すべき事項
特定事業者等は、経営力向上に係る事業を行うに先立ち、「ローカルベンチマーク」等を参照して自医療機関等の現状を具体的に分析し、経営課題を整理するとともに、経営力向上に係る事業を的確に実施するため、当該事業が経営課題の解決に資することを明確化するものとする。
第3 経営力向上に関する事項
1 経営力向上の内容に関する事項
一 経営力向上において実施すべき事項
現に有する経営資源又は他の事業者から取得した若しくは提供された経営資源に関し、他の医療等サービス提供主体との機能分化、業務連携等を通じて、医療等サービスの質の確保及び向上を実現し、事業の継続及び安定を進めることが適当である。
二 経営資源を高度に利用する方法として、特に優先すべき事項
医療等従事者の勤務環境の改善を特に優先すべきである。
2 経営力向上の実施方法に関する事項
病院 |
有床診療所 |
無床診療所、あん摩マッサージ指圧、はり又はきゅうを行う施術所、柔道整復の施術所、助産所、歯科技工所及び看護業の事業所等 |
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サービスの品質向上に関する事項 |
・地域における医療のニーズや他の医療機関等の存在を踏まえた当該医療機関のサービスの質の向上の実施(治療の選択肢の複数提示、退院指導の充実等) |
・地域における医療のニーズや他の医療機関等の存在を踏まえた当該医療機関のサービスの質の向上の実施(治療の選択肢の複数提示、退院指導の充実等) |
・地域における医療等のニーズや他の医療機関等の存在を踏まえた当該医療機関等のサービスの質の向上の実施(治療の選択肢の複数提示等) |
コストの把握・効率化に関する事項 |
・医療材料や医薬品について、近隣の医療機関等と連携した共同購入 ・内部業務の効率化のための、バックオフィス業務におけるICTツールの利活用等 |
・医療材料や医薬品について、近隣の医療機関等と連携した共同購入 ・内部業務の効率化のための、バックオフィス業務におけるICTツールの利活用等 |
・医療材料や医薬品について、近隣の医療機関等と連携した共同購入 ・内部業務の効率化のための、バックオフィス業務におけるICTツールの利活用等 |
マネジメントに関する事項 |
・入院・外来に対応する医師等の柔軟な配置、関連する他の医療機関との間における看護師等による支援 ・夜間・休日の適切な人事配置 ・かかりつけ医又は在宅医、介護・福祉事業者等との連携 ・高度急性期、急性期、回復期、慢性期等地域の医療提供体制の中での役割の明確化 |
・入院・外来に対応する医師等の柔軟な配置 ・夜間・休日の適切な人事配置 ・地域にある他の病院又は診療所、介護事業者等との連携 |
・曜日ごとの医師等の柔軟な配置 ・地域にある他の病院又は診療所、介護事業者等との連携 |
人材に関する事項 |
・医療従事者の働き方の希望に応じた人事配置 ・医療従事者の勤続年数及び定着率の引上げ、離職率の引下げ ・勤務環境の改善のため、都道府県に設置されている医療勤務環境改善支援センターの利用 ・離職した看護職員の積極採用、ワークシェア制度の導入 ・高度専門職の仕事の棚卸し ・医療従事者の研修等への参加機会の確保 |
・医療従事者の働き方の希望に応じた人事配置 ・医療従事者の勤続年数及び定着率の引上げ、離職率の引下げ ・勤務環境の改善のため、都道府県に設置されている医療勤務環境改善支援センターの利用 ・離職した看護職員の積極採用、ワークシェア制度の導入 |
・医療等従事者の働き方の希望に応じた人事配置 ・医療等従事者の勤続年数及び定着率の引上げ、離職率の引下げ |
ICT投資、設備投資及び省エネルギー投資に関する事項 |
・電子カルテ等のICTの利活用 ・地域にある他の病院等とのデータ共有 ・臨床研究・臨床効果データベース構築への協力 ・ICTを利活用するための人材の確保 ・ICTを利活用する際のセキュリティ対策の実施 ・エネルギー使用量の見える化、省エネルギー設備の導入、エネルギー管理体制の構築等を通じた省エネルギーの推進 |
・電子カルテ等のICTの利活用 ・地域にある他の病院等とのデータ共有 ・ICTを利活用するための人材の確保 ・ICTを利活用する際のセキュリティ対策の実施 ・エネルギー使用量の見える化、省エネルギー設備の導入、エネルギー管理体制の構築等を通じた省エネルギーの推進 |
・電子カルテ等のICTの利活用 ・地域にある他の病院等とのデータ共有 ・ICTを利活用するための人材の確保 ・ICTを利活用する際のセキュリティ対策の実施 ・エネルギー使用量の見える化、省エネルギー設備の導入、エネルギー管理体制の構築等を通じた省エネルギーの推進 |
