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○地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針

(平成二十六年九月十二日)

(厚生労働省告示第三百五十四号)

地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)第三条第一項の規定に基づき、地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針を次のように定める。ただし、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第八十三号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日までの間は、第1の二の1の(4)中「及び医療介護総合確保推進法第3条の規定(同法附則第1条第2号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の医療法第6条の2第3項並びに」とあるのは、「及び」とし、同条第六号に掲げる規定の施行の日までの間は、第2の二の2の(1)中「第8条第24項」とあるのは、「第8条第23項」とする。

地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針

目次

はじめに

第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的な方向に関する事項

一 医療及び介護の総合的な確保の意義

二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方

1 基本的な方向性

(1) 「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築

(2) サービス提供人材の確保と働き方改革

(3) 限りある資源の効率的かつ効果的な活用

(4) デジタル化・データヘルスの推進

(5) 地域共生社会の実現

(別添)ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿

2 行政並びに医療・介護サービス提供者等及び利用者を含む地域住民の役割

(1) 行政の役割

(2) サービス提供者等の役割

(3) サービス利用者を含む地域住民の役割

第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本となるべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保に関する事項

一 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の整合性の確保等

二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保等

1 計画の一体的な作成体制の整備

2 計画の作成区域の整合性の確保

3 基礎データ、サービス必要量等の推計における整合性の確保

第3 都道府県計画及び市町村計画の作成並びにこれらの整合性の確保に関する基本的な事項

一 都道府県計画及び市町村計画の作成に関する基本的な事項

1 都道府県及び市町村の関係部局相互間の連携

2 関係者の意見を反映させる仕組みの整備

二 都道府県計画及び市町村計画の基本的な記載事項

1 医療介護総合確保区域

2 医療及び介護の総合的な確保に関する目標及び計画期間

(1) 目標の設定

(2) 目標の達成状況

(3) 計画期間

3 目標達成のために実施する事業の内容、費用の額等

(1) 事業の内容

(2) 事業に要する費用の額

(3) 事業の実施状況

4 事業の評価方法

(1) 関係者からの意見聴取等の状況

(2) 事後評価の方法

三 都道府県計画及び市町村計画の整合性の確保

四 他の計画との関係

五 都道府県計画及び市町村計画の提出等

第4 公正性及び透明性の確保その他基金を充てて実施する都道府県事業に関する基本的な事項

一 基金に関する基本的な事項

1 関係者の意見が反映される仕組みの整備並びに公正性及び透明性の確保

2 基金と報酬(診療報酬及び介護報酬)等との関係

3 基金を充てて実施する事業の評価の仕組み

(1) 国における取組

(2) 都道府県における取組

(3) 市町村における取組

二 基金を充てて実施する事業の範囲

1 地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業及び地域医療構想の達成に向けた地域における病床数の変更を伴う取組を行う医療機関の運営の支援に関する事業

2 居宅等における医療の提供に関する事業

3 介護施設等の整備に関する事業

4 医療従事者の確保に関する事業

5 介護従事者の確保に関する事業

6 その他の事業

はじめに

持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(平成25年法律第112号)に基づく措置として、地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに地域包括ケアシステム(地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号。以下「医療介護総合確保法」という。)第2条第1項に規定する地域包括ケアシステムをいう。以下同じ。)を構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号。以下「医療介護総合確保推進法」という。)が成立した。

本方針は、医療介護総合確保法第3条第1項の規定に基づき、地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的な方向に関する事項、医療計画基本方針(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の3に規定する基本方針をいう。以下同じ。)及び介護保険事業計画基本指針(介護保険法(平成9年法律第123号)第116条第1項に規定する基本指針をいう。以下同じ。)の基本となるべき事項、都道府県計画(医療介護総合確保法第4条第1項に規定する都道府県計画をいう。以下同じ。)及び市町村計画(医療介護総合確保法第5条第1項に規定する市町村計画をいう。以下同じ。)の作成並びにこれらの整合性の確保に関する基本的な事項、都道府県計画、医療計画(医療法第30条の4第1項に規定する医療計画をいう。以下同じ。)及び都道府県介護保険事業支援計画(介護保険法第118条第1項に規定する都道府県介護保険事業支援計画をいう。以下同じ。)の整合性の確保に関する事項及び医療介護総合確保法第6条の基金(以下単に「基金」という。)を活用した地域における医療及び介護の総合的な確保を図るための都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)の事業が、公平性及び透明性を確保しつつ、実施されるようにすることを目的とするものである。

なお、本方針は、今後、地域医療構想(医療計画に定める地域における将来の医療提供体制に関する構想に関する事項をいう。以下同じ。)の作成や医療介護総合確保推進法による改正の施行状況等を勘案して、必要な見直しを行うものとする。

第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的な方向に関する事項

一 医療及び介護の総合的な確保の意義

我が国の医療・介護の提供体制は、世界に冠たる国民皆保険を実現した医療保険制度及び平成12年(2000年)に創設され社会に定着した介護保険制度の下で、着実に整備されてきた。一方、高齢化の進展に伴い疾病構造が変化し、これに併せて必要な医療・介護ニーズが変化するなど、医療・介護の提供体制を取り巻く環境は大きく変化している。

いわゆる団塊の世代が全て75歳以上となる令和7年(2025年)にかけて、65歳以上人口、とりわけ75歳以上人口が急速に増加した後、令和22年(2040年)に向けてその増加は緩やかになる一方で、既に減少に転じている生産年齢人口は、令和7年(2025年)以降さらに減少が加速する。

全国で見れば、65歳以上人口は令和22年(2040年)を超えるまで、75歳以上人口は令和32年(2050年)を超えるまで増加が続くが、例えば、要介護認定率や一人当たり介護給付費が急増する85歳以上人口は令和7年(2025年)まで75歳以上人口を上回る勢いで増加し、令和17年(2035年)頃まで一貫して増加する。また、外来患者数は令和7年(2025年)頃、入院患者数は令和22年(2040年)頃、在宅患者数は令和22年(2040年)以降に最も多くなる。

一方で、都道府県や2次医療圏単位で見れば、65歳以上人口が増加する地域と減少する地域に分かれ、入院・外来・在宅それぞれの医療需要も、ピークを迎える見込みの年が地域ごとに異なる。

生産年齢人口が減少していく中で、急激に高齢化が進行する地域もあれば、高齢化がピークを越える地域もあるなど、人口構成の変化や医療及び介護需要の動向は地域ごとに異なる。こうした地域の実情に応じた医療及び介護提供体制の確保を図っていくことが重要である。その際、中山間地域や離島では、地理的要因によって医療や介護の資源が非常にぜい弱な地域も存在することに留意する必要がある。

