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○民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うための指針

(平成二十九年十一月二十七日)

(厚生労働省告示第三百四十一号)

民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成二十八年法律第百十号)第三十七条の規定に基づき、民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うための指針を次のように定め、平成三十年四月一日から適用することとしたので、同条の規定に基づき告示する。

民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うための指針

第一 基本的な考え方

一 児童福祉における養子縁組の制度の意義

児童の権利に関する条約(平成六年条約第二号)第三条第一項において、児童に関するすべての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとされている。

また、同条約第二十一条においては、養子縁組の制度について、児童の最善の利益について最大の考慮が払われることを確保するものとされている。

これらを踏まえ、平成二十八年の児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の改正(以下「平成二十八年改正」という。)においては、児童が権利の主体として位置づけられるとともに、家庭養育の優先について規定されたところであり、こうした観点から養子縁組の制度を捉える必要がある。

このように、児童福祉における養子縁組の制度の意義は、保護者のない児童又は家庭に恵まれない児童に温かい家庭を与え、かつその児童の養育に法的安定性を与えることにより、児童の健全な育成を図ることであり、養子縁組(児童を養子とする養子縁組をいう。以下同じ。)は、専ら児童の福祉の観点に立って行われなければならないものである。

二 養子縁組のあっせんに係る法制度

養子縁組のあっせんについては、従来から、児童福祉法第三十四条第一項第八号において、営利を目的として児童の養育をあっせんする行為が禁止されてきた。また、養子縁組のあっせんを業として行う際には、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第三項第二号に規定する児童の福祉の増進について相談に応ずる事業に該当し、第二種社会福祉事業としての規制に服することとされてきた。

しかしながら、養子縁組に際し、民間の養子縁組あっせん事業者が大きな役割を果たしている一方で、一部の事業者による不適切な事案が生じていたことを踏まえ、民間あっせん機関(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成二十八年法律第百十号。以下「法」という。)第二条第五号の民間あっせん機関をいう。以下同じ。)による養子縁組のあっせんに係る児童の保護を図るとともに、あわせて民間あっせん機関による適正な養子縁組のあっせんの促進を図り、以て児童の福祉の増進に資するため、法が制定された。法では、第三条第一項において、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんは、児童の福祉に関する専門的な知識及び技術に基づいて児童の最善の利益を最大限に考慮し、これに適合するように行われなければならないことが明示された。

また、これを実現するため、法第六条及び第四十一条において、養子縁組あっせん事業を行おうとする者は、都道府県知事、指定都市市長又は児童相談所設置市市長(以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならないこととされた。

三 国内におけるあっせんの優先

児童の権利に関する条約第二十一条(b)において、児童がその出身国内において里親若しくは養家に託され又は適切な方法で監護を受けることができない場合には、これに代わる児童の監護の手段として国際的な養子縁組を考慮することが認められている。また、法第三条第二項において、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんは、可能な限り日本国内において児童が養育されることとなるよう行われなければならないこととされており、民間あっせん機関はこれらに従って養子縁組のあっせんを行うことが必要である。具体的には、児童相談所や他の民間あっせん機関と連携して日本国内在住の養親希望者を探すなど、日本国内における養子縁組の可能性を十分に模索し、それでもなお日本国内での養子縁組が見込めない場合に限り、国際的な養子縁組が認められるものである。

四 営利目的の養子縁組のあっせんの禁止

刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百二十六条の二において、人身売買に係る刑罰について規定されているとともに、児童福祉法第三十四条第一項第八号において、営利を目的として児童の養育をあっせんする行為の禁止について規定されている。これらを踏まえ、民間あっせん機関は、人身売買又は営利を目的とした養子縁組のあっせんを行うことはもとより、それらを示唆するような宣伝広告又は説明を行ってはならない。

