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○クリーニング営業者に係るテトラクロロエチレン又は化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令第九条に定める洗浄剤でテトラクロロエチレンが使用されているものの環境汚染防止措置に関し公表する技術上の指針

(平成二十二年七月十五日)

(/厚生労働省/経済産業省/環境省/告示第十五号)

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律(平成二十一年法律第三十九号)の一部の施行に伴い、及び化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)第三十六条第一項の規定に基づき、クリーニング営業者に係るテトラクロロエチレン又は化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令第十一条に定める洗浄剤でテトラクロロエチレンが使用されているものの環境汚染防止措置に関し公表する技術上の指針を次のように定めたので、同項の規定に基づき公表し、平成二十三年四月一日から適用し、クリーニング営業者に係るテトラクロロエチレン又は化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令第五条に定める洗浄剤でテトラクロロエチレンが使用されているものの環境汚染防止措置に関し公表する技術上の指針(平成二十二年/厚生労働省/経済産業省/環境省/告示第五号)は、平成二十三年三月三十一日限り廃止する。

クリーニング営業者に係るテトラクロロエチレン又は化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令第九条に定める洗浄剤でテトラクロロエチレンが使用されているものの環境汚染防止措置に関し公表する技術上の指針

(平30厚労経産環省告4・改称)

本指針は、第二種特定化学物質であるテトラクロロエチレンによる環境の汚染を防止するため、テトラクロロエチレン又は化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令第九条に定める洗浄剤でテトラクロロエチレンが使用されているもの(以下「溶剤」という。)をクリーニング営業者が使用する際に遵守すべき事項を定めたものであり、本指針に従いテトラクロロエチレンの環境放出の抑制を図ることによって、環境の汚染の防止に資することを目的とするものである。

なお、関係する労働者の安全衛生については、労働安全衛生法及び有機溶剤中毒防止規則等関係規則によることとする。

1.溶剤を取り扱う施設・場所について

1.1 施設・場所の構造について

溶剤を取り扱う施設・場所の構造については、次の事項に留意すること。

1.1.1 各施設・場所に共通する事項について

(1) 床面は、溶剤の地下浸透を適切に防止できるコンクリート、タイル等不浸透性材料とし、そのひび割れ等が心配される場合には、床面を耐溶剤性の合成樹脂で被覆する等浸透防止処理を行うこと。

(2) 必要な場合には、施設・場所の周囲に溶剤が広がらないように防液堤、側溝、ためます等を設置すること。

1.1.2 溶剤を貯蔵する施設・場所の構造について

(1) 貯蔵用のタンク等は、密閉でき、かつ、耐溶剤性の金属製又は合成樹脂製とし、地上に設置すること。

(2) 貯蔵場所を屋外とする場合には、屋根を付けること。屋根を付けることが困難な場合には、容器にカバーをかける等の対策を講じて直射日光及び雨水を防止すること。

(3) 貯蔵場所を屋内とする場合には、換気できる冷暗所で保管すること。

1.1.3 作業場所の構造について

必要な場合には、作業及び設備に対応して、1.1.1(2)の措置を講ずることのほか、装置の下に受皿(材質としてはステンレス鋼が適当である。)を設置すること。

(参考)

溶剤を取り扱う作業場所には、原則として、局所排気装置を設置すること。

(廃棄物の処理に関する事項及び労働者の安全と健康の確保に関する主な事項は、「(参考)」として記載した。以下同じ。)

1.2 施設・場所の点検管理について

溶剤を取り扱う施設・場所の点検管理に当たっては、次の事項に留意して点検管理要領を策定するとともに日常点検及び定期点検を行うこと。異常が認められた場合には、速やかに補修その他の措置を講ずること。

1.2.1 溶剤を貯蔵する施設・場所の点検管理について

(1) 貯蔵場所については、床面のひび割れ、防液堤の損傷、側溝、ためます等への溶剤の漏出の有無に留意すること。

(2) タンク、ドラム缶等の容器については、容器の腐食、損傷、漏出の有無、栓のゆるみ等に留意すること。

(3) 溶剤をタンクローリー等から受け入れる場合には、溶剤が飛散又は流出しないよう留意すること。

(4) 溶剤が漏出した場合には、2.4に準じて適切に処理すること。

1.2.2 作業場所の点検管理について

作業場所の点検管理は、床面のひび割れ、受皿、側溝、ためます等への溶剤の漏出(テトラクロロエチレンは水より比重が大きいため、水がたまっている場合、床面に沈み発見しにくいので注意すること。)に留意すること。

