厚生労働省発表 平成14年6月 |
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I 調査の概要
この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間など現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業, 飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所5,358事業所を対象として、年4回実施(通信調査方式)しているもので、平成14年5月1日現在の調査結果である。
(回答事業所数3018、回答率56%)
II 結果の要旨
1 生産・売上、所定外労働時間、雇用
(1)生産・売上《3産業の実績でマイナス幅は縮小》
生産・売上判断D. I. (平成14年1〜3月期実績)は、製造業でマイナス6ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス13ポイント、サービス業でマイナス4ポイントと3産業ともマイナス幅は縮小した。先行きは、14年4〜6月期実績見込、14年7〜9月期見込は3産業でマイナスとなっているが、製造業のマイナス幅は縮小する見込となっている(表1、第1図)。 |
(2)所定外労働時間《サービス業の実績でプラスに転じる》
所定外労働時間判断D. I.(14年1〜3月期実績)は、製造業でマイナス2ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス4ポイントとマイナス幅は縮小し、サービス業でプラス1ポイントとプラスに転じた。先行きは、14年4〜6月期実績見込、14年7〜9月期見込は3産業ともマイナスとなっている(表2、第2図)。 |
(3)常用雇用《製造業、卸売・小売業,飲食店の実績でマイナス幅は縮小》
常用雇用判断D. I.(14年1〜3月期実績)は、製造業でマイナス26ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス15ポイントとマイナス幅は縮小し、サービス業でマイナス9ポイントとなった。先行きは、14年4〜6月期実績見込、14年7〜9月期見込で3産業ともマイナスとなっている(表3、第3図)。 |
(4)パートタイム雇用《卸売・小売業,飲食店の実績でマイナス幅は縮小》
パートタイム雇用判断D.I.(14年1〜3月実績)は製造業でマイナス12ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス2ポイント、サービス業でマイナス1ポイントとなった。先行きは、14年4〜6月期実績見込で3産業ともマイナスとなり、14年7〜9月期見込で製造業、サービス業でマイナス、卸売・小売業,飲食店でプラスとなっている(表4、第4図)。 |
2 労働者の過不足状況
(1)常用労働者《過剰感やや弱まる》
5月現在の常用労働者過不足判断D. I.により、雇用過剰感の動向をみると調査産業計ではマイナス13ポイントと前期(マイナス15ポイント)と比べると、過剰感はやや弱まっている。産業別には、製造業、運輸・通信業及び卸売・小売業,飲食店で過剰感が弱まっている(表5、第5図)。 |
(2)パートタイム労働者《不足感やや強まる》
5月現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると調査産業計ではプラス5ポイントと前期(プラス3ポイント)と比べると、不足感はやや強まっている。産業別には、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店及び不動産業で不足感は強まっている(表6)。 |
3 雇用調整
(1)実施割合《実績はやや上昇》
雇用調整を実施した事業所割合(14年1〜3月期実績)は、調査産業計31%と、前期と比べると2ポイントの上昇となった。産業別にみると、建設業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業及びサービス業で上昇した。 今後の雇用調整実施予定事業所割合は、調査産業計では、14年4〜6月期は29%、14年7〜9月期は25%となっている(表7、第8図)。 |
(2)実施方法
雇用調整の実施方法は、調査産業計では、残業規制(16%)、配置転換(10%)、希望退職者の募集、解雇(7%)の割合が高く、これらはいずれも前期より増加している(表8、第10図)。 |
4 中途採用《やや低下》
「中途採用あり」とした事業所割合(14年1〜3月期実績)は調査産業計で43%と前年同期(13年1〜3月期実績45%)と比べると2ポイントの低下となった(表9)。 |
注:( )内の数値は対前年同期である(以下同様)。 |
5 平成15年新規学卒者の採用計画等
(1)採用計画《すべての学歴で減少が増加を上回る》
平成15年新規学卒者の採用予定者数を14年の採用者数と比べると、調査産業計ではすべての学歴で「減少」とする事業所割合が「増加」とする事業所割合を上回った(表10)。 「増加」とする事業所割合を前年結果と比較すると、高校卒、専修学校卒の卸売・小売業,飲食店、専修学校卒の不動産業で上昇し、大学卒(文科系)のサービス業で横ばいとなったほかは、すべての学歴、産業で低下した(表10)。 |
注:大学卒(文科系・理科系)は大学院卒を含む(以下同様)。 |
(2)採用計画の理由
15年新規学卒者の採用予定者数を「増加」とする理由(複数回答)を調査産業計で学歴別にみると、高校卒では「年齢等人員構成の適正化」、高専・短大卒及び大学卒(理科系)では「技術革新への対応・研究開発の充実」、大学卒(文科系)では「販売・営業部門の増強」、専修学校卒では「前年は新規学卒者の確保ができなかった」の割合がそれぞれ最も高くなっている。一方、「減少」とする理由(複数回答)は調査産業計で、学歴別にみると「人件費比率の抑制・定員管理の見直し」の割合がすべての学歴とも高くなっている(表11)。 |
参考:主な用語の説明
〔労働者〕 | ||
常用 | …… | 雇用期間を定めないで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。 |
臨時・季節 | …… | 1ヶ月以上の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、パートタイムは除く。 |
パートタイム | …… | 1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の一般労働者のそれより短い者をいう。 |
〔職種〕 | ||
管理 | …… | 課以上の組織の管理に従事する者をいう。 |
事務 | …… | 課長等管理職の指導、監督をうけて事務に従事する者をいう。 |
専門・技術 | …… | 高度の専門知識を応用し、技術的な業務、研究等に従事する者をいう。 |
販売 | …… | 商品、証券などの売買、保険外交などに従事する者をいう。 |
サービス | …… | 主に個人に対するサービスの仕事をいう。 |
運輸・通信 | …… | 鉄道、自動車、通信電話交換などで運転、操作に従事する者及び車掌、電話交換手などをいう。 |
技能工 | …… | 原材料の加工、各種機械器具の組み立て、修理、印刷、製本、建設作業などに従事する者のうち高度の熟練、判断力、責任を要する作業を行う者をいう。 |
単純工 | …… | 上記「技能工」と同じ作業に従事しているが、技能などの修得を要しない簡単な作業、単純な筋肉労働に従事する者をいう。 |
(注) | 1 | 平成11年2月の調査から、調査対象産業を従来の5産業に金融・保険業、不動産業を追加し7産業とした。 |
2 | 「生産・売上判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」、「雇用判断D.I.」とは、増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値(センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる季節調整値)。また、季節調整値は、毎年5月結果発表時に遡って改訂する。 | |
3 | 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。 | |
4 | 統計表に用いてる数値は、「0」は単位未満の比率を示し、「−」は調査客体がないものを示す。 | |
5 | 調査の結果は厚生労働省のwebページ(https://www.mhlw.go.jp/)に掲載されている。 |