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人事考課制度は約5割の企業で実施
うち、考課内容の公開は約2割の企業で実施
(平成8年雇用管理調査結果速報)
I 調査の概要
1 | 雇用管理調査は、企業の雇用管理制度の実態を明らかにするため、採用に関する事項、採用後の諸管理に関する事項及び退職に関する事項について調査を実施しているが、今回は企業の採用後の諸管理に関する事項と退職に関する事項のうちの定年制等について調査を実施した。 |
2 | 調査対象は、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サ−ビス業(家事サ−ビス業、教育、外国公務を除く。)に属する本社の常用労働者が30人以上の民営企業のうちから一定の方法により抽出した約6,000企業(回収率81.1%)であり、平成8年1月1日現在(調査事項の一部については平成7年1月〜12月までの1年間)の状況について調査を実施した。 |
II調査結果の概要
骨 子
1 | 配置転換 | |
配置転換を行った企業は43.8%、 1,000人以上規模では9割を超える | ||
(1) | 平成7年(1月〜12月)1年間に配置転換を行った企業の割合は43.8%、配置転換を行った企業のうち、転居を伴う国内での配置転換を行った企業の割合は31.4%、海外への配置転換が6.2% 。 | |
(2) | 配置転換の目的では、「職務再編成」、「多様な仕事の経験をさせて労働者の能力向上を図る」、「能力にみあった職務への異動」を挙げた企業が多い。 |
2 | 人事考課制度 | |
人事考課制度のある企業は49.9%、人事考課では業務能力を重視、人事考課の公開制度がある企業は人事考課制度がある企業の18.1% | ||
(1) | 人事考課制度がある企業は49.9%、 300人以上の規模では9割を超える。また、今後設ける予定がある企業は12.8%、人事考課制度がある企業に今後設定予定の企業を加えると30〜99人規模でも5割を超える。 | |
(2) | 人事考課の評価の段階数が一律の企業では、2次評価が46.3%、3次評価が36.3%で、2次評価及び3次評価の合計で8割を超える。 | |
(3) | 人事考課の評価方法(事務部門)では、昇格においては「主として絶対評価」が「主として相対評価」を大きく上回るが、昇進においてはほぼ同じ。 | |
(4) | 人事考課において重視する考課項目では、部門(事務、技術・研究、現業)、職層(係長相当、課長相当、部長相当)のいずれにおいても「業務能力考課」を重視する企業が最も多いい。 | |
(5) | 考課結果の昇格への反映度(事務部門)については、いずれの職層でも「考課結果と他の決定要素を半々程度に反映」とする企業の割合が最も高い。また、「考課結果を他の決定要素よりも重視して反映」とする企業は、「他の決定要素を考課結果より重視して反映」とする企業より多く、規模が大きくなるほどその割合が高い。 | |
(6) | 人事考課の公開制度がある企業は18.1%、そのうち「考課基準等」を公開する企業が87.3%、「考課結果」を公開する企業が75.0%、また「考課結果」を公開する企業のうち、異議申立て制度がある企業は40.0%。 | |
(7) | 目標管理制度がある企業は28.0%、そのうち対象を「全社員」とする企業は55.5%。 | |
(8) | 人事考課の制度・運営上の問題点では、「制度・運営上の問題点がある」企業が90.5%、問題点では、「質の異なる仕事をする者への評価が難しい」が52.6%、「考課者訓練が不十分」が48.1%、「評価基準が不明確又は統一が難しい」が41.0%。 | |
(9) | 人事考課の制度・運営上の見直し・改定状況では、最近3年以内に見直し・改定を行った企業が23.4%、今後見直し・改定を決定している企業が 6.1%、見直し・改定を検討している企業が34.5% |
3 | 人事政策等 | |
「終身雇用慣行にこだわらない」とする企業が50.5%、「主として能力主義を重視する」とする企業が48.4% | ||
(1) | 今後の人事・労務管理の基本的考えとして、「終身雇用慣行にこだわらない」とする企業が50.5%、「どちらともいえない」が29.0%で、「終身雇用慣行を重視する」とする企業の18.9%を上回っている。 | |
(2) | 人事・労務管理の基本方針は、「主として能力主義を重視する」とする企業が48.4%、「年功序列主義を重視する、能力主義を重視するの両者の折衷」が41.7%で、「主として年功序列主義を重視する」とする企業の 3.6%を大きく上回っている。 | |
(3) | 採用・人事において重視する点は、「全人格的なものを重くみる、職務遂行能力を重くみるの両者の折衷」を挙げる企業が45.4%、「職務遂行能力を重くみる」が39.3%と、「全人格的なものを重くみる」の10.1%に比べ多い。 | |
(4) | 雇用管理上の問題点として、「労働時間短縮のための組織・要員の見直し」、「中高年現業職員の配置及び処遇」、「技術者の不足・採用難」、「若年社員の帰属意識・モラールの変化」を挙げる企業が多い。 |
4 | 定年制等 | |
一律定年年齢60歳以上の企業が88.3%、勤務延長制度・再雇用制度がある企業は7割 | ||
(1) | 定年制を定めている企業は93.4%、このうち、一律定年制を定めている企業は96.2%。 | |
(2) | 一律定年制を定めている企業のうち、定年年齢60歳以上の企業は88.3%、さらに、定年年齢60歳以上への改定が決定又は予定している企業を加えると94.8%。 | |
(3) | 一律定年制を定めている企業で、勤務延長制度・再雇用制度のどちらか又は両制度併用の制度がある企業は70.3%。 |