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8月月例労働経済報告

〈概観〉

一般経済の概況

 景気は、さらに悪化している。

 先行きについては、世界経済の減速や在庫の増加など、懸念すべき点がみられる。

労働経済の概況

 労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率がこれまでの最高水準で推移し、求人や残業時間も弱含んでいる。

(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は大幅に減少する中で、在庫が増加している。生産は、季調済前月比で5月1.2%減の後、6月(速報)は同0.7%減(前年同月比8.7%減)となった。業種別にみると、電気機械、一般機械、化学(除医薬品)が低下したが、輸送機械、石油・石炭、その他等が上昇した。出荷は、季調済前月比0.1%増(前年同月比8.4%減)となった。在庫は、季調済前月比0.6%減(前年同月比5.2%増)となった。在庫率は、季調済前月比2.4%増(前年同月比13.2%増)となった。製造工業の生産予測指数は、7月季調済前月比2.3%減の後、8月は同3.4%増を予測している。

「出産・出荷・在庫」のグラフ

 企業収益は、頭打ちとなっている。また、企業の業況判断は、製造業を中心に引き続き悪化している。内閣府「法人企業動向調査」(資本金1億円以上、6月調査、季節調整値)によると、売上高の判断(「増加」−「減少」)は、13年4〜6月期は前期と比べ「減少」超幅が拡大し、経常利益の判断(「増加」−「減少」)も、13年4月〜6月期は前期に比べ「減少」超幅が拡大した。また、企業経営者の景気判断(業界景気の判断「上昇」−「下降」)13年4〜6月期は前期に比べ「下降」超幅が拡大した。

「業況判断(全産業・季節調整値)」のグラフ

 中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(6月調査、季調値)によると、業況判断D.I.(「好転」−「悪化」)は、13年4〜6月期、7〜9月期(予測)ともに前期に比べ「悪化」超幅は拡大している。

(2) 設備投資は、減少している。前出「法人企業動向調査」によると、全産業の設備投資額は、季節調整値で13年1〜3月期(実績)1.7%減(うち製造業0.8%増、非製造業0.0%)の後、13年4〜6月期(実績見込み)は8.6%減(うち同9.6%減、同10.4%減)となっている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季節済前月比で4月6.3%増の後、5月は同2.1%減(前年同月比4.3%増)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、6月は前年同月比で8.9%減となった。
 住宅建設は、減少している。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、5月5.6%増(前年同月比0.2%減)の後、6月は同7.9%減(同10.5%減)の9万2千戸(年率111万戸)となった。

「住宅」のグラフ

 公共投資は、総じて低調に推移している。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で3月は6.7%減の後、4月は同7.2%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で4月11.7%増の後、5月は同30.8%減となった。

(3) 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、足元で弱い動きがみられる。6月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で4.5%減、実質で3.8%減となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、68.9%となった。6月の小売業販売額(速報)は前年同月比2.7%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同1.9%減となった。7月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比7.3%増となった。

「個人消費」のグラフ

(4) 輸出は、大幅に減少している。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で5月0.9%減の後、6月は同0.3%減となった。
 輸入は、減少している。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で5月11.1%増の後、6月は同12.1%減となった。

(5) 雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率がこれまでの最高水準で推移し、求人や残業時間も弱含んでいる。6月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比2.2%減(前月同1.6%増)と3か月ぶりに減少し、有効求職者が同1.2%減(前月同2.6%増)となり、前月と同水準の0.61倍となった。6月の雇用者数は前年同月比0.6%増(前年同月差34万人増)となった。6月の完全失業率(季調値)は、4.9%と前月と同水準となった。完全失業者数(原数値)は338万人で前年同月差17万人増となった。

「雇用・労働市場」のグラフ

(6) 賃金、労働時間の動向をみると、6月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比1.7%減となり、実質賃金は同0.9%減となった。また、定期給与は前年同月比0.1%増となった。特別給与は前年同月比4.0%減となった。
 6月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比0.4%減となり、そのうち所定内労働時間は同0.2%減となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比8.2%減となった。

(7) 国内卸売物価は、弱含んでいる。7月の総合卸売物価は前月比0.4%上昇(前年同月比0.8%上昇)となった。そのうち国内卸売物価は前月比0.1%上昇、輸出物価は同1.4%上昇、輸入物価は同1.2%上昇となった。
 消費者物価は、弱含んでいる。6月の消費者物価は、前年同月比0.5%下落(生鮮食品を除く総合同0.6%下落)、7月について東京都区部速報値でみると、前年同月比0.9%下落(生鮮食品を除く総合同0.9%下落)となった。

