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○麻しんに関する特定感染症予防指針

(平成十九年十二月二十八日)

(厚生労働省告示第四百四十二号)

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第十一条第一項及び予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第二十条第一項の規定に基づき、麻しんに関する特定感染症予防指針を次のように策定したので、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第十一条第一項及び予防接種法第二十条第四項の規定により告示し、平成二十年一月一日から適用する。

麻しんに関する特定感染症予防指針

麻しんは、「はしか」とも呼ばれ、高熱と耳後部から始まり体の下方へと広がる赤い発しんを特徴とする全身性ウイルス感染疾患である。感染力が非常に強い上、り患すると、まれに急性脳炎を発症し、精神発達遅滞等の重篤な後遺症が残る、又は、死亡することがある。さらに、よりまれではあるが、亜急性硬化性全脳炎という特殊な脳炎を発症することがあり、この脳炎を発症した場合には、多くは知能障害や運動障害等が進行した後、数年以内に死亡する。こうした麻しんの感染力及び重篤性並びに流行した場合に社会に与える影響等に鑑みると、行政関係者や医療関係者はもちろんのこと、国民一人一人が、その予防に積極的に取り組んでいくことが極めて重要である。

我が国においては、昭和五十一年六月から予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)に基づく予防接種の対象疾病に麻しんを位置づけ、積極的に接種勧奨等を行うことにより、麻しんの発生の予防及びまん延の防止に努めてきた。また、平成十八年四月からは、麻しんの患者数が減少し、自然感染による免疫増強効果が得づらくなってきた状況を踏まえ、それまでの一回の接種から二回の接種へと移行し、より確実な免疫の獲得を図ってきた。しかし、平成十九年に十代及び二十代を中心とした年齢層で麻しんが大流行した。この大流行の主な原因は、当該年齢層の者の中に、麻しんの予防接種を一回も受けていなかった者又は麻しんの予防接種を一回は受けたが免疫を獲得できなかった若しくは免疫が減衰した者が一定程度いたことであると考えられている。国は、麻しん対策を更に強化するため、平成二十年に麻しんに関する特定感染症予防指針(平成十九年厚生労働省告示第四百四十二号)を策定し、平成二十年度からの五年間を麻しんの排除のための対策期間と定め、定期の予防接種(予防接種法第二条第四項に規定する予防接種をいう。以下同じ。)の対象者に、中学一年生及び高校三年生に相当する年齢の者(既に麻しん及び風しんにり患したことがある者又は麻しん及び風しんの予防接種をそれぞれ二回ずつ受けたことがある者を除く。)を時限的に追加する措置(以下「時限措置」という。)を実施した。

その結果、麻しんの予防接種を二回受けたことがある者の割合が大きく上昇し、当該年齢層における麻しんの発生数の大幅な減少、大規模な集団発生の消失及び抗体保有率の上昇が認められたことから、時限措置を行った当初の目的はほぼ達成された。当該年齢層において麻しんの予防接種を二回受けていない者が一定程度存在することが課題として残っていたが、時限措置を延長することで得られる効果が限定的であると予想されること、海外からの輸入例が麻しんの発生の中心となっていること、特定の年齢層に限らず全ての年齢層に麻しんに対する免疫を持たない者(以下「感受性者」という。)が薄く広く存在することが示唆されていること等を踏まえ、時限措置は当初の予定どおり平成二十四年度をもって終了した。こうした取組の結果、平成二十年に一万千十三件あった麻しんの報告数も、平成二十八年には百六十五件と着実に減少し、高等学校や大学等における大規模な集団発生は見られなくなってきたところである。

一方、麻しんを取り巻く世界の状況に目を向けると、平成二十四年に開催された世界保健総会において、平成三十二年までに世界六地域のうち五地域において麻しん及び風しんの排除を達成するという目標を掲げ、我が国を含め、世界保健機関西太平洋地域事務局管内の各国は、目標の達成に向けた対策が求められているところである。麻しん排除の定義は、遺伝子検査技術の普及により土着株と輸入株との鑑別が可能となったこと等を踏まえ、平成二十四年に世界保健機関西太平洋地域事務局より新たな定義として「適切なサーベイランス制度の下、土着性の感染伝播が一年以上確認されないこと」が示され、また、麻しん排除達成の認定基準として「適切なサーベイランス制度の下、土着性の感染伝播が三年間確認されず、また遺伝子型解析により、そのことが示唆されること」が示された。

