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(2)介護基盤整備について

ア 介護サービス基盤整備の基本的な考え方について

(ア)平成13年度第2次補正予算及び平成14年度予算(案)について

○ 介護関連施設の整備については、平成13年度第2次補正予算においては約954億円を、平成14年度予算(案)においては約1,064億円を、それぞれ計上したところである。
 これにより、「ゴールドプラン21」に掲げられた平成16年度における介護サービス提供量を踏まえた計画的な整備を進めるために必要となる整備量を確保できるものと考えている。

(参考)介護関連施設の整備量
  (13年度第2次
補正予算)
(14年度予算(案))
○特別養護老人ホーム 14,000人分 13,000人分
○介護老人保健施設 12,000人分 7,000人分
○ショートステイ 4,000人分 5,000人分
○ケアハウス 1,000人分 3,700人分
○生活支援ハウス
 (高齢者生活福祉センター)
100か所 110か所
○老人デイサービスセンター 400か所 1,000か所
○痴呆性高齢者グループホーム 300か所 500か所
○訪問看護ステーション 1,000か所

○ 平成13年度第2次補正予算に計上している介護関連施設の整備については、先般改正された「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」(社会資本整備特別措置法)に基づき、補助金型(Bタイプ)公共事業貸付制度として、各都道府県・指定都市・中核市に対して無利子貸付を行い、後年度において貸付金が償還される際に補助金又は負担金が交付される方式によることとなっている。

○ 介護関連施設の整備については、平成13年度第2次補正予算と平成14年度当初予算を併せ、切れ目のない予算執行を行う方針である。
 なお、財政措置の取扱いについては、財政担当部局との連携を密にして対応するようお願いしたい。

a 平成14年度予算(案)における特別養護老人ホーム等社会福祉施設の内容改善事項

(a)新型特別養護老人ホームについての補助の創設

○ 特別養護老人ホームにおける居住環境を抜本的に改善し、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、全室個室・ユニットケアを特徴とする新型特別養護老人ホームを施設整備費補助の対象とする。

○ 新型特別養護老人ホームに対する施設整備費の補助は、施設内の公共スペース部分及び事務室等の管理部分を対象とする。

○ 新型特別養護老人ホームの個人スペース部分及び準個人スペース部分に係る建築費用等については、ホテルコストとして入居者が負担することとする。(平成15年度から)

(b)国庫補助額算定方法の簡素・合理化

○ ゴールドプラン21関連施設の国庫補助額については、これまで施設種別毎・工事区分毎に実面積と補助基準面積を、さらに、実工事単価と補助基準単価を各々比較し、面積及び単価ともに低い方を採用した上で、都道府県又は国の補助率を用いて算定することとしていたが、複雑であり補助申請者等の事務負担の増大要因となっているためこれを改め、平成14年度から(13年度からの継続事業を除く。)、国庫補助額の算定方法を簡素・合理化する。

○ 国庫補助額の算定方法を変更するのは、次の施設とする。

  • 特別養護老人ホーム(新型特別養護老人ホームを含む)
  • 老人短期入所施設
  • 老人ショートステイ用居室(特別養護老人ホームに併設する場合に限る)
  • 軽費老人ホーム(ケアハウスに限る)
  • 老人デイサービスセンター
  • 生活支援ハウス(居住部門)
  • 痴呆性高齢者グループホーム
  • 在宅介護支援センター
  • 在宅複合型施設

○ 国庫補助単価については、

  • これまでの「定員1人当たり補助基準面積」及び「1平方メートル当たり補助基準単価」に代えて、新たに、本体工事、冷暖房設備工事、浄化槽設備工事、昇降機設備工事、スプリンクラー設備工事に係る費用が含まれている「定員1人当たり補助基準単価」を設定する。
  • 単価表については、既に、全国厚生労働関係部局長会議でお示ししたとおり、基本的に直接負担(補助)及び間接補助の2類型とし、このほか、国の財政上の特別措置として行われる沖縄振興開発特別措置法第3条による沖縄振興開発計画に基づく事業など施設整備費に係る補助率の嵩上げに係る単価表についても設定する。
     なお、間接補助に係る単価表については、算定方式の簡素・合理化のため、直接負担(補助)の単価の3/4相当の額をもって設定している。

