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(5)有料老人ホームに対する指導等
   有料老人ホームについては、高齢者の居住の場としてふさわしいものにしていく必要性から、平成14年7月、「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」を通知しているところであるが、各都道府県におかれては、標準指導指針を参考として、地域の状況に応じて指導指針を定め、これに基づき指導を行われたい。
 その際、老人福祉法に基づく届出と併せて、表示の適性化にも留意しつつ、重要事項の説明や情報の開示など、有料老人ホームの運営が適切に行われるよう、改めて指導の徹底をお願いしたい。
 特に、有料老人ホームの事業は、高齢者が長年にわたり生活する場であり、入居者の側からも介護を始めとするサービスに期待が大きいこと、入居に当たり高額の一時金を支払う場合が多いことから、行政としても、サービス水準の確保等のため十分に指導を行う必要がある。
 特に、有料老人ホームの表示に関しては、入居の際に、高齢者にとってわかりやすく適正な表示が求められるものであり、その内容について不当であることは、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)に抵触するばかりか、有料老人ホーム全体の社会的信頼を損なうものであるので、本標準指導指針の趣旨を踏まえ、指導の徹底を重ねてお願いしたい。
 なお、平成16年1月22日、公正取引委員会において、有料老人ホームに関して消費者に誤認されるおそれのある表示について景品表示法第4条第3号の規定に基づく告示として指定を行うべく、「有料老人ホーム等に関する不当な表示(案)」に関する公聴会が開催されたところであり、今後の動きについて注視していただきたい。
 当省としても、今後も引き続き、必要な情報提供を行っていくこととしている。



(参考)平成15年12月17日公正取引委員会公表


有料老人ホーム等に関する不当な表示(案)

 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第4条第1項第3号の規定により,有料老人ホーム等に関する不当な表示を次のように指定し,平成 年 月 日から施行する。

有料老人ホーム等に関する不当な表示

  (土地又は建物についての表示)
 有料老人ホーム等の土地又は建物についての表示であって,当該土地又は建物は当該有料老人ホーム等が所有しているものではないにもかかわらず,そのことが明りょうに記載されていないもの

  (施設又は設備についての表示)
 有料老人ホーム等の入居者の利用に供される施設又は設備についての表示であって,当該施設又は設備が次の各号の一に該当するにもかかわらず,そのことが明りょうに記載されていないもの
 
 当該有料老人ホーム等が設置しているものではない施設又は設備
 当該有料老人ホーム等の敷地又は建物内に設置されていない施設又は設備
 入居者が利用するためには,利用するごとに費用を支払う必要がある施設又は設備

 有料老人ホーム等の入居者の特定の用途に供される施設又は設備についての表示であって,当該施設又は設備が当該特定の用途のための専用の施設又は設備として設置又は使用されていないにもかかわらず,そのことが明りょうに記載されていないもの

 有料老人ホーム等の設備の構造又は仕様についての表示であって,当該設備の構造又は仕様の一部が異なるものがあるにもかかわらず,そのことが明りょうに記載されていないもの

  (居室の利用についての表示)
 有料老人ホーム等の入居者の居室についての表示であって,次の各号の一に該当することがあるにもかかわらず,そのことが明りょうに記載されていないもの
 
 入居者が当初入居した居室から他の居室に住み替えること
 入居者が当初入居した居室から他の居室に住み替える場合に,住み替え後の居室の一人当たりの占有面積が当初入居した居室の一人当たりの占有面積に比して減少すること
 入居者が当初入居した居室から他の居室に住み替える場合に,当初入居した居室の利用に関する権利が変更又は消滅すること
 入居者が当初入居した居室から他の居室に住み替える場合に,入居者が住み替え後の居室の利用に関し,追加的な費用を支払うこと
 入居者が当初入居した居室から他の居室に住み替える場合に,当初入居した居室の利用に関する費用について,住み替えによる居室の構造若しくは仕様の変更又は住み替え後の居室の一人当たりの占有面積の減少に応じた調整が行われないこと

 有料老人ホーム等において,終身にわたって入居者が居住し,又は介護サービスの提供を受けられるかのような表示であって,要介護者等(介護保険法の規定に基づく要介護認定又は要支援認定を受けた有料老人ホーム等の入居者をいう。以下同じ。)の状態によっては,当該要介護者等が当該有料老人ホーム等において終身にわたって居住し,又は介護サービスの提供を受けられない場合があるにもかかわらず,そのことが明りょうに記載されていないもの

  (医療機関との協力関係についての表示)
 有料老人ホーム等と医療機関との協力関係についての表示であって,当該協力の内容が明りょうに記載されていないもの

  (介護サービスについての表示)
 有料老人ホーム等の入居者に提供される介護サービスについての表示であって,有料老人ホーム等が当該介護サービスを提供するものではないにもかかわらず,そのことが明りょうに記載されていないもの

 有料老人ホーム等が提供する介護保険法の規定に基づく保険給付の対象とならない介護サービスについての表示であって,当該介護サービスの内容及び費用が明りょうに記載されていないもの

  (介護職員等についての表示)
10  有料老人ホーム等の介護職員等(介護職員又は看護師若しくは准看護師をいう。以下同じ。)の数についての表示であって,次の各号に掲げる数が明りょうに記載されていないもの
 
 常勤換算方法による介護職員等の数
 介護職員等が要介護者等以外の入居者に対し食事の提供その他日常生活上必要なサービスを提供する場合にあっては,要介護者等に介護サービスを提供する常勤換算方法による介護職員等の数
 夜間における最少の介護職員等の数

11  有料老人ホーム等の介護に関する資格を有する介護職員等についての表示であって,介護に関する資格を有する介護職員等の数が常勤又は非常勤の別ごとに明りょうに記載されていないもの

  (管理費等についての表示)
12  管理費,利用料その他何らの名義をもってするかを問わず,有料老人ホーム等が入居者から支払を受ける費用(介護サービスに関する費用及び居室の利用に関する費用を除く。)についての表示であって,当該費用の内訳が明りょうに記載されていないもの

備考
 この告示において,「有料老人ホーム」とは,老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム(常時10人以上の老人を入所させ,食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設であって,老人福祉施設でないもの)をいい,「有料老人ホーム等」とは,有料老人ホーム及び常時9人以下の老人を入所させ,食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設(老人福祉法第5条の2第5項の規定の事業が行われる住居及び同法第5条の3に規定する老人福祉施設を除く。)をいう。

 この告示において,「常勤換算方法」とは,「指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第2条第8号に規定する常勤換算方法をいう。


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