また、求められる患者・利用者の医療・介護ニーズも変化している。高齢単身世帯が増えるとともに、慢性疾患や複数の疾患を抱える患者、医療・介護の複合ニーズを有する患者・利用者が増加しており、医療・介護の連携の必要性が高まっている。

特に、認知症への対応については、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人やその家族の視点を重視しながら共生と予防を車の両輪として施策を推進していく必要がある。

また、人口構造が変化していく中で、医療保険制度及び介護保険制度については、給付と負担のバランスを図りつつ、両制度の持続可能性を確保していくことが重要である。

こうした中で、医療及び介護の提供体制については、サービスを利用する国民の視点に立って、ニーズに見合ったサービスが切れ目なく、かつ、効率的に提供されているかどうかという観点から再点検していく必要がある。また、高齢化が急速に進む都市部や人口が減少する過疎地等といったそれぞれの地域の高齢化の実状に応じて、安心して暮らせる住まいの確保や自立を支える生活支援、疾病予防(医療保険者が行う高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第18条第1項に規定する特定健康診査等の保健事業を含む。二の1(3)において同じ。)・介護予防等との連携も必要である。

このように、いわゆる団塊の世代が全て75歳以上となる令和7年(2025年)、その後の生産年齢人口の減少の加速等を見据え、患者・利用者など国民の視点に立った医療・介護の提供体制を構築し、国民一人一人の自立と尊厳を支えるケアを将来にわたって持続的に実現していくことが、医療及び介護の総合的な確保の意義である。

二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方

1 基本的な方向性

(1) 「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築

医療機能の分化及び連携や地域包括ケアシステムの構築が進められてきたが、今般の新型コロナウイルス感染症対応において、地域における医療・介護の提供に係る様々な課題が浮き彫りとなった。

こうした課題にも対応できるよう、平時から医療機能の分化及び連携を一層重視して国民目線で提供体制の改革を進めるとともに、新興感染症等が発生した際にも提供体制を迅速かつ柔軟に切り替えることができるような体制を確保していくことが必要である。

入院医療については、まずは令和7年(2025年)に向けて地域医療構想を推進し、その上で、その後の生産年齢人口の減少の加速等を見据え、更に医療機能の分化及び連携を進めていくことが重要である。外来医療・在宅医療については、外来機能報告制度を踏まえ紹介受診重点医療機関の明確化を図るとともに、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行っていくことが重要である。これらについては、地域医療構想を更に推進する中で対応を進めるとともに、医療従事者の確保と働き方改革を一体的に進めていくことが重要である。また、医薬品の安定供給や提供体制の確保を図っていくことが必要である。

地域包括ケアシステムについては、介護サービスの提供体制の整備、住まいと生活の一体的な支援、医療及び介護の連携強化、認知症施策の推進、総合事業、介護予防、地域の支え合い活動の充実等を含めた地域づくりの取組を通じて、その更なる深化・推進を図っていくことが重要である。

人口構成の変化や医療・介護需要の動向は地域ごとに異なることから、医療及び介護の総合的な確保を進めていくためには、地域の創意工夫を活かせる柔軟な仕組みを目指すことが必要である。

国民の行動変容を促す情報発信、もしものときのために、本人が望む医療やケアについて、前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合う人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)の普及啓発等、患者・利用者など国民の視点に立った医療・介護の提供体制の整備を進めていくことが重要である。

(2) サービス提供人材の確保と働き方改革

令和22年(2040年)に向けて生産年齢人口が急減する中で、医療・介護提供体制の確保のために必要な質の高い医療・介護人材を確保するとともに、サービスの質を確保しつつ、従事者の負担軽減が図られた医療・介護の現場を実現することが必要となる。

医療従事者については、働き方改革の取組を進めるとともに、各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の整備やタスク・シフト/シェア、チーム医療の推進、復職支援等を進めていくことが重要である。介護従事者については、これまでの処遇改善の取組に加え、ICTや介護ロボット等の活用、手続のデジタル化等により介護現場の生産性向上の取組を推進し、専門性を生かしながら働き続けられる環境づくりや復職支援、介護の仕事の魅力創出や学校等と連携した魅力発信に取り組むとともに、いわゆる介護助手の導入等の多様な人材の活用を図ることで、必要な人材の確保を図っていくことが重要である。

このような取組を通じて、患者・利用者など国民の理解を得ながら、医療・介護サービス提供人材の確保と働き方改革を地域医療構想と一体的に進めることが重要である。

(3) 限りある資源の効率的かつ効果的な活用

人口減少に対応した全世代型の社会保障制度を構築していくことが必要である。急速に少子高齢化が進む中、医療及び介護の提供体制を支える医療保険制度及び介護保険制度の持続可能性を高めていくためには、限りある地域の社会資源を効率的かつ効果的に活用していく必要がある。

こうした観点からも、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築、複合的なニーズを有する高齢者への医療及び介護の効果的かつ効率的な提供、ケアマネジメントの質の向上を推進することが重要である。また、サービスの質を確保しつつ、人材や資源を有効に活用するため、介護サービスの質の向上、介護サービス事業者の経営の協働化・大規模化も有効である。さらに、国民自らも医療法第1条の2第2項及び第6条の2第3項並びに介護保険法第4条の規定の趣旨を踏まえ、医療及び介護の在り方に関心を持ち、疾病予防及び介護予防にも積極的に取り組んでいくことが望まれる。

(4) デジタル化・データヘルスの推進

オンライン資格確認等システムにおいては、患者の同意の下に、医療機関・薬局において特定健診等情報や薬剤情報等を確認し、より良い医療が提供される環境の整備が進められている。

また、介護についても、地域包括ケアシステムを深化・推進するため、介護情報を集約し、医療情報とも一体的に運用する情報基盤の全国一元的な整備を進めることとしている。

オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等に加え、予防接種、電子処方箋、自治体検診、電子カルテ等の医療(介護を含む。)全般にわたる情報について共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」を創設する方向が示されている。

医療・介護連携を推進する観点から、医療・介護分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、患者・利用者自身の医療・介護情報の標準化を進め、デジタル基盤を活用して医療機関・薬局・介護事業所等の間で必要なときに必要な情報を共有・活用していくことが重要である。

医療・介護提供体制の確保に向けた施策の立案に当たり、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)、公的データベース等やこれらの連結解析等を通じ、客観的なデータに基づいてニーズの分析や将来見通し等を行っていくEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)の取組が重要である。

