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高齢者リハビリテーションの現状と課題 |
○ | 最も重点的に行われるべき急性期リハビリテーション医療が不十分である。 |
○ | 長期間にわたる効果が明らかでないリハビリテーション医療が行われている。 |
○ | 医療から介護への連続するシステムが機能していない。 |
○ | リハビリテーションとケアとの境界が明確に区別されておらず、リハビリテーションとケアが混同して提供されている。 |
○ | 在宅リハビリテーションが不十分である。 |
○ | 死亡の原因と要介護状態の原因疾患とは異なる。 | ||||
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○ | 軽度の要介護者が増加している。 | ||||
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○ | 介護予防の効果があがっていない。 | ||||
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○ | 高齢者の状態像に応じた適切なアプローチが必要。 | ||||
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要介護状態の原因疾患 |
○ | これまでの予防対策は主として、がん、心疾患などの死亡の原因となる生活習慣病の予防が中心。 |
○ | 今後、介護の問題を考える場合は、死亡の原因と要介護状態の原因が異なることを踏まえた予防対策が必要。 |
65歳以上の死亡原因と要介護の原因 |
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死亡原因 |
要介護の原因 |
資料 人口動態統計及び国民生活基礎調査(2001年)から65歳以上高齢者について作成 |
介護が必要となった原因(男女別) |
資料 厚生労働省「国民生活基礎調査」(2001年) |
男女別にみると、男性の場合は脳卒中が約43%を占めるが、女性の場合は原因が多様で、衰弱、転倒・骨折、関節疾患を併せた割合は約46%となっている。 |
介護が必要となった主な原因(年齢別) |
資料 厚生労働省「国民生活基礎調査」(2001年) |
年齢階級別にみると、65歳以上75歳未満の前期高齢期は、脳卒中が多いが、75歳以上の後期高齢期は、衰弱、転倒・骨折が多くなっている。 |
主治医意見書に記載された要介護状態の原因と考えられる疾患 |
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出典:北九州市(2002) |
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高齢者リハビリテーションの3つのモデル |
○ | これまで、わが国の予防や医療・介護のリハビリテーションは、歴史的に脳卒中のように急性に生活機能が低下するものを中心に実施。 |
○ | 廃用症候群のように徐々に生活機能が低下するものや痴呆についての対応がこれまでは不十分。 |
○ | 高齢者の態様に応じた、以下の3つのモデルの対策が必要。 |
⇒ | 生活の継続性やなじみの人間関係が維持される環 境の下にケアを提供。 |
⇒ | 痴呆のリハビリテーションについては今後の検討課題。 |
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高齢者リハビリテーションの実施方法 |
○ | 疾患の発症直後の急性期に治療と並行して実施。 急性期の医療機関において、脳卒中発症直後から原疾患の治療と並行して、早期離床などのリハビリテーションを実施。 |
○ | 必要な時期に短期間に集中して実施。 急性期の医療機関において、原疾患の治療が終了した者について、回復期リハビリテーションや介護老人保健施設において、在宅復帰を目指した短期間の集中的なリハビリテーションを実施。 |
○ | 必要な時期に期間を限定して、計画的に実施。 在宅の骨関節疾患を持つ者の生活機能の低下が軽度である早い時期から、期間を定めて、リハビリテーションを計画的に実施。 |
高齢者リハビリテーションの基本的な考え方 |
○ | 脳卒中モデル、廃用症候群モデル、痴呆高齢者モデル |
○ | 度の安静、過剰な介護は、廃用症候群を惹起させる危険。 |
○ | 今後は、「つくられた歩行不能」、「つくられた家事不能」の予防が 重要。 |
○ | 高齢者の生活機能は、これまで生活してきた地域で培われてきており、生活機能を向上させるリハビリテーションは住み慣れた地域において提供されることにより、大きな効果が期待できる。 |
○ | 在宅での生活を想定し、実生活に近い環境でのリハビリテーションを提供。 |
○ | 個別性や個性を的確に把握し、画一的でない、その人にあった適切なリハビリテーションを提供。 |
○ | 高齢者本人の積極的参加を促し、自己決定権を尊重。 |
○ | ひとりひとりの状態に応じ、個別的な計画を作成し、目標定め、期間を設定し、計画的にリハビリテーションを実施。 |
○ | 計画は、定期的に評価され、必要に応じて修正・更新。 |
○ | 地域においてリハビリテーション提供体制を確保。 |
○ | 必要なリハビリテーションが、予防、治療の段階から切れ目なく、一体的に提供。そのための連携、分担、チームアプローチを整備 |
○ | どこに行けば適切なリハビリテーションが受けられるかについて、国民が知ることができる体制づくり。 |
○ | リハビリテーションプログラムや技術の質的向上。 |
○ | リハビリテーション技術の研究の積極的な推進。 |
○ | 利用者を中心として総合的に提供するために住み慣れた地域での基盤整備。 |
○ | リハビリテーション専門職の育成と連携を重視した養成。 |
現行サービスの見直し |
○ | 要支援、軽度の要介護者のサービス内容とマネジメントシステムの見直し。 |
○ | 急性期治療と並行したリハビリテーションの強化。 |
○ | 医療におけるリハビリテーションの位置づけの見直し。(保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直しの検討) |
○ | 訓練室中心から居室中心のリハビリテーションへ |
○ | 病棟・居室等の設備は、実生活に近い環境へ |
○ | 自宅での自立支援を促進するために量的に拡充。 |
○ | 言語聴覚士の位置づけ。 |
○ | リハビリテーションの効果について評価を行う。(通所介護と同様の機能のものの見直し) |
○ | 目標を設定し、期間を定めて計画的に実施。 |
○ | ショートステイ利用中の要介護度悪化の防止。 |
○ | 導入プロセスへのリハビリテーション専門職の関与など、総合的な適正化方策の推進。 |
システムと基盤整備 |
・ | 予防、医療、介護の多事業者間の情報交換、連携の推進。 |
・ | 市町村の予防対策や急性期医療との関係を明確化。 |
・ | 従来の地域リハビリテーション支援体制を見直し、再構築。 |
1. 目標設定 | ||
・ | 自立についての目標設定(脳卒中発症から1年後に自立している者の割合、大腿骨頚部骨折後から1年後に自立している者の割合など) | |
・ | 生活機能、要介護度改善、在宅復帰、人材育成等の目標設定 | |
2. サービス提供拠点の整備 | ||
・ | 介護老人保健施設の在宅復帰、在宅支援機能の強化。 | |
・ | 介護療養型医療施設の療養環境の向上、リハビリテーション機能の充実。 | |
3. 人材育成 | ||
・ | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、リハビリテーション専門医等の養成・確保。 | |
4. 研究 | ||
・ | リハビリテーションの分野に活用できる調査研究の推進。 | |
5. その他 | ||
・ | 痴呆高齢者、摂食・嚥下障害、排泄障害、慢性呼吸器疾患、悪性腫瘍、口腔ケア等の生活機能低下にかかるリハビリテーションについて、今後さらに検討、開発をすすめる。 |
国民と専門家に求められること |
○ | 地域社会の構成員である国民ひとりひとりがリハビリテーションについて、理解を深めることが重要。 |
○ | 生活機能低下をいち早く把握して、自ら積極的にリハビリテーションを行う。 |
○ | 予防、医療、介護にかかわる専門職は、リハビリテーションについて、十分に理解することが求められる。 |
○ | 特に、かかりつけ医、介護支援専門員、保健師等の役割は重要。 |
○ | 今後の専門職の教育にリハビリテーションの考え方を十分に反映させていくことが必要。 |