戻る

(12)介護サービス事業者の振興について

ア 高齢者向け民間サービスの振興・健全育成について

 介護保険制度施行後、介護サービス事業に関しては、民間事業者を始めとして多様な事業主体が参入し、指定事業所数も全体的にみて増加してきている状況にある。
特に訪問介護サービスを中心に、民間事業者による指定事業所の増加が顕著であり、今後、制度の定着が進む中で、介護サービスに対するニーズが増大することを考えれば、改めて民間事業者の振興及び健全な育成が求められるところである。

 しかしながら、これまでの指定事業所に対する各地方公共団体の行政指導の状況を見ると、指定取消処分を受けた事業所の大半は民間事業者であり、その背景として制度に対する基本的な理解が不足している面も見られるところである。民間事業者の振興と健全な育成を図るためには、行政による指導監査を強化することも重要であるが、並行して介護保険制度における指定事業者としての責務等について、正確な情報を適切に伝達し、事業者自らが自主的に運営基準の遵守や従事者の資質向上などに努めつつ節度ある事業運営を行い、良質かつ安定したサービス供給体制が確保されるような取組みも必要である。
 このため、平成12年度より「介護サービス適正実施指導事業」の中で「サービス事業者振興事業」として、介護サービス事業者の振興及び健全育成に資することを目的とした、
 ・新規参入事業者に対する起業相談やマーケティング情報の提供
 ・介護サービス関係者相互間の連絡体制の構築
 ・介護サービス事業者自己評価マニュアルの作成
などの事業に対して補助を行っているところであり、平成14年度予算(案)においても所要の額を計上しているので、引き続き本事業の積極的な活用をお願いしたい。

イ シルバーサービス地方振興組織の活用について

 また、本事業の実施にあたっては「シルバーサービス地方振興組織」(7参考資料(9)を参照)を積極的に活用することを併せてお願いしているところであるが、現状において未だに設置されていない都道府県や、設置されていても十分な活動が行われていない都道府県も見受けられる。前述したように、今後の介護サービスのニーズの増大を考えれば、利用者に対して良質な介護サービスが安定的に提供されるためには、民間事業者の振興を図ることが期待されており、事業者の起業支援や介護保険関係団体、機関等との連携によるネットワークの構築、各種研修や事業者評価などの事業を自主的に実施する組織体として「シルバーサービス地方振興組織」が果たす役割が、改めて期待されているところである。
 このため、未だに未設置の都道府県におかれては、速やかに「シルバーサービス地方振興組織」の立ち上げについて努力するとともに、活動が十分でない都道府県においては有効な事業実施に対する支援方策などについて連携を強化し、積極的な活動が図られるようお願いしたい。

ウ 離島等におけるサービス確保対策について

 離島等の介護サービスが不足する地域については、平成13年度より「介護サービス適正実施指導事業」の中で「離島等サービス確保対策事業」として事業者の参入促進を図るための誘致活動や情報提供のほか、地域内にある既存有効資源等を活用する観点から、サービス拠点の立ち上げ支援に係る事業についても補助対象としているところである。
 平成14年度予算(案)においても所要の額を計上しており、離島等の地域を有する市町村においては、引き続き本事業を最大限に活用し、地域の中から基準該当サービスや「相当するサービス」を含めた介護サービスを振興・育成し、地域におけるサービス確保対策に尽力されるよう、都道府県においても積極的な指導・支援を行っていただくようお願いしたい。


トップへ
戻る