(5) 地域共生社会の実現

孤独・孤立や生活困窮の問題を抱える人々が地域社会と繋がりながら、安心して生活を送ることができるようにするため、地域の包括的な支援体制の構築、いわゆる「社会的処方」の活用など「地域共生社会」の実現に取り組む必要がある。現に、従来からの地域包括ケアシステムに係る取組を多世代型に展開し、地域共生社会の実現を図る地方自治体も現れてきている。地域共生社会の実現に向けては、医療・介護や住まい、就労・社会参加、権利擁護など複合的な支援ニーズを抱える方を地域で支える基盤をより強固なものとしていくことが求められる。

医療・介護提供体制の整備については、住宅や居住に係る施策との連携も踏まえつつ、地域の将来の姿を踏まえた「まちづくり」の一環として位置付けていくという視点を明確にしていくことも重要である。

医療・介護提供体制の確保に当たっては、地域住民や地域の多様な主体の参画や連携を通じて、こうした「地域共生社会」を目指していく文脈の中に位置付けていくことが重要である。

(別添)ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿

2 行政並びに医療・介護サービス提供者等及び利用者を含む地域住民の役割

医療及び介護を総合的に確保するに当たっては、サービス利用者を含む地域住民を中心として、行政並びに医療機関及び介護サービス事業者等(薬局、訪問看護を行う事業者並びに医療及び介護の関係機関・団体を含む。以下「サービス提供者等」という。)が、それぞれの役割を踏まえつつ、一体となって取り組むことが重要である。

(1) 行政の役割

国は、医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針を定め、又はこれらを変更するに当たっては、医療・介護サービスを利用する国民の視点に立って、どの地域にあっても、切れ目のない医療・介護サービスの提供を安心して受けられる体制を構築していくこととする。また、基金を通じて都道府県及び市町村に対する財政支援を行うとともに、全国的な見地から、診療報酬及び介護報酬を通じて、医療及び介護の連携の促進を図っていく。さらに、都道府県及び市町村が医療及び介護に係る情報の分析を行うための基盤整備、医療及び介護の連携に関する先進的な取組事例の収集、分析、周知等を行っていく。

また、厚生労働省においては、本方針を踏まえ、国、地方を通じた保健・医療・薬務の担当部局と介護・福祉の担当部局間のより一層の連携を図っていく。さらに、より広い「まちづくり」という視点も踏まえ、関係省庁とも連携しながら地方自治体に対して必要な支援・助言を行うとともに、都道府県及び市町村においても、住宅部局をはじめとした関係部局と連携を進めていくことが重要である。

都道府県は、平成27年度以降、地域医療構想に基づき、病床の機能の分化及び連携を推進し、市町村と連携しつつ、質の高い医療提供体制を整備するとともに、広域的に提供される介護サービスの確保を図ることが求められる。また、都道府県は、市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業について、市町村単独では実施困難な取組に対し広域的に支援を行うことにより、医療及び介護の連携の推進を図るほか、地域包括ケアシステムの構築に向けた市町村の創意工夫を活かしつつその取組を支援し、地域包括ケアシステムを支える医療・介護人材の確保のために必要な取組を行うことが求められる。

市町村は、地域包括ケアシステムの実現のため、都道府県と連携しつつ、在宅医療・介護の提供や連携に資する体制の整備を図るとともに、高齢者の居住に係る施策との連携や地域支援事業(介護保険法第115条の45に規定する地域支援事業をいう。以下同じ。)等の実施を通じて、介護予防及び自立した日常生活の支援を行うための体制整備を進めていくことが求められる。

また、今後、都道府県及び市町村において、医療提供体制や地域包括ケアシステムの構築に向けた計画等の立案、評価等に携わる人材の育成を行うとともに、関係部署に適切な人材を配置していくことは重要である。国は、地方自治体職員に対する研修等を充実することにより、継続的な人材育成を支援していく必要がある。

さらに、国、都道府県及び市町村に共通の役割として、国民に対して、在宅医療等について理解を深めてもらえるよう、適時適切な情報提供及びわかりやすく丁寧な説明を行っていくことが求められる。

(2) サービス提供者等の役割

サービス提供者等は、利用者の視点に立って、入退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取り等の場面に応じて切れ目ない医療及び介護の提供体制を確保し、良質な医療・介護サービスを提供するとともに、限られた資源を効率的かつ効果的に活用するという視点や予防の視点を持つことも重要である。そのため、在宅医療・介護の提供や連携に資する体制を行政が整備するとともに、サービス提供者等の間で、利用者に関する情報や地域における様々な社会資源に関する情報を共有していく仕組みの構築及び活用を図り、サービス利用者に在宅医療等について理解を深めてもらえるよう適時適切な情報提供を行っていくことが重要である。また、医療・介護サービスを継続的に提供していくためには、人材の確保及び定着が重要であることから、キャリアアップの支援や魅力ある職場づくり等に取り組んでいくことも重要である。

(3) サービス利用者を含む地域住民の役割

医療・介護サービスの利用者は、当該サービスを支える費用負担者でもあるため、サービス利用に当たっては限られた資源を効率的かつ効果的に利用するという視点も持つことや、在宅医療等をはじめとした医療・介護サービスについて理解を深めていくよう努めることが重要である。

また、今後の少子高齢化の進展を踏まえれば、例えば、地域において、元気な高齢者が生活支援等に携わるボランティアとして活躍するなど、地域の構成員として、積極的な社会参加ができるようにしていくという視点や、世代を超えて地域住民が共に支え合う地域づくりを進めていくという視点も重要である。

第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本となるべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保に関する事項

一 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の整合性の確保等

これまでは、医療提供体制は主として都道府県が、介護提供体制は主として市町村が計画を作成してきたが、今後は、病床の機能の分化及び連携の推進による効率的で質の高い医療提供体制の構築並びに在宅医療・介護の充実等の地域包括ケアシステムの構築が一体的に行われるよう、医療計画、市町村介護保険事業計画(介護保険法第117条第1項に規定する市町村介護保険事業計画をいう。以下同じ。)及び都道府県介護保険事業支援計画の整合性を確保することが必要である。

また、それぞれの計画作成に当たっては、患者、介護サービス利用者及びその家族その他の関係者の参画を得ながら計画を作成するプロセスを重視するとともに、計画作成後も、適切な評価項目を設定して、定期的に事後評価が行えるようにすることが求められる。

二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保等

都道府県計画は、医療及び介護の総合的な確保に関する目標、当該目標の達成に必要な事業に関する事項について定めるものであることから、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画の考え方と整合性を図ることが必要である。