○ 変更後の算定方法は、次のとおり。
(従 前) (変更後)
「1平方メートル当たり基準単価×基準面積×定員」 「定員1人当たり基準単価×定員」
により算出した金額を国庫補助基準により算出された算定額とした上で、
 (1) 補助対象経費の実支出額の合計
 (2) 国庫補助基準により算出された算定額の合計
 (3) 都道府県が実際に補助する予定の額の合計
を比較し、最も低い額に国庫補助率を乗じて得た額を国庫補助額とする。

○ 拡張の取扱いについては、国庫補助額算定方法の簡素・合理化の実施に伴い、基本的な考え方は次のとおりとし、別途通知することとしている

 補助額算定の基本的な考え方
 国庫補助基準額に、現在の補助基準算定面積に対する拡張する面積の比率を乗じることにより、拡張部分のみに係る補助額を算出することとする。

 補助基準算定面積の上限となる面積の算出
拡張対象面積=現在の補助基準算定面積−補助当時の補助基準面積
拡張する実面積が上記により算出した拡張対象面積を下回る場合には、実面積とする。

 基準額の算定方法
上限基準額=拡張対象面積×1人当たり基準単価
――――――――――
現在の補助基準算定面積
拡張に係る1人当たりの実工事単価が上記により算出した上限基準額を下回る場合には、実工事単価とする。

 国庫補助額の算定
 基準額×国庫補助率

(c)特別養護老人ホームに係る社会福祉・医療事業団融資について

(1) 新型特別養護老人ホームに対する融資率の引き上げ

 新型特別養護老人ホーム(併設する老人ショートステイ用居室及び老人デイサービスセンターを含む。)については、全室個室・ユニットケア化に伴う建築延べ面積の増大や施設整備費の補助対象範囲の変更によって、施設整備時に設置者が調達を要する資金の額が従来に比べ増加することに配慮し、社会福祉・医療事業団の貸し付けの融資率を現行の80%から90%へ引き上げる。
 なお、4人室以下を基本とした従来型の特別養護老人ホーム(併設する老人ショートステイ用居室及び老人デイサービスセンターを含む。)については、引き続き現行の融資率80%を適用する。

(2) 特別養護老人ホームにおける融資条件の改正

 特別養護老人ホームに関して、老朽民間社会福祉施設整備事業などで講じられている無利子・元本償還一部免除の優遇措置については、上記(1)の融資率の引き上げに伴い、平成14年度補助事業(平成15年度への継続事業を含む。)分をもって終了する予定である。

(3) 国庫補助額の算定方法の簡素・合理化に伴う融資基準単価の見直し

 ゴールドプラン21関連の施設に係る融資基準単価については、国庫補助額の算定方法が簡素・合理化されることに伴って、同様の簡素・合理化が図られることとなっている。
 なお、新型特別養護老人ホームでは、4人室以下を基本とした従来型の特別養護老人ホームに比べ居室が広くなっていることなどから、融資基準単価についても従来型特別養護老人ホームに比べ高い単価の設定となっている。

b 平成14年度予算(案)における介護老人保健施設等保健衛生施設の内容改善事項等

(a)介護老人保健施設の補助対象の拡大【グループケアユニット型改修経費】

(b)訪問看護事業所の補助の間接化及び補助額の定額化
 訪問看護事業所については、事業所の指定と整備費補助が一体的に行われるよう、市町村及び非営利法人への補助方式を間接補助化する。
 また、補助金執行事務の効率化の観点から、補助額を定額化する。

