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○社会福祉法に基づく市町村における包括的な支援体制の整備に関する指針

(平成二十九年十二月十二日)

(厚生労働省告示第三百五十五号)

社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第百六条の三第二項の規定に基づき、社会福祉法に基づく市町村における包括的な支援体制の整備に関する指針を次のように定め、平成三十年四月一日から適用することとしたので、同項の規定により、公表する。

社会福祉法に基づく市町村における包括的な支援体制の整備に関する指針

地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第五十二号)により、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号。以下「法」という。)の一部が改正され、市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者(以下「地域住民等」という。)並びに地域生活課題の解決に資する支援を行う関係機関(以下「支援関係機関」という。)による地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制を整備するよう努めるものとされた。具体的には、市町村は、法第百六条の三第一項各号に掲げる事業の実施を通じ、包括的な支援体制の整備を推進することとなるが、本指針は、その適切かつ有効な実施を図るため、事業内容、留意点等を示すものである。

法第百六条の三第一項各号に掲げる事業、とりわけ同項第一号に掲げる事業についてはこれまでも様々な取組が実施されてきたと考えられるが、当該既存の取組も含めたそれぞれの取組について、いわば「点」として個々に実施するのではなく、いわば「面」としてそれぞれを連携させて実施していく必要があることに留意されたい。また、第一から第三までの内容については、地域において必要となる機能・取組を示すものであり、それらを同一の機関が担うこともあれば、別々の機関が担うこともあるなど、地域の実情に応じて様々な方法が考えられる。市町村における包括的な支援体制の整備については、地域の関係者が話し合い、共通認識を持ちながら計画的に推進していくことが求められるが、その際、市町村地域福祉計画の策定過程を活用することも有効な方策の一つである。

第一 地域福祉に関する活動への地域住民の参加を促す活動を行う者に対する支援、地域住民等が相互に交流を図ることができる拠点の整備、地域住民等に対する研修の実施その他の地域住民等が地域福祉を推進するために必要な環境の整備に関する事業

一 事業内容

市町村は、「住民に身近な圏域」において、地域住民等が主体的に地域生活課題を把握して解決を試みることができる環境を整備するため、次の取組等を実施する。

1 地域福祉に関する活動への地域住民の参加を促す活動を行う者に対する支援

地域住民が地域生活課題を自らの課題として主体的に捉え、解決を試みることができるよう、地域住民、地縁組織その他地域づくりに取り組む組織等の地域の関係者に対して、必要な働きかけや支援を行う者の活動の支援を行う。

2 地域住民等が相互に交流を図ることができる拠点の整備

地域生活課題を早期に発見し、適切な対応を行うため、地域住民等が気軽に交流を図ることができる場や、地域住民と社会福祉分野等の専門職が話し合う場ともなる地域住民の活動拠点の整備を支援する。

3 地域住民等に対する研修の実施

地域生活課題に関する学習会の実施等を通じ、地域住民等の地域福祉に関する活動に対する関心の向上及び当該活動への参加を促すとともに、当該活動を更に活性化させる。

二 留意点

一の「住民に身近な圏域」とは、地域の実情に応じて異なると考えられ、地域で協議して決めていく過程が必要である。例えば、小学校区域、合併や統廃合で小学校区域が大きくなっている地域では自治会単位など、地域によって異なってくるものと考えられる。

また、地域の課題を地域で解決していくためには、そのための財源についても考える必要があり、地域づくりに資する事業を一体的に実施するなど各分野の補助金等を柔軟に活用していくことや、共同募金によるテーマ型募金、クラウドファンディング、ソーシャル・インパクト・ボンド等を取り入れていくことも考えられる。

第二 地域住民等が自ら他の地域住民が抱える地域生活課題に関する相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、必要に応じて、支援関係機関に対し、協力を求めることができる体制の整備に関する事業

一 事業内容

市町村は、地域活動を通して把握された地域住民が抱える地域生活課題に関する相談について、包括的に受け止め、情報提供や助言を行うとともに、必要に応じて支援関係機関につなぐことのできる体制を整備するため、次の取組を実施する。

1 地域住民の相談を包括的に受け止める場の整備

「住民に身近な圏域」において、地域住民の相談を包括的に受け止める場を整備する。地域住民の相談を包括的に受け止める場については、地域住民のボランティア、市町村社会福祉協議会の地区担当、地域包括支援センター、障害者の相談支援事業所、地域子育て支援拠点、利用者支援事業(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第五十九条第一号に規定する事業をいう。)の実施事業所等の福祉各制度に基づく相談支援機関、社会福祉法人、NPO等が担うことが考えられるが、地域の実情に応じて協議し、適切に設置する必要がある。