また、医療計画、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画については、平成30年度以降、計画作成・見直しのサイクルが一致したが、これらの計画の整合性を確保するためには、それぞれの計画において、医療及び介護の連携を強化するための以下の取組を推進していくことが重要である。

1 計画の一体的な作成体制の整備

医療計画、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画を一体的に作成し、これらの計画の整合性を確保することができるよう、都道府県や市町村における計画作成において、関係者による協議の場を設置し、一体的な計画が策定できるスケジュール調整も含めより緊密な連携が図られるような体制整備を図っていくことが重要である。

2 計画の作成区域の整合性の確保

医療・介護サービスの一体的な整備を行う観点から、医療計画で定める二次医療圏(一体の区域として入院に係る医療を提供する体制の確保を図る地理的な単位として区分する区域をいう。以下同じ。)と、都道府県介護保険事業支援計画で定める老人福祉圏域(介護給付等対象サービス(介護保険法第24条第2項に規定する介護給付等対象サービスをいう。)の種類ごとの量の見込みを定める単位となる圏域をいう。以下同じ。)を、可能な限り一致させるよう努める必要がある。

また、病床の機能の分化及び連携を進めるに当たり、交通事情等の社会的条件、高齢者の増加、地域における患者の流出入の状況、医療資源の地域偏在等により、一の都道府県の区域内で必要な医療提供体制の確保が困難である場合には、近隣の都道府県や広域の区域と連携する方策等を検討し、所要の体制整備を図っていくことも重要である。

3 基礎データ、サービス必要量等の推計における整合性の確保

医療及び介護の連携を推進するためには、計画作成の際に用いる人口推計等の基礎データや、退院後に介護施設等を利用する者、退院後又は介護施設等の退所後に在宅医療・介護を利用する者の数等の推計について、整合性を確保する必要がある。特に、病床の機能分化・連携に伴い生じる、在宅医療等の新たなサービス必要量に関する整合性の確保が重要である。市町村が市町村介護保険事業計画において掲げる介護の整備目標と、都道府県が医療計画において掲げる在宅医療の整備目標とを整合的なものとし、医療・介護の提供体制を整備していく必要がある。

第3 都道府県計画及び市町村計画の作成並びにこれらの整合性の確保に関する基本的な事項

一 都道府県計画及び市町村計画の作成に関する基本的な事項

1 都道府県及び市町村の関係部局相互間の連携

都道府県及び市町村は、都道府県計画又は市町村計画の作成に当たっては、医療及び介護の総合的な確保を図る観点から、保健・医療・薬務の担当部局と介護・福祉の担当部局が緊密に連携できるような体制を整備することが重要である。

また、在宅医療・介護の連携を推進する事業に関する事項については、都道府県の保健・医療・薬務担当部局及び介護・福祉担当部局と市町村の介護・福祉担当部局が連携して、整合性のある計画を作成していく必要がある。特に、在宅医療体制の整備、医療及び介護の連携に向けた取組等はこれまで市町村になじみが薄かったことから、都道府県がより広域的な立場から、保健所の活用等により、市町村の後方支援等を積極的に行うことが重要である。市町村相互間の連携に関しては、地域の実情に応じて、都道府県内の複数の市町村が連携して、市町村計画を共同作成することも考えられる。

2 関係者の意見を反映させる仕組みの整備

都道府県計画を作成し、又は変更する際には、公正性及び中立性を確保するため、医療介護総合確保法第4条第4項に規定する市町村長、医療又は介護を受ける立場にある者、医療保険者、医療機関、介護サービス事業者、診療又は調剤に関する学識経験者の団体その他の関係団体、学識経験を有する者その他の関係者から十分に意見を聴取する等、その意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

また、市町村計画を作成し、又は変更する際には、同法第5条第4項に規定する都道府県知事、医療又は介護を受ける立場にある者、医療保険者、医療機関、介護サービス事業者、診療又は調剤に関する学識経験者の団体その他の関係団体、学識経験を有する者その他の関係者から十分に意見を聴取する等、その意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

さらに、これらの意見の聴取等の際には、医療又は介護を受ける立場にある者及びその家族並びに地域住民の意見が反映されるよう、行政機関からわかりやすく丁寧な情報提供や説明を行うなどの配慮が求められる。

二 都道府県計画及び市町村計画の基本的な記載事項

1 医療介護総合確保区域

医療介護総合確保区域(医療介護総合確保法第4条第2項第1号に規定する医療介護総合確保区域をいう。以下同じ。)は、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件並びに医療機関の施設及び設備並びに介護施設等の整備の状況その他の条件から見て医療及び介護の総合的な確保の促進を図るべき区域である。

具体的には、都道府県における医療介護総合確保区域(以下「都道府県医療介護総合確保区域」という。)は、二次医療圏及び老人福祉圏域を念頭に置きつつ、地域の実情を踏まえて設定するものとする。また、市町村における医療介護総合確保区域(以下「市町村医療介護総合確保区域」という。)は、その住民が日常生活を営んでいる地域として日常生活圏域(介護保険法第117条第2項第1号の区域をいう。)を念頭に置いて設定するものとする。

2 医療及び介護の総合的な確保に関する目標及び計画期間

(1) 目標の設定

都道府県計画については、都道府県医療介護総合確保区域ごとの当該区域において、また、市町村計画については、市町村医療介護総合確保区域ごとの当該区域又は当該市町村の区域において、データに基づく地域の医療・介護ニーズや医療・介護資源に関する現状分析、将来予測等を行い、医療及び介護の総合的な確保に関する目標を設定するものとする。

当該目標の設定に当たっては、医療計画又は市町村介護保険事業計画若しくは都道府県介護保険事業支援計画において設定した目標と整合性を図るとともに、可能なものについては定量的な目標を定め、計画期間の年度ごとの進捗管理が適切に行えるようにするものとする。

(2) 目標の達成状況

都道府県計画及び市町村計画で設定した目標の達成状況及び目標が未達成の場合には改善の方向性を記載するものとする。

(3) 計画期間

都道府県計画及び市町村計画の計画期間は、基金を充てて実施する事業の進捗管理の観点から、原則として1年間とする。なお、個別の事業については、その内容に応じ実施期間を複数年とすることも可能とする。

