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3 出向制度

 (1) 出向制度の実施状況

 「出向制度がある」企業数割合は37.3%(前回平成7年34.2%)であり、出向形態別(複数回答)にみると、出向者を送り出す制度のある企業(以下「出向元企業」という。)は24.5%(同21.6%)、出向者を受け入れる制度のある企業(以下「出向先企業」という。)は29.5%(同26.2%)となっている。
 出向元企業で在籍出向制度のある企業数割合は23.4%(同20.3%)、移籍出向制度は7.6%(同3.8%)、出向先企業で在籍出向制度のある企業数割合は28.6%(同23.9%)、移籍出向制度は5.7%(同5.8%)となっている。
 「出向制度がある」企業数割合を企業規模別にみると「1,000人以上規模」で92.5%「300〜999人規模」で77.5%、「100〜299人規模」53.0%、「30〜99人規模」で27.1%と規模が大きいほど高くなっている。
 これを産業別にみると不動産業72.0%、金融・保険業71.9%、電気・ガス・熱供給・水道業67.8%と高く、建設業22.1%、製造業34.6%と低くなっている(第19表)。


第19表 出向制度の有無及び出向形態別企業数割合
(単位:%)
年・企業規模・産業 全企業 出向制度がある企業 (M.A.) 出向制度が
ない企業
  出向元企業 出向先企業
在籍出向 移籍出向 在籍出向 移籍出向
平成7年 100.0 34.2 21.6 20.3 3.8 26.2 23.9 5.8 65.8
   13(12年度)1) 100.0 37.3 24.5 23.4 7.6 29.5 28.6 5.7 62.7
<平成13年企業規模別>  
1,000人以上 100.0 92.5 88.0 87.5 44.2 71.2 69.7 22.1 7.5
 300〜999人 100.0 77.5 67.7 66.4 24.5 56.5 54.3 14.8 22.5
 100〜299人 100.0 53.0 36.0 34.9 10.0 42.3 41.0 7.5 47.0
  30〜99人 100.0 27.1 15.2 14.0 4.2 21.8 21.2 3.8 72.9
<平成13年産業別>  
鉱業 100.0 48.1 32.7 30.2 12.3 35.3 35.3 4.2 51.9
建設業 100.0 22.1 17.5 15.7 8.6 16.7 16.7 5.1 77.9
製造業 100.0 34.6 22.2 21.2 7.2 27.5 26.6 5.4 65.4
電気・ガス・熱供給・水道業 100.0 67.8 59.3 54.7 17.3 47.7 43.4 11.9 32.2
運輸・通信業 100.0 42.6 27.1 24.9 6.4 34.5 31.7 6.3 57.4
卸売・小売業,飲食店 100.0 38.8 28.5 27.8 9.2 28.1 27.9 4.1 61.2
金融・保険業 100.0 71.9 44.0 44.0 16.8 60.3 59.8 9.7 28.1
不動産業 100.0 72.0 43.7 43.7 5.2 70.0 69.4 13.7 28.0
サービス業 100.0 45.1 25.9 25.2 6.0 37.9 36.6 7.6 54.9

(注) 1)  第1表(注)1)参照。
2)  「出向元企業」とは出向者を送り出す制度のある企業のことをいう。
 「出向先企業」とは出向者を受け入れる制度のある企業のことをいう。
 「在籍出向」とは、出向元との雇用関係を残したまま出向先にも雇用される形の出向をいう。
 「移籍出向」とは、出向元との雇用関係を終了させて出向先に雇用される形の出向をいう。

(2) 在籍出向者の労働条件

 イ 出向期間の定め

 在籍出向制度のある出向元企業のうち「出向期間を定めている」企業数割合は39.1%(前回38.6%)、「出向期間を定めていない」60.9%(同61.4%)で、出向期間を定めていない企業の割合が高い。出向期間を定めている企業のうち最長出向期間は「2年を超え3年以内」29.1%(同40.7%)、「1年を超え2年以内」28.7%(同24.5%)、「1年以内」25.5%(同22.1%)の順となっている(第10図第20表)。


