賃金構造基本統計調査  労働統計一覧
平成13年3月
担当
厚生労働省大臣官房統計情報部
賃金福祉統計課長 新宅 友穂
同統計専門官 山崎 美幸
   電  話  03(5253)1111
   内  線  5675・5259
   夜間直通 03(3595)3147

平成12年賃金構造基本統計調査結果速報

賃金は前年に比べ0.5%増と引き続き低い伸び
−男性は前年同、女性は1.4%増−


I 調査の概要
 この調査は、我が国の賃金構造の実態を明らかにするため、毎年6月分の賃金等について実施しているものであり、調査対象は、日本標準産業分類による9大産業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業)に属する5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所及び10人以上の常用労働者を雇用する公営事業所から抽出した約7万1千事業所である。
 本速報は、10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所に関する集計結果を取りまとめたものである(集計事業所数:約4万4千事業所、集計労働者数:約113万人)。

(注)1) 10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所に関する集計は、昭和51年以降行っているものである。
2) 集計対象者は、常用労働者(臨時・日雇名義であっても、前2か月にそれぞれ18日以上雇用された者を含む。)であり、一般労働者とパートタイム労働者(同一企業の一般労働者より1日の所定労働時間又は1週間の労働日数が少ない労働者)とに区分して集計している。
3) 賃金におけるべース・アップの算入の割合(1月〜6月中にベース・アップを決定し6月分の所定内給与額に算入されている労働者及びベース・アップをしないことを決定している労働者の全労働者に対する割合をいう。)は、次のとおりである。
(単位:%)
企業規模計大企業(1,000人以上)中企業(100〜999人)小企業(10〜99人)
平成11年 12年 平成11年 12年 平成11年 12年 平成11年 12年 
85.385.191.091.385.085.781.079.4
II 調査結果の概要

【ポイント】
1 一般労働者の賃金
(1) 賃金、対前年比 −対前年増減率は0.5%で引き続き低い伸び−
 所定内給与額(以下「賃金」という。)は、男女計で302,200円、対前年増減率は0.5%増と引き続き低い伸びとなった。
 男女別には、男性336,800円(対前年増減率は0.0%増)、女性220,600円(同1.4%増)となった(第1表第1図)。
(2) 年齢階級別賃金 −男性は概ね前年を下回り、女性は概ね前年を上回る−
 男性は20〜24歳を除き前年を下回っており、女性は25〜29歳を除き前年を上回っている(第2表第2図)。
(3) 学歴別賃金 −男性は前年を下回り、女性は前年を上回る−
 各学歴とも男性は前年を下回っており、女性は前年を上回っている。
 また、各学歴の賃金のピークをみると、女性の大卒を除き50〜54歳となっている(第3表第3図)。
(4) 企業規模別賃金 −男性は大企業では前年を上回り、中企業及び小企業は前年を下回る−
 男性は大企業では前年を上回っており、中企業及び小企業は前年を下回っている。女性は各企業規模ともに前年を上回っている(第5表第4図)。
(5) 産業別賃金 −男性は金融・保険業、女性は電気・ガス・熱供給・水道業が高い−
 男性は金融・保険業、電気・ガス・熱供給・水道業が高く、運輸・通信業、鉱業が低くなっており、女性は電気・ガス・熱供給・水道業、サービス業が高く、製造業、鉱業が低くなっている(第7表第5図第6図)。
2 パートタイム労働者の賃金
(1) 賃金、対前年比 −男女とも対前年で低い伸び−
 1時間当たりの賃金は、男性は1,026円(対前年増減率0.1%増)、女性は889円(同0.2%増)となった(第15表第10図)。
 なお、労働者構成を年齢階級別にみると、男性は18〜29歳で全体の46.5%、女性は40〜64歳で全体の61.9%となっている(第16表)。
(2) 企業規模別賃金 −女性の企業規模間格差は縮小−
 男性は大企業より中企業及び小企業の賃金が高く、女性は大企業と中企業がほぼ同水準の賃金となっており、小企業も格差は小さい(第17表)。
(3) 産業別賃金 −女性はサービス業を除き前年を上回る−
 パートタイム労働者の9割を占める主要3産業(製造業、卸売・小売業,飲食店及びサービス業)について前年と比較すると、男性はすべて下回っており、女性はサービス業を除き上回っている(第18表)。