3 目標達成のために実施する事業の内容、費用の額等

(1) 事業の内容

事業の内容は、第4の二の1から6までに掲げる事業のうち必要なものについて、当該事業の実施期間を付して記載するものとする。

(2) 事業に要する費用の額

都道府県計画及び市町村計画に記載された事業に要する費用の額及びそれらの総額を記載するものとする。

(3) 事業の実施状況

都道府県計画及び市町村計画で設定した事業の実施状況を記載するものとする。

4 事業の評価方法

(1) 関係者からの意見聴取等の状況

第3の一の2に定める関係者からの意見聴取の状況等、当該関係者等の意見を反映させるために講じた措置の具体的内容を記載するものとする。

(2) 事後評価の方法

都道府県計画又は市町村計画で設定した目標の達成状況及び事業の実施状況に係る事後評価の方法を記載するものとする。

三 都道府県計画及び市町村計画の整合性の確保

都道府県は、毎年度、市町村から医療及び介護の総合的な確保に関する事業の実施に関する要望を聴取するとともに、市町村が当該事業を実施する場合は、市町村計画に記載された事業を調整、とりまとめの上で、都道府県計画に盛り込むものとする。

また、都道府県は、市町村が市町村計画を作成する際に必要な支援・助言を行うとともに、都道府県計画及び市町村計画に記載された事業間の調整を行うものとする。

四 他の計画との関係

都道府県計画及び市町村計画を作成する際には、地域福祉計画(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第107条第1項に規定する市町村地域福祉計画及び同法第108条第1項に規定する都道府県地域福祉支援計画をいう。)、都道府県医療費適正化計画(高齢者の医療の確保に関する法律第9条第1項に規定する都道府県医療費適正化計画をいう。)、健康増進計画(健康増進法(平成14年法律第103号)第8条第1項に規定する都道府県健康増進計画及び同条第2項に規定する市町村健康増進計画をいう。)その他の法律の規定による計画であって医療及び介護の総合的な確保に関係する事項を定めるものと調和が保たれるものとすることが必要である。

五 都道府県計画及び市町村計画の提出等

都道府県は、都道府県計画を作成又は変更した場合、厚生労働大臣へ提出するとともに、速やかに公表するよう努めるものとする。また、市町村は、市町村計画を作成又は変更した場合、都道府県へ提出するとともに、速やかに公表するよう努めるものとする。

第4 公正性及び透明性の確保その他基金を充てて実施する都道府県事業に関する基本的な事項

一 基金に関する基本的な事項

1 関係者の意見が反映される仕組みの整備並びに公正性及び透明性の確保

基金については、その財源として、社会保障と税の一体改革による消費税増収分が充てられていることに鑑み、当該基金を充てて実施する事業が地域の医療・介護サービスに還元されることが地域住民に対して明確に示される必要がある。このため、基金を充てて実施する事業については、その決定に際し、関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、会議や議事録の公開等により決定プロセスの透明性を確保する必要がある。また、事業主体間の公平性を確保し、適切かつ公正に行われることが必要である。

2 基金と報酬(診療報酬及び介護報酬)等との関係

診療報酬及び介護報酬は、診療行為や介護サービスに対する対価として設定されるものであり、全国一律の点数及び単位設定が原則とされているため、それぞれの地域の実情を勘案した設定が難しい面がある。

他方、基金を充てて実施する事業は、病床の機能の分化及び連携の推進、在宅医療・介護の体制整備、医療・介護従事者の確保・養成等の地域における様々な課題の解決のため、それぞれの地域の実情に応じた創意工夫に対応しやすい面がある。

基金の活用に当たっては、こうした違いを踏まえる必要がある。また、同様に基金以外の各種の補助制度の活用に当たっても、それぞれの地域の医療・介護サービスの提供体制の構築に資する方法を考慮する必要がある。

3 基金を充てて実施する事業の評価の仕組み

(1) 国における取組

国は、都道府県計画に記載された目標の達成状況及び事業の実施状況についての検証を行い、都道府県に対して、推奨される事項、改善を図るべき事項等について必要な助言を行うとともに、その後のより効果的な基金の配分と事業実施に資するよう、適正な評価指標の設定等を行うものとする。

(2) 都道府県における取組

都道府県は、都道府県計画を作成し、基金を充てて事業を実施する場合には、各年度に事業ごとの実施状況を把握し、点検するとともに、第3の二の4の(2)に基づく事後評価を実施し、その結果を国に提出するとともに、公表するよう努めるものとする。

(3) 市町村における取組

市町村は、市町村計画を作成し、基金を充てて事業を実施する場合には、(2)の都道府県の事後評価に協力するものとする。

二 基金を充てて実施する事業の範囲

基金を充てて実施する事業の範囲は、医療介護総合確保法第4条第2項第2号及び第5条第2項第2号に掲げられている事業である。具体的には、以下の事業を対象として実施するものとする。

1 地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業及び地域医療構想の達成に向けた地域における病床数の変更を伴う取組を行う医療機関の運営の支援に関する事業

地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携については、医療機関の自主的な取組及び医療機関相互の協議により進められることを前提として、これらを実効性のあるものとするために基金を活用していく必要がある。

2 居宅等における医療の提供に関する事業

居宅等における医療の提供を推進するためには、退院後の生活を支える在宅医療を充実させるとともに、地域包括ケアシステムの構築のため、医療・介護サービス提供体制を一体的に整備していく必要がある。また、地域における介護との連携を含む医療連携体制の構築、そのための情報基盤の整備等を実施する事業に基金を活用していく必要がある。

また、在宅医療の提供体制の充実のためには、在宅医療に取り組む人材の確保及び育成を推進する観点から、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリテーション関係職種等に対する研修等を実施することが必要である。また、利用者にとってわかりやすく総合的な支援が行われる体制を確保するためには、医療従事者、医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員等に対する医療及び介護の連携を図るための研修や知識の普及等が重要であることを踏まえ、これらを実施する事業に基金を活用していく必要がある。

3 介護施設等の整備に関する事業

病床の機能の分化及び連携に伴って増加する退院患者に対応しつつ、また、今後急増する高齢単身世帯、夫婦のみの世帯、認知症高齢者等が可能な限り住み慣れた地域において継続して日常生活を営むことを可能とするため、地域密着型サービス(介護保険法第8条第14項に規定する地域密着型サービスをいう。)等、地域の実情に応じた介護サービス提供体制を整備していく必要があり、当該整備に必要と考えられる事業に基金を活用していく必要がある。

4 医療従事者の確保に関する事業

良質かつ適切な医療を提供する体制を構築するためには、地域医療支援センター(医師のキャリア形成支援と一体的に地域の医療機関の医師確保を支援するための拠点としての機能をいう。)等を活用した医師等の偏在の解消、医療勤務環境改善支援センター(医療従事者の勤務環境の改善を促進するための拠点としての機能をいう。)等を活用した医療機関の勤務環境の改善、チーム医療の推進、看護職員の確保等に取り組む必要があり、これらを実施する事業に基金を活用していく必要がある。