我が国においては、平成二十七年に世界保健機関による麻しん排除達成の認定を受けたところであるが、その後も散発的に海外からの輸入例を契機とする麻しんの集団発生事例が起きている。また、成人が麻しんの発症例の多くを占めているとともに、修飾麻しん(高熱、発しん等の典型的な麻しんの症状を伴わない軽症の麻しんをいう。)の患者数が一定の割合で存在するようになってきている。

本指針は、これらの状況を踏まえ、引き続き排除状態を維持することを目標とし、そのために、国、地方公共団体、医療関係者、教育関係者等が連携して取り組んでいくべき施策についての新たな方向性を示したものである。

本指針については、麻しんの発生動向、麻しんの治療等に関する科学的知見、本指針の進捗状況に関する評価等を勘案して、少なくとも五年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更していくものである。

第一 目標

平成二十七年に世界保健機関による麻しん排除達成の認定を受けたところであるが、引き続き麻しんの排除の状態を維持することを目標とする。

第二 原因の究明

一 基本的考え方

国並びに都道府県、保健所を設置する市及び特別区(以下「都道府県等」という。)においては、麻しんについての情報の収集及び分析を進めていくとともに、発生原因の特定のため、正確かつ迅速な発生動向の調査を行っていくことが重要である。

二 麻しんの発生動向の調査及び対策の実施

麻しんの発生動向の調査については、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)第十二条の規定に基づく医師の届出により、国内で発生した全ての症例を把握するものとする。

三 麻しんの届出

麻しんを診断した医師の届出については、感染症法第十二条に基づき、診断後直ちに行うこととされている。また、我が国における麻しんの患者の発生数が大幅に減少したことを踏まえ、風しん等の類似の症状を呈する疾病と正確に見分けるためには、病原体を確認することが不可欠であることから、原則として全例にウイルス遺伝子検査の実施を求めるものとする。しかしながら、迅速な行政対応を行うため、医師に対し、臨床診断をした時点で臨床診断例として届出をし、血清中の抗麻しんウイルスIgM抗体検査等の血清抗体価の測定を実施するとともに、都道府県等が設置する地方衛生研究所等(地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第二十六条第二項に規定する地方衛生研究所等をいう。以下同じ。)においてウイルス遺伝子検査等を実施するために必要な患者の検体を当該地方衛生研究所等に提出することを求めるものとする。臨床症状とこれらの検査結果を総合的に勘案した結果、麻しんと判断された場合は、麻しん(検査診断例)への届出の変更を求めることとし、麻しんではないと判断された場合は、届出を取り下げることを求めることとする。また、都道府県等は、届出が取り下げられた場合は、その旨を記録し、国に報告するものとする。

四 日本医師会との協力

国は、日本医師会を通じて、医師に対し、麻しんを臨床で診断した場合には、三に規定する内容に即した対応を行うよう依頼するものとする。また、麻しんの診断例の届出に際して、患者の予防接種歴を併せて報告するよう依頼するものとする。

五 麻しん発生時の迅速な対応

都道府県等は、麻しんの患者が一例でも発生した場合に感染症法第十五条に規定する感染経路の把握等の調査(以下「積極的疫学調査」という。)及びまん延防止策を迅速に実施するよう努めることが必要であり、普段から医療機関等の関係機関とのネットワーク構築に努めるものとする。このため、国は、国立健康危機管理研究機構に依頼し、当該調査及びまん延防止策の実務上の手順等を示した手引きの作成並びに職員の派遣要請に応えられる人材の養成を行わせるとともに、医療機関内で麻しんが発生した場合の対応の手順等を示した手引きを作成させるものとする。

また、国は、複数の都道府県等にまたがって広域的に感染症が発生した場合に備え、都道府県等間での情報共有及び連携体制の方針を示し、技術的援助の役割を積極的に果たすとともに、各都道府県等においても都道府県等相互の連携体制をあらかじめ構築しておくことが必要である。

六 ウイルス遺伝子検査等の実施

都道府県等は、医師から検体が提出された場合は、都道府県等が設置する地方衛生研究所等において、原則として全例にウイルス遺伝子検査等を実施するとともに、その結果の記録を保存することとする。検査の結果、麻しんウイルスが検出された場合は、可能な限り、地方衛生研究所等において麻しんウイルスの遺伝子配列の解析を実施し、国に報告する又は国立健康危機管理研究機構に検体を送付し、同機構が遺伝子配列の解析を実施することとする。国立健康危機管理研究機構は、解析されたウイルスの遺伝子情報を適切に管理し、流行状況の把握や感染伝播の制御等に役立てることとする。

