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(4)高齢者の生きがいと健康づくり

 「都道府県明るい長寿社会づくり推進機構」の活動促進について
 今後高齢化が一層進む中、高齢者が自分の能力を活かし地域社会に積極的に参加することは、より自分らしく生きがいのある充実した人生を送ることにつながる。また、介護予防という観点においても、社会参加、社会貢献、就労、生きがいづくり、健康づくりなどの活動を社会全体の取組として積極的に行われることが必要である。
 明るい長寿社会づくり推進機構(以下「推進機構」という。)は、高齢者の価値観の多様化やサラリーマンOBが増加する中、明るい活力ある長寿社会の実現に向けて、高齢者の社会活動等の振興のための指導者等の養成(人づくり)や各関係組織間の連携を進め、地域で活躍している方々が互いにノウハウを交換しあい(組織づくり)、その雰囲気を持続させる(気運づくり)ことを目的として設立されたものであり、今後とも効果的、効率的な運営のもとに推進機構がその役割を果たすことが必要と考えている。
 都道府県におかれては、推進機構の役割の重要性に鑑み、推進機構が高齢者に関連する多くの関係団体・機関との緊密な連携が図れるようご配意いただくとともに、推進機構の活用、活性化に向けて特段の指導、支援をお願いしたい。

 
 
(ア)  事業評価について
   地域の実情やニーズを踏まえたより効果的な事業の企画立案を行うためには、必要性、効率性、有効性等の観点から、事業効果を把握し、評価を行うことが必要であるが、下記のとおり「明るい長寿社会づくり推進機構の実施事業に関する調査報告書(長寿社会開発センター調べ(平成15年3月))」によると、事業評価及び参加者アンケートの実施状況は低調なものとなっているので、事業効果の把握、評価に関する取組が進むよう十分指導願いたい。

(参考) 事業効果の確認状況
(1)  都道府県健康福祉祭(地方版ねんりんピック)
    事業評価  実施していない  70.6%
    アンケート  実施していない  67.6%
(2)  イベント・セミナー・シンポジウム
    事業評価  実施していない 66.7%
    アンケート  実施していない 9.5%
     実施していないことが多い 45.2%
(3)  広報・情報提供事業
    事業評価  実施していない 55.8%
    アンケート  実施していない 90.7%


(イ)  推進機構の事業で養成した指導者の活用について
   生きがいと健康づくり活動を、社会全体の取組として地域に根付かせていくためには、高齢者の社会活動の振興のための指導者等の育成(人づくり)と、この事業の意義をよく理解し、積極的に取り組んでくれる人材が、地域において活動していただくことが重要であるので、推進機構が地域の推進役となる指導的高齢者を養成することで完結することなく、こうした高齢者の活動を把握・支援し、活用していくことが求められる。
 しかしながら、「介護予防・地域支え合い事業等の実施に関する個別実態調査について(振興課調べ(平成16年1月29日現在報告分中間集計))によると、事業で養成した指導的高齢者を活用した事業を実施している割合は、57%にとどまっている。
 都道府県におかれては、推進機構が地域において活躍する指導的高齢者及びその活動を継続的に支援するとともに、推進機構事業の実施にあたり、地域の指導的高齢者や高齢者教養講座等事業(いわゆる老人大学)の卒業生等を積極的に活用するなど、より効果的、効率的な事業運営が図られるよう指導をお願いしたい。

 
(参考)  
(1)  人づくり関係
   事業で養成した指導的高齢者の活用状況 実施している  57%

(2)  組織づくり関係
   推進機構事業における運営協議会の参加状況
   @  都道府県民生部局 81%
  A  社会福祉協議会、老人クラブ連合会 それぞれ 77%
  B  マスコミ関係、学識経験者 それぞれ 70%
  C  医師会 67%
  D  運営協議会を実施していない 12%