(イ)平成13年度第2次補正予算における介護予防拠点整備事業について

 介護保険制度の円滑かつ安定的な運営を確保するためにも、高齢者が要介護状態になることを予防するための取り組み(介護予防)を積極的に進めていくことが重要である。
 このため、助け合いの精神に基づき介護を国民皆で支え合うという介護保険制度の趣旨に従って適切な事業運営を行い、高齢者介護の問題に積極的に取り組もうとする市町村が、地域の実情に応じて、高齢者が要介護状態になったり、状態が悪化したりすることを予防するための事業、高齢者の健康増進のための事業、又は介護予防に関する知識・方法の普及を図るための事業の拠点を整備することを支援する目的で、平成13年度第2次補正予算に300億円(施設整備に限る)を計上したところである。
 本事業により拠点を整備することによって進める事業は、当該市町村の老人保健福祉計画に明確に位置づけられて然るべきものであることから、管内の市町村から整備要望があった場合には、当該事業の現行老人保健福祉計画における位置づけ又は現在作業を進めている見直し後の老人保健福祉計画における位置づけについて十分に精査するとともに、当該市町村の介護保険制度の実施状況などを総合的に勘案の上、協議されるようお願いする。
 なお、本事業は、社会資本整備特別措置法に基づく補助金型(Bタイプ)公共事業貸付制度として行われるので、各都道府県・指定都市・中核市においては、財政措置の取り扱いについて、財政担当部局との連携を密にして対応するようお願いしたい。

(ウ)介護サービス基盤整備の基本的な方向について

a 質・量両面にわたる基盤整備

 介護サービスの基盤整備に当たっては、量的な面での整備の推進とあわせて、質的な面での取り組みが重要である。
 介護サービスは、要介護高齢者を対象とした「対人サービス」であり、その良し悪しは、サービスを担う介護職員などの資質によるところが大きい。
 具体的には、

(1)高齢者や家族の状態を的確に把握し、適切なサービスが提供できる「知識や技術」

(2)他の職種を含め多様な社会資源と協調し、一体となって問題解決に取り組む「協調性」

(3)高齢者や家族の心情を理解する「優しさ」

(4)個人のプライバシーに深く関ることから求められる「高い倫理観」
を兼ね備えている人材を養成し、確保することが重要である。

b 地域の特性に応じた基盤整備
 市町村や都道府県によって高齢化の度合い、人口規模等には大きな差異があり、高齢者を取り巻く社会資源も多様であることから、介護サービス基盤の整備に当たっては、そのような地域特性を踏まえた取り組みが求められる。
 このため市町村・都道府県においては、各々の地域特性を十分に踏まえ、地域に最も適した介護サービス体制を構築するために介護保険事業(支援)計画を定めているところであり、これに沿って、地域の特性に応じた基盤整備を推進することが重要である。

c 効率性の視点を踏まえた基盤整備
 介護保険制度においては、給付と高齢者等の介護保険料の負担が連動しており、介護サービス基盤の整備は、保険料をはじめとする介護保険財政に直接結びつくこととなることからも、整備に当たっては、介護保険財政の安定等に十分に配慮することが重要である。

(エ)平成14年度における整備方針について

 各都道府県等における平成14年度の整備計画については、社会福祉施設整備費は既に協議書の提出をいただいており、保健衛生施設整備費は現在ヒアリング中であるが、国庫補助の採択に当たっては、以下の事項を勘案の上、適否を検討することとしているので御了知願いたい。

○ 計画に即した整備
 各市町村における介護保険事業計画等の施設サービス提供量の見込みや、その進捗状況等に照らして所要の調整が図られていること。
 なお、既に作成作業を進めていただいている第2期介護保険事業(支援)計画は、平成15年度を初年度とするものであり、平成15年度における施設サービス提供量(利用者数)についても見込まなければならないこととなっているが、施設の整備には通例1年近くの期間を要することから、平成15年度に見込まれる施設サービス提供量を確保する(所要の入所定員を確保する)ために施設整備が必要な場合には、その着手は平成14年度でなければ間に合わないことが予想される。このため、各市町村・都道府県で第2期介護保険事業(支援)計画の作成作業が完了するのは平成14年度末であると考えられるが、平成14年度の施設整備については上記のような事情があることから、今後追加協議を受けることとなる場合には、都道府県と市町村の間で第2期計画の骨格について保険料への 影響を含め合意が形成された場合に限り、現行の介護保険事業支援計画における当該圏域での必要入所定員総数を超える整備についても、当該合意の範囲内で個別に判断しながら対応する方針である。
 ただし、この方針は、平成14年度が第2期計画開始の直前の年度に当たることに配慮した平成14年度における特別の取扱いであること、また、個別の判断に当たっては、当該都道府県における第2期介護保険事業支援計画作成の進捗状況を重視する考えであることに、十分御留意願いたい。