5 介護従事者の確保に関する事業

質の高い介護従事者の継続的な確保及び定着を進めていくためには、都道府県が、将来に向けた介護従事者の需給状況を把握した上で、介護事業者、医療・教育・労働分野等の関係機関と緊密な連携を図りつつ、多様な人材の参入促進、介護従事者の資質の向上及び労働環境の改善等を図るための施策を進めていく必要があり、これらを実施する事業に基金を活用していく必要がある。

6 その他の事業

その他地域における医療及び介護の総合的な確保のために実施する必要があるものとして、今後、厚生労働省令において定められる事業を必要に応じて実施することが求められる。

別添 ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿

いわゆる団塊の世代が全て75歳以上となる令和7年(2025年)に向けて、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築が進められてきたが、一方で、今般の新型コロナウイルス感染症対応において、地域における医療・介護の提供に係る様々な課題が浮き彫りとなった。

今後、医療・介護の複合的ニーズを有する85歳以上人口が急増し、また、高齢者の単独世帯も増加していく中で、例えば単身で暮らす複数の基礎疾患を持つ要介護の高齢者への急性期や感染症の対応など、新型コロナウイルス感染症対応は、このまま対策を講じなければいずれ直面するであろう医療・介護提供体制の課題を、現実に体験したものと捉えることもできる。他方、こうした危機の中にあって、医療・介護の現場あるいは現場と行政の間等で、密接な意思疎通が求められ、新たな形を含め様々な役割分担・連携・協力の取組が模索され、地域で実現したことも確かであり、今後の医療・介護提供体制の改革にこうした経験を活かしていくことが期待される。

今後、全国的には令和22年(2040年)頃に、高齢者人口がピークを迎える中で、医療・介護の複合的ニーズを有する高齢者数が高止まりする一方、生産年齢人口の急減に直面するという局面を迎えることとなる。さらに医療・介護提供体制の改革を進めていくに当たっては、こうした局面を視野に入れて、実現が期待される医療・介護提供体制の姿を関係者が共有した上で、そこから振り返って現在すべきことを考える形(バックキャスト)で具体的に改革を進めていくことが求められる。その際、医療・介護の提供体制を論ずべき地域単位でみれば、こうした変化のスピードや度合いは様々であり、地域ごとの人口構造やこれに伴う医療・介護需要の変化を見据えながら、地域ごとに適切に対応できるような形で改革を進めていく必要がある。また、既に減少に転じている生産年齢人口は令和7年(2025年)以降さらに減少が加速化することも踏まえると、必要なサービスを創出していく取組を続ける一方で、限りある人材等で増大する医療・介護ニーズを支えていくため、医療・介護提供体制の最適化や効率化を図っていくという視点も重要である。

「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」は、高齢者人口がピークを迎える中で、医療・介護の複合的ニーズを有する高齢者数が高止まりする一方、生産年齢人口の急減に直面するという局面において実現が期待される医療・介護提供体制の姿として現時点で想起し得るものを、患者・利用者など国民の目線で描いたものである。

1 ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿の3つの柱

○ ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿は、以下の3つの柱を同時に実現することを通じて、患者・利用者など国民が必要な情報に基づいて適切な選択を行い、安心感が確保されるものでなければならない。

① 医療・介護を提供する主体の連携により、必要なときに「治し、支える」医療や個別ニーズに寄り添った柔軟かつ多様な介護が地域で完結して受けられること

② 地域に健康・医療・介護等に関して必要なときに相談できる専門職やその連携が確保され、さらにそれを自ら選ぶことができること

③ 健康・医療・介護情報に関する安全・安心の情報基盤が整備されることにより、自らの情報を基に、適切な医療・介護を効果的・効率的に受けることができること

2 医療・介護を提供する主体の連携により、必要なときに「治し、支える」医療や個別ニーズに寄り添った柔軟かつ多様な介護が地域で完結して受けられること

(基本的考え方)

○ 医療・介護が必要な状態になっても、自分が住み慣れた地域において、「治し、支える」医療と個別ニーズに寄り添った多様な介護サービスなどの支援が、それぞれの機関が役割分担しながら、かつ、それらの機関が有機的に連携して、ニーズに応じて柔軟に提供される。こうした形で地域が医療・介護の連携体制によってカバーされ、いざというときにも、自らの生活の中で自分や家族を支えてくれる基盤が整っているということが、目に見える形で分かりやすく明らかになっている。

(「治し、支える」医療と医療・介護連携)

○ できる限り住み慣れた地域で、これまでの日常生活に近い環境で暮らし続けたいという国民の想いに応えるためには、入院医療で「治す」ことに特化した機能だけでなく、在宅医療や外来医療を含め「治し、支える」医療が、在宅復帰・在宅療養支援等を含む介護サービスや住まい、生活面での支援とともに地域で完結して提供される、地域包括ケアシステムが構築されている必要がある。

○ こうしたシステムが構築されていることで、例えば要介護になって在宅を中心に入退院を繰り返し(「ときどき入院、ほぼ在宅」)、最後は看取りを要することになっても、生活の質(QOL)を重視しながら、必要な医療・介護を受けることができる。「治し、支える」医療と個別ニーズに寄り添った介護の理念の下に地域包括ケアシステムが構築されていることが、住民の目から見て明らかになっていることが重要である。

(ポスト2025年を見据えた医療機能)

○ 入院医療については、令和7年(2025年)に向けて、4つの医療機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとに推計した病床の必要量を含む地域医療構想を策定し、これに基づき医療機能の分化・連携の取組が進められている。

また、外来医療については、地域における紹介受診重点医療機関の決定など、大病院への外来患者の集中を緩和するための取組が進められている。

こうした取組に加え、在宅医療を含め、身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行うかかりつけ医機能について、こうした機能が発揮される制度整備を行っていくこととされている。

○ 入院医療の中で急性期から回復期、慢性期に至る診療体制を構築するだけでは、「治し、支える」医療やこれと連携した介護を地域で完結して受けられる体制を構築していくことはできない。外来医療や在宅医療、介護保険施設における医療を含め、限りある医療資源が連携して最適化・効率化されていて、これが住民に分かりやすく共有されることで、患者もこれに応じて適切に医療にかかることができる。

○ こうした観点も含め、地域医療構想をアップデートし、これに基づき、さらに医療機能の分化・連携を進めていく必要がある。

○ また、医療・介護の複合的ニーズを有する高齢者が増加する中、要介護になっても、在宅を中心に生活を継続しながら、必要に応じて入退院を繰り返すこと、即ち「ときどき入院、ほぼ在宅」にも対応できるよう、こうした高齢者の入退院における対応について介護保険施設との協力や役割分担も含め検討していくことが必要である。