(3)  気運づくり関係
   スポーツ、健康づくり事業における推進機構の活用状況 91%

出典:「介護予防・地域支え合い事業等の実施に関する個別実態調査について
  (振興課調べ(平成16年1月29日現在報告分中間集計))


 老人クラブについて
 昭和38年に施行された老人福祉法に、老人クラブの名が刻まれてから、40年を越えたところである。この40年の間、高齢者を取り巻く様々な環境は大きく変化する中、老人クラブは、昭和38年当時3万6千あったクラブは13万1千に増え、230万人であった会員数は850万人を超え、我が国最大の高齢者組織となった。また、その活動は、今日の日本の高齢者福祉を語る上で、欠くことのできないものとなっている。
 老人クラブは、その活動指針である「老人クラブ21世紀プラン」に基づき、「健康、友愛、奉仕」の「全国三大運動」とともに、地域を豊かにする活動等をそれぞれの地域において推進しており、活力ある高齢社会を構築するうえで、大きな役割が期待されている。

 
(ア)  老人クラブ社会活動事業について
   老人クラブ活動については、高齢者の生きがい及び健康づくりを進め、介護予防を図る観点からも、厚生労働省としても、支援を行っているところである。
 各都道府県・指定都市・中核市におかれても、都道府県・指定都市・市老人クラブ連合会とも十分な連携を図り、地域社会の担い手としての視点からも老人クラブの活動に対して一層のご配慮をお願いしたい。

(イ)  健康づくり事業について
   元気な高齢者に対しては、できるだけ健康を保持できる施策を重点的に取り組むことが重要であることから、健康づくりに特化した「市町村老人クラブ連合会が行う健康づくり事業」(以下「健康づくり事業」という。)を実施しているところである。さらに、「健康づくり事業」を一層拡充するため、本年度より「健康づくり事業」を支援することを目的とした、「都道府県・指定都市老人クラブ連合会が行う健康づくり支援事業」(以下「健康づくり支援事業」という。)を実施しているところである。
 平成15年度実施分の「健康づくり事業」及び「健康づくり支援事業」の協議については、事業の趣旨に合致するものについて、できる限りの事業採択を行ったところであるが、事業の趣旨に合致しないものが見受けられたので、以下の点に留意のうえ、より事業の趣旨に添った効果的な事業が行えるよう、補助金の申請に当たって内容の精査を行うなどご配慮をお願いしたい。

 
 市町村老人クラブ連合会が行う健康づくり事業
   本事業は健康づくりの実践活動や健康に関する知識等について普及・啓発を図るための事業であり、不採択とした事業の中には、カラオケ大会など趣味活動的な事業が見受けられたところである。
 ついては、平成16年度の協議に当たり、このような点も十分考慮されるとともに、
 
(1)  より現場に近い市町村が老人クラブ連合会の自主性を尊重しつつ、地域の特性、老人クラブ会員や地域住民のニーズを十分に踏まえながら、日々の活動に繋がり地域全体の取組として普及されるよう配慮すること。
(2)  事業実施前後に体力測定やアンケートを行うなどにより、事業効果の確認に配慮すること。
(3)  市町村老人クラブ連合会が企画・実施する際には、有識者(医師、保健師等)の活用により、より事業効果が上がるよう配慮すること。
  など、管内市町村に対し、指導及び助言に努められるようお願いしたい。

 都道府県・指定都市老人クラブ連合会が行う健康づくり支援事業
 本事業は都道府県・指定都市老人クラブ連合会において、健康づくりに関する(1)先進優良事例等各種情報収集・紹介、(2)有識者によるアドバイス・現地指導(3)広域的な各種研修の共同実施、(4)健康づくりをはじめとした地域活動を推進する総合的なリーダーの養成(いわゆる老連大学)等を行うことにより、市町村老連が行う健康づくり事業を支援する事業である。
 平成16年度の協議に当たっては、都道府県、市町村、都道府県老連、市町村老連間で、事業の企画段階から連携を図り、効果的に事業が推進されるようご配慮をお願いしたい。


