平成13年10月より第1号被保険者の保険料の本来額徴収が始まったが、収納率は半額であったときの調査結果と比べても高水準を維持している。これまで、各自治体において、各種広報活動や収納努力に御尽力いただいてきたが、その成果が着実に現れているものと考えている。
(参考) | 平成13年10月調定分収納率(加重平均):定点市町村における調査結果 98.9%(普通徴収のみで89.0%) |
※ | 各市町村の収納率の数値を単純平均した数値で比較すると、平成13年10月調定分は99.1%(普通徴収のみ91.1%)であり、平成12年10月調定分の98.9%(普通徴収のみで91.2%)とほぼ同じ水準となっている。 |
このように保険料の収納は順調に行われていると認識しているが、今後とも、介護保険制度の趣旨、内容等の周知にご配慮いただきたい。なお、本年1月からの支給限度額一本化等を踏まえ、パンフレットを改定したので、適宜参考にしていただきたい。
イ 介護保険制度の趣旨に即した制度運営の徹底について
低所得者である第1号被保険者の保険料を単独で減免する市町村が一部に見られる(平成13年10月1日現在で単独減免を実施している市町村数は別添の309。このうち、下記の3原則を遵守しているものが191)が、これまでも申し上げてきたとおり、介護保険制度は、介護を国民皆で支え合おうとするものであり、保険料を支払った者に対して必要な給付を行うものであることから、
(1) 保険料の全額免除
(2) 収入のみに着目した一律の減免
(3) 保険料減免分に対する一般財源の繰入
については適当ではないと考えており、引き続き市町村に対するご指導をお願いする。
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[ ]内は前回調査時点からの増加数 |
また、利用者負担について、一部の自治体において、国の「社会福祉法人の利用者負担軽減」と同様の仕組みを民間企業や医療法人等にも拡げるとともに、対象サービスの範囲を拡大する例が見られる。
しかしながら、介護保険は、現にかかった費用の9割が保険給付される仕組みであり、サービスに要する費用が介護報酬額よりも安く済んだ場合には、その安く済んだ額の9割が給付されることとなる。これに対応し、運営基準においても、事業者が1割の負担を受領すべきことが規定されている。
したがって、事業者が利用者負担である1割分についてだけ割引を行い、9割分はそのまま介護報酬を受領することになる上記の減免措置は、介護保険の仕組みそのものや運営基準に反するおそれがあるものであり、適当ではないと考えている。
なお、利用者負担の軽減措置については、多くの市町村では、市町村が利用者に対し、利用者負担そのものに着目して直接補填する方法によって行っており、このように、市町村が利用者に対し直接補填する方法による場合には、制度の趣旨を損なうものでない限り、地域の実情に応じた取組であると考えている。
(参考) | 平成13年10月1日現在市町村単独の利用者負担軽減措置を行っている市町村は 722(全国3,247市町村の22.2%)。 |
ウ その他の平成14年度介護保険特別会計の予算編成に当たっての留意点について
平成14年度は第1期事業運営期間(平成12〜14年度)の最終年度であることから、平成14年度介護保険特別会計の予算編成に当たっては、次期事業運営期間(平成15〜17年度)において介護保険事業計画の見直し及び介護保険料の改定が行われることを見据えた対応が必要になる。このため、平成12年度及び平成13年度の予算編成の考え方を基本としつつ、以下の点にご留意いただきたい。
介護保険制度においては、介護給付費が見込みを上回るなどにより、会計上の不 足が生じる場合においても、定められた負担割合を超えて一般財源から繰り入れる ことのないように、会計上の不足額を財政安定化基金の貸付金及び交付金で賄う仕 組みとなっている。
財政安定化基金貸付金に代えて、不足額を一般財源からの繰入金で賄うことは、 高齢者の助け合いの仕組みとして保険料で賄う必要がある分を他に転嫁することと なるほか、給付と負担の関係を不明確にし、保険料収納不足分に係る一般財源から の繰入れを恒常化してしまうおそれがあることから適当でない。
また、こうした市町村においては、給付費が予想を上回ることとなった要因を分 析し、その要因に応じて次期事業運営期間の介護保険事業計画の策定に反映させる 方策を検討することが重要である。
(2) 第1期事業運営期間における介護給付費が見込みを下回る場合の考え方
一方、第1期事業運営期間について事業運営期間中の給付費が見込みを下回るこ とが見込まれる市町村においては、その要因を分析し、介護サービスの利用が低調 な場合には利用の促進を図るなど、分析結果を今後の事業運営に反映させることが 考えられる。
なお、第1期事業運営期間における黒字分は介護給付費準備基金に積み立てられ、次期事業運営期間において取り崩すことが基本になるが、その黒字分を次期事業運営期間において必ずしもすべて取り崩さず、その一部を次期事業運営期間においても引き続き介護給付費準備基金に積み立てる取扱いとすることは差し支えないものである。ただし、その場合であっても、事業運営期間ごとに事業計画で見込んだ給付に応じ、保険料を負担していただくという制度の基本的な考え方を踏まえ、次期事業運営期間も引き続き基金に積み立てておく黒字分をどの程度にするかについては適切に判断することが必要である。
(3) 次期事業運営期間における第1号被保険者の保険料の改定について
