労働経済動向調査   労働統計一覧

厚生労働省発表
平成13年6月
担当 厚生労働省統計情報部
 雇用統計課長  水谷  豊
 同課長補佐    櫻井 忠房
電話 03(5253)1111 内線5667、5249
ダイヤルイン 03(3595)3145

・常用労働者の雇用過剰感やや強まる
・新規学卒者の採用計画は「増加」が「減少」を上回る

労働経済動向調査(平成13年5月)結果速報

 調査の概要
 この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間など現状と今後の短期的見通しなどを 把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業, 飲食店、金融・保険業、不動 産業及びサービス業に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所5,342事業所を対象と して、年4回実施(通信調査方式)しているもので、平成13年5月1日現在の調査結果である。
 (回答事業所数2,818、回答率53%)

(注) 平成11年2月の調査から、調査対象産業を従来の5産業に金融・保険業、不動産業を追加し7産業とした。
 「生産・売上判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」、「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値(センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる季節調整値)。また、季節調整値は、毎年5月結果発表時に遡って改訂する。
 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
 統計表に用いている数値は、「0」は単位未満の比率を示し、「−」は調査客体がないものを示す。

II 調査結果
【 骨子 】
1 生産・売上

 生産・売上判断D.I.(平成13年1〜3月期実績)は、製造業マイナス18ポイント、卸売・小売業,飲食店マイナス14ポイント、サービス業マイナス1ポイントとなり、製造業、卸売・小売業,飲食店の2産業でマイナスに転じた。13年4〜6月期実績見込、13年7〜9月期見込は3産業ともマイナスとなっている(第1図第1表)。
2 所定外労働時間

 所定外労働時間判断D.I.(13年1〜3月期実績)は、製造業マイナス11ポイントとマイナスに転じ、卸売・小売業,飲食店マイナス8ポイントとマイナス幅は拡大し、サービス業プラス6ポイントと微増となった。13年4〜6月期実績見込、13年7〜9月期見込は3産業ともマイナスとなっている(第2図第1表)。
3 雇用

 常用雇用判断D.I.(13年1〜3月期実績)は、製造業マイナス15ポイント、卸売・小売業,飲食店マイナス17ポイント、サービス業マイナス6ポイントと前期に引き続きマイナスとなり、3産業でマイナス幅は拡大した。13年4〜6月期実績見込は3産業ともマイナスとなり、13年7〜9月期見込は製造業、卸売・小売業,飲食店でマイナスとなり、サービス業はプラスとなっている(第3図第1表)。
4 労働者の過不足状況

 5月現在の常用労働者過不足判断D.I.により、企業の雇用過剰感の動向を見ると調査産業計ではマイナス6ポイントと前期(マイナス4ポイント)と比べると、過剰感が強まっている。産業別には、建設業、製造業で過剰感が強まっている。また、運輸・通信業で不足感は弱まりつつある(第5図第2−1表)。
 職種別にみると、「管理」、「事務」でなお過剰感があり、「単純工」で過剰に転じた(第7図第2−2表)。
5 雇用調整

 雇用調整を実施した事業所割合(13年1〜3月期実績)は、調査産業計23%と、前期と比べると、2ポイントの上昇となった。産業別にみると、サービス業の横ばいを除きすべての産業で上昇した。
 雇用調整の実施方法は、調査産業計では、「残業規制」の割合が12%で最も高く、次いで「配置転換」(7%)、「中途採用の削減・停止」、「出向」(各5%)となっている。
 今後の雇用調整実施予定事業所割合は、調査産業計では、13年4〜6月期は24%、13年7〜9月期は22%となっている(第8図第9図第10図第4表)。
6 中途採用

 「中途採用あり」とした事業所割合(13年1〜3月期実績)は、調査産業計45%と前年同期(12年1〜3月期実績)と比べると5ポイントの上昇となった(第5表)。
7 平成14年新規学卒者の採用計画等

 平成14年新規学卒者の採用予定者数を13年の採用者数と比べると、調査産業計では各学歴とも「増加」するとした事業所割合が「減少」するとした事業所割合を上回った。(第6表