五 特別養子制度に係る留意点

民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二第一項に規定する特別養子縁組(以下「特別養子縁組」という。)については、令和元年の民法の改正において、養子となる者の年齢の上限が原則として十五歳未満、養子となる者が十五歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、十五歳に達するまでに民法第八百十七条の二に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは十八歳未満に引き上げられるとともに、家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第百六十四条第二項に規定する特別養子適格の確認の審判(以下「特別養子適格の確認の審判」という。)を新設する等の改正が行われた。ただし、養子となる者の年齢の上限の引上げにかかわらず、児童の最善の利益を図る観点から、法律上の親子関係を成立させることが望ましいと考えられる場合、速やかに特別養子縁組に係る家庭裁判所への申立てが行われる必要があることに留意する必要がある。また、特別養子縁組成立後も含め、児童の年齢や発達段階に応じて、適切な支援を行うとともに、児童相談所等の関係機関と必要な連携を図る必要がある。

第二 児童の父母等に対する相談・支援

児童の権利に関する条約第七条第一項においては、児童はできる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有するとされている。

これを踏まえ、平成二十八年改正においては、まずは児童が家庭において健やかに養育されるよう保護者を支援し、家庭における養育が適当でない場合は、児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう必要な措置を講じ、これらの措置が適当でない場合、児童ができる限り良好な家庭的環境で養育されるよう必要な措置を講じることとされた。

養子縁組のあっせんを行うに当たっては、これらの規定の趣旨を十分に尊重することが必要である。このため、民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんを行うに当たって、次の事項を遵守しなければならない。

一 児童の父母等による養育の可能性の模索

養子縁組は、児童の父母等(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律施行規則(平成二十九年厚生労働省令第百二十五号。以下「規則」という。)第一条第二項第四号に規定する父母等をいう。以下同じ。)が自ら養育することの可能性や養子縁組を行うことによる当該児童の利益等について十分熟慮した上で決定されることが必要である。

このため、児童の父母等が養子縁組に関し意思決定を行う前に、児童の父母等に対して、その経済的な問題や子育ての問題を解決するための児童相談所、福祉事務所等による公的な支援を受けながら自ら養育することができる可能性や、自ら養育しない場合に児童の里親委託等の選択肢をとり得る可能性について説明を行うこと。

また、これと並行して、当該児童の発達段階、当該児童が児童虐待(児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待をいう。以下同じ。)を受けた事実の有無、児童の父母等の生活状況等を考慮し、必要に応じて、児童相談所、福祉事務所等の関係機関に連絡をとるなど、当該児童及びその父母等に対し、適切な支援が提供されるようにするための措置を講ずること。

児童の父母等が自ら養育する意思を固めた場合においては、当該児童の父母等及びその親族の状況や収入等の養育環境を確認し、児童の安全や健全な育成の観点から支援が必要と認められる場合には、児童相談所、福祉事務所等の関係機関へ連絡するなどの必要な対応を採ること。児童の父母等が養子縁組のあっせんを希望する意思を固めた場合においても、当該児童の父母等に対し、適切な支援が提供されるよう、同様の措置を講ずること。

児童の父母等が養子縁組のあっせんに同意するか否かについて考える時間と環境が与えられることは重要であり、児童の出生後に同意を得ることを原則とする法第二十七条の趣旨に鑑み、生まれた児童とその父母等との交流を禁止してはならないこと。

二 養子縁組のあっせんを希望する場合の児童の父母等の同意

児童の父母等による児童の養育の可能性を十分に模索した上で、児童の父母等が養子縁組のあっせんを希望する場合には、次の事項を遵守し、児童の父母等の同意を得ること。

(一) 児童の父母等の同意を得るに際しては、養子縁組の制度や養子縁組によって生じる効果、あっせんの手続、徴収する手数料、同意撤回時の費用負担の取扱い等について、面会の方法により、あらかじめ児童の父母等に対して丁寧に説明すること。

(二) 法第二十七条の規定に基づき、あっせんに係る児童の出生後、あっせんの各段階においてその意思を書面により確認すること。なお、児童の父母等の同意は、あっせんの各段階において、その都度得ることを原則とするが、事前の相談時における児童の父母等の発言等から、将来的に連絡が取れなくなり、同意を得ることが困難になる可能性が高い場合には、事前に同意を得ておくことも認められること。