次期事業運営期間における第1号被保険者の保険料の推計のワークシートについては、介護保険事業計画におけるサービス量の見込み等の算定手順(ワークシート)とともに2月中に配布する予定であるが、このワークシートを使用しない市町村(保険者)を含め、第1期事業運営期間の際と同様、本年6月を目途に介護保険費用推計に必要な事項や推計保険料について中間値の調査をお願いする予定であるので、ご協力方よろしくお願いしたい(調査項目案については、「4 第2期介護保険事業(支援)計画の策定及び老人保健福祉計画の見直しについて」参照)。
また、第1号被保険者の保険料の算定基準等については、現在、「第1号被保険者の保険料の算定基準等について」(平成12年1月26日付け事務連絡)をお示ししているところであるが、次期事業運営期間における算定基準等については、以下の内容について、厚生労働省において必要に応じて見直し、追ってお示しする予定である。なお、当該基準の変更内容については、可能なものに関し、平成14年度第1四半期のできる限り早い時期にお示しする方向で検討中である。
・第2号被保険者負担率(※)
・財政安定化基金拠出率
・保険料の下限収納率の設定
・第1号被保険者の保険料の第4段階と第5段階を区分する基準所得金額
・後期高齢者補正係数、所得補正係数
※ | 第2号被保険者負担率については、第1号被保険者及び第2号被保険者の数の 見込みを基に3年ごとに設定することとされており、各被保険者数の実績値及び 将来推計人口(平成14年1月)を勘案すると平成15年度から平成17年度ま での第2号被保険者負担率は32%と見込まれることから、2月中目途で配布す る予定の第1号被保険者の保険料の推計のワークシートではこの数字を仮置値と して用いている。 |
(4) 介護報酬の見直しに伴う市町村の事務処理システムの改修について
平成15年度に予定している介護報酬の見直しに伴い、平成14年度において 市町村の事務処理システムの改修も想定されることから、国としても改修経費の 一部補助を行うべく必要な予算の確保を図ったところであり、市町村(保険者) においても介護報酬の見直しの状況(本年7月頃には骨格を設定)を踏まえ、シ ステム改修を行っていただくこととなるので、よろしくご指導願いたい。
また、国民健康保険団体連合会の審査支払システムの改修経費については、本来、審査・支払に必要な諸経費として審査支払手数料でまかなうこととされてい るが、制度の立ち上がり直後であること等から、今回の介護報酬見直しに限り国 としても予算の確保を図ったところである。
したがって、次回以降の介護報酬見直しに伴うシステム改修等に要する経費に ついては、国からの補助は行わない方針であり、国民健康保険団体連合会に対し、 手数料の積立を行うなど必要な措置を講じるようご指導願いたい。
(5) その他
介護保険円滑導入基金については、いわゆる特別枠の交付を受けた市町村を含め、平成14年度末までに廃止することとなることから、関連の手続等に遺漏のないよう市町村に対する指導助言をお願いしたい。
(参考)
平成13年10月調定分 | 平成12年10月調定分 | 平成12年度 | ||||
収納率計 | 普通徴収のみ | 収納率計 | 普通徴収のみ | 収納率計 | 普通徴収のみ | |
加重平均 | 98.9% | 89.0% | 98.6% | 92.8% | ||
単純平均 | 99.1% | 91.1% | 98.9% | 91.2% | 99.1% | 94.6% |
注.1 | 加重平均・・・回答市町村の収納額を合計し、当該市町村の調定額の合計で除したもの。 |
2 | 単純平均・・・回答市町村の収納率を合計し、当該市町村数で除したもの。 |
3 | 収納率計は、特別徴収と普通徴収の合計 |
4 | 平成13年10月調定分、平成12年10月調定分は、それぞれ各年10月調定分についての同年12月末の収納状況。 |
5 | 回答市町村数(定点市町村112のうち「平成13年10月調定分」:88 「平成12年10月調定分」:76「平成12年度」:107 ) |
NO.1 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◎低所得者に対する介護保険料の単独減免を実施している市町村一覧 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(平成13年10月1日現在) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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※ | 「個別」・・・ | 個別申請によって収入資産等の状況を総合的に把握し、個別に判定を行う場合 → ○ |
「減額」・・・ | 減額のみで、免除又は免除と減額を行う場合は含まない場合 → ○ | |
「保険料」・・・ | 減免の財源を一般財源ではなく、第1号保険料としている場合 → ○ |
NO.2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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NO.3 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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