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(2)介護給付の適正化について

介護給付適正化の取組について
   介護保険制度の施行状況をみると、制度の定着の一方で、その必要性、効果に疑問をもたざるを得ないサービス提供や、事業者による過度の利用者掘り起こし、不正請求等、不適正ないし不正な事例も多く見られる。
 また保険者における財政状況をみると、一部に、第2期介護保険事業計画における見込みを大きく上回って給付がなされ、既に平成15年度より財政安定化基金からの借入等を予定している保険者や来年度以降において借入が見込まれる保険者もある。
 平成16年度においては、このような状況も踏まえ、保険者をはじめ、国、都道府県等が、介護給付の適正化に、より一層、積極的に取り組んでいくことが必要であり、各都道府県においては、特に、管下保険者における介護保険制度運営状況を十分把握し、各保険者が第2期介護保険事業計画における見込みと実際のサービス給付状況に乖離が生じていないかを継続的に把握するとともに、要介護度別、サービス種類毎の介護給付動向等の把握に努め、各保険者において適切な制度運営が図られるよう配慮されたい。

介護費用適正化緊急対策事業等の活用
   国においては、平成16年度予算案において、「介護費用適正化緊急対策事業」として30億円を確保し、介護費用適正化に真に資する事業を対象として支援していくこととしている。
 本事業は、平成15年度予算の「介護費用適正化特別対策事業」の実施状況等を踏まえ、対象事業を介護費用の適正化に真に資するものに重点化して実施することとしたものであり、事業実施に当たっては、具体的に交付額以上の費用適正化効果が見込まれるかについて、費用対効果を示していただき審査の上交付対象とすることとしており、詳細は近く交付要綱において示す予定としている。
 各都道府県におかれては、平成15年度実施の介護費用適正化特別対策事業実施事業を含め、上記の観点から対象事業の精査をお願いするとともに、対象外となる事業等については、必要に応じ、既存補助事業等の活用を図ることにより、管下保険者等において、給付適正化に向けた積極的な取組が引き続き図られるよう、配慮願いたい。

国民健康保険団体連合会における今般の取組について
 
(1)  「国保連合会介護給付適正化システム」について
   本年2月より、各都道府県国民健康保険団体連合会(国保連)において、保険者等が介護費用適正化対策のために活用できるよう、認定者の状況や事業所の状況に関する各種の情報を提供する体制を整備したところである(システムの概要については参考資料P 、詳細については別添配付資料参照のこと)。
 本システムは、被保険者や事業所ごとの給付実績を通して把握できる範囲で、各種指標の偏りをもとに不適正・不正な可能性のある事業所を抽出するもので、都道府県・保険者においては、事業者の指導監督やサービスの質の向上を含めた給付適正化に取り組む際に、対象とする事業者等の絞り込み、対象事業者等の給付実績の確認などの面で、本情報を幅広く活用することが可能となる。
 また、これに加え、本システムの整備により、介護給付と医療給付の整合性の確認(例:医療機関入院中の者に対する福祉用具貸与 等)を行うとともに、縦覧点検情報(サービス間・事業所間の整合性の確認等)、介護給付費通知書情報(保険者が介護給付費通知を行う場合の必要な情報の提供)の提供も可能となったところである。
 本システムによって提供される情報は各都道府県・保険者において加工可能なものであり、各都道府県におかれては、各担当部署、各保険者において、本システムの積極的な活用が図られるよう配慮願いたい。

  【国保連合会介護給付適正化システムにより提供される情報】
 
 
給付実績を活用した情報
   ○ 更新認定及び区分変更がなされた被保険者の状況把握
(更新認定等における要介護度の変化とサービス利用状況の関連)
   ○ 給付費の請求状況と事業所の体制把握
(ヘルパー1人あたり実労働時間が多すぎないか 等)
   ○ 画一的なサービス提供の把握
(作成されたケアプランが認定者如何に関わらず画一的でないか 等)
   ○ サービス提供の偏りの把握
(事業所ごとの受給者がいずれかの要介護度に偏っていないか 等)
   ○ 支援事業所とサービス事業所の関係把握
(ケアプランが同一法人の事業所のために作成されていないか 等)
   ○ 事業所の請求等決定状況の把握
(ケアマネージャーがサービス提供後に確認を行って作成するべき給付管理票を審査決定後に修正する件数が多すぎないか 等)

(2) 国保連合会における苦情相談体制の拡充
   また、本年4月からは、国保連合会が従来より実施している苦情処理事業についても、これを都道府県の事業者指導監督等において、より効果的に活用できるよう、苦情相談体制の拡充を図ることとしている。
 具体的には、内部告発を含め、国保連合会に対する利用者等からの不適正事業者等に関する通報を促し、国保連合会における「介護苦情・相談センター」機能を強化するため、各国保連合会における専用電話の設置、利用者等への広報の強化等を図ることとし、さらに他都道府県域に展開している事業者については、該当の国保連合会から国保中央会に情報を集約し、他都道府県の国保連合会に情報提供することで、情報の共有化を図ることとしている。
 これにより国保連合会において、全国展開事業者を含めた個々の事業者等に関する情報を収集し、上記国保連合会介護給付適正化システムによる事業者情報も活用することで、都道府県や保険者の給付適正化の取組を支援していくこととしているので、各都道府県におかれては、事業者への指導監督等に当たり、積極的な活用を図られたい。

(3) 不正請求の疑い等の問題のある介護費用請求の取扱いについて
   介護給付の適正化に関連し、国民健康保険団体連合会(国保連)の行っている介護給付費の審査・支払業務について、保険者等から、不正請求の疑い等の問題のある介護費用請求に対しては支払いの停止等の措置を可能とするよう要望をいただいていたところである。
 このため、今般、国保連の審査・支払システムの変更に際し、不正請求の疑い等により、各保険者が、特定の事業者からの請求についての審査停止を国保連に求めた場合には、当該事業者からの費用請求を返戻するシステム※を、4月を目途として導入する予定としている。
 この場合、当該請求については、各保険者が、都道府県とも連携しつつ支払停止を求めた根拠となった不正請求の疑い等への対応と平行して、直接審査により対応することとなる。

 市町村が、当該措置の対象とする旨、国保連に対して指定した事業者について、翌月以降の請求を「返戻」扱いとするもの。

 これに対応し、「国民健康保険団体連合会介護給付費審査支払規則例」(平成12年3月7日付厚生省老人保健福祉局介護保険制度準備室長発事務連絡)を改正し、

 
 介護保険法第23条に規定する市町村による指示・照会に事業者が十分な対応を行わ ない場合等、介護給付費の妥当性にかかる相応の理由に基づき、市町村が審査解除の依 頼を行った場合、国保連は当該事業者からの請求につき、受託の対象から解除する。

とする規定を追加する予定である。詳しくは、近日中に事務連絡を発出する予定としているので、そちらを参照願いたい。
 各都道府県におかれては、各国保連に対し、当該事務連絡の発出にあわせ、審査支払規則の改正を行うよう促すとともに、管内の市町村に対し、国保連との審査支払事務の受委託契約につき内容を確認するよう、周知願いたい。
 特に、上記事務連絡の「様式第一」のような形(各県国保連の介護給付費審査支払規則を準用)ではなく、別個に各条項を記載した契約書を作成している場合は、上記内容を条文に追加する必要が生ずるので、適切なご助言をお願いいたしたい。


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