(三) 縁組成立前養育(法第二十七条第七項の縁組成立前養育をいう。以下同じ。)の開始後に児童の父母等が同意を撤回した場合には、児童の心身への影響が大きいことから、同条第十一項の規定により一括同意を得た場合等、事前に児童の父母等から縁組成立前養育を行うことについての同意を得ている場合であっても、縁組成立前養育に先立ち、改めて縁組成立前養育を行うことへの同意について児童の父母等に確認するよう努めること。

三 同意に係る禁止行為

法第二十七条第十二項の規定に基づき、同条の規定による同意をした者は、養子縁組のあっせんに係る児童についてその養子縁組が成立するまでの間、いつでもその同意を撤回することができることとされている。これを踏まえ、児童の父母等の熟慮や法第二十七条の規定による同意の撤回を妨げる行為として次に掲げる行為をしてはならないものであること。

(一) 期限までに法第二十七条の規定による同意が無ければ養子縁組のあっせんを行わないこととして児童の父母等に当該期限までに早急に同意するよう求めること。

(二) 児童の父母等に対し法第二十七条の規定による同意の撤回を禁止すること。

(三) 児童の父母等による法第二十七条の規定による同意の撤回を困難にすることを目的として、その撤回に当たり追加の費用を求めたり、心理的な圧迫を加えたりすること。

第三 あっせん前の児童の一時的な養育

一 児童を養親希望者に引き渡すまでの期間、児童の父母等が当該児童を監護する場合には、当該児童が要支援児童であることを踏まえ、民間あっせん機関は当該児童の父母等に対して、できる限り良好な環境で当該児童が監護されるよう、その経済的な問題や子育ての問題を解決するための相談その他の支援を継続して行わなければならない。

また、児童の父母等及び児童の状況に応じて、児童相談所、福祉事務所等の関係機関と連携を図り、必要な支援を行わなければならない。

二 児童を養親希望者に引き渡すまでの期間、民間あっせん機関が当該児童を監護する場合には、法第二十八条において、当該児童が適切に養育されるよう必要な措置を講じなければならないこととされている。

当該児童については、乳児院、児童養護施設その他の施設(以下この二において「乳児院等」という。)に入所させることが望ましいが、それができない場合には、乳児院等に準じた環境において児童を監護しなければならない。その場合の職員配置、設備及び衛生管理等については、乳児院等の基準に準じたものとなるよう努めるとともに、児童の状況に応じて、児童相談所、福祉事務所等の関係機関と連携を図り、必要な措置を講じなければならない。

また、民間あっせん機関は、児童を三月以上(乳児については、一月以上)同居させる場合、児童福祉法第三十条に基づき同居児童の届出を行わなければならない。

第四 養子縁組希望者による児童の養育等

一 養子縁組あっせん前の養親希望者への情報提供・研修等

(一) 養子縁組希望者への説明・情報提供

養子縁組あっせん事業の運営に関しては、透明性の確保が求められていることから、民間あっせん機関は、支援内容や支援を受けるのに必要な手数料等について、インターネットを利用する方法等により公表するとともに、養親希望者に対しては、書面を交付する方法等により説明しなければならない。

特に、養親希望者に対しては、養子縁組に関する詳細な内容、養子縁組のあっせんの手続、徴収する手数料、あっせん後の支援内容、家庭裁判所への申立て方法等について、丁寧に情報提供を行わなければならない。

(二) 研修

法第二十六条において、民間あっせん機関は、児童の養育を適切に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な厚生労働大臣が定める基準を満たす課程により行われる研修を修了していない養親希望者に対する養子縁組のあっせんを行ってはならないこととされている。

養親が安心して児童を養育し、児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育される権利が十分に保障されるよう、養子縁組の成立前における養親希望者への研修や支援が重要である。