(地域包括ケアシステムの深化・推進)

○ 要介護認定率が上昇し、介護給付費が急増する85歳以上人口は、令和17年(2035年)頃まで一貫して増加していく。また、さらに増加が見込まれる認知症への対応は、本人だけでなく家族の視点も含め、国民の将来への不安の一因ともなっている。ポスト2025年を見据え、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援等が包括的に確保される地域包括ケアシステムを、各地域の実情に応じてさらに深化・推進させていく必要がある。

○ その際、できる限り住み慣れた地域で、これまでの日常生活に近い環境で暮らし続けたいという国民の想いに応えるためには、利用者の暮らし方、利用者の状態の変化やそれを支える周囲の状況等に応じて、柔軟に介護サービスが利用できるようにしていくという視点が重要である。

○ このためには、従来の施設と在宅という体系論を所与の前提とせず、改めて各種サービスが持つ機能に応じて、それが発揮できる制度の在り方を検討していくことが求められる。例えば、本人の希望や周囲の状況等に応じて選択できるよう、在宅の場合であっても通所・訪問・泊まり・看護などのサービスを一体として利用できるような選択肢を増やしていくことは、自宅等で暮らし続けながら、自らの状態や介護者の状況の変化に応じて柔軟にサービスを受けることを可能にするものと考えられる。

○ また、高齢者施設における適切な医療・介護サービスを確保していく観点からは、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院といった施設サービスのそれぞれの特性を踏まえつつ、その機能や施設入所者への医療提供、薬剤管理の在り方等を検討していくことが必要である。

○ さらに、認知症の方が増えていく中で、認知症とうまく付き合いながら地域で生活していける環境を整備するとともに、住み慣れた自宅や地域での介護を推進する観点から、居宅サービスやグループホームなどの地域密着型サービスの確保やユニットケアの促進、入院期間の短縮化等の介護サービスの受け皿や医療及び介護の連携等の在り方の検討を進め、認知症の方本人を中心に、家族や介護者、医療機関・薬局・介護施設等が協力して対応していける体制を構築することが必要である。

○ また、介護保険の給付対象となる介護サービスだけでなく、住まいや生きがいを持った生活への支援も含め、地域の中に住民主導のものも含めた様々な社会資源があり、これらについてケアマネジャー等が主体となって調整を行い、医療・介護サービス等が包括的に提供されるようにすることが重要である。こうした、地域包括ケアシステムについては、市町村や地域住民が主体となり、その運営に関わっていけるようにすることも重要である。

○ その際、住民がより長く生き生きと地域で暮らし続けることができるよう、介護予防、地域支援事業、地域の支え合い活動を含めた地域づくりの取組を充実させ、サービス提供者と利用者とが「支える側」と「支えられる側」という画一的な関係性に陥ることのないよう、高齢者の社会参加等を進めることで、世代を超えて地域住民が共に支え合う地域が形作られていくことが期待される。

(「治し、支える」医療や介護の担い手)

○ 必要なときに自らに寄り添った適切な医療・介護を受けることができるという実感を持てるためには、医療・介護を担う人材が、専門職としての知識や技能の基盤の上に、互いに連携しながら、生き生きと働いている姿を普段から目の当たりにできることが重要である。

○ ポスト2025年を見据え「治し、支える」医療や個別ニーズに寄り添った介護の理念の下に地域包括ケアシステムを推進していくことは、医療・介護に係る物的資源だけでなく、その限りある人的資源についても、必要なサービスへの再配置や再分配を含めた効率的な利用の実現を通じて、地域で必要な担い手の安定的な確保に資するものとなる。生産年齢人口が急減していく中で、サービスの質を確保しつつ、テクノロジーも活用し、従事者の負担軽減が図られた医療・介護の現場を実現していくことが必要である。

○ 医療の質や安全が確保され、持続可能な形で提供されるよう、労務管理の徹底や労働時間の短縮を通じて医師の健康を確保する医師の働き方改革を進めていくとともに、各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の整備や、タスク・シフト/シェアが図られ、医療従事者がチームとして医療現場を支える仕組みが構築される必要がある。オンライン診療等の遠隔医療などICTの活用を進めていくほか、医師の地域偏在・診療科偏在を是正していくことも必要である。

○ 介護についても、人が人を支えるというやりがいだけでなく、それに見合った処遇が確保され、介護現場に活気が生まれてこなければ、利用者から見て安心して暮らせる場とはならない。深刻な介護人材不足に向き合っていくためにも、専門性の高い従事者が適切な業務配分によりその専門性を十分に発揮できるよう、高齢者をはじめとする幅広い層の参画を通じた、いわゆる介護助手の活用の取組などタスクシェア・タスクシフトの促進やICT・介護ロボット等の活用、手続のデジタル化等により介護現場の生産性向上の取組を推進し、介護職員に対する相談支援等の環境整備を含めた働く環境の改善や復職支援に取り組む必要がある。それとともに、外国人の介護人材が円滑に就労・定着できる環境整備等を含め、多様な人材を適切に活用していく中で、資格と職務経験に応じた富士山型の人材活用を目指すなど、必要な人材の確保を図っていく必要がある。こうした取組をより効果的に推進し、サービスの質を確保しつつ、人材や資源を有効に活用するため、介護サービスの質の向上、介護サービス事業者の経営の協働化・大規模化も有効である。

3 地域に健康・医療・介護等に関して必要なときに相談できる専門職やその連携が確保され、さらにそれを自ら選ぶことができること

(基本的考え方)

○ 健康・医療・介護に関して何か不安を感じたときに、自分が住み慣れた地域に気軽に相談できる専門職やその連携が確保されている。こうした専門職等に相談すれば、自ら適切なサービスを提供してくれるか、その時々の状況に適した専門職を紹介し、適切なサービスに繋げてくれる。こうした気軽に相談できる専門職等があらかじめ明らかになっていて、自らそれを選ぶことができる。

(医療・介護サービス利用の起点)

○ 身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行うかかりつけ医機能を担う医療機関やその連携が明らかになっていることが重要である。自らこうした医療機関を選択することで、国民は、地域において「治し、支える」医療やこれと連携した介護を提供してくれる地域包括ケアシステムへの起点を持つこととなる。

○ こうした機能を担う医療機関は、日常的な医療を提供しつつ、必要に応じて、地域の介護サービスや通いの場などの社会資源につないだり、専門的な医療機関等へ紹介したりして、患者を継続的に総合的に支える役割を担う。また、退院した患者を地域で継続的に支援する機能なども担うこととなる。

