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(3)  「やむを得ない事由による措置」について

 老人福祉法上、市町村は職権による措置(やむを得ない事由による措置)を行うことができることとされているが、介護保険の施行後、こうした措置制度への認識が希薄な市町村が出てきているのではないかとの指摘がある。
 一方、要介護高齢者の中には家族から虐待を受けている事例があるとの報道があり、このような場合には、「やむを得ない事由による措置」の実施が求められるところである。
 したがって、各都道府県におかれては、管内の市町村に対し、必要な場合には適切に措置を行うよう指導の徹底を図られたい。
 なお、一部の市町村において、家族が反対している場合には措置を行うことは困難であるとの誤った見解が示されているが、「やむを得ない事由による措置」は、高齢者本人の福祉を図るために行われるべきものであり、高齢者本人が同意していれば、家族が反対している場合であっても、措置を行うことは可能である。
 また、高齢者の年金を家族が本人に渡さないなどにより、高齢者本人が費用負担できない場合でも、「やむを得ない事由による措置」を行うべきときは、まず措置を行うことが必要である。
 更に、高齢者本人が指定医の受診を拒んでいるため要介護認定ができない場合でも、「やむを得ない事由による措置」を行うことは可能であるので、これらの諸点について、管内の市町村に周知徹底願いたい。

 高齢者虐待は、特に痴呆性高齢者の権利擁護と密接な関係を有する問題であり、必要に応じて成年後見制度の活用に結びつけていくための支援が求められる。
 各都道府県におかれては、管内の市町村に対して、成年後見等開始審判の市町村長申立制度や、成年後見制度利用支援事業(介護予防・地域支え合い事業のメニュー事業)の積極的な活用が図られるよう指導願いたい。


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