このため、民間あっせん機関においては、養親希望者に対し、当該研修をはじめ、情報の提供、助言その他の必要な支援を行わなければならない。

二 養親希望者の適性の確認

民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんを行う前に、養親希望者及びその全ての同居家族と面会を行うとともに、少なくとも一度は養親希望者の家庭訪問を行い、養親希望者及びその全ての同居家族の意向、家庭状況等を把握し、養親として適切な養育ができることを確認しなければならない。

養親希望者の適性の確認に当たっては、養親希望者が一定の年齢に達していること、夫婦共働きであること、特定の疾病に罹患した経験があること等をもって排除してはならず、子どもの成長の過程に応じて必要な気力、体力、経済力等が求められること等、養親希望者と将来の見通しを具体的に話し合いながら適否を検討しなければならない。

三 養子縁組希望者による養育の開始

民間あっせん機関は、適性が確認された養親希望者による児童の養育を開始するに当たり、養親希望者による児童の養育を開始する前に、次の事項を遵守しなければならない。

(一) 養親希望者からの養子縁組のあっせんの申込みがあった時からの当該養親希望者の家庭状況の変化等について確認を行うとともに、児童と養親希望者の交流や関係調整を十分に行うこと。

(二) 養親希望者が安心して養育を行えるようにするため、民間あっせん機関が養親希望者に対して、児童の養育環境に関する情報や児童の心身の健康に関する情報、養子縁組を必要とする理由その他の児童の養育に必要な情報について、十分に提供することが重要であることから、民間あっせん機関は、児童の父母等からの聞き取り等により、これらの情報について十分に把握するとともに、養親希望者に対して適切に情報を提供すること。

四 縁組成立前養育における支援

養親希望者による養育が開始された後は、養親希望者と児童の関係は日々の生活の中で、様々な状況に直面することとなるため、民間あっせん機関は養親希望者と児童を定期的に訪問し、監護の状況を確認し、養親希望者の居住地を管轄する児童相談所等の関係機関と連携しながら、必要に応じて相談援助(法第二十三条の相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。

児童の最善の利益を図る観点から、法律上の親子関係を成立させることが望ましいと考えられる場合、速やかに養子縁組に係る家庭裁判所への申立てが行えるよう、養親希望者に対して、必要な支援を行わなければならない。

また、支援を行っても、養親希望者と児童との関係が良好でない、児童の父母等が法第二十七条第七項の規定による同意を撤回した等のために縁組成立前養育が中止された場合には、養親希望者と児童の双方に対して丁寧なケアを行わなければならない。さらに、児童の安全や健全な育成の観点から支援が必要と認められる場合には、児童相談所、福祉事務所等の関係機関に連絡をするなどの必要な対応を採らなければならない。

第五 養子縁組の成立後の支援等

一 養子縁組の成立後の支援

養親が安心して児童を養育し、児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、法第三十三条において、民間あっせん機関は、養子縁組の成立後においても、養親及び児童に対して、その求めに応じ、必要な支援を行うよう努めるものとされている。具体的には、定期的な訪問を行うなど関係性の維持を図るとともに、養親が、自らが養親であること等について、いつ児童に告知すべきか等児童の発達段階に応じた悩みに対する助言その他の必要な支援を行わなければならない。また、こうした支援は、養子縁組の成立の日から六月が経過するまではもとより、それ以後も継続的に行わなければならない。

遠隔地の養親に係る養子縁組をあっせんした場合には、定期的・継続的な支援が困難である場合も考えられるため、養子縁組の成立前から、養親の居住地を管轄する児童相談所等の関係機関と養親との関係作りを行い、養子縁組の成立後も継続的に支援が行えるような体制を整えなければならない。

また、児童の父母等に対して、支援が必要と認められる場合には、福祉事務所等の関係機関へ連絡するなどの必要な対応を採らなければならない。

二 出自を知る権利

児童の権利に関する条約第七条第一項において、児童はできる限りその父母を知る権利を有することとされている。

このため、民間あっせん機関は、児童が、自らが養子であること等について、確実に養親から告知されるよう必要な支援を行うとともに、養子となった児童から、自らの出自に関する情報を知りたいとの相談があった場合には、丁寧に相談に応じた上で、当該児童の年齢その他の状況を踏まえ、自らの出自に関する情報を提供するのに適当なタイミングであるか否か等について、適切な助言を行いつつ、対応しなければならない。