2 地域住民の相談を包括的に受け止める場の周知

「住民に身近な圏域」において地域住民の相談を包括的に受け止める場の名称、所在地、担い手、役割等を明確にするとともに、地域住民等に広く周知する。

3 地域の関係者等との連携による地域生活課題の早期把握

民生委員・児童委員、保護司等の地域の関係者、関係機関等と連携し、地域生活課題を抱えながらも相談に来られない者や自ら支援を求めることができない者について、地域住民の相談を包括的に受け止める場が把握できる体制を整備する。

4 地域住民の相談を包括的に受け止める場のバックアップ体制の構築

「住民に身近な圏域」において地域住民の相談を包括的に受け止める場のみでは解決が難しい地域生活課題については、法第百六条の三第一項第三号の支援体制と連携・協働し、適切な支援関係機関につなぐことにより、課題解決を行うことができる体制を整備する。

二 留意点

一の「住民に身近な圏域」については、第一の二で述べたとおりである。

また、「住民に身近な圏域」において地域住民の相談を包括的に受け止める場の運営を地域住民が担う場合には、ソーシャルワーカーによる支援が受けられる体制を整備する必要があり、地域包括支援センター等の支援関係機関が対象者を限定せず、地域住民の相談を包括的に受け止める場を担う場合には、自らの専門分野に偏ることなく横断的に相談を受け止めることや、相談者が抱える課題だけでなく、その者の属する世帯全体の抱える課題や近隣住民との関係等その世帯全体を取り巻く環境も含めて課題を捉えること等に留意する必要がある。

なお、地域住民の相談を包括的に受け止める場の整備を進めるに当たっては、分野を超えた課題に対応するため、地域づくりに資する事業を一体的に実施するなど各分野の補助金等の柔軟な活用も有効であると考えられる。

第三 生活困窮者自立支援法第三条第二項に規定する生活困窮者自立相談支援事業を行う者その他の支援関係機関が、地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制の整備に関する事業

一 事業内容

市町村は、「住民に身近な圏域」において地域住民の相談を包括的に受け止める場等では対応が難しい複合的で複雑な課題、制度の狭間にある課題等を受け止める相談体制を整備するため、次の取組を実施する。

1 支援関係機関によるチーム支援

複合的で複雑な課題の解決のためには、専門的・包括的な支援が必要であり、市町村域における支援関係機関等で支援チームを編成し、協働して支援する。その際、協働の中核を担う機能が必要であり、例えば、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援機関や地域包括支援センター、基幹相談支援センター、社会福祉協議会、社会福祉法人、医療法人、NPO、行政等の様々な機関が担うことがあり得るが、地域の実情に応じて協議し、適切な機関が担うことが求められる。

2 支援に関する協議及び検討の場

支援関係機関で構成される支援チームによる個別事案の検討の場等については、既存の場の機能の拡充や、協働の中核を担う機関の職員が既存の場に出向いて参加する方法のほか、新たな場を設ける方法も考えられる。

3 支援を必要とする者の早期把握

「住民に身近な圏域」において地域住民の相談を包括的に受け止める場や、民生委員・児童委員、保護司等の地域の関係者、関係機関等と連携し、複合的で複雑な課題を抱え、必要な支援につながっていない者を早期に把握できる体制を構築することが必要である。

4 地域住民等との連携

複合的で複雑な課題を抱えた者への支援に当たっては、公的制度による専門的な支援のみならず、地域住民相互の支え合いも重要であり、地域住民、ボランティア等との連携・協働も求められる。

二 留意点

誰もが役割を持ち、活躍できる地域共生社会の実現に向けては、これまで「支えられる側」であった人が、「支える側」にも変化し、年齢や属性、状態像にかかわらず、その人らしく生活できる地域をつくっていく視点が重要であり、そのためには、福祉分野と福祉以外の分野との協働を通じた、働く場や参加する場の創造に向けた取組が求められる。

また、支援関係機関等の協働による支援体制の整備を進めるに当たっては、分野を超えた課題に対応するため、地域づくりに資する事業を一体的に実施するなど各分野の補助金等の柔軟な活用も有効であると考えられる。

第四 市町村における包括的な支援体制の整備に対する都道府県の支援

都道府県は、単独の市町村では解決が難しく専門的な支援を必要とする、医療的ケアを要する状態にある児童及び難病・がん患者や、身近な地域では当事者が声を上げにくく、特段の配慮が必要となる配偶者からの暴力を受けた者、刑務所出所者等に対する支援体制を市町村と連携して構築していくことが求められる。

また、都道府県域で推進していく独自施策の企画・立案や、市町村間の情報共有の場づくり、市町村への技術的助言等の役割を果たしていくことも期待される。

改正文 (平成三〇年九月二八日厚生労働省告示第三四二号) 抄

平成三十年十月一日から適用する。