II 調査結果の概要
1 建設業
(1) | 労働者構成 |
ア | 職種別労働者構成 職種別労働者構成をみると、土工の占める割合が27.4%と最も多く、次いで電気工13.9%、配管工8.8%、軽作業員7.6%(男5.4%、女2.2%)、機械運転工6.1%、大工5.5%の順となっており、一般職種(土工、軽作業員、重作業員)は全体の35.5%、技能職種は55.4%となっている(職長、各種見習は除く。)(第1図、第1表)。 |
第1図 職種別労働者構成比
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イ | 企業規模別労働者構成 企業規模別に労働者構成をみると、規模5〜99人の企業に属する労働者の割合は、調査職種(27職種)計91.6%、技能職種(21職種)計89.8%となっており、いずれも約9割を占めている。 職種別にみると、主要職種(注)(労働者の比較的多い職種をいう。以下同じ。)では、電気工(74.2%)、機械運転工(87.7%)を除き、企業規模5〜99人に属する労働者が9割を超えている。電気工では企業規模300人以上で19.7%となっており、他の職種に比べ企業規模が大きい事業所の労働者割合が多い。(第1表)
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第1表 職種、企業規模別労働者構成比
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(2) | 賃金 |
ア | 職種別賃金 |
(ア) | 賃金(1人1日平均きまって支給する現金給与額をいう。以下同じ。)は、調査職種計で13,100円(前年は13,360円)、技能職種計で13,790円(同14,060円)となった。対前年増減率は、調査職種計、技能職種計のいずれも1.9%減となっている(第2表、第2図)。 主要職種についてみると、電気工が15,300円と最も高く、大工、機械運転工、とび工、左官、配管工、塗装工が1万3千円台、溶接工、土工、貨物自動車運転者、型枠工が1万2千円台、鉄筋工が1万1千円台となっており、軽作業員(男で10,320円、女で7,360円)が最も低くなっている。 前年と比べると、とび工、鉄筋工では上回ったものの、他の12職種では下回っており、電気工、溶接工を除く10職種では前年に引き続き減少となっている。(第2表) |
第2表 職種別賃金、対前年増減率及び職種間格差
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(イ) | 調査職種で最も労働者数の多い土工の賃金を100とした主要職種間の賃金格差をみると、軽作業員(女)が60、軽作業員(男)が84、電気工が125と他の職種に比べ格差が大きい(第2表)。 |
(ウ) | 平成6年以降の賃金及び対前年増減率の推移をみると、賃金については平成9年が技能職種計で15,180円、調査職種計で14,100円といずれも最も高くなっており、平成10年以降は平成13年を除き、各年とも前年を下回って推移した。平成14年以降は調査職種計、技能職種計ともに3年連続しての減少となっている(第2図)。 |
第2図 賃金及び対前年増減率の推移
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イ | 賃金支払形態別賃金 賃金を支払形態別にみると、調査職種計、技能職種計ともに請負制の賃金が定額制の賃金を上回っている。 主要職種についてみると、貨物自動車運転者、軽作業員(女)を除く12職種で請負制の賃金が定額制の賃金を上回っている。 請負制の労働者の割合は、調査職種計で3.9%、技能職種計で4.9%となっている。(第3表) |
ウ | 雇用形態別賃金 賃金を雇用形態別にみると、日雇労働者の賃金は常用労働者の賃金と比べて調査職種計、技能職種計ともに低くなっている。主要職種についてみると、塗装工、大工、溶接工、鉄筋工、電気工で日雇労働者の賃金が常用労働者の賃金を上回っているものの、他の9職種では下回った。 日雇労働者の割合は、調査職種計で4.5%、技能職種計で3.4%となっている。(第4表) |
第3表 主要職種、賃金支払形態別賃金、格差及び労働者構成比
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第4表 主要職種、雇用形態別賃金、格差及び労働者構成比
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エ | 年齢階級別賃金 |
(ア) | 賃金を年齢階級別にみると、賃金の最も高い年齢階級は、調査職種計では40〜44歳で14,320円、技能職種計では50〜54歳で15,180円となっている。20〜24歳の賃金を100とした年齢間格差は、調査職種計で145、技能職種計で148と約1.5倍となっている。 主要職種について、20〜24歳の賃金を100とした賃金の最も高い年齢階級との年齢間格差をみると、貨物自動車運転者の55〜59歳で122、型枠工の35〜39歳で125、機械運転工の50〜59歳で126と格差は小さいが、電気工は50〜54歳で175となっており他の職種に比べ格差は大きい。(第3図、第5表) |