○ 施設の立地条件
 介護関連施設は、利用者である高齢者が長期間にわたり介護を受けながら生活する場等であることから、住民が生活している地域から離れた孤立した場所に建設されることなどがないようにしなければならない。したがって、都市計画の区域区分、住宅地からの距離、交通網等の移動手段、今後の近隣の開発計画などを総合的に勘案した上で、立地条件が利用者の心情に配慮した適切なものであると認められるものであること。
 特にケアハウスについては、こうした立地条件及び利用者の需要に関して審査を強化することとしているので、了知願いたい。

○ 地元の理解
 介護関連施設は、その性格上、地域に根ざした運営を行うことが求められるが、これを実現するためには、施設の役割や運営について地域住民の理解と協力を得ることが必要となる。このため、施設運営に先立つ整備の時点から地域住民の理解を得るための努力を行うことが重要であり、こうした観点から、国庫補助協議に際しては、設置者が自ら行った住民説明会の状況について把握することとしているところである。
 しかし、近年、地域住民に対する説明不足や設置者が住民説明会に出席せず建設業者任せにするなど、設置者の不適切な対応による住民の不信感が建設反対運動にまでつながる事例が目立っており、このような場合には、住民の不信感を解消することは難しく、施設整備の中止に至ることも少なくない。
 このような事態が生じることのないよう、事前に設置者から地域住民に十分な説明を行うよう指導するとともに、必要に応じて行政からも説明を行い、地域住民の理解が得られているものであること。

○ 事業内容の審査の徹底
 国庫補助協議に当たっては、従来から事業内容等の徹底した審査を求めているところであるが、依然として本年度も、協議後に事業内容の変更を要望してくるケースが多数見られた。
 このような事例は、事業者がどのような理念の下にどのようなケア提供するのか十分に検討しないまま、安易な整備計画を作成していることに起因しているものである。
 本来、事業内容の変更は、補助の採択自体について再検討の必要が生じる場合もあり、執行段階での予期せぬ事由によるものを除き、あってはならないことである。
 したがって、協議後に事業内容の変更を要望してくることがないよう、協議対象施設の審査が十分に行われているものであること。

a 特別養護老人ホーム等社会福祉施設関係について

(a)特別養護老人ホーム等の整備

○ 特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、ケアハウス等「ゴールドプラン21」における介護関連施設については、各地方自治体の介護保険事業(支援)計画等におけるサービス提供見込量に基づき、計画的な整備を行うものを支援する。

○ 介護保険制度下での特別養護老人ホームについては、地域における今後の状況等を踏まえつつ、より良質で効果的な介護サービスを安定的、効率的に提供できるような運営基盤の確保が求められていることから、特に、次の2点に留意されたい。
 また、国庫補助の採択に当たっては、これら2点に沿った整備計画を優先採択する方針である。

(1) 多機能化(痴呆性高齢者グループホーム、老人デイサービスセンター、ショートステイ、ケアハウス、生活支援ハウス等の機能を併せ持つこと)

(2) 適切な規模の確保等(50人未満の施設は、離島、過疎地域等に限るものとすること。また、小規模な既存施設を増築することや、適正な施設運営を行っている既存法人が新たな施設を整備すること。)

○ 特別養護老人ホームの創設については、居住環境を抜本的に改善し、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、全室個室・ユニットケアを特徴とする新型特別養護老人ホームの整備を優先採択する方針である。

○ 既存の特別養護老人ホームに係る老朽改築や増改築については、入居者に対するケアのあり方に照らせば新型特別養護老人ホームでの整備が望ましいが、現に入居している者の理解を得る必要があることや、用地の制約等も考えられることから、全室個室・ユニットケアの態様をなしていない4人室以下を基本とした従来型の特別養護老人ホームでの整備も可能とする。

○ 特別養護老人ホームや痴呆性高齢者グループホーム等では、木材の柔らかさや暖かさを取り入れることにより、利用者に精神的なゆとりや安らぎをもたらすなどの効果が期待できることから、積極的に木材の活用を図るようお願いしたい。

