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○医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針
(平成二十六年九月二十六日)
(厚生労働省告示第三百七十六号)
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の十四の規定に基づき、医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針を次のとおり定め、平成二十六年十月一日から適用する。
医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針
(目的)
第一条 この指針は、病院又は診療所の管理者が医師、看護師等の医療従事者その他の職員の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な勤務環境を改善する活動を促進することにより、医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置の適切かつ有効な実施を図り、もって安全で質の高い医療の提供に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この指針において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 医療勤務環境改善マネジメントシステム 病院又は診療所において、次に掲げる事項を体系的かつ継続的に実施する医療従事者の勤務環境の改善に係る一連の自主的活動に関する仕組みであって、当該病院又は診療所における業務実施に係る管理と一体となって運用されるものをいう。
イ 勤務環境の改善に関する方針(以下「改善方針」という。)の表明及び勤務環境の改善の実施に係る体制の整備
ロ 勤務環境に関する現状の分析(以下「現状分析」という。)、勤務環境の改善に関する目標(以下「改善目標」という。)の設定及び勤務環境の改善に関する計画(以下「改善計画」という。)の作成
ハ 改善計画の実施
ニ 改善目標の達成状況及び改善計画の実施状況の評価(以下「評価」という。)並びにこれを踏まえた改善目標及び改善計画等の見直し
二 手引書 医療勤務環境改善マネジメントシステムに関して、厚生労働省医政局長が定める手引書をいう。
(適用)
第三条 医療勤務環境改善マネジメントシステムに従って行う措置は、病院又は診療所を一の単位とし、組織全体の取組として実施することを基本とする。
(改善方針の表明)
第四条 病院又は診療所の管理者は、改善方針を表明し、当該病院又は診療所の医療従事者その他の職員に周知を図るものとする。
2 改善方針は、次の事項を含むものとする。
一 医療従事者の勤務環境の改善を通じて、医療従事者の確保及び定着並びに患者の安全及び健康の確保を図ること
二 当該病院又は診療所の医療従事者その他の職員の協力の下に、勤務環境を改善する活動を組織全体で実施すること
三 職種にかかわらず、医療従事者の勤務環境の改善を図ること
四 医療勤務環境改善マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施すること
(体制の整備)
第五条 病院又は診療所の管理者は、医療勤務環境改善マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施する体制を整備するため、次に掲げる事項を行うものとする。
一 当該病院又は診療所の管理者の適切な関与の下、当該病院又は診療所の実情に応じ、多様な部門及び職種の構成員により構成される協議組織(第十二条において「協議組織」という。)を設置(当該病院又は診療所における安全衛生委員会等の既存の組織を活用することを含む。)すること。
二 医療勤務環境改善マネジメントシステムの各過程ごとに必要な事項を記録し、その内容について当該病院又は診療所の医療従事者その他の職員が確認できるような体制を整備すること。
三 その他医療勤務環境改善マネジメントシステムに実効性を持たせるために必要な体制の整備を行うこと。
(現状分析)
第六条 病院又は診療所の管理者は、手引書に示された手法等を参考として、当該病院又は診療所における医療従事者の勤務環境に関する現状を定量的及び定性的に把握し、客観的に分析するものとする。
2 病院又は診療所の管理者は、前項の分析の結果を踏まえ、当該病院又は診療所全体の状況を勘案して優先的に実施する措置を決定するものとする。
(改善目標の設定)
第七条 病院又は診療所の管理者は、改善方針に基づき、次に掲げる事項を踏まえ、改善目標を設定し、当該目標においては、可能な限り一定期間に達成すべき到達点を明らかにするとともに、当該目標を医療従事者その他の職員に周知するものとする。
一 現状分析の結果
二 手引書に示された目標設定の際に留意すべき事項等
(改善計画の作成)
第八条 病院又は診療所の管理者は、改善目標を達成するため、現状分析等に基づき、一定期間に係る改善計画を作成するものとする。
2 改善計画は、改善目標を達成するための具体的な実施事項、実施時期、実施の手順等について定めるものであり、次に掲げる事項のうち、当該病院又は診療所の状況に応じて必要な事項を定めるものとする。
一 働き方の改善に関すること
二 医療従事者の健康の支援に関すること
三 働きやすさの確保のための環境の整備に関すること
四 働きがいの向上に関すること
五 その他必要な事項
3 改善計画は、手引書に示された留意事項、様式等を参考として作成するものとする。
(改善計画の実施)
第九条 病院又は診療所の管理者は、改善計画に定めた事項を適切かつ継続的に実施するものとする。
2 病院又は診療所の管理者は、改善計画の内容及びその進捗状況について当該病院又は診療所の医療従事者その他の職員に周知するとともに、その進捗状況を踏まえ、必要があると認めるときは、改善計画に定めた事項について修正するものとする。
(評価及び改善)
第十条 病院又は診療所の管理者は、手引書等を参考として、あらかじめ評価を実施する手順及びその実施者を定めるものとする。
2 評価の実施者は、改善計画の期間の終了時に評価を実施し、その結果について病院又は診療所の管理者に報告するものとする。
3 病院又は診療所の管理者は、次回の改善目標の設定及び改善計画の作成に当たって前項の評価の結果を反映する等の必要な改善を行うものとする。
(医療勤務環境改善マネジメントシステムの見直し)
第十一条 病院又は診療所の管理者は、前条の評価及び改善の結果を踏まえ、定期的に、当該病院又は診療所における医療勤務環境改善マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、改善方針の見直し等の医療勤務環境改善マネジメントシステムの全般的な見直しを行うものとする。
(医療従事者の参画)
第十二条 病院又は診療所の管理者は、改善目標の設定、改善計画の作成並びに評価の実施及びこれを踏まえた改善目標及び改善計画等の見直しに当たっては、協議組織の議を経るほか、あらかじめ当該病院又は診療所の医療従事者の意見を聴くこと等により、医療勤務環境改善マネジメントシステムの運用に係る医療従事者の参画を図るものとする。
(都道府県による支援の活用等)
第十三条 病院又は診療所の管理者は、この指針に定めるもののほか、医療勤務環境改善マネジメントシステムの運用に当たっては、医療法第三十条の二十一第一項に規定する医療従事者の勤務環境の改善に関する都道府県による支援を活用するとともに、手引書等を参考として、当該病院又は診療所の状況に応じた適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
(平二七厚労告一九五・一部改正)
改正文 (平成二七年三月三一日厚生労働省告示第一九五号) 抄
平成二十七年四月一日から適用する。