1 雇用、労働市場の動向

《1》 6月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で2.2%減、有効求職者が同1.2%減となり、有効求人倍率(季調値)は前月と同水準の0.61倍となった。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.48倍、パートを除く有効求人倍率は0.47倍(うち常用0.46倍)となった。
 6月の新規求人は季調済前月比で6.8%減、前年同月比で1.1%減となり、うち、パートの新規求人は前年同月比1.0%増、パートを除く新規求人は同2.2%減となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(前年同月比8.1%増)、卸売・小売業、飲食店(同1.9%増)、運輸・通信業(同1.5%減)、建設業(同3.1%減)、製造業(同20.8%減)となっている。一方、6月の新規求職者は季調済前月比で6.1%減、前年同月比1.3%減となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比1.9%減、パートを除く新規求職者は同1.1%減となった。また、常用新規求職者は前年同月比1.1%減となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同2.6%減、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同0.2%減となった。以上の結果、6月の新規求人倍率(季調値)は1.07倍(前月1.08倍)となった。

「求人・求職」の表

《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、6月は前年同月比0.6%増(前年同月差34万人増、うち常雇2万人増)と14か月連続で増加した。男女別には、男性は前年同月差4万人減、女性は37万人増となった。産業別にみるとサービス業で前年同月差57万人増、卸売・小売業,飲食店で同17万人増、運輸・通信業で同2万人増、建設業で同13万人減、製造業で同21万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、6月は産業計で前年同月比0.2%減、製造業で同1.7%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.9%減、パートタイム労働者は同2.9%増となった。
 6月の完全失業率(季調値)は4.9%となり、前月と同水準となった。男女別にみると、男性は5.1%(前月と同水準)、女性は4.6%(前月と同水準)となった。
 完全失業者数(原数値)は338万人で、前年同月差17万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は92万人(前年同月差13万人減)、自発的理由による離職者は131万人(同21万人増)、他方、その他の理由による失業者は80万人(同6万人増)となった。また、世帯主の失業者は90万人(同1万人減)となった。
 6月の男性の労働力率は76.0%(前年同月差0.6%ポイント低下)、女性の労働力率は49.9%(同0.3%ポイント低下)となった。

「雇用・失業」の表

「産業別雇用者数の推移(前年同期差)」のグラフ

《3》 日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)によれば、全国企業(全産業)の雇用人員判断D.I.(「過剰」−「不足」)はプラス15%ポイント(3月調査プラス11%ポイント)と前回と比べ4%ポイント上昇した。内訳をみると、大企業はプラス21%ポイント(同プラス19%ポイント)、中堅企業はプラス12%ポイント(同プラス9%ポイント)、中小企業はプラス15%ポイント(同プラス10%ポイント)となり、大企業、中堅企業、中小企業ともに上昇した。産業別にみると、製造業はプラス24%ポイント(3月調査プラス18%ポイント)と前回と比べ6%ポイント上昇し、非製造業はプラス8%ポイント(同プラス5%ポイント)と前回と比べ3%ポイント上昇した。

2 賃金・労働時間・労働災害の動向

《1》 6月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は482,003円で、前年同月比1.7%減となった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比0.2%増となったほか、所定外給与は同2.8%減、特別給与は同4.0%減となり、実質賃金は同0.9%減となった。

「賃金」のグラフ

《2》 6月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は159.6時間で、前年同月比0.4%減となった。内訳をみると、所定内労働時間は150.4時間で前年同月比0.2%減、所定外労働時間は9.2時間で同3.2%減となった。なお、月間出勤日数は20.8日と前年同月差保合いとなった。
 6月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は12.4時間で、前年同月比8.2%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比9.3%減、100〜499人規模で7.9%減、30〜99人規模で同8.4%減、5〜29人規模で同5.4%減となった。

「労働時間」のグラフ

《3》 平成13年6月の労働災害による全産業の死亡者数は95人(速報)で、前年同月比11.2%減となっている。

3 勤労者家計・物価の動向

《1》 6月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比0.1%増、実質で同0.8%増となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比2.7%減、臨時収入・賞与が同3.3%増、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同7.1%減となった。可処分所得は名目で前年同月比1.2%増、実質で同1.9%増となった。
 6月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比4.0%減、実質で同3.3%減となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比3.9%減、サ−ビスは同3.9%減となった。
 6月の平均消費性向は46.7%と、前年同月差2.5%ポイントの低下となった。

「勤労者家計」のグラフ

《2》 7月の総合卸売物価は、前月比0.4%上昇(前年同月比0.8%上昇)となった。うち国内卸売物価は、電気機器、鉄鋼、製材・木製品等が下落したが、電力・都市ガス・水道、食料用農畜水産物、石油・石炭製品等が上昇したため、前月比0.1%上昇(前年同月比0.8%下落)となった。
 一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比1.4%上昇(前年同月比5.1%上昇)、同1.2%上昇(同9.1%上昇)となった。
 6月の全国消費者物価は、前年同月比0.5%下落(前月比0.3%下落)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.6%下落(前月比0.1%下落)となった。7月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比0.9%下落 (前月比0.4%下落) となった。

「物価」のグラフ

8月の主要変更点(概要部分)



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