(b)PFI制度を活用したケアハウスの整備促進

 ケアハウスについては、規制改革推進3か年計画(平成13年3月閣議決定)等を踏まえ、民間企業等に参入への途を開き、PFI制度を活用して整備を促進することについて、平成13年度第1次補正予算に盛り込んだところである。
 また、この制度の円滑な活用を支援するため、市区町村の事務処理の参考となる具体的な手続や契約書のひな形等をまとめたマニュアルを配布したところであるので、その内容について御了知いただくとともに、管内各市区町村にも周知徹底を図るなど、PFI制度を活用したケアハウスの整備促進についてご協力いただくようお願いしたい。

(c)ケアハウスの整備に対する審査の強化

○ 会計検査院の平成13年度の実地検査において、開設後一定年数を経過しているにもかかわらず入居状況の思わしくないケアハウスが相当数存在しており、補助による事業の効果が十分に発揮されていないとの指摘を受けたところである。

○ 既に、「ケアハウスの整備及び運営に対する審査・指導の強化について」(平成13年10月12日付老健局計画課長通知)により通知したところであるが、平成14年度以降に整備を予定しているケアハウスについては、

  • 一般住民が生活している区域から遠距離に、施設のみが孤立した設置となっていないこと
  • 孤立して設置されてはいないものの、医療機関への通院や商店街へ買物に行くための移動手段等が限定されており、その結果として入居者の外出に不便が生じる地域での設置となっていないこと

など、施設の立地条件が適切であることが、挙証資料及び実地調査の結果等により明らかになっていること。

○ さらに、ケアハウスの整備は、単に老人保健福祉計画が未達成であるという理由のみから行うようなことがあってはならず、設置する地域において真に需要があることが必要不可欠である。
 これを踏まえ、設置者に対しては、具体的な建設計画について、特に次の2点の指導をお願いしたい。

  • 設置地域及び県内における需要調査の結果等を基に、単身世帯や夫婦世帯の構成割合及び夫婦世帯のうち個室利用を希望する者の割合の予測を行うなど、様々な情報を最大限に活用すること。
  • 夫婦部屋は、可動式のパーテションを利用するなど個室としての利用も阻害されないような構造とすること。

b 介護老人保健施設等の保健衛生施設関係について

○ 介護老人保健施設、訪問看護ステーション等「ゴールドプラン21」における介護関連施設については、各地方自治体の介護保険事業(支援)計画等におけるサービス提供見込量に基づき、計画的な整備を行うものを支援する。

○ 介護老人保健施設は、入所者が居宅での生活に復帰することを目指す施設であり、その機能が十分に発揮されるようにするためには、居宅サービスの充実が不可欠である。その際、退所は可能であっても自宅への復帰が困難な者のために、自宅以外に居所を移して居宅サービスを利用できる受け皿として、ケアハウス、痴呆性高齢者グループホーム、生活支援ハウス等の整備を図ることが重要である。
 これらは、地域の実情に応じて計画的に整備されるべきことは言うまでもないが、介護老人保健施設と併せて整備することは、施設退所後における要介護者等に対する介護サービスを提供する上でも連携し易く、また、望ましいものであり、特に生活支援ハウスについては、平成12年度から、介護老人保健施設に併設・隣接したものについても補助対象としているところであるので、積極的な整備を図られたい。
 また、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行うとともに、市町村、居宅介護支援事業者、居宅サービス事業者、他の介護保険施設その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携を図ることによって、入所者が自宅や上記のような受け皿(ケアハウス等)での生活に円滑に復帰できるよう、施設整備の計画の段階から指導願いたい。

(オ)法人認可所轄庁の変更を伴う整備について

 社会福祉法人は、都道府県等の区域内で事業を実施する場合には当該都道府県等が所管し、二以上の都道府県にわたって事業を実施する場合には厚生労働大臣が所管することとなっている。
 ついては、法人認可を受けた都道府県以外の都道府県において施設整備を行う法人がある場合は、整備費を補助する都道府県と現所轄都道府県との間で連絡を密にし、厚生労働大臣への移管手続きを行うべき都道府県においては、法人との連絡・調整を十分に行い、事業の遂行に支障が生じないよう指導願いたい。