1 一般労働者の賃金

(1) 賃金、対前年比
 平成12年の賃金(6月分の所定内給与額。以下同じ。)は、男女計で302,200円(平均39.8歳、12.0年勤続)、対前年増減率は0.5%増と引き続き低い伸びとなった。
 これを男女別にみると、男性は336,800円(平均40.8歳、13.3年勤続)、対前年増減率は0.0%増と、前年と同水準となっている。女性は220,600円(同37.6歳、8.8年勤続)、同1.4%増となっており、平成7年から1%台で推移している(第1表第1図)。
(2) 年齢階級別にみた賃金
 年齢階級別に賃金をみると、男性は、20〜24歳を除き前年を下回っており、賃金のピークは前年同様50〜54歳で428,100円(平均22.1年勤続)となっている(第2表第2図附属統計表第1表第2表)。
女性は、25〜29歳を除き前年を上回っており、賃金のピークは前年同様35〜39歳で245,900円(平均9.8年勤続)となっている(第2表第2図附属統計表第1表第2表)。
(3) 学歴別にみた賃金
学歴別の賃金をみると、年齢計では、男性は大卒398,100円(平均38.7歳、12.1年勤続)、高専・短大卒301,600円(同35.7歳、9.7年勤続)、高卒312,700円(同40.9歳、13.7年勤続)、中卒300,300円(同50.3歳、17.9年勤続)となっている(第3表附属統計表第1表第3表)。
 女性は、大卒275,800円(平均31.7歳、6.1年勤続)、高専・短大卒232,500円(同32.4歳、7.0年勤続)、高卒207,400円(同39.6歳、9.7年勤続)、中卒181,600円(同52.3歳、13.4年勤続)となっている(第3表附属統計表第1表第3表)。
 また、男女各学歴の年齢計について前年と比較すると、男性はすべて前年を下回っており、女性はすべて上回っている(第3表)。
 これを年齢階級別にみると、女性の大卒を除き、男女とも各学歴において50〜54歳が賃金のピークとなっている(第3表第3図)。
 女性の大卒は、年齢が高くなるにしたがって、賃金が高くなっている(第3表第3図)。
学歴別に年齢階級間の賃金格差(20〜24歳の賃金=100)をみると、男性は、各学歴の賃金がピークとなる50〜54歳で、大卒266、高専・短大卒219、高卒200となっており、年齢階級別に5年前と今年を比較すると、各学歴とも概ね縮小となっている(第4表)。
 女性は、大卒の賃金がピークとなる60〜64歳で236、高専・短大卒及び高卒は50〜54歳で、それぞれ159、131となっており、年齢階級別に5年前と今年を比較すると、大卒は概ね拡大、高専・短大卒は概ね縮小、高卒はほぼ横ばいとなっている(第4表)。
(4) 企業規模別にみた賃金
企業規模別に賃金をみると、年齢計では、男性は大企業で393,000円(平均40.4歳、16.8年勤続)、対前年増減率は0.9%増、中企業で325,000円(同40.0歳、12.7年勤続)、同0.6%減、小企業で298,400円(同41.9歳、10.7年勤続)、同0.8%減となっており、大企業では前年を上回り、中企業及び小企業は前年を下回っている(第5表附属統計表第1表第2表)。
女性は、大企業で246,600円(平均35.2歳、10.1年勤続)、対前年増減率は1.2%増、中企業で222,300円(同37.0歳、8.4年勤続)、同1.7%増、小企業で202,100円(同39.8歳、8.3年勤続)、同0.9%増となっており、各企業規模ともに前年を上回っている(第5表附属統計表第1表第2表)。
 これを年齢階級別にみると、男性の賃金がピークとなるのは各企業規模とも50〜54歳で、それぞれ大企業520,200円、中企業416,100円、小企業350,000円となっている(第4図)。
 女性の賃金がピークとなるのは、大企業は45〜49歳で298,700円、中企業は40〜44歳で250,900円、小企業は35〜39歳で218,100円となっており、企業規模が小さくなるにしたがいピーク時の年齢は低くなっている(第4図)。
 年齢階級別に企業規模間の賃金格差(大企業の賃金=100)をみると、年齢計では、男性は中企業で83、小企業で76となっており、女性は中企業で90、小企業で82となっている(第6表)。
 これを年齢階級別にみると、5年前と今年との比較では、男性は中企業及び小企業ともに概ね拡大、女性は中企業及び小企業ともに概ね縮小している(第6表)。
(5) 産業別にみた賃金
産業別に賃金をみると、年齢計では、男性は金融・保険業(460,500円)、電気・ガス・熱供給・水道業(412,900円)が高く、運輸・通信業(306,900円)、鉱業(313,400円)が低くなっている(第7表附属統計表第4表第5表)。
 女性は、電気・ガス・熱供給・水道業(276,900円)、サービス業(239,300円)が高く、製造業(190,700円)、鉱業(205,900円)の賃金が低くなっている(第7表附属統計表第4表第6表)。
 これを年齢階級別にみると、男性の賃金がピークとなるのは、電気・ガス・熱供給・水道業の55〜59歳、鉱業の45〜49歳を除き、他の産業はいずれも50〜54歳となっている(第7表)。
 女性の賃金がピークとなるのは、産業によって異なり、電気・ガス・熱供給・水道業は55〜59歳、建設業、金融・保険業及び不動産業は50〜54歳、運輸・通信業は45〜49歳、卸売・小売業,飲食店及びサービス業は40〜44歳、鉱業は35〜39歳、製造業は30〜34歳となっている(第7表)。
 なお、前記イで述べた年齢計からみた産業別賃金の高い産業と低い産業について、年齢階級別に賃金を示したのが、第5図及び第6図である。