特に、未成年者が、自らの出自に関する情報を求めてきた場合は、養親と相談の上、年齢や発達段階を踏まえて相談に応じ、適切な助言を行いつつ、対応しなければならない。

第六 手数料の徴収等

一 営利を目的とした養子縁組のあっせんの禁止

営利を目的として行う養子縁組のあっせんは、児童福祉法第三十四条第一項第八号の規定により厳に禁止されている。営利を目的としているか否かについては、それぞれの事案ごとに民間あっせん機関が養親希望者等から受け取った金品の金額や支払われた状況、趣旨等を踏まえて個別的に判断する必要があるが、判断の際には次の事項を勘案するものとする。

なお、民間あっせん機関は、養子縁組あっせん事業が専ら児童の福祉のために行われるものであり、当該事業の運営に当たっては社会福祉事業としての公益性や透明性を求められていることを十分に理解し、外形的に営利を目的としていると疑われるような事業運営を行ってはならない。また、規則第三条第一項各号に規定する各手数料について、実際に養子縁組のあっせんに要した費用の額以下の額とすることは差し支えない。

(一) 法第九条第一項の規定のとおり、養子縁組のあっせんに関し、民間あっせん機関が徴収することができるのは、規則第三条第一項各号に規定する種類の手数料に限られ、それ以外の金品はいかなる名義であっても受け取ることができないものであること。

(二) 養親希望者又は児童の父母等が、手数料として請求される金額がいずれの費用に充当されるかを容易に理解できるものとするとともに、その内訳をあらかじめ養親希望者又は児童の父母等に説明すること。

(三) 公的支援の積極的な活用や効率的な事業運営により、事業の運営に要する費用の抑制に努めること。

(四) 人件費や事務費等については、安定的な事業運営のため真に必要な費用に限定されるものであり、役員報酬や顧問料、過大な人件費等は認められないものであること。

(五) 第三号手数料(規則第三条第一項第三号の第三号手数料をいう。以下この(五)において同じ。)を徴収する場合には、その手数料の総額が養子縁組あっせん事業に実際に要する費用の総額を上回ることがないよう、当該手数料の額を設定すること。また、第三号手数料の算定に用いる人件費、事務費等の個別に金額を計上することが困難な費用については、前事業年度の費用や養親希望者の延べ数を参考に、当該事業年度の養親希望者の数の推計で按分するなど、適切な方法によってあらかじめ算定すること。

二 寄附金、会費の取扱い

寄附金(事業の趣旨や目的に賛同してその支援のために提供される金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいい、支援金、謝礼等の名目のものを含む。以下この二において同じ。)や会費(目的を同じくする者同士が参集し行う会の開催や運営のために、出席者や会員が払う金銭等をいう。以下この二において同じ。)は任意のものに限られるべきであり、養子縁組のあっせんに関する手数料とは厳密に区別して取り扱うことが必要であるため、民間あっせん機関は、寄附金又は会費について、次の事項を遵守しなければならない。

(一) 養親希望者及び児童の父母等から寄附金や会費等の名目の金品を受け取ることは、これらの任意性が損なわれる可能性があるため、行ってはならないこと。寄附金又は会費の支払いや支払いの約束を養子縁組のあっせんの条件や優先的に養子縁組のあっせんを行う条件としてはならないこと。

(二) 養子縁組が成立し、養子縁組のあっせんが終了した養親からの寄附金又は会費についても、請求し、又は受け取る金品が任意のものであることが確実に担保されるよう、次の事項を遵守すること。