イ 施設整備業務の適正化について

(ア)補助金の不正受給について

○ 社会福祉法人が、補助事業を行うために締結した契約の相手方等から寄付金等の資金提供を受けることは、いわゆる水増し契約が行われ、リベートなどとして不当に資金が還流しているとの社会的疑惑を招く基になる。
 このため、既に「社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費に係る契約の相手方等からの寄付金等の取扱いについて」(平成13年7月19日付4部局課長連名通知)によりお示ししているとおり、契約の相手方等から寄付金等の資金提供を受けることを禁止しているところである。

○ しかしながら、本年度においても、本来の工事費を水増しした虚偽の契約書をもとに実績報告を行い、整備費補助金を不正な手段により過大に受給するなどの事件が散見される。
 これらの事件のほとんどは、平成9年度に施設整備業務改善方策を示す以前の整備であるものの、同様の事件の再発は厳に防止すべきであり、このため、管内市区町村及び社会福祉法人等に対し、引き続き各種関連通知の趣旨に沿った指導の徹底を図られたい。

○ さらに、各種の全国会議等でも再三申し上げてきたところであるが、不正受給の事実が発覚した場合には、補助金を返還させることはもとより、不正に関与していた者について告発を行うなど、厳正な対処を行われたい。
 併せて、このような不適正な整備事業が採択された要因を分析し、再発防止に万全を期されたい。

(イ)補助金の過大受給について

○ 会計検査院の平成13年度の実地検査においても、特別養護老人ホーム等を設置する際のスプリンクラー設備等に係る補助に関して、設置者である社会福祉法人等が、補助の仕組みの理解不足により、誤って同一の補助対象経費を二重に算入したり、補助対象外経費を補助対象に含めていたことにより、結果として補助金を過大に受給したりしている事例が、指摘されている。

○ ついては、管内の市町村及び社会福祉法人等に対して、適切な補助の取扱いについて更なる周知の徹底を行うとともに、国庫補助協議時のみならず、交付申請時、実績報告時の書類審査をより厳格に行われたい。


【別添1】

介護老人保健施設整備に係る国庫補助金交付基準額(案)

区分 交付基準額
I 施設整備費(補助率:定額) 千円
  1 整備基本額
 介護老人保健施設を新設する場合に補助する。
25,000
2 加算額  
  (1)地域加算  
  (1) 大都市加算
 東京都の区部及び市部並びに指定都市(原則として市街化区域に限る)に設置する施設に対して加算する。
70,000
(2) 過疎地等加算
 山村振興法、離島振興法、過疎地域自立促進特別措置法及び奄美群島振興開発特別措置法の対象地域に設置する施設に対して加算する。
55,000
(2)痴呆専門棟加算
 「厚生大臣が定める施設基準」(平成12年2月10日厚生省告示第26号)第10号に該当する施設の整備に対して加算する。(平成14年度限り)
27,000
(3)グループケアユニット型加算
 療養室をいくつかのグループに分け、そのグループ毎に食堂、談話スペース等の設備を備えたグループケアユニットを整備する施設に対して加算する。ただし、3ユニットを限度とする。
1ユニットにつき
6,000
(4)病床転換加算
 既存病床の削減をして介護老人保健施設に転換する場合又は新たに整備する施設に対して加算する。
削減1床につき
1,000
(5)増床加算
 既存の施設(150床以上の施設を除く)の入所定員を増員するための整備に対して加算する。ただし、50床を限度とする。
 
  (1) 通常型1床につき
350
(2) グループケアユニット型1床につき
500
3 改修経費
グループケアユニット型改修経費
1ユニットにつき
3,000
II 設備整備費(補助率:定額)
 医療法人立等の施設において、機能訓練を効果的に行うための機器及び移動、入浴介助等を効果的に行うための機器であって1品目当たり20万円以上の設備の整備事業。
2,500
分館型介護老人保健施設に対する基準額は、上表の各基準額にそれぞれ2分の1を乗じて得た額とする。
平成13年度以前からの継続事業に係る交付基準額の適用については、なお従前の例によるものとする。
グループケアユニット型改修経費について、上記の基準額が事業費の2分の1を超える場合は、当該事業費の2分の1相当額を基準額とする。


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