(1)介護給付適正化事業の実施状況
(1) | 適正化特別対策事業(平成15年度予算)について 適正化特別対策事業については、6月以降、国民健康保険中央会において、各都道府県・保険者からの申請を、随時、受け付け、交付を行っているところ。 9月議会における補正予算編成を必要とする等の理由から、多くの保険者で今後申請を予定していると聞いているが、各都道府県におかれては、管下市町村等の取組状況、検討状況を適切に把握の上、特に、(1)認定率が高い、(2)保険料が高額、(3)サービス利用状況に偏りがあるなどの保険者については、積極的な取組が図られるよう配慮いただきたい。 〔交付状況〕
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(2) | 介護給付適正化に向けた取組み事例について 給付適正化特別対策事業に関連し、7月までに、介護保険課に報告・情報提供のあった取組のうち、主なものは次々頁のとおりとなっている。 給付適正化に向けた取組は、各保険者において様々な観点から取組が行われるべきものであり、給付適正化に向けた取組をこれらの取組に限定する趣旨のものではないが、各都道府県、市町村等における今後の取組の参考とされたい。 |
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(3) | 国民健康保険団体連合会との連携について 現在、国民健康保険中央会では、各国民健康保険団体連合会において、給付状況を多角的に分析し市町村等に情報提供するとともに、レセプトの縦覧点検の強化等を図るための審査支払等システムの変更を進めているところ。 新システムの具体的内容については、各都道府県、保険者等からの意見・要望(合計1,157件)を踏まえ、国民健康保険中央会に設置された「介護費用適正化対策に係る研究会」等における検討を経て、先般、各国民健康保険団体連合会を通じ、各都道府県等に情報提供したところ。 新システムは、保険者等からの意見を踏まえ、磁気データ(Excel形式)による情報提供を行い、都道府県・保険者で独自にデータの分析・加工が行えるようにするなど、保険者等が効果的に活用できるよう配慮している。 新システムの本格的な稼働は、平成16年1月以降となる見込であるが、本システムが所期の効果を上げる為には、新たに蓄積される各種データ等を各保険者が積極的に活用することが不可欠であり、給付適正化に向け、管下保険者において、新システムの積極的な活用、国民健康保険団体連合会との連携の強化が図られるよう御配慮願いたい。 また、国民健康保険中央会に提出された意見・要望のうち、システム共通の仕様とするのではなく各保険者において対応することが適当とされた事項等については、上記(1)適正化特別対策事業を活用することも検討されたい。
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(4) | 今後の取組 国においては、今後、各種指針・マニュアルの作成、情報提供等を順次実施の予定であるので、これらも活用の上、引き続き、給付適正化に向け積極的な取り組みが図られるよう御配慮いただきたい。
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各事例は、給付適正化特別対策事業に関連して、本年7月までに保険者等より厚生労働省老健局介護保険課に報告・情報提供のあった取組(予定のものを含む)の一部を整理したものであり、これらの取組に限定する趣旨のものではない。 | ┐ │ │ │ │ ┘ |
現状の把握 |
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自らの地域の介護保険事業の実施状況などの動向の把握 |
取組事例 |
○ | 過去3カ年の要介護認定の動向とサービス利用内容の関連を、要介護度別、主要疾患別、地域別、介護者の有無別、主治医別、居宅介護支援事業者別等で詳細に分析。 併せて、要介護者、家族に対し、聞き取り調査を行い、満足度、苦情内容、今後の方針等を調査。要介護認定を受けた理由、施設入所を決めた理由を個別調査で明らかにし、今後の介護予防事業、在宅介護を継続させるための方策を検討。 (岡山県 寄島町) |
○ | 訪問リハビリテーションを取り入れたケアプラン事例の収集・ヒアリング・分析。効果的・効率的なサービス提供を行っている事業者の経営事例の調査、収集、分析。 巡回型、サテライト等都市の特性を生かした先駆的なデイサービス取組事例の収集、分析等。 (東京都) |
介護予防 |
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要介護状態とならないようにするための介護予防の推進、高齢者の健康の維持・増進 |
取組事例 |