イ 養子縁組の成立後、少なくとも六月は、養親から寄附金又は会費を受け取ってはならないこと。

ロ 養子縁組の成立後の養親及び児童に対する相談援助や、成長した児童に対する相談援助の実施の条件として寄附金又は会費を受け取ってはならないこと。

ハ 養子縁組の成立後の養親が、二人目以降の養子縁組のあっせんを希望する場合は、当該養親から寄附金又は会費を受け取ってはならないこと。

三 養子縁組に至らなかった養親希望者からの金品の授受

養子縁組に至らなかった養親希望者から金品を受け取る場合の取扱いは、養親希望者から金品を受け取る場合と同様の取扱いである。

第七 業務の適正な運営のための体制等

一 業務体制

(一) 人員体制

養子縁組あっせん事業は、単に養親希望者へ児童をあっせんすることにとどまらず、児童の父母等に対する相談援助、児童や養親希望者に対する家庭調査、養子縁組の成立により新たに親子となった者に対する相談援助、成長した児童に対する養子縁組のあっせん後の相談援助等を行わなければならないものである。

こうした養子縁組あっせん事業を適切に実施するため、社会福祉士、児童福祉法に定める児童福祉司となる資格を有する者、医師、保健師、助産師又は看護師である相談員を二名以上配置しなければならない。

なお、そのうち一名は社会福祉士を配置するよう努めなければならない。

(二) 関係機関との連携

児童の最善の利益を図る観点から、法第四条の規定に基づき、民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんについて、他の民間あっせん機関や児童相談所と連携及び協力するよう努めなければならない。特に、児童の父母等が児童を残して失踪した場合、児童が児童虐待を受けたと思われる場合等、当該児童が要保護児童又は児童虐待を受けたと思われる児童に当たる可能性がある場合には、児童福祉法第二十五条第一項又は児童虐待の防止等に関する法律第六条第一項の規定に基づき、これを児童相談所等に通告しなければならない。

また、民間あっせん機関は、法第三十二条及び第四十一条の規定に基づき、都道府県知事等に対して、養子縁組のあっせんの状況について報告しなければならないこととされているが、同条の規定に基づく報告のほか、問題が生じた際に速やかに対応できるよう、児童の父母等、養親希望者又は児童の支援を行うに当たり、児童相談所、福祉事務所等の関係機関と必要な連携を図らなければならない。

(三) 業務方法書の作成及び公表

民間あっせん機関は、養子縁組あっせん事業の実施に当たり、法第六条第三項第二号に規定する養子縁組あっせん事業の実施方法を記載した書類(以下この(三)において「業務方法書」という。)を作成し、公表するとともに、これに基づき事業を行わなければならない。

また、業務方法書に変更があった場合は、速やかに都道府県知事等に当該変更点について報告しなければならない。

二 文書管理

出自を知る権利を担保するため、養子となった者が、将来、自らが養子となった経緯等について知ることができるよう、民間あっせん機関は、法第十八条に規定する帳簿を永年で保管しなければならない。

また、法第三十九条第一項及び第二項の規定に基づく報告及び検査を実施する際に必要な書類として、個別の養子縁組のあっせんに係る契約書や養親希望者等に対する手数料の請求書、手数料の明細が記載された文書、実際に要した費用の積算の根拠となる領収書その他当該養子縁組のあっせんが適正に行われたことを証明する書類を、当該養子縁組のあっせん終了後少なくとも五年間は保管しなければならない。

三 業務の質に対する評価等

法第二十一条第一項の規定に基づき、民間あっせん機関は、業務の質について自ら評価を行うこととされており、事業の透明性を確保する観点からその結果について公表するとともに、同項の規定に基づき受けることとされている外部の評価機関による評価の結果も踏まえて、自らの事業運営における問題点を把握し、サービスの質の向上に努めなければならない。

また、社会福祉法第三条において、福祉サービスは利用者が心身ともに健やかに育成されるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならないとされており、サービスの質の向上に向けた不断の努力が求められるものである。

改正文 (令和二年三月二七日厚生労働省告示第一一七号) 抄

令和二年四月一日から適用することとしたので、同条の規定に基づき告示する。