第三 発生の予防及びまん延の防止

一 基本的考え方

感染力が非常に強い麻しんの対策として最も有効なのは、その発生の予防である。また、感染者は発症前からウイルスを排出することから、発生の予防に最も有効な対策は、予防接種により感受性者が麻しんへの免疫を獲得することである。そのため、定期の予防接種により対象者の九十五パーセント以上が二回の接種を完了することが重要であり、未接種の者及び一回しか接種していない者に対して、幅広く麻しんの性質等を伝え、麻しんの予防接種を受けるよう働きかけることが必要である。

二 予防接種法に基づく予防接種の一層の充実

1 国は、定期の予防接種を生後十二月から生後二十四月に至るまでの間(以下「第一期」という。)にある者及び小学校就学の始期に達する日の一年前の日から当該始期に達する日の前日までの間(以下「第二期」という。)にある五歳以上七歳未満の者に対し行うものとし、それぞれの接種率が九十五パーセント以上となることを目標とする。また、少しでも早い免疫の獲得を図るとともに、複数回の接種勧奨を行う時間的な余裕を残すため、定期の予防接種の対象者となってからの初めの三月の間に、特に積極的な勧奨を行うものとする。

2 国は、都道府県を通じ、定期の予防接種の実施主体である市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対し、確実に予防接種が行われ、各市町村における第一期に接種した者及び第二期に接種した者の割合がそれぞれ九十五パーセント以上となるよう、積極的に働きかけていく必要がある。具体的には、市町村に対し、母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)第十二条第一項第一号に規定する健康診査及び学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第十一条に規定する健康診断(以下「就学時健診」という。)の機会を利用して、当該健康診査及び就学時健診の受診者の麻しんのり患歴(過去に検査診断で確定したものに限る。以下同じ。)及び予防接種歴(母子健康手帳、予防接種済証等の記録に基づくものに限る。以下同じ。)を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数(現行の定期の予防接種において必要とされる回数をいう。以下同じ。)である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを勧奨するよう依頼するものとする。また、定期の予防接種の受け忘れ等がないよう、定期の予防接種の対象者について、未接種の者を把握し、再度の接種勧奨を行うよう依頼するものとする。

3 厚生労働省は、文部科学省に協力を求め、学校等の設置者に対し、就学時健診の機会を利用し、定期の予防接種の対象者の麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを勧奨するよう依頼するものとする。また、当該接種勧奨後に、定期の予防接種を受けたかどうかの確認を行い、必要があれば、再度の接種勧奨を行うよう依頼するものとする。

4 国は、右記以外にも、定期の予防接種を受けやすい環境づくりを徹底しなくてはならない。そのため、日本医師会並びに日本小児科学会、日本小児科医会及び日本小児保健協会等に対し、定期の予防接種が円滑に行われるように協力を求めるものとする。

三 予防接種法に基づかない予防接種の推奨

1 医療機関、児童福祉施設等及び学校等(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校をいう。以下同じ。)の職員等は、乳幼児、児童、体力の弱い者等の麻しんにり患すると重症化しやすい者と接する機会が多いことから、本人が麻しんを発症すると、集団発生又は患者の重症化等の問題を引き起こす可能性が高い。このため、医療機関、児童福祉施設等及び学校等の職員等のうち、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である者に対しては、当該予防接種を受けることを強く推奨する必要がある。

とりわけ、医療機関及び児童福祉施設等の職員等のうち、特に定期の予防接種の対象となる前であり抗体を保有しない零歳児、免疫不全者及び妊婦等と接する機会が多い者に対しては、当該予防接種を受けることを強く推奨する必要がある。

2 海外に渡航する者は、海外で麻しんにり患した者と接する機会があることから、本人が麻しんウイルスに感染して帰国すると、我が国に麻しんウイルスが流入する可能性がある。また、海外からの渡航者と接する機会が多い空港職員等は、麻しんウイルスに感染する可能性が比較的高く、本人が麻しんを発症すると、我が国で感染が拡大する可能性及び海外へ流出させる可能性がある。このため、海外に渡航する者及び空港職員等のうち、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である者に対しては、当該予防接種を受けることを推奨する必要がある。

3 厚生労働省は、麻しんの大規模な流行を防止する観点から、事業者団体に対し、雇入れ時等の様々な機会を利用し、主として業務により海外に渡航する者について、麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを推奨するよう協力を依頼するものとする。