○ | 認定支援システムに改良を加え「介護予防地区別疾病別評価分析システム」を構築。要介護者の主要疾病情報に基づいて、地区別疾病別分析を行い、各地域に効果的な介護予防メニューを実施。 (沖縄県 浦添市) |
要介護認定 |
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より適正な要介護認定の実施 |
取組事例 |
○ | 施設等への委託により行われている認定調査について、その一部を外部のケアマネジャーを雇用し、調査することにより、公平性や透明性を確保するとともに認定の適正化を図る。また、認定調査員との研修会を実施。 (北海道 釧路市) |
○ | 施設の認定調査の検証等を行うため、処遇支援チームを設置し、更新認定調査のサポートと調査員へのアドバイスを実施。 認定調査結果に基づく施設とのケースカンファレンス(処遇分析)の実施と実施結果に対する事業評価の実施。 (北海道 栗山町) |
○ | 委託事業所の介護支援専門員が実施した認定調査が適正に実施されていることを確認するため、各事業所の委託件数の3%程度について、市職員が対象者等に再度聞き取り調査を行い、その結果に応じて、事業所に適正な調査実施に係る指導を実施。また、対象者の心身の状態の推移を把握することにより事業所ごとの傾向を分析。 (神奈川県 横浜市) |
ケアマネジメント |
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適切なケアプランの確保 |
取組事例 |
○ | ケアプラン点検員を配置し、給付実績からケアプラン料の加算等をチェック、助言を行うとともに、ケアプランをランダムに抽出、チェックし、その一部をケアマネ会議などで評価。 (北海道 釧路市) |
○ | 第3者のケアマネジャーが利用者宅を訪問し、適正なケアプランを作成しているか、ケアマネジャーが毎月訪問しているのかを調査。 (岡山県 鴨方町) |
○ | 介護保険施行後3年間のデータ(認定データ、給付データ等)を分析して、要介護者の状態が改善したケアプラン、要介護者の状態が悪化したケアプラン、不適切なサービス利用のケアプランに関するモデル集を作成し、ケアマネジャー、利用者等に配布。 (愛知県 豊田市) |
○ | 都内の全居宅介護支援事業所、ケアマネジャーを対象として、介護報酬改定後の居宅介護支援事業所の運営実態に関する調査、業務実態を把握 (東京都) |
サービスの提供・利用 |
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地域のサービス提供状況の把握 事業者によるサービスの質の向上に向けた取組への支援V サービスの適正な利用の促進 |
取組事例 |
○ | 各事業所に対し、アンケート形式による自己評価調査及び訪問調査による外部評価を実施し、調査結果の分析に基づいて、各サービス種別の介護サービスガイドを作成、配布。 (鹿児島県 西之表市、中種子町、南種子町) |
○ | 利用者からの苦情・相談を広く収集し、サービス内容の質の向上・適正化を図る観点から、県内の薬局に「介護保険まちかど相談所」を設置し、利用者からの介護サービスに係る苦情・相談を受け、当該苦情・相談内容等について、関係市町村及び関係機関(国保連苦情処理委員会など)に情報提供する体制を整備。 (青森県) |
○ | 介護保険の住宅改修及び福祉用具購入のサービスについて、利用者へのサービス利用アンケートや専門家による事後訪問調査を実施。 (神奈川県 横浜市) |
○ | 住宅改修費支給申請の中から、毎月一定件数を抽出し、1級もしくは2級の建築士の調査員が被保険者宅を訪問し、申請書類と照合して工事内容の確認等を行う。 (大阪府 大阪市) |
○ | 市から依頼を受けた福祉用具適合の専門家(OT、PT)及び市担当者がケアプランを確認し、要支援及び要介護1の者に対する特殊寝台や電動車椅子の貸与について利用者宅の個別訪問を行い、適合状況を確認し、必要に応じて事業者等への指導を実施。 (広島県 呉市) |
介護給付費の請求・支払い |
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都道府県・国保連と連携した適正な介護給付費の審査支払いの確保 |
取組事例 |
○ | 介護サービス利用者へ介護給付費通知書を月単位で年4回に分けて送付。 (沖縄県 沖縄県介護保険広域連合 他) |
○ | 毎月、居宅介護支援事業所から全員の実績が記入された利用表の提出を求め、給付実績について計画との整合性を点検。併せて要介護者への聞き取り調査を実施し、サービス内容についての聞き取りも行い、居宅サービスの事業内容についても確認。 (岡山県 寄島町) |
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