第10図 出向期間の定めの有無及び定めている最長出向期間別企業数割合

出向期間の定めの有無及び定めている最長出向期間別企業数割合の図

(注) [  ]内の数値は全企業に対する在籍出向制度がある出向元企業の割合である。


第20表 出向期間の定めの有無及び定めている最長出向期間別企業数割合
(単位:%)
年・企業規模 在籍出向制度がある出向元企業
出向期間を定めている 出向期間
を定めて
いない
小計 定めている最長出向期間
1年以内 1年を超え
2年以内
2年を超え
3年以内
3年を超え
4年以内
4年を超え
5年以内
5年を
超える
平成7年 [20.3] (100.0) (38.6) 100.0 22.1 24.5 40.7 5.5 5.0 2.2 (61.4)
  13(12年度)1) [23.4] (100.0) (39.1) 100.0 25.5 28.7 29.1 3.9 5.8 7.1 (60.9)
<平成13年企業規模別>  
1,000人以上 [87.5] (100.0) (53.5) 100.0 8.6 22.5 43.8 5.2 13.4 6.5 (46.5)
 300〜999人 [66.4] (100.0) (44.5) 100.0 12.8 31.1 43.1 4.2 4.7 4.2 (55.5)
 100〜299人 [34.9] (100.0) (37.7) 100.0 27.7 27.4 22.8 7.5 6.1 8.4 (62.3)
  30〜99人 [14.0] (100.0) (34.9) 100.0 35.9 30.3 21.8 0.4 3.7 7.9 (65.1)

(注) 1)  第1表(注)1)参照。
2)  [  ]内は、全企業を100.0とした在籍出向制度がある出向元企業の割合である。

ロ 最多出向期間

 出向させた労働者が最も多かった出向期間をみると、「5年を超える」企業数割合が34.1%と最も高く、「2年を超え3年以内」21.7%、「1年を超え2年以内」13.7%の順となっている。
 これを企業規模別にみると、規模間の差はほとんどない。
 出向させた労働者が最も多かった出向期間を、出向期間を定めている企業でみると「2年を超え3年以内」26.2%、「1年を超え2年以内」23.6%、「1年以内」21.2%の順となっている。
 出向期間を定めていない企業では「5年を超える」48.4%と約5割となっている(第11図第21表)。


第11図 出向させた労働者が最も多かった出向期間別企業数割合

出向させた労働者が最も多かった出向期間別企業数割合の図

(注) (  )内の数値は在籍出向制度がある出向元企業に対する出向期間の定めの有無別企業数割合である。


第21表 出向させた労働者が最も多かった出向期間別企業数割合
(単位:%)
企業規模 在籍出向制度がある出向元企業
出向させた労働者が最も多かった出向期間
1年以内 1年を超え
2年以内
2年を超え
3年以内
3年を超え4年以内 4年を超え
5年以内
5年を
超える
不明
[ 23.4] 100.0 10.6 13.7 21.7 11.2 7.0 34.1 1.6
1,000人以上 [ 87.5] 100.0 4.1 14.4 22.2 10.1 7.6 38.0 3.6
 300〜999人 [ 66.4] 100.0 5.2 15.0 24.5 7.6 7.8 38.2 1.7
 100〜299人 [ 34.9] 100.0 9.7 14.2 22.4 13.5 6.6 32.1 1.4
  30〜99人 [ 14.0] 100.0 14.8 12.7 19.9 11.2 6.9 33.1 1.4

(注) [  ]は、全企業を100.0とした在籍出向制度がある出向元企業の割合である。

ハ 賃金基準の適用状況

 出向者への賃金基準の適用状況をみると、「自社(出向元企業をいう。以下同じ)の基準」を適用する企業数割合は「出向先企業の基準が低い場合」78.9%、「出向先企業の基準が高い場合」55.0%となっている(第22表)。
 出向先企業の基準が低く自社の基準を適用する場合の差額の負担方法は、「自社で全額負担」51.8%、「出向先企業が全額負担」26.1%となっている(第23表)。


第22表 賃金基準の適用状況別企業数割合
(単位:%)
企業規模 在籍出向制度がある出向元企業
出向先企業の基準が低い場合 出向先企業の基準が高い場合
自社の
基準
出向先
企業の基準
その都度
協議
不明 自社の
基準
出向先
企業の基準
その都度
協議
不明
[ 23.4] 100.0 78.9 5.2 9.2 6.7 55.0 10.5 15.0 19.5
1,000人以上 [ 87.5] 100.0 91.2 1.7 5.2 1.9 65.5 8.6 11.3 14.5
 300〜999人 [ 66.4] 100.0 85.4 2.8 8.3 3.5 52.8 6.5 18.3 22.3
 100〜299人 [ 34.9] 100.0 76.4 5.8 11.0 6.9 55.2 8.1 13.4 23.3
  30〜99人 [ 14.0] 100.0 75.6 6.5 9.0 8.9 53.6 14.4 15.5 16.5

(注) [  ]は、全企業を100.0とした在籍出向制度がある出向元企業の割合である。


第23表 差額の負担方法別企業数割合
(単位:%)
企業規模 出向先の賃金基準が低い場合自社基準を適用する企業
差額の負担方法
自社で
全額負担
出向先企業
が全額負担
その他 不明
[ 78.9] 100.0 51.8 26.1 21.8 0.2
1,000人以上 [ 91.2] 100.0 48.2 26.6 25.0 0.2
 300〜999人 [ 85.4] 100.0 52.2 27.0 20.8 0.1
 100〜299人 [ 76.4] 100.0 53.3 25.0 21.3 0.4
  30〜99人 [ 75.6] 100.0 51.4 26.5 22.0 0.0