(6) 労働者の種類別にみた製造業の賃金
製造業について、労働者の種類別(生産労働者、管理・事務・技術労働者別)の賃金をみると、男性は、年齢計では、生産労働者282,600円(平均40.1歳、14.2年勤続)、対前年増減率は0.4%増、管理・事務・技術労働者387,000円(同41.5歳、16.7年勤続)、同0.4%増となっている(第8表)。
女性の年齢計では、生産労働者170,600円(平均43.5歳、11.1年勤続)、対前年増減率は0.9%増、管理・事務・技術労働者221,200円(同35.2歳、9.7年勤続)、同0.5%増となっている(第8表)。
 これを年齢階級別にみると、男性の賃金がピークとなるのは、生産労働者及び管理・事務・技術労働者ともに50〜54歳で、それぞれ346,900円、503,600円となっている(第7図附属統計表第5表)。
 女性の賃金がピークとなるのは、生産労働者は30〜34歳の183,800円、管理・事務・技術労働者は50〜54歳と55〜59歳の2階級で253,700円となっている(第7図附属統計表第6表)。
(7) 職階別にみた賃金
企業全体の常用労働者数が100人以上の企業について、職階者(部長、課長及び係長)の賃金をみると、男性は部長で636,300円(平均52.0歳)、対前年増減率は0.5%増、課長で517,300円(同47.0歳)、同1.1%増、係長で401,000円(同42.6歳)、同1.8%増となっている(第9表)。
 女性は、課長で436,800円(平均47.1歳)、対前年増減率は3.2%増、係長で344,000円(同43.5歳)、同4.8%増となっている(第9表)。
 職階間の賃金格差(非職階者20〜24歳の賃金=100)をみると、男性は部長で311、課長で253、係長で196となっている。5年前と今年を比較すると、部長と課長は縮小、係長は大きな変化はない(第9表)。
 女性は、課長で229、係長で180となっている。5年前と今年を比較すると、課長は拡大、係長はわずかながら縮小している(第9表)。
 各職階の平均年齢をみると、男性は、5年前と今年を比較すると、部長は0.3歳、課長は0.5歳、係長は0.6歳と、それぞれ高くなっている(第9表)。
 女性は、5年前と今年を比較すると、課長と係長はそれぞれ0.2歳、0.6歳低くなっている(第9表)。
(8) 賃金分布
 賃金階級別の労働者の分布をみると、年齢計では、男性は20万円未満が12.7%(前年12.7%)、20万円台が35.7%(同36.1%)、30万円台が25.6%(同25.6%)、40万円台が13.6%(同13.5%)となっている(第10表)。
 女性は、20万円未満が49.3%(前年50.8%)、20万円台が37.6%(同37.2%)となっている(第11表)。
 これを年齢階級別にみると、男性は、20〜24歳では16〜23万円台に約8割が集中しているのに対し、40〜54歳では32〜59万円台に約6割が分布している(第10表)。
 女性は、20〜24歳では20万円未満に約7割、25〜34歳では20〜29万円台に約5割が分布している(第11表)。
 学歴別に賃金の散らばりをみると、男女とも学歴が高くなるほど賃金の散らばりは大きくなっている(第8図附属統計表第7表)。
 また、男性は、年齢階級が上がるほど賃金の散らばりが大きくなっている(第8図附属統計表第7表)。
 女性は、高卒の各年齢階級での中位数は、年齢間の差がほとんどなく、大卒の第1・十分位数の賃金と概ね同水準となっている(第8図附属統計表第7表)。
(9) 標準労働者の賃金
標準労働者(学校卒業後直ちに就職し、同一企業に継続勤務している労働者)の年齢階級別の賃金を学歴別にみると、男性の賃金がピークとなるのは、大卒及び高卒は55〜59歳で、それぞれ636,000円、522,300円となっており、高専・短大卒は50〜54歳で551,800円となっている(第12表第9図)。
 女性の賃金がピークとなるのは各学歴とも55〜59歳で、大卒592,000円、高専・短大卒463,200円、高卒379,500円となっている(第12表第9図)。
 学歴別に年齢階級間の賃金格差(20〜24歳の賃金=100)をみると、男性は、大卒及び高卒の賃金がピークとなる55〜59歳で、それぞれ293、265となっており、高専・短大卒は50〜54歳で280となっている。これを年齢階級別に5年前と今年を比較すると、各学歴とも概ね縮小となっている(第13表)。
 女性は、各学歴の賃金がピークとなる55〜59歳で、大卒288、高専・短大卒251、高卒216となっており、年齢階級別に5年前と今年を比較すると、大卒は概ね拡大、高専・短大卒は45歳以上で拡大、高卒は大きな変化はみられない(第13表)。
 年齢階級別の男女間の賃金格差(男性標準労働者の賃金=100)をみると、概ね学歴が高くなるほど格差が小さくなっており、これを学歴別に5年前と今年を比較すると、各学歴とも縮小となっている(第14表)。
2 パートタイム労働者の賃金
(1) 賃金、対前年比
 パートタイム労働者(常用労働者のうち同一企業の一般労働者より1日の所定労働時間又は1週間の労働日数が少ない労働者)の1時間当たりの賃金を男女別にみると、男性は1,026円、対前年増減率は0.1%増、女性は889円、同0.2%増となった(第15表第10図)。
 なお、労働者構成を年齢階級別(年齢計=100)にみると、男性は、18〜29歳で全体の46.5%を占めるとともに、60〜64歳で13.6%となっている。一方、女性は、40〜64歳で全体の61.9%となっている(第16表)。