経営資源の組合せ |
役務の提供の方法を効率化するため、現に有する経営資源及び他の事業者から取得した又は提供された経営資源を有効に組み合わせて一体的に活用 |
役務の提供の方法を効率化するため、現に有する経営資源及び他の事業者から取得した又は提供された経営資源を有効に組み合わせて一体的に活用 |
商品の生産若しくは販売又は役務の提供の方法を効率化するため、現に有する経営資源及び他の事業者から取得した又は提供された経営資源を有効に組み合わせて一体的に活用 |
その他の経営資源を高度に利用する方法 |
介助・介護に資するロボットの導入による業務負担の軽減 |
介助・介護に資するロボットの導入による業務負担の軽減 |
介助・介護に資するロボットの導入による業務負担の軽減 |
3 経営力向上の促進に当たって配慮すべき事項
一 事業基盤の維持
特定事業者等は、人員削減を目的とした取組を法第十七条第一項に規定する経営力向上計画(以下「経営力向上計画」という。)の対象としない等、雇用の安定に配慮するものとする。また、組織再編行為が患者、従業員等に与える影響が大きいことに鑑み、事業承継等を行う場合にあっては、患者等に必要なサービスの継続的な提供、従業員の雇用の安定等に特に配慮するものとする。
二 経営力向上計画の進捗状況の把握
特定事業者等は、経営力向上計画について、定期的に自己評価を行い、進捗状況を把握するものとする。
三 外部専門家の知見の活用
経営力向上計画の策定及び実施に当たっては、医療分野に係る法第三十九条第二項に規定する認定事業分野別経営力向上推進機関(以下「医療分野経営力向上推進機関」という。)等、外部の専門家の知見を活用するものとする。
四 信頼性のある計算書類等の作成及び活用
特定事業者等は、事業の運営の透明性及び信頼性を確保するため、各法人等に適用される会計基準等を利用して、信頼性のある計算書類等を作成し、活用するものとする。
五 地域経済の健全な発展
特定事業者等は、地域経済の健全な発展に配慮するため、地域経済やサプライチェーンの維持・強化に資する事業承継等に係る取組を行うものとする。
第4 医療分野経営力向上推進機関に関する事項
1 医療分野経営力向上推進業務の内容に関する事項
一 医療分野経営力向上推進機関においては、医療分野の経営力向上に関する研修を企画し実施するほか、必要な普及啓発を行うこと。
二 医療分野経営力向上推進機関においては、医療分野の経営力向上に関する最新の知見の充実を図るため、これに関する情報の収集、整理及び分析並びに調査研究を行うこと。
三 医療分野経営力向上推進機関においては、医療分野経営力向上推進業務(医療分野に係る法第三十九条第一項に規定する事業分野別経営力向上推進業務をいう。以下同じ。)の運営に関し、主務大臣から改善に必要な措置を講ずべきことを命じられたときは、医療分野経営力向上推進業務の運営の改善に必要な措置を採らなければならないこと。
2 医療分野経営力向上推進業務の実施体制に関する事項
1に掲げる事項を実施できる体制であること。
3 医療分野経営力向上推進業務の実施に当たって配慮すべき事項
一 医療分野経営力向上推進機関は、医療分野経営力向上推進業務の実施に当たって、合理的な理由なく、特定の事業者を支援対象から外すことがないようにすること。
二 医療分野経営力向上推進機関は、業務上知り得た秘密の保持による信頼の確保を図ること。
改正文 (平成三〇年七月六日厚生労働省告示第二六三号) 抄
産業競争力強化法等の一部を改正する法律の施行の日(平成三十年七月九日)から適用することとしたので、同条第五項の規定に基づき公表する。
改正文 (令和元年七月一六日厚生労働省告示第六五号) 抄
中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年七月十六日)から適用することとしたので、中小企業等経営強化法第十八条第五項の規定に基づき公表する。
改正文 (令和二年九月三〇日厚生労働省告示第三四一号) 抄
中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律の施行の日(令和二年十月一日)から適用することとしたので、同条第五項の規定に基づき公表する。
改正文 (令和三年七月三〇日厚生労働省告示第二九八号) 抄
産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行の日(令和三年八月二日)から適用することとしたので、同条第五項の規定に基づき公表する。