4 厚生労働省は、日本医師会等の関係団体に協力を求め、医療機関の職員等に対し、自らの麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを強く推奨するものとする。特に定期の予防接種の対象となる前であり抗体を保有しない零歳児、免疫不全者及び妊婦等と接する機会が多い者に対しては、当該予防接種を受けることを強く推奨するものとする。

5 厚生労働省は、児童福祉施設等の管理者に対し、児童福祉施設等において行われる労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十六条に規定する健康診断の機会等を利用して、当該施設等の職員の麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを強く推奨するよう依頼するものとする。特に定期の予防接種の対象となる前であり抗体を保有しない零歳児と接する機会が多い者に対しては、当該予防接種を受けることを強く推奨するよう依頼するものとする。

6 厚生労働省は、文部科学省に協力を求め、学校等の設置者に対し、母子保健法第十二条第一項第二号に規定する健康診査並びに学校保健安全法第十三条第一項に規定する児童生徒等の健康診断及び同法第十五条第一項に規定する職員の健康診断等の機会を利用して、学校等の児童生徒等及び学校等の職員の麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを強く推奨するよう依頼するものとする。また、医療・福祉・教育に係る大学並びに専修学校の学生及び生徒に対し、幼児、児童、体力の弱い者等の麻しんにり患すると重症化しやすい者と接する機会が多いことを説明し、当該学生並びに生徒の麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを推奨するよう依頼するものとする。

7 厚生労働省は、外務省及び国土交通省に協力を求め、海外に渡航する者に対し、自らの麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを推奨するものとする。

8 厚生労働省は、関係省庁に協力を求め、空港職員等に対し、自らの麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、当該予防接種を受けることを推奨するものとする。

9 国は、国内で麻しんの患者が一例でも発生した場合には、国立健康危機管理研究機構に依頼し、周囲の感受性者に対して予防接種を推奨することも含めた対応について検討させ、具体的な実施方法等を示した手引きの作成を行わせるものとする。また、国立健康危機管理研究機構は、都道府県等から要請があった場合には、適宜技術的支援を行うものとする。

四 その他必要な措置

1 厚生労働省は、関係機関と連携し、疾病としての麻しんの特性、予防接種の重要性、副反応を防止するために注意すべき事項及びワクチンを使用する予防接種という行為上避けられない副反応、特に妊娠中の接種による胎児への影響等の情報(以下「麻しんに関する情報」という。)を整理し、国民に対し積極的に提供するものとする。また、情報提供に当たっては、リーフレット等の作成及び報道機関と連携した広報等を積極的に行う必要がある。

2 厚生労働省は、児童福祉施設等及び職業訓練施設等の管理者に対し、入所又は入学の機会を利用して、児童福祉施設等において集団生活を行う者及び職業訓練施設等における訓練生の麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、麻しんに関する情報の提供を行うよう依頼するものとする。

3 厚生労働省は、文部科学省に協力を求め、学校等の設置者に対し、学校保健安全法第十三条第一項に規定する児童生徒等の健康診断等の機会を利用して、学校等の児童生徒等の麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、麻しんに関する情報の提供を行うよう依頼するものとする。

4 厚生労働省は、日本医師会、日本小児科学会、日本小児科医会、日本皮膚科学会、日本内科学会及び日本小児保健協会等の学会等に対し、初診の患者の麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、麻しんに関する情報の提供を行うよう依頼するものとする。

5 厚生労働省は、事業者団体に対し、麻しんに関する情報の提供等を事業者等に行うよう依頼するものとする。また、雇入れ時等の様々な機会を利用して、主として業務により海外に渡航する者の麻しんのり患歴及び予防接種を確認し、麻しんに未り患又は麻しんのり患歴が不明であり、かつ、麻しんの予防接種を必要回数である二回受けていない又は麻しんの予防接種歴が不明である場合には、麻しんに関する情報の提供を行うよう依頼するものとする。

6 厚生労働省は、本省、国立健康危機管理研究機構及び検疫所のホームページ等を通じ、国内外の麻しんの発生状況、海外で麻しんが発症した場合の影響及び麻しんに関する情報の提供を行うとともに、外務省及び国土交通省に対し、海外に渡航する者に、これらの情報の提供を行うよう協力を依頼するものとする。また、国土交通省に協力を求め、旅行会社等に対し、海外に渡航する者に、国内外の麻しんの発生状況及び麻しんに関する情報の提供を行うよう依頼するとともに、文部科学省に対し、学校等の設置者に、海外に修学旅行等をする際に、これらの情報の提供を行うよう依頼するものとする。