(2) 企業規模別にみた賃金
 企業規模別に1時間当たりの賃金をみると、男性は、大企業973円(対前年増減率0.6%増)、中企業1,040円(同0.3%増)、小企業1,050円(同0.5%減)となっており、大企業より中企業及び小企業が高くなっている(第17表)。
 女性は、大企業900円(対前年増減率1.0%減)、中企業899円(同0.2%増)、小企業870円(同1.2%増)となっており、大企業と中企業がほぼ同水準の賃金となっている(第17表)。
 企業規模間の賃金格差(大企業=100)をみると、5年前と今年を比較すると、男性は縮小しており、女性は概ね格差がなくなっている(第17表)。
(3) 産業別にみた賃金
 パートタイム労働者の9割を占める主要3産業について、1時間当たりの賃金をみると、男性は、サービス業及び製造業が1,000円を超えているのに対し、卸売・小売業,飲食店は800円台となっており、各産業で前年を下回っている(第18表)。
 女性は、サービス業が900円台、卸売・小売業,飲食店及び製造業が800円台となっており、サービス業を除き前年を上回っている(第18表)。
(4) 実労働日数、所定内実労働時間数、勤続年数
 実労働日数(平成12年6月)をみると、男性は17.7日と5年前より0.5日減少、女性は19.5日と5年前より0.7日減少で、男性労働者より1.8日多くなっている(第19表)。
 1日当たりの所定内実労働時間数をみると、男性は6.0時間と5年前と同様、女性は5.6時間と5年前より0.1時間減少で、男性労働者より0.4時間少なくなっている(第19表)。
 勤続年数をみると、男性は3.1年と5年前より0.1年短く、女性は4.9年と5年前より0.1年短くなり、男性労働者より1.8年長くなっている(第19表)。

(附属統計表)

  ※ 利用上の注意:統計表題にパートタイム労働者の表記がないものは、一般労働者の集計結果である。
第1表  企業規模、性、学歴、年齢階級別所定内給与額(産業計)
第2表  企業規模、性、年齢階級別勤続年数(産業計、学歴計)
第3表  性、学歴、年齢階級別勤続年数(産業計、企業規模計)
第4表  産業、企業規模、性、年齢階級別所定内給与額(学歴計)
第5表  男性労働者の産業、年齢階級別所定内給与額、対前年比及び産業間賃金格差(企業規模計、学歴計)
第6表  女性労働者の産業、年齢階級別所定内給与額、対前年比及び産業間賃金格差(企業規模計、学歴計)
第7表  性、学歴、年齢階級別賃金特性値(産業計、企業規模計)
第8表  都道府県、産業、性別所定内給与額(企業規模計)
第9表  性、学歴、年齢階級別労働者構成比(産業計、企業規模計)
第10表  都道府県、産業、性別パートタイム労働者の1時間当たり所定内給与額(企業規模計)



トップへ
賃金構造基本統計調査  労働統計一覧