林業労働者職種別賃金調査  最近公表の労働統計  厚生労働省ホームページ

平成13年林業労働者職種別賃金調査結果概要

1 労働者構成

(1)職種別労働者構成
 職種別の労働者構成をみると、チェンソー伐木作業者(自己所有)が3,670人(31.8%)と最も多く、次いで機械集運材作業者が2,503人(21.7%)、チェンソー伐木作業者(会社所有)が2,192人(19.0%)となっており、これら3職種で全体の約7割を占めている(第1図)。

第1図 職種別労働者構成
図

(2)年齢階級別労働者構成
 年齢階級別に労働者構成をみると、調査職種計では60歳以上が42.9%で最も高く、50歳以上で約7割を占めている。
 職種別に年齢階級別労働者構成をみると、機械伐木造材作業者以外の職種で60歳以上の占める割合が最も高くなっており、伐木造材作業者とチェンソー伐木作業者(自己所有)では、5割以上となっている。一方、機械伐木造材作業者では、各年齢層にほぼ平均して労働者がいる(第2図)。

第2図 職種、年齢階級別労働者構成及び平均年齢
図

2 賃金

(1)職種別賃金
 1人1日平均きまって支給する現金給与額(以下「賃金」という。)は、調査職種計で12,590円(前年12,710円)となり、対前年増減率は0.9%減(前年0.4%増)となっている。
 チェンソー伐木作業者(自己所有)を除く5職種計では、12,260円(前年12,160円)となり、対前年増減率は0.8%増(前年1.5%増)となっている。
 職種別に賃金をみると、チェンソー伐木作業者(自己所有)が13,290円と1万3千円台で最も高く、機械伐木造材作業者が12,950円、機械集運材作業者が12,750円、伐木造材作業者が12,590円、チェンソー伐木作業者(会社所有)が12,340円と1万2千円台となっており、低いのは伐出雑役で10,390円と1万円台となっている。
 労働者の最も多いチェンソー伐木作業者(自己所有)を100として賃金格差をみると、伐出雑役が78と他の職種に比べて格差が大きい。(第3図、第1表)。

第3図 賃金及び対前年増減率の推移(調査職種計)
図
(注)平成9年から畜力集運材作業者を対象外とし、平成12年から人力集運材作業者を対象外とすると共に機械伐木造材作業者を新たに調査対象に加えたため、単純には時系列比較を行うことはできない。

第1表 職種別賃金、対前年増減率及び賃金格差
職種 賃金(円) 対前年増減率(%) 賃金格差
(チェンソー伐木作業者(自己所有)=100)
平成12年 平成13年 平成12年 平成13年 平成12年 平成13年
調査職種計 12,710 12,590 0.4 -0.9 - -
5職種計(自己所有職種を除く) 12,160 12,260 1.5 0.8 - -
  伐木造材作業者 11,700 12,590 -6.5 7.6 85 95
チェンソー伐木作業者(会社所有) 11,980 12,340 -6.0 3.0 87 93
機械伐木造材作業者 13,920 12,950 - -7.0 101 97
機械集運材作業者 13,560 12,750 2.8 -6.0 98 96
伐出雑役 9,090 10,390 -4.7 14.3 66 78
チェンソー伐木作業者(自己所有) 13,790 13,290 3.9 -3.6 100 100
(注)1 機械伐木造材作業者は平成12年より新たに調査対象に加えたため、平成12年の対前年増減率は算出できない。
 「−」は当該集計数値がないものを示す。

(2)賃金支払形態別賃金
 賃金を支払形態別にみると、調査職種計で定額制が12,120円、出来高制が13,280円と、出来高制が定額制に比べ1割上回っている。
 職種別に賃金格差をみると、全ての職種で出来高制が定額制を上回っているが、伐出雑役が121、伐木造材作業者が115と他の職種と比べて比較的格差が大きい。
 労働者構成についてみると、調査職種計では定額制が約6割、出来高制が約4割となっている(第2表)。

第2表 職種、賃金支払形態別賃金、格差及び労働者構成
職種 賃金(円) 賃金格差 労働者構成(%)
定額制 出来高制 出来高制/定額制×100 定額制 出来高制
調査職種計 12,120 13,280 110 59.3 40.7
  伐木造材作業者 11,730 13,480 115 50.8 49.2
チェンソー伐木作業者(会社所有) 12,220 12,660 104 72.9 27.1
機械伐木造材作業者 12,790 13,290 104 67.9 32.1
機械集運材作業者 12,320 13,530 110 64.1 35.9
伐出雑役 9,640 11,630 121 62.1 37.9
チェンソー伐木作業者(自己所有) 12,890 13,680 106 49.2 50.8
(注)「出来高制」とは、「出来高のみ」のほか「主として出来高」、「主として定額」を含めたものである。

(3)年齢階級別賃金
 年齢階級別に賃金をみると、調査職種計では30〜39歳と50〜59歳の賃金が12,920円で最も高い。
 職種別にみると、機械伐木造材作業者が30〜39歳で最も高く、伐木造材作業者、チェンソー伐木作業者(会社所有)、伐出雑役が40〜49歳、チェンソー伐木作業者(自己所有)が50〜59歳、機械集運材作業者が60歳以上で賃金が最も高くなっている。
 30〜39歳の賃金を100とした年齢間格差をみると、調査職種計では29歳以下が84と他の職種に比べ格差が大きい。
 同様に、職種別に年齢間格差をみると、チェンソー伐木作業者(自己所有)は各年齢層とも格差は比較的小さい。その他の職種でも29歳以下を除き格差は小さくなっている(第3表)。

第3表 職種、年齢階級別賃金及び年齢間格差
年齢階級 調査
職種計
伐木造材
作業者
チェンソー
伐木作業者
(会社所有)
機械伐木
造材作業者
機械集運材
作業者
伐出
雑役
チェンソー
伐木作業者
(自己所有)
賃金(円) 年齢計 12,590 12,590 12,340 12,950 12,750 10,390 13,290
 〜29歳 10,820 10,810 10,550 11,530 10,960 8,600 12,620
30〜39歳 12,920 12,950 12,610 14,080 13,090 11,470 13,120
40〜49歳 12,770 13,210 13,050 12,650 12,140 11,790 13,250
50〜59歳 12,920 12,700 12,510 13,090 12,990 10,710 13,770
60歳〜 12,590 12,530 12,380 12,960 13,180 10,260 13,150
(30〜39歳=100) 年齢間格差  〜29歳 84 83 84 82 84 75 96
30〜39歳 100 100 100 100 100 100 100
40〜49歳 99 102 103 90 93 103 101
50〜59歳 100 98 99 93 99 93 105
60歳〜 97 97 98 92 101 89 100

(4)地域別賃金
 地域別に賃金をみると、調査職種計では近畿が15,030円で最も高く、次いで北海道14,050円、関東・信越14,010円、東海13,400円、中国と四国が12,270円、東北10,900円、九州10,670円の順となっている。
 北海道を100とした地域間格差をみると、九州が76、東北が78と格差が大きい(第4図、第4表)。
 職種別に賃金をみると、チェンソー伐木作業者(自己所有)が北海道、機械集運材作業者が関東・信越で賃金が最も高いが、その他の4職種では近畿が最も高くなっている(第4表)。

第4図 地域間賃金格差の推移(北海道=100)
図
地域別内訳(8ブロック)
  北海道・・・北海道 近畿・・・兵庫、奈良、和歌山
東北 ・・・青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 中国・・・島根、岡山、広島、山口
関東・信越・・・茨城、栃木、群馬、新潟、長野 四国・・・徳島、愛媛、高知
東海 ・・・岐阜、静岡、愛知、三重 九州・・・熊本、大分、宮崎、鹿児島

第4表 職種、地域別賃金及び地域間格差
地域 調査
職種計
伐木造材
作業者
チェンソー
伐木作業者
(会社所有)
機械伐木
造材作業者
機械集運材
作業者
伐出
雑役
チェンソー
伐木作業者
(自己所有)
賃金(円) 地域計 12,590 12,590 12,340 12,950 12,750 10,390 13,290
北海道 14,050 14,380 12,840 13,280 13,880 11,000 15,330
東北 10,900 10,160 10,780 11,460 11,370 9,180 11,370
関東・信越 14,010 12,500 13,210 14,470 15,980 10,840 14,910
東海 13,400 13,320 12,610 14,770 13,550 11,260 14,420
近畿 15,030 15,880 14,820 18,000 15,180 13,720 15,090
中国 12,270 10,990 12,430 11,140 11,770 10,080 13,680
四国 12,270 11,430 12,840 13,080 12,080 9,570 12,880
九州 10,670 10,980 10,690 11,760 10,790 8,580 10,960
北海道=100 地域間格差 北海道 100 100 100 100 100 100 100
東北 78 71 84 86 82 83 74
関東・信越 100 87 103 109 115 99 97
東海 95 93 98 111 98 102 94
近畿 107 110 115 136 109 125 98
中国 87 76 97 84 85 92 89
四国 87 79 100 98 87 87 84
九州 76 76 83 89 78 78 71

3 平均稼働率

 平均稼働率(注)をみると、調査職種計で59%(前年58%)となった。
 職種別にみると、機械伐木造材作業者が63%と他の職種に比べ比較的高く、伐出雑役が 53%と他の職種に比べ比較的低くなっている(第5表)。
(注)稼働率とは、雇用期間日数に対する実労働日数の割合を表す。

第5表 職種別平均稼働率
(%)
職種 平成12年 平成13年
調査職種計 58 59
  伐木造材作業者 57 57
チェンソー伐木作業者(会社所有) 58 59
機械伐木造材作業者 68 63
機械集運材作業者 61 62
伐出雑役 54 53
チェンソー伐木作業者(自己所有) 55 59


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