  (事例紹介)     
 市町村と老人クラブの協力により、生きがいと健康づくり事業を効果的に実施された例(大分県九重町)
 
 推進会議の設置(町の福祉担当や保健師等の参画)
   老人クラブ役員、モデル地区役員、社会福祉協議会高齢者担当、公民館高齢者担当、保健福祉課(保健予防係、福祉係、国保係)等をメンバーとして推進会議を開催し、具体的事業内容の検討や実施状況の把握を行う。
 「高齢者の生活意識調査」の実施(老人クラブの協力で回収率が向上)
   65歳以上の住民を対象に老人クラブ会員が訪問聞き取り調査(調査内容:生活歴、生活状態と意識、生きがい、食事、老人クラブ等について)を行う(回収率91%)。
 活動の実施(保健師等の指導のもと老人クラブと協力して活動を実施)
   調査結果に基づき、定期的に医師・保健師・栄養士・理学療法士・役場職員と連携し、健康相談、栄養相談、薬の飲み方、正しい医療の受け方、運動骨折予防体操、男の料理教室など幅広い内容で学習会を開催する。
 なお、学習会開催にあたり、健康チェックを行い健康度による学習計画を 立てる。
 大会「生きがい健康づくり大作戦」の実施(成果発表の場の提供と気運づくり)
   活動の成果の発表、シルバーファッションショー、保育園児と共にオペレ ッタ(音楽劇)、コーラスや体操などユニークな大会を開催する。
 活動の効果(町の保健師等により効果を評価)
   大会参加者が年々増加し、閉じこもりの人が少なくなり、また、老人クラ ブに入会したい人が出てくるなど、学習会や大会を通じて健康づくりの意識 も高まり、九重町の60歳以上1人当たり平均医療費を上回っていたモデル地区(クラブ)の医療費は平均を下回ることができた。

出典:平成10年度「高齢者の生きがいと健康づくり事業報告集(生きがい健康づくり大作戦)」大分県九重町、平成14年度「活力ある活動事例集(みんな輝いている)」(財)全国老人クラブ連合会より


 全国健康福祉祭(ねんりんピック)の開催について
 高齢者を中心とする国民の健康保持・増進、社会参加、生きがいの高揚等を図り、ふれあいと活力ある長寿社会の形成に寄与することを目的として開催している全国健康福祉祭を、平成16年度は群馬県において開催することとしている。

 
(ア)  群馬大会に対する選手等の派遣
   全国健康福祉祭の趣旨である高齢者の社会参加及び地域間、世代間の交流を積極的に推進するため、都道府県明るい長寿社会づくり推進機構等とも十分な連携を図りながら、各イベントにおける参加者の裾野を広げるよう努めるとともに、本大会に対する選手等の派遣等十分な参加体制が確立されるようご配慮願いたい。
 なお、選手募集については、参考資料「第17回全国健康福祉祭群馬大会の概要」を参照されたい。

(イ)  地域における高齢者のスポーツ・文化活動等の推進
   全国健康福祉祭の目的、理念を地域に浸透させ、健康増進、文化活動の推進を図る観点から、各地方自治体においても、地域の実情に応じた地方版ねんりんピックの開催など、引き続き、健康・生きがいづくりに対する積極的な取組についてご配慮願いたい。

(ウ)  第17回全国健康福祉祭群馬大会(ねんりんピック群馬)
 
テーマ ぐんま発の応援歌
期日 平成16年10月16日(土)〜10月19日(火)
会場 群馬県内
今後の開催予定
 
  第18回(平成17年度)  福岡県、北九州市、福岡市
  第19回(平成18年度)  静岡県、静岡市
  第20回(平成19年度)  茨城県
  第21回(平成20年度)   鹿児島県
  第22回(平成21年度)  北海道、札幌市
  第23回(平成22年度)  石川県
  第24回(平成23年度)  熊本県
  第25回(平成24年度)  宮城県、仙台市


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