7 厚生労働省は、外国人留学生及び外国人労働者等長期に我が国に滞在する海外からの渡航者に対し、入国する前に自らの麻しんのり患歴及び予防接種歴を確認し、必要に応じて麻しんの予防接種を受けることが望ましいことを複数の言語で情報提供するためのリーフレット等を作成するとともに、関係省庁及び事業者団体に対し、周知を行うよう協力を依頼するものとする。

8 厚生労働省は、麻しんの定期の予防接種を積極的に勧奨するとともに、予防接種の際の医療事故及び副反応を徹底して避けるため、地方公共団体及び医療機関等の各関係機関に対し、安全対策を十分行うよう協力を依頼するものとする。

また、地方公共団体及び日本医師会に対し、麻しんの抗体検査及び予防接種を実施することができる医療機関に関する情報提供を行うよう協力を依頼するものとする。

9 国は、麻しんの予防接種に用いるワクチン及び試薬類(以下「ワクチン等」という。)の安定的な供給を図るため、ワクチン等の生産について、製造販売業者と引き続き連携を図るものとする。また、ワクチン等の流通についても、日本医師会、卸売販売業者及び地方公共団体の連携を促進するものとする。なお、麻しんの予防接種に用いるワクチンは、風しん対策の観点も考慮し、原則として、麻しん風しん混合(MR)ワクチンとするものとする。

第四 医療の提供

一 基本的な考え方

麻しんのような感染力が極めて強く、重症化のおそれのある感染症については、早期発見及び早期治療が特に重要である。このため、国は、麻しんの患者を適切に診断できるよう、医師に対して必要な情報提供を行うとともに、国民に対しても当該疾病に感染した際の初期症状及び早期にとるべき対応等について周知していくことが望ましい。

二 医療関係者に対する普及啓発

国は、麻しんの患者を医師が適切に診断できるよう、医師に対し、麻しんの流行状況等について積極的に情報提供するものとし、特に流行が懸念される地域においては、日本医師会等の関係団体と連携し、医療関係者に対して注意喚起を行う必要がある。さらに、麻しんの患者数が減少し、自然感染による免疫増強効果が得づらくなってきたことに伴って、麻しんが小児特有の疾患でなくなったことに鑑み、小児科医のみではなく、全ての医師が麻しんの患者を診断できるよう、積極的に普及啓発を行うことが重要である。

第五 研究開発の推進

一 基本的考え方

麻しんの特性に応じた発生の予防及びまん延の防止のための対策を実施し、良質かつ適切な医療を提供するためには、麻しんに対する最新の知見を集積し、ワクチン、治療薬等の研究開発を促進していくことが重要である。また、麻しんの定期の予防接種を円滑に実施するため、定期の予防接種歴の確認を容易にするシステムの整備を推進していく必要がある。

麻しんの排除状態の維持に向けた定期接種率の向上を含む感染症予防施策の推進のために、調査及び検討を進めることも重要である。

二 臨床における研究開発の推進

より免疫獲得の効果が高く、かつ、より副反応の少ないワクチンを開発することは、国民の予防接種に対する信頼を確保するために最も重要なことである。現行の麻しんのワクチンは効果の高いワクチンの一つであるとされているが、国は、今後の使用状況等を考慮し、必要に応じて研究開発を推進していくものとし、その際には、迅速な研究成果の反映のため、当該研究の成果を的確に評価する体制をつくるとともに、国民や医療関係者に対して、情報公開を積極的に行うことが重要である。

第六 国際的な連携

一 基本的考え方

国及び国立健康危機管理研究機構は、世界保健機関をはじめ、その他の国際機関との連携を強化し、情報交換等を積極的に行うことにより、世界的な麻しんの発生動向の把握、麻しんの排除の達成国の施策の研究等に努め、我が国の麻しん対策の充実を図っていくことが重要である。

二 国際機関で定める目標の達成

世界保健機関においては、二回の予防接種において、それぞれの接種率が九十五%以上となることの達成を目標に掲げているほか、西太平洋地域から麻しん及び風しんの排除を達成することを目標に掲げ、各国に対策の実施を求めており、同機関において、麻しん及び風しんの排除の認定作業が実施されている。我が国も本指針に基づき、麻しん対策の充実を図ることにより、その目標の達成及び維持に向けて取り組むものとする。