(参考)

局所排気装置又は全体換気装置が正常に作動することを点検すること。

2.ドライクリーニング機械について

2.1 ドライクリーニング機械の構造について

溶剤を使用するドライクリーニング機械(以下「ドライ機」という。)は、次の構造とすること。

(1) 脱臭工程におけるテトラクロロエチレンの蒸気の排出時以外は、密閉状態を保てる構造であること。

(2) できる限りテトラクロロエチレンの蒸気の排出を抑制できる構造であること。

(3) 溶剤を含む排液等を適正に処理するための排液処理装置を設けた構造であること。

2.2 ドライ機の点検管理について

溶剤を使用するドライ機の点検管理については、次の事項に留意して点検管理要領を策定するとともに日常点検及び定期点検を行うこと。異常が認められた場合には、速やかに補修その他の措置を講ずること。

(1) ドライ機のファン及び脱臭装置が正常に作動していることを点検すること。

(2) タンク、ポンプ(軸部等)、フィルター、蒸留器、ボタントラップ、回収器、配管(継ぎ手や弁)、ガラスと金属の接合部(ゲージグラス、サイトグラス等)、内胴軸等の各部及び各接続部における溶剤の漏出の有無を点検すること。

なお、加熱されたテトラクロロエチレンは、揮発しやすく、漏出した場合発見しにくいため注意すること。

(3) ドア、ボタントラップのふた、リントフィルターのふた、蒸留器の掃除口、カートリッジフィルターのふた、ダンパーの押さえ面、ダクトの継ぎ目等における密閉の状況を点検し、シール及びパッキングを必要に応じ取り替えること。

(4) リントフィルター、ヒーター及びクーラーのごみによる詰まりの有無を点検すること。

(5) 水分離器については、管の詰まりの有無及び水の流出状態を点検すること。特に、溶剤の流れる管が詰まった場合には、水分離器の上部又は排水管から溶剤が流出するため注意すること。

2.3 ドライ機の取扱いについて

ドライ機の取扱いについては、次の事項に留意して作業要領を策定するとともに作業を行うこと。

2.3.1 溶剤のドライ機への充てんについて

溶剤のドライ機への充てんは、その漏出を防止するため次のことに留意して適切に操作すること。

(1) ドライ機が作動中の場合には、決して充てんを行わないこと。

(2) 充てんには、塩素系有機溶剤用の手動ポンプ又は自動ポンプを使用すること。

(3) ポンプを使用しない場合には、サイホンを使用すること。

(4) 充てんは、溶剤を飛散又は流出させないように行うこと。

(5) 液面に注意してあふれないようにすること。

(6) 必要に応じて受皿等を使用して漏出を防止すること。

(7) 充てん作業後、直ちにドライ機の給液口及び貯蔵容器の栓を密閉すること。また、ドラム缶等の栓は締め具により開閉すること。

(参考)

(1) 充てんは、作業場所内の局所排気装置又は全体換気装置を作動してから行うこと。

(2) ホースを使用して溶剤を口で吸い上げないこと。

2.3.2 ドライ機の操作について

ドライ機は、点検表又は取扱説明書に従って始業点検を行うとともに、次の事項に留意して適切に操作すること。点検は、作業中にも随時行い、作業終了後の点検に際しては、装置の密閉等に特に留意すること。

(1) 冷却水の流量及び温度を点検し、水温はできる限り低くすること。

(2) ドア、ボタントラップのふた、リントフィルターのふた、蒸留器の掃除口、カートリッジフィルターのふた、ダンパーの押さえ面等常に操作又は作動する箇所については、密閉の状況に常に注意して操作すること。

(参考)