 
 生産・売上、所定外労働時間、雇用
(1) 生産・売上
 製造業の生産判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス18ポイントとマイナスに転じた。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス17ポイント、13年7〜9月期見込マイナス7ポイントとなっている(第1図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店の売上判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス14ポイントとマイナスに転じた。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス3ポイント、13年7〜9月期見込マイナス4ポイントとなっている((第1図第1表)。
 サービス業の売上判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス1ポイントとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス2ポイント、13年7〜9月期見込マイナス3ポイントとなっている(第1図第1表)。
 製造業について業種別にみると、13年1〜3月期実績は消費関連業種でマイナス17ポイント、素材関連業種でマイナス23ポイント、機械関連業種でマイナス14ポイントとなった。先行きは、消費関連業種で13年4〜6月期実績見込マイナス6ポイント、13年7〜9月期見込マイナス14ポイント、素材関連業種で13年4〜6月期実績見込マイナス16ポイント、13年7〜9月期見込マイナス2ポイント、機械関連業種で13年4〜6月期実績見込マイナス25ポイント、13年7〜9月期見込マイナス8ポイントとなっている(第1表)。
(2) 所定外労働時間
 製造業の所定外労働時間判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス11ポイントとマイナスに転じた。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス14ポイント、13年7〜9月期見込マイナス8ポイントとなっている(第2図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店の所定外労働時間判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス8ポイントとマイナス幅は拡大した。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス5ポイント、13年7〜9月期見込マイナス1ポイントとなっている(第2図第1表)。
 サービス業の所定外労働時間判断D.I.は、13年1〜3月期実績プラス6ポイントと前期に引き続きプラスとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス2ポイント、13年7〜9月期見込マイナス3ポイントとなっている(第2図第1表)。
(3) 雇用
(1) 常用雇用
 製造業の常用雇用判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス15ポイントと前期に引き続きマイナスとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス18ポイント、13年7〜9月期見込マイナス8ポイントとなっている(第3図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店の常用雇用判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス17ポイントと前期に引き続きマイナスとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス25ポント、13年7〜9月期見込マイナス8ポイントとなっている(第3図第1表)。
 サービス業の常用雇用判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス6ポイントと前期に引き続きマイナスとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込マイナス6ポイント、13年7〜9月期見込プラス1ポイントとなっている(第3図第1表)。
(2) パートタイム雇用
 製造業のパートタイム雇用判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス4ポイントとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込、13年7〜9月期見込とも、それぞれにマイナス5ポイントとなっている(第4図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店のパートタイム雇用判断D.I.は、13年1〜3月期実績マイナス6ポイントとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込プラス2ポイント、13年7〜9月期見込プラス3ポイントとなっている(第4図第1表)。
 サービス業のパートタイム雇用判断D.I.は、13年1〜3月期実績0ポイントとなった。先行きは、13年4〜6月期実績見込プラス9ポイント、13年7〜9月期見込プラス6ポイントとなっている(第4図第1表)。

 労働者の過不足状況
(1) 過不足
 13年5月現在の労働者の過不足状況は、「常用労働者」を「不足」とする事業所割合は、調査産業計では16%、建設業13%、製造業10%、運輸・通信業26%、卸売・小売業,飲食店17%、金融・保険業23%、不動産業19%、サービス業20%となっている。一方 、「過剰」とする事業所割合は調査産業計では22%、建設業28%、製造業30%、運輸・通信業16%、卸売・小売業,飲食店17%、金融・保険業9%、不動産業7%、サービス業13%となっている(第2−1表)。
 この結果、常用労働者過不足判断D.I.は、調査産業計ではマイナス6ポイント、建設業マイナス15ポイント、製造業マイナス20ポイント、運輸・通信業プラス10ポイント、卸売・小売業,飲食店0ポイント、金融・保険業プラス14ポイント、不動産業プラス12ポイント、サービス業プラス7ポイントとなっている。これを前期と比べると、調査産業計では、2ポイントの低下となっている。産業別には、卸売・小売業,飲食店で10ポイント、金融・保険業で2ポイント、不動産業で1ポイントとそれぞれ上昇し、製造業で10ポイント、運輸・通信業で6ポイント、建設業で5ポイント、サービス業で1ポイントと、それぞれ低下となっている(第5図第2−1表)。
 パートタイム労働者過不足判断D.I.は、調査産業計ではプラス9ポイント、建設業マイナス7ポイント、製造業マイナス1ポイント、運輸・通信業プラス17ポイント、卸売・小売業,飲食店プラス21ポイント、金融・保険業プラス5ポイント、不動産業プラス17ポイント、サービス業プラス22ポイントとなっている(第2−1表)。
 製造業について企業規模別にみると、常用労働者過不足判断D.I.は、規模1,000人以上事業所でマイナス23ポイント、規模300〜999人事業所でマイナス20ポイント、規模100〜299人事業所でマイナス19ポイント、規模30〜99人事業所でマイナス15ポイントとなっている(第6図)。
 職種別の労働者過不足判断D.I.は、調査産業計では、「専門・技術」プラス15ポイント、「販売」プラス12ポイント、「サービス」プラス9ポイント、「運輸・通信」プラス4ポイントと、これらの職種では不足とする事業所割合が過剰とする事業所割合を上回っているのに対して、「管理」マイナス14ポイント、「事務」マイナス9ポイント、「単純工」マイナス14ポイントと、これらの職種では過剰とする事業所割合が不足とする事業所割合を上回っている。これを前期と比べると「販売」で上昇したほかは、その他の職種で低下している(第7図第2−2表)。
(2) 過不足の程度
 13年5月現在において常用労働者が「不足」と回答した事業所の不足の程度は、調査産業計では、「やや不足」とする事業所の割合が全事業所の15%、「おおいに不足」が1%となっている。一方、常用労働者が「過剰」と回答した事業所の過剰の程度は、調査産業計では、「やや過剰」が21%、「おおいに過剰」が1%となっている。また、「適当」とする事業所の割合は62%となっている(第3表)。