三 国際機関への協力

国際機関と協力し、麻しんの流行国における対策を推進することは、国際保健水準の向上に貢献するのみならず、海外で感染し、国内で発症する患者の発生を予防することにも寄与する。そのため、国及び国立健康危機管理研究機構は、世界保健機関等と連携しながら、国際的な麻しん対策の取組に積極的に関与する必要がある。

第七 評価及び推進体制と普及啓発の充実

一 基本的考え方

本指針の目標を達成するためには、本指針に基づく施策が有効に機能しているかの確認を行う評価体制の確立が不可欠である。国は、定期の予防接種の実施主体である市町村等と連携し、予防接種の実施状況に関する情報収集を行い、当該情報に基づき関係機関に協力を要請し、当該施策の進捗状況によっては、本指針に定める施策の見直しも含めた積極的な対応を講じる必要がある。また、市町村等は、予防接種台帳のデータ管理の在り方について、個人情報保護の観点を考慮しつつ、電子媒体での管理を進め、情報の活用の在り方についても検討するものとする。

二 国における麻しん・風しん対策推進会議

国は、感染症の専門家、医療関係者、保護者、地方公共団体の担当者、ワクチン製造業者、学校関係者及び事業者団体の関係者からなる「麻しん・風しん対策推進会議」を設置するものとする。同会議は、毎年度、本指針及び風しんに関する特定感染症予防指針(平成二十六年厚生労働省告示第百二十二号)に定める施策の実施状況に関する評価を行うとともに、その結果を公表し、必要に応じて当該施策の見直しについて提言を行うこととする。また、国は、麻しん・風しんについて、排除又は排除状態が維持されているかを判定し、世界保健機関に報告する排除認定会議も設置することとする。

三 都道府県等における麻しん・風しん対策の会議及びアドバイザー制度の整備

1 都道府県は、感染症の専門家、医療関係者、保護者、市町村の担当者、学校関係者及び事業者団体の関係者等と協働して、麻しん・風しん対策の会議を設置し、関係機関の協力を得ながら、定期的に麻しん及び風しんの発生動向、各市町村における定期の予防接種の接種率及び副反応の発生事例等を把握し、地域における施策の進捗状況を評価するものとする。同会議は、各市町村における定期の予防接種について、第一期に接種した者の割合及び第二期に接種した者の割合がそれぞれ九十五%以上となるように定期接種率の向上策の提言を行い、都道府県は当該提言を踏まえ各市町村に対して働きかけるものとする。また、国は、国立健康危機管理研究機構に依頼し、同会議の活動内容及び役割等を示した手引きの作成を行わせるものとし、都道府県等は、必要に応じ、医師会等の関係団体と連携して、麻しんの診断等に関する助言を行うアドバイザー制度の整備を検討する。

2 厚生労働省は、麻しん・風しん対策の会議が定期の予防接種の実施状況を評価するため、文部科学省に対し、学校が把握する幼児及び児童の定期の予防接種の接種率に関する情報を麻しん・風しん対策の会議に提供するよう協力を依頼するものとする。

四 関係機関との連携

1 厚生労働省は、迅速に麻しんの定期の予防接種の接種率を把握するため、都道府県知事に対し、情報提供を依頼するものとする。また、学校保健安全法第二十条に基づく学校の臨時休業の情報を随時把握するため、文部科学省に対し、情報提供を依頼するものとする。

2 厚生労働省は、予防接種により副反応が生じた際に行われている報告体制を充実させ、重篤な副反応の事例は、速やかに国及び麻しん対策の会議等に報告される仕組みを構築するものとする。

五 普及啓発の充実

麻しん対策に関する普及啓発については、麻しんに関する正しい知識に加え、医療機関受診の際の検査及び積極的疫学調査への協力の必要性等を周知することが重要である。厚生労働省は、文部科学省及び報道機関等の関係機関との連携を強化し、国民に対し、麻しん及びその予防に関する適切な情報提供を行うよう努めるものとする。

改正文 (平成二四年一二月一四日厚生労働省告示第五八四号) 抄

平成二十五年四月一日から適用する。

改正文 (平成二五年三月三〇日厚生労働省告示第一二六号) 抄

平成二十五年四月一日から適用する。

改正文 (平成二七年五月二一日厚生労働省告示第二七五号) 抄

平成二十七年五月二十一日から適用する。

改正文 (平成二八年二月三日厚生労働省告示第二二号) 抄

平成二十八年四月一日から適用する。

附 則 (令和七年三月七日厚生労働省告示第五二号) 抄

(適用期日)

1 この告示は、令和七年四月一日から適用する。