ドライ機は、作業場所内の全体換気装置を点検し、それを作動させてから操作すること。

2.3.3 フィルターの操作について

フィルターは、次のことに留意して適切に操作すること。

(1) パウダーフィルターについては、圧力が上昇しフィルターの能力低下が認められる場合、そのパウダーを蒸留装置内に入れ蒸留すること。

(2) ペーパーフィルターのみを使用しているカートリッジフィルターを取り替える場合には、フィルター内のテトラクロロエチレンを、1時間以上かけて十分に排出してから行うこと。

(3) 吸着剤を使用しているカートリッジフィルターを取り替える場合には、カートリッジ内のテトラクロロエチレンを、12時間以上かけて十分に排出してから行うこと。

(4) (2)及び(3)で処理したものは、取り出してから直ちに内胴に入れ、熱風循環(内胴の回転を停止してから行うこと。)により十分に乾燥すること。なお、この場合、専用のテトラクロロエチレンの回収装置を用いてもよいこと。

2.3.4 蒸留装置の操作について

蒸留装置は、テトラクロロエチレンを十分に回収するよう、次のことに留意して適切に操作すること。

(1) 突沸(液量が多すぎる場合、蒸留温度が高過ぎる場合、残留液の粘度が上がった場合等に発生し、汚れやドライソープの一部がテトラクロロエチレンと共に蒸発し、蒸留液中に混入すること。)を避けるため、蒸留器に液が充満しないよう液量を適正に保ち、温度の管理や蒸留残さ物の取り出しを適切に行うこと。

(2) テトラクロロエチレンの蒸留は、130~140℃の範囲で温度を適正に保持して行うこと。なお、蒸気式の場合には、140℃以下に保つため、1cm2当たり3~4kgの範囲で蒸気圧力を適正に保持して行うこと。

(3) 蒸留残さ物は、テトラクロロエチレンを十分に回収するため、2~5分間蒸気を吹き込むか、又は水を注入し、更に数分間の間隔をおいて、同様の処理を繰り返してから取り出すこと。ただし、吹き込み蒸気の量が多すぎると突沸を起こしやすいので注意すること。なお、専用のテトラクロロエチレンの回収装置を用いてもよいこと。

(4) 蒸留残さ物を取り出す場合には、蒸留直後は温度が高くテトラクロロエチレンの蒸気が噴出するので、低温になってから行うこと。

2.4 溶剤漏出時の処置について

ドライ機からテトラクロロエチレン又はテトラクロロエチレンを含んだ液が漏出した場合の処置については、次の事項に留意して溶剤漏出処理要領を策定するとともに、あらかじめ作業者に周知しておくこと。

(1) 直ちに充てん作業をやめるか又はドライ機を停止すること。

(2) 漏出物は、ポンプ等により回収するとともに、密閉容器に入れて1.1.1、1.1.2及び1.2.1に準じて適正に保管すること。回収した溶剤は、再利用することが望ましいこと。

(3) 漏出残分については、活性炭による吸着又はウエス、紙タオル等によるふき取りを行うこと。

(参考)

(1) 漏出処置に際しては、作業場所を十分に換気し、テトラクロロエチレンの蒸気にさらされないように注意して行うこと。

(2) 溶剤が大量に流出した場合又は加熱された溶剤が流出した場合の処置に際しては、次の保護具を着用すること。

① 空気呼吸器、送気マスク(ホースマスク、エアラインマスク)又は有機ガス用防毒マスク

② 保護眼鏡

③ 耐溶剤性の保護手袋、保護長靴、保護服等

2.5 テトラクロロエチレンの蒸気の回収等について

脱臭時におけるテトラクロロエチレンの蒸気は、活性炭吸着等によりできる限り回収し、再利用すること。

2.5.1 回収処理について

(1) 活性炭吸着回収装置は、溶剤で活性炭が飽和状態になる前に吸着を停止し、再生又は交換を行うこと。

(2) 溶剤の吸着を停止した装置の活性炭に水蒸気を送り込んで溶剤を脱着、テトラクロロエチレンを回収し、活性炭の乾燥を充分に行うこと。

2.5.2 テトラクロロエチレンの蒸気の濃度管理について

テトラクロロエチレンの蒸気の濃度は、次のことに留意して測定を行い、異常が認められた場合には、活性炭吸着回収装置等の構造、点検管理及び取扱作業について見直しを行うことにより、その原因を究明し改善措置を講ずること。