(ケアマネジメントの機能強化)

○ 介護サービスの利用に当たっては、本人の自立を支援する適切なケアマネジメントが行われることが重要であることは言うまでもない。こうしたケアマネジメントが、個別ニーズに寄り添った柔軟かつ多様な介護を、医療はもとより、介護予防、住まい、生活支援などと連携して包括的に提供する地域包括ケアシステムの中で重要な役割を担うものである。

○ ケアマネジャーがこうした役割に即した適切なケアマネジメント機能を発揮できるよう、取り巻く課題について包括的な検討を行うことが重要である。その中で、適切なケアマネジメント手法の普及・定着、ケアプラン情報やLIFE(科学的介護情報システム)情報を含め介護情報の体系化、データベース化等によるケアマネジメントの質の向上等も進めていくほか、かかりつけ医機能を担う医療機関との連携、入退院から介護サービスの利用までを含めた総合的なケアマネジメントの推進を目指す必要がある。また、人材の確保の観点からも、ケアマネジャーの待遇改善やICT等を活用した業務効率化をはじめとした取組により、働く環境の改善を進めていく必要がある。

(相談支援体制の整備)

○ 地域包括ケアシステムへの起点は、医療機関だけではない。認知症の人や要介護高齢者等の増加が見込まれる中、地域包括支援センターなどの身近な拠点による認知症の方を含む要介護者や家族介護者等への伴走型支援はその入口となるものである。

○ 地域住民からの総合相談支援等を担う地域包括支援センターについて、地域包括ケアシステムの重要な構成要素として、高齢化に伴う介護ニーズの増大や高齢者を取り巻く課題の複雑化・多様化、高齢者の単独世帯の増加等に適切に対応するための体制や環境整備を図っていくことに加え、障害福祉や児童福祉などの他分野の相談窓口との一体的な設置や連携を促進していくことが重要である。また、こうした相談窓口が適切に活用されるよう、その周知等を通じて、相談支援の仕組みが浸透していくようにすることが重要である。

(地域共生社会の実現)

○ さらに大きな視点に立てば、医療・介護の提供体制だけでは、できる限り住み慣れた地域で、これまでの日常生活に近い環境で暮らし続けることを実現させることはできない。8050問題や孤独・孤立、生活困窮、精神疾患も含めた健康課題といった複合的な問題を抱えていても、しっかり受け止める相談の場が確保され、地域社会と繋がりながら、医療・介護のみならず、障害福祉や子育てなど様々な必要な支援が受けられる体制の整備が重要である。医療・介護や住まい、就労・社会参加、権利擁護など複合的な支援ニーズを抱える方を地域で支える基盤をより強固なものとしていくことを通じて、地域共生社会の実現に向けた取組を進めていくことが求められる。

4 健康・医療・介護情報に関する安全・安心の情報基盤が整備されることにより、自らの情報を基に、適切な医療・介護を効果的・効率的に受けることができること

(基本的考え方)

○ 自分の健康・医療・介護情報を最新の状況が反映された質の高い形で個人が電子的に一元的に管理できるようになっている。そして、マイナンバーカード1枚で受診でき、自ら同意した上で、こうした情報を医療機関・薬局・介護事業者や保険者、民間事業者も含めた多様な主体が共有することで、より適切なサービスを受けることができる。

(「全国医療情報プラットフォーム」)

○ オンライン資格確認等システムは今後の医療DXの基盤であり、このネットワークを発展的に拡充し、レセプトや特定健診に加え、予防接種、電子処方箋、自治体検診、電子カルテ等の医療(介護を含む。)全般にわたる情報について共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」を構築していくこととされている。

○ ポスト2025年を見据え「治し、支える」医療や個別ニーズに沿った介護を地域で完結して受けられる体制を構築していく中で、かかりつけ医機能を担う医療機関やその連携する医療機関・薬局・介護施設等が、こうした健康・医療・介護情報を、本人の同意の下に一元的に把握し、事務コストを削減しつつ、より質の高い医療・介護の促進のために活用していけることは、極めて重要なことである。

○ また、本人がマイナポータルを通じて確認できる自身の健康・医療・介護情報は、医療機関・薬局等での確認に加え、一定のルールの下で、民間のPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)事業者もAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携により活用できることとなる。民間の創意工夫により、予防・健康づくりに資する様々なサービスの創出も期待される。

○ 国民自らが自らの健康・医療・介護情報にオーナーシップの意識を高めていく中で、医療機関・薬局・介護事業者や保険者、地方自治体、民間事業者も含めた多様な主体が、こうした健康・医療・介護情報を本人の同意の下に適切に活用することで、個人の予防を推進し、良質な医療やケアを受けられるようにしていくことが期待される。そのために必要な情報の標準化や情報基盤の構築を着実に進めていく必要がある。

5 終わりに

○ ポスト2025年を展望すると、引き続き高齢化が進行する地域もあれば、高齢化がピークを越え、人口が急速に減少する地域もある。人口構成の変化やこれに伴う医療・介護需要の動向は、地域によって大きく異なる。これは東京のような大都市圏と中山間地域や離島の状況とを想起すれば明らかである。医療・介護の確保については、地域を包括的にカバーする提供主体の活用や、オンライン診療などICT技術を活用して時間と場所を超えてサービスを提供することを可能にする形態の活用も図りつつ、必要な医療・介護サービスを確保することを前提に、戦略的に再編を図ることも意識しながら、地域ごとの取組を進めていく必要がある。

○ こうした取組を進めていくため、地方自治体ごとに、状況分析と課題の洗い出しを行い、各地域の優先課題の設定と対策について、地域の関係者で議論していくことが重要であり、国や広域的な支援を行う地方自治体は、そうした検討に資する材料を提供し、必要に応じて課題解決に向けた効果的・効率的な取組方法の提供など伴走支援を行う必要がある。その際、医療・介護だけでなく、障害福祉や子ども・子育て、生活困窮者支援などの政策と連携する視点も重要である。併せて、こうした取組は、まちづくりの一環として進める必要があり、商業、金融、交通、労働、農業、教育など分野横断的な連携を進める必要がある。

○ 今後の技術の進歩を視野に入れれば、医療・介護について、患者・利用者のサービス利用の状況から供給体制に至るまで適時に把握することができるような基盤を構築していくことを志向しつつ、こうしたデータに基づき、限りある人材等で増大する医療・介護ニーズを支えていくための最適なエコシステムを構築していくことが重要である。