戻る

1 介護保険制度の実施状況について

(1)介護保険制度の実施状況について



介護保険制度の実施状況

介護保険制度については、市町村や事業者などの関係者の努力により、概ね順調に実施されており、サービス利用が増加するなど導入による効果が現れている。

I.要介護者数・サービス利用者数等

(1)現在の状況

1.被保険者数

○ 第1号被保険者(65歳以上) 2,284万人(13年11月末)
○ 第2号被保険者(40〜64歳の医療保険加入者) 4,286万人(13年度見込)

2.要支援・要介護認定者数

○ 要支援・要介護認定者数 285万人(13年11月末)
      (うち65歳以上 275万人(被保険者の12.0%))

・ 要支援  36.3万人
・ 要介護1  82.3万人
・ 要介護2  54.0万人
・ 要介護3  37.7万人
・ 要介護4  38.1万人
・ 要介護5  37.1万人

3.サービスの利用者数

○ 居宅介護(支援)サービス受給者数 156万人
○ 施設介護サービス受給者数 66万人
  ( 特別養護老人ホーム 31万人)
  ( 介護老人保健施設 24万人)
  ( 