厚生労働省発表 平成15年12月 |
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I | 調査の概要 この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所5,358事業所を対象として、年4回実施(通信調査方式)しているもので、平成15年11月1日現在の調査結果である(回答事業所数2,870、回答率54%)。 |
(1) | 生産・売上《製造業、サービス業の実績でプラスに転じる》 生産・売上判断D.I.(平成15年7〜9月期実績)は、製造業で6ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス8ポイント、サービス業で2ポイントとなり、製造業、サービス業でプラスに転じた。先行きは、15年10〜12月期実績見込は、製造業でプラス、卸売・小売業,飲食店、サービス業でマイナス、16年1〜3月期見込は、製造業でプラスとなっている(表1、第1図)。 |
(2) | 所定外労働時間《3産業の実績でプラス》 所定外労働時間判断D.I.(15年7〜9月期実績)は、製造業で6ポイント、卸売・小売業,飲食店で6ポイント、サービス業で4ポイントとなり、製造業、サービス業でプラスに転じた。先行きは、15年10〜12月期実績見込は卸売・小売業,飲食店、サービス業でマイナスとなっている。16年1〜3月期見込は3産業でマイナスとなっているがマイナス幅は縮小している(表2、第2図)。 |
(3) | 常用雇用《製造業、卸売・小売業,飲食店の実績でマイナス幅縮小》 常用雇用判断D.I.(15年7〜9月期実績)は、製造業でマイナス11ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス11ポイント、サービス業でマイナス15ポイントとなり、製造業、卸売・小売業,飲食店でマイナス幅が縮小した。先行きは、15年10〜12月期実績見込、16年1〜3月期見込とも3産業でマイナスとなっている(表3、第3図)。 |
(4) | パートタイム雇用《サービス業の実績でプラスに転じる》 パートタイム雇用判断D.I.(15年7〜9月期実績)は、製造業でマイナス4ポイント、卸売・小売業,飲食店で0ポイント、サービス業で3ポイントとなり、サービス業でプラスに転じた。先行きは、15年10〜12月期実績見込で、製造業、卸売・小売業,飲食店でマイナス、サービス業でプラス、16年1〜3月期見込は製造業でプラス、サービス業でマイナスとなっている(表4、第4図)。 |
(1) | 常用労働者《不足に転じる》 11月現在の常用労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると、調査産業計では前期の過剰(マイナス5ポイント)から不足(1ポイント)に転じている。産業別にみると、運輸・通信業、サービス業では不足感が強まり、建設業、製造業では過剰感が弱まっている(表5、第5図)。 |
(2) | パートタイム労働者《不足感強まる》 11月現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると、調査産業計ではプラス11ポイントと前期(プラス5ポイント)と比べると不足感が強まっている。産業別にみると、製造業で不足に転じ、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、不動産業、サービス業で不足感が強まっている(表6)。 |
(1) | 実施割合《実績で低下》 雇用調整を実施した事業所の割合(15年7〜9月期実績)は、調査産業計で19%と前期と比べると3ポイント低下した。産業別にみると建設業、製造業、運輸・通信業で低下した(表7、第8図)。 |
(2) | 実施方法 雇用調整の実施方法は、調査産業計では残業規制(9%)の割合が高く、次いで配置転換(6%)、休日の振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加(4%)及び出向(4%)となっている(表8、第10図)。 |
4 | 中途採用《やや低下》 「中途採用あり」とした事業所割合(15年7〜9月期実績)は、調査産業計で45%と前年同期(14年7〜9月期実績)と比べるとやや低下している。産業別にみると、製造業で横ばい、運輸通信業、金融・保険業で前年を上回っているほかは、すべての産業で下回っている(表9)。 |
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注:( )内の数値は前年同期の数値である(以下同様)。 |
(1) | 事業の見直し実施状況《実施した事業所割合は低下》 過去1年間に事業の見直しを実施した事業所割合は調査産業計で28%となっている。前年同期と比べると6ポイントの低下となった。産業別では建設業が34%と最も高く、前年同期と比べると金融・保険業で1ポイント上昇しているのを除き、すべての産業で低下している。また、今後1年間に事業の見直しを実施する予定の事業所割合は調査産業計で21%となっている(表10)。 |
(2) | 事業の見直し方法《「不採算事業部門の縮小」及び「組織再編成による管理事務部門の縮小」が低下》 過去1年間に事業の見直しを実施した事業所における見直し方法は、調査産業計では「組織再編成による管理事務部門の縮小」(8%)の割合が高く、次いで「不採算事業部門の縮小」(7%)となっている。前年同期と比べると「不採算事業部門の縮小」3ポイント、「組織再編成による管理事務部門の縮小」及び「下請・外注の縮小」でそれぞれ2ポイント低下し、その他の方法別では1ポイントの低下又は横ばいとなっている。また、今後1年間の実施予定事業所における見直し方法については、調査産業計では「新規部門(市場)への進出」、「組織再編成による管理事務部門の縮小」及び「不採算事業部門の縮小」でそれぞれ5%となっている(表11)。 ![]() |
(3) | 事業の見直しに伴う雇用面での対応方法《配置転換の割合が高い》 過去1年間に事業の見直しを実施した事業所における雇用面での対応方法は、調査産業計で「配置転換」(11%)の割合が高く、次いで「中途採用の実施・拡大」(6%)及び「賃金制度の見直し」(6%)となっている。 前年同期と比べると「中途採用の実施・拡大」で1ポイント増加し、「配置転換」及び「希望退職者の募集、解雇等による従業員の削減」でそれぞれ3ポイントの減少となっている。 また、今後1年間の実施予定事業所における雇用面での対応方法については、調査産業計で「配置転換」8%となっている(表12)。 ![]() |
〔労働者〕
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〔職種〕
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(注) | 1 | 平成11年2月の調査から、調査対象産業を従来の5産業に金融・保険業、不動産業を追加し7産業とした。 |
2 | 統計表の数値は、不明を除き集計事業所数を100とした割合である。 | |
3 | 「生産・売上判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値である。 | |
4 | 季節調整値は、センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる。また、季節調整値は、毎年5月結果発表時に、過去に遡って改訂するので、前回発表の数値と異なっている部分がある。 | |
5 | 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。 | |
6 | 統計表に用いている数値は、「0」は単位未満の割合を示し、「−」は調査客体がないものを示す。 | |
7 | 調査の結果は、厚生労働省のwebページ(https://www.mhlw.go.jp/)に掲載されている。 「統計情報」→「最近公表の統計資料」→「月報で公表・提供しているもの」→「労働経済動向調査(平成15年11月)結果の概況」 |