(1) 測定は、未回収のテトラクロロエチレンの蒸気の濃度を適切に管理するため、必要かつ十分な間隔で実施すること。

(2) 営業者が自ら測定を行えない場合には、適切な測定能力を持った外部の業者等に委託すること。

2.6 ドライ機の排液処理装置について

2.6.1 排液処理装置の構造について

ドライ機の排液処理装置は、次の(1)及び(2)の構造を有すること。

(1) 第2段階の水分離器が設けられていること。

(2) (1)の水分離器の後に次のいずれかの装置が設けられていること。

a 2段階に分けられた活性炭吸着式処理装置

b ばつ気式処理装置及びこれと連続した活性炭吸着式処理装置。なお、最終段階の活性炭吸着式処理装置の設置は、その前処理段階においてテトラクロロエチレンを適正に除去できる場合には、この限りでない。

2.6.2 処理装置の点検管理について

排液処理装置は、排液中のテトラクロロエチレンが適切に除去されるよう次のことに留意して管理すること。

(1) 水分離器内の排液が高温にならないよう適正に保持すること。また、ごみ等により、水分離器の配管が目詰まりしないようにすること。

(2) 水分離器(第2段階)の排液中のテトラクロロエチレンの濃度は、200mg/l以下を目標として適正に管理すること。

(3) 活性炭吸着式処理装置の場合には、処理装置出口の水中のテトラクロロエチレンの濃度を定期的に測定し、適切に活性炭を交換すること。

(4) ばつ気式処理装置の場合には、排液量、ばつ気空気量、ばつ気用空気中のテトラクロロエチレンの濃度、ばつ気時間等を適切に管理すること。

2.6.3 排液中の濃度管理について

排液中のテトラクロロエチレンの濃度は、次のことに留意して測定を行い、異常が認められた場合には、活性炭吸着装置等の構造、点検管理及び取扱作業について見直しを行うことにより、その原因を究明し、改善措置を講ずること。

(1) 測定は、排液中に含まれるテトラクロロエチレンの濃度を適切に管理するため必要かつ十分な間隔で実施すること。

(2) 営業者が自ら測定を行えない場合には、適切な測定能力を持った外部の業者等に委託すること。

3.洗濯物の処理について

3.1 前処理及びしみ抜きについて

テトラクロロエチレンを含む処理液による前処理(ささら掛け、ブラッシング、プリスポッティング等)及びしみ抜きは、極力行わないこと。

なお、やむを得ず前処理等を行う場合には、速やかに行い、処理した洗濯物は直ちにドライ機に入れる等適切に処理すること。

(参考)

やむを得ず前処理等を行う場合には、原則として、局所排気装置のある場所で行うこと。

3.2 洗濯物の分類について

洗濯は、洗濯物を乾燥が速いもの(薄手のもの等)と乾燥が遅いもの(厚手のもの等)に分けて行うこと。

3.3 乾燥について

洗濯物の乾燥は、乾燥機において溶剤臭がしなくなるまで十分に行うこと。

3.4 負荷量について

洗濯及び乾燥は、適正な負荷量(洗濯物の量)で行うこと。

4.使用済みのテトラクロロエチレンを含む汚染物の取扱いについて

使用済みの蒸留残さ物、カートリッジフィルター、活性炭等のテトラクロロエチレンを含む汚染物については、できる限りテトラクロロエチレンの回収・再利用に努めるものとし、汚染物の貯蔵に当たっては、密閉でき、かつ、耐溶剤性の金属製又は合成樹脂製の専用の容器に入れ、1.1.1、1.1.2及び1.2.1に準じて適正に取り扱うこと。

(参考)

テトラクロロエチレンを含む汚染物を廃棄物として処理する場合には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を遵守すること。

改正文 (平成三〇年三月三〇日/厚生労働省/経済産業省/環境省/告示第四号) 抄

平成三十年四月一日から適用する。