 雇用調整
 13年1〜3月期に何らかの雇用調整を実施した事業所の割合は、調査産業計では23%、建設業22%、製造業30%、運輸・通信業19%、卸売・小売業,飲食店22%、金融・保険業11%、不動産業11%、サービス業15%となっている。前期と比べると調査産業計では2ポイント上昇となり、産業別には、建設業、製造業、運輸・通信業及び卸売・小売業,飲食店でそれぞれ3ポイント上昇し、サービス業で横ばい、金融・保険業及び不動産業でそれぞれ1ポイント上昇となっている(第8図第4表)。
 製造業について企業規模別にみると、規模1,000人以上事業所で40%、規模300〜999人事業所で30%、規模100〜299人事業所で24%、規模30〜99人事業所で18%となっている(第9図)。
  13年1〜3月期実績における雇用調整の実施方法(複数回答)は、調査産業計では 、「残業規制」の割合が12%と最も高く、次いで「配置転換」7%、「中途採用の削減・停止」及び「出向」各5%となっている(第10図、第4表)。
 雇用調整の実施予定事業所割合は、調査産業計では、13年4〜6月期予定は24%と13年1〜3月期実績と比べ1ポイント上昇し、12年7〜9月期予定は22%となっている。また、産業別には、13年4〜6月期予定は13年1〜3月期実績と比べ、金融・保険業で3ポイント低下、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、不動産業及びサービス業で横ばい、建設業、製造業でそれぞれ2ポイント上昇となっている(第4表)。

 中途採用
 中途採用「あり」とする事業所割合は、13年1〜3月期実績では、調査産業計45%と前年同期(12年1〜3月期実績)と比べると5ポイントの上昇となった。産業別には、建設業31%、製造業41%、運輸・通信業43%、卸売・小売業,飲食店51%、金融・保険業47%、不動産業54%、サービス業55%となった。産業別では前年同期と比べてすべての産業で1ポイント〜9ポイントの上昇となった。
 今後中途採用を予定する事業所割合は、13年4〜6月期予定では、調査産業計42%、建設業31%、製造業35%、運輸・通信業46%、卸売・小売業,飲食店50%、金融・保険業42%、不動産業46%、サービス業53%となっている。13年7〜9月期予定では、調査産業計23%、建設業14%、製造業16%、運輸・通信業31%、卸売・小売業,飲食店28%、金融・保険業30%、不動産業29%、サービス業34%となっている(第5表)。

 平成14年新規学卒者の採用計画等
 平成14年新規学卒者採用予定者数を13年の採用者数と比べると、調査産業計では各学歴とも「増加」するとした事業所割合が「減少」するとした事業所割合を上回った。産業、学歴別にみると、特に高校卒の運輸・通信業、金融・保険業、不動産業及びサービス業で、高専・短大卒及び大学卒(文科系)の建設業を除くすべての産業で、大学卒(理科系)のすべての産業で、専修学校卒の建設業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店及びサービス業で「増加」とする事業所割合が「減少」とする事業所割合を上回った(第6表)。
 これを前年結果と比較すると、「増加」とする事業所が上昇または横ばいの産業は、高校卒で製造業、高専・短大卒で金融・保険業及び不動産業、大学卒(文科系)で製造業及びサービス業、大学卒(理科系)で不動産業、専修学校卒で製造業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業及び不動産業を除く産業となっている。「減少」とする事業所割合が低下した産業は、高校卒が製造業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、大学卒(理科系)で建設業、専修学校卒の不動産業を除く産業となっている。また、横ばいとなっている産業は、高校卒が建設業、大学卒(文科系)は製造業となっている(第6表)。
 14年新規学卒者の採用を「増加」とする理由(複数回答)を調査産業計で学歴別にみると、高校卒、高専・短大卒及び専修学校卒は「年齢等人員構成の適正化」、大学卒(文科系)は「販売・営業部門の増強」、大学卒(理科系)は「技術革新への対応・研究開発体制の充実」の割合がそれぞれ最も高くなっている(第7表)。
 一方、「減少」とする理由(複数回答)は調査産業計で、学歴別にみると「人件費率の抑制・定員管理の見直し」の割合が各学歴とも最も高くなっている(第8表)。



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