(注) [  ]は、在籍出向制度がある出向元企業を100.0とした出向先の賃金基準が低い場合自社基準を適用する企業の割合である。

ニ 労働時間等の適用基準

 出向者への労働時間等の適用基準をみると「1日の所定労働時間」、「週所定労働時間」、「週休日」、「週休日以外の休日」についてはいずれも「出向先企業の基準」とする企業数割合は70.6%、70.3%、68.4%、66.6%と高くなっている。
 一方「年次有給休暇」については「自社の基準」とする企業数割合が64.2%と高くなっている(第24表)。


第24表 企業規模、在籍出向者の労働時間・休日等の制度の適用基準別企業数割合
(単位:%)
企業規模 在籍出向制度がある出向元企業  
1日の所定労働時間 週所定労働時間
自社の
基準
出向先
企業の
基準
その都度
協議
不明 自社の
基準
出向先
企業の
基準
その都度
協議
不明
[ 23.4] 100.0 23.5 70.6 5.4 0.5 24.1 70.3 5.1 0.5
1,000人以上 [ 87.5] 100.0 13.8 79.8 5.9 0.5 13.7 79.9 5.9 0.5
 300〜999人 [ 66.4] 100.0 20.2 74.6 4.9 0.3 20.5 74.4 4.9 0.3
 100〜299人 [ 34.9] 100.0 27.4 70.7 1.4 0.5 28.4 69.8 1.2 0.5
  30〜99人 [ 14.0] 100.0 24.0 67.0 8.4 0.5 24.4 67.1 7.8 0.6
企業規模  
週休日 週休日以外の休日 年次有給休暇
自社の
基準
出向先
企業の
基準
その都度
協議
不明 自社の
基準
出向先
企業の
基準
その都度
協議
不明 自社の
基準
出向先
企業の
基準
その都度
協議
不明
25.1 68.4 5.9 0.5 26.2 66.6 6.7 0.5 64.2 30.9 4.4 0.6
1,000人以上 12.7 81.1 5.7 0.5 14.0 79.4 6.1 0.5 60.7 33.2 5.4 0.7
 300〜999人 20.5 74.1 5.1 0.3 19.5 72.7 7.5 0.3 64.5 30.5 4.7 0.3
 100〜299人 27.3 69.5 2.6 0.5 27.9 68.3 3.2 0.5 70.4 27.3 1.6 0.6
  30〜99人 28.0 62.6 8.8 0.6 30.2 60.1 9.1 0.6 60.1 33.1 6.1 0.7

(注) [  ]は、全企業を100.0とした在籍出向制度がある出向元企業の割合である。

ホ 在籍出向から移籍出向への移行

 在籍出向制度のある出向元企業のうち在籍出向から移籍出向へ変わることがある企業数割合は22.3%(前回20.7%)であり、移籍出向へ変わった出向者数割合(過去1年間程度の実績)をみると「5%未満」60.6%(同69.3%)、「50%以上」12.3%(同6.1%)、「5〜10%未満」10.6%(同4.9%)の順となっている(第25表)。


第25表 出向形態の移行の有無、出向者数割合別企業数割合
(単位:%)
年・企業規模 在籍出向制度のある出向元企業
在籍出向から移籍出向へ変わることがある 変わること
はない
小計 変わった出向者数割合(過去1年程度の実績)
5%
未満
5〜
10%
未満
10〜
20%
未満
20〜
30%
未満
30〜
50%
未満
50%
以上
不明
平成7年 [20.3] (100.0) (20.7) 100.0 69.3 4.9 7.8 2.6 5.7 6.1 3.7 (79.3)
   13(12年度)1) [23.4] (100.0) (22.3) 100.0 60.6 10.6 5.4 2.5 6.1 12.3 2.4 (77.7)
<平成13年企業規模別>  
1,000人以上 [87.5] (100.0) (42.6) 100.0 59.9 14.4 5.6 5.9 3.2 7.5 3.4 (57.4)
 300〜999人 [66.4] (100.0) (29.2) 100.0 64.1 11.8 7.6 2.4 3.6 8.0 2.5 (70.8)
 100〜299人 [34.9] (100.0) (19.1) 100.0 59.9 11.4 3.2 0.7 1.6 18.6 4.7 (80.9)
  30〜99人 [14.0] (100.0) (17.5) 100.0 59.1 7.3 5.4 2.4 12.9 12.8 0.1 (82.5)

(注) 1)  第1表(注)1)参照。
2)  [  ]は、全企業を100.0とした在籍出向制度がある出向元企業の割合である。


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