6月 月例労働経済報告
1 | 概況 |
(1) | 一般経済の概況 景気は、弱さを脱する動きがみられ、緩やかに回復している。
先行きについては、企業部門の好調さが持続する中で、家計部門も改善しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。 |
(2) | 労働経済の概況 労働経済面をみると、完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加するなど(第1図)、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
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2 | 一般経済 |
(1) | 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、横ばいとなっている。 4月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.9%増と3か月ぶりに増加となった(第2図)。 業種別にみると、4月は輸送機械工業、一般機械工業、電気機械工業等が上昇し、化学工業、電子部品・デバイス工業、繊維工業が低下した。出荷は2.7%増と2ヶ月連続で上昇し、在庫は前月比横ばいであった。 今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は5月2.3%減の後、6月は1.4%増となっている。 |
(2) | 最終需要の動向をみると、
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(3) | 国内企業物価は、素材価格の上昇によりこのところ上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。 5月の国内企業物価(速報)は、前月比0.1%下落(前年同月比1.8%上昇)となり、輸出物価は同1.3%下落(同1.3%下落)、輸入物価は同0.5%下落(同8.8%上昇)となった。 4月の消費者物価は、総合が前年同月比横ばい(前月比0.2%上昇)、生鮮食品を除く総合が同0.2%下落(同0.3%上昇)となった(第7図)。 |
(4) | 企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、減少している。 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、前年同期比は、2004年10〜12月期全産業17.6%増の後、2005年1〜3月期全産業15.8%増(製造業19.0%増、非製造業14.0%増)、季節調整値で2004年10〜12月期前期比2.1%減の後、2005年1〜3月期同3.6%増(製造業4.1%増、非製造業3.3%増)となった。 また、日本銀行「企業短期経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2005年度の経常利益計画(前年同期比)は、2005年度通期では全産業3.3%の増益、製造業2.0%の増益、非製造業4.4%の増益と、製造業、非製造業とも4年連続の増益を見込んでいる。なお、2005年度上期では、全産業2.9%の利益、製造業5.3%の益、非製造業0.9%の減益の後、下期では全産業9.3%の増益、製造業9.1%の増益、非製造業9.5%の増益が見込まれている(第8表)。 企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、全規模で全産業-2ポイント(3ポイント悪化)、製造業6ポイント(5ポイント悪化)、非製造業-6ポイント(1ポイント改善)となっており、製造業は悪化、非製造業は改善となっている(第9表)。 倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、4月946件(前年同月比23.4%減)となっている。1,000件を下回り、4月としては1988年以来の低い水準となっている。 |
(5) | 2005年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.2%(年率4.9%)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は1.3%、財貨・サービスの純輸出の寄与度は▲0.1%となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.6%増となった(第10図)。 |
3 | 雇用・失業 |
(1) |
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(2) | 有効求人(季節調整値)は、前月比0.9%増と2か月連続で増加し、有効求職者数(季節調整値)は同2.4%減と2か月ぶりに減少となった。 有効求人倍率(季節調整値)は、上昇傾向で推移しており、4月は0.94倍(前月と比べて0.03ポイント上昇)となった。 新規求人(季節調整値)は、前月比1.8%減と2か月連続で減少した。 新規求職者数(季節調整値)は前月比6.9%減と2か月ぶりに減少した。 新規求人倍率(季節調整値)は、4月は1.42倍と前月より0.07ポイント上昇した(第12表)。 新規求人(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、4月は一般は前月比0.8%減と2か月連続で減少し、パートについては前月比3.8%減と2ヶ月ぶりに減少した。新規求職(季節調整値)は、一般は前月比9.3%減と2ヶ月ぶりに減少し、パートについては同4.2%増と2ヶ月連続で増加した。 |
(3) | 産業別にみると4月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差36万人増、卸売・小売業は同6万人増、教育,学習支援業は同2万人増と増加したのに対し、運輸業は同19万人減、飲食店,宿泊業は同19万人減、製造業は同18万人減、情報通信業は同3万人減、建設業は同2万人減と減少し、サービス業は前月と同水準となった。 4月の新規求人(原数値)は情報通信業は前年同月比15.2%増、建設業は同12.6%増、医療,福祉は同11.6%増、飲食店,宿泊業は同10.7%増、サービス業は同6.9%増、運輸業は同4.6%増、卸売・小売業は同1.2%増、製造業は同2.9%増と増加したのに対し、教育,学習支援業は同1.0%減と減少した。 |
(4) | 雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、製造業の所定外労働時間(季節調整値)は、横ばいとなっている。所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、製造業では3月は前月比0.4%増の後、4月は同0.4%増となり、調査産業計では3月は前月比1.2%減の後、4月は同2.9%増となった。 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では-1%ポイント(12月調査より1%ポイント低下)となり低下傾向にある(第13図)。 厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2005年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は14%となり2004年10〜12月期と比べて1ポイント低下した(第14図)。また、2005年4〜6月期に実施予定の事業所割合は13%、2005年7〜9月期に実施予定の事業所割合は11%と低下が見込まれている。 内閣府「景気ウォッチャー調査」による5月の2〜3か月先の景気の先行き判断DI・雇用関連は56.2で前月を1.9ポイント上回った。 |
4 | 賃金・労働時間 |
(1) | 4月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は282,106円で、前年同月比0.6%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.5%増、パートタイム労働者は同横ばいとなった。 内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.4%増(一般労働者同0.3%増、パートタイム労働者同0.4%減)となったほか、所定外給与は同2.3%増、特別給与は同5.2%増となり、実質賃金は同0.5%増となった(第15図)。 また、決まって支給する給与は前年同月比0.5%増(一般労働者同0.5%増、パート労働者同0.2%減)となった。 |
(2) | 4月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は155.9時間で、前年同月比1.5%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.4%減、パートタイム労働者は同1.2%減となった。 内訳をみると、所定内労働時間は145.1時間で前年同月比1.7%減(一般労働者同1.7%減、パートタイム労働者同1.4%減)、所定外労働時間は10.8時間で同1.8%増となった。なお、月間出勤日数は20.2日で前年同月差は0.3日減となった。 4月の製造業の所定外労働時間(確報)は16.1時間で、前年同月比0.6%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比1.4%減、100〜499人規模で同横ばい、30〜99人規模で同1.2%減、5〜29人規模で1.9%増となった(第16図)。 |
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