(イ) | 技能職種計について、20〜24歳の賃金を100とした年齢間格差を時系列でみると、各年齢階級とも前年と比べるとあまり大きな変化はみられず、ほぼ前年並みとなっており、5年前(平成11年)と比較してもほとんど変化はみられない。 なお、平成16年賃金構造基本統計調査における調査産業計(民営、企業規模10人以上)の労働者のきまって支給する現金給与額に基づく年齢間格差は最大約1.8倍であり、これに比べると技能職種計の賃金の年齢間格差は小さい。(第4図、第6表) |
第3図 職種別年齢間格差 (20〜24歳=100)
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第4図 年齢間格差の推移(技能職種計、20〜24歳=100)
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第5表 主要職種、年齢階級別賃金及び年齢間格差
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第6表 年齢階級別賃金及び年齢間格差の推移(技能職種計)
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オ | 地域別賃金 |
(ア) | 全国を13ブロックに分けて地域別賃金をみると、南関東が調査職種計で15,430円、技能職種計で16,070円と、ともに最も高くなっている。 主要職種についてみると、軽作業員(男、女)、貨物自動車運転者、鉄筋工、とび工を除いて、南関東が最も賃金が高くなっている。(第7表) |
第7表 主要職種、地域別賃金及び地域間格差
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地域別内訳(13ブロック)
北海道 | ・・・ | 北海道 | 京阪神 | ・・・ | 京都、大阪、兵庫 |
東北 | ・・・ | 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 | 山陰 | ・・・ | 鳥取、島根 |
北関東 | ・・・ | 茨城、栃木、群馬、山梨、長野 | 山陽 | ・・・ | 岡山、広島、山口 |
南関東 | ・・・ | 埼玉、千葉、東京、神奈川 | 四国 | ・・・ | 徳島、香川、愛媛、高知 |
北陸 | ・・・ | 新潟、富山、石川、福井 | 北九州 | ・・・ | 福岡、佐賀、長崎、大分 |
東海 | ・・・ | 岐阜、静岡、愛知、三重 | 南九州 | ・・・ | 熊本、宮崎、鹿児島、沖縄 |
近畿 | ・・・ | 滋賀、奈良、和歌山 |
(イ) | 南関東の賃金を100とした地域間の賃金格差をみると、調査職種計、技能職種計ともに、南九州が最も格差が大きく約7割の水準となっている。 技能職種計についてみると、前年に比べ、近畿では縮小し、北海道、北陸、東海、京阪神では前年並み、その他7地域では拡大した。(第5図、第7表) |
第5図 地域間格差の推移(技能職種計、南関東=100)
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地域別内訳(13ブロック)
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(3) | 実労働日数及び実労働時間数等 |
ア | 実労働日数 1か月平均の実労働日数は、調査職種計で21.3日(前年は20.7日)、技能職種計で21.8日(同21.3日)といずれもやや増加した。主要職種についてみると、技能職種に比べ一般職種が少なくなっている(第8表)。 |
イ | 実労働時間数 1日平均の実労働時間数は調査職種計で8.0時間、技能職種計で8.1時間となり、調査職種計、技能職種計とも前年と変化はなかった。 主要職種についてみると、軽作業員(女)が7.5時間と最も短く、電気工が8.5時間と前年同様他の職種に比べ長くなっている。(第8表) |
第8表 主要職種別実労働日数及び実労働時間数
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ウ | 年齢階級別労働者構成及び平均年齢 |
(ア) | 主要職種について年齢階級別労働者構成をみると、軽作業員(女)で50歳以上が約75%を占めており、左官(57.6%)、軽作業員(男)(56.0%)及び大工(50.9%)で5割を超えている。一方、とび工、塗装工、鉄筋工及び電気工では29歳以下の若年層の割合が3割近くを占めている。 技能職種について過去5年間の年齢階級別労働者構成の推移をみると、29歳以下と40歳代の割合が低下し、30歳代と50歳代の割合が上昇してきている。(第6図、第7図) |
(イ) | 平均年齢は、調査職種計で44.2歳(前年は44.0歳)、技能職種計で42.8歳(同42.5歳)となっており、前年に比べやや高くなっている。 主要職種の平均年齢は、電気工(39.7歳)が30歳代、軽作業員(女)(55.7歳)が50歳代となっている他は、各職種とも40歳代となっている。(第6図) |
第6図 主要職種、年齢階級別労働者構成及び平均年齢
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第7図 年齢階級別労働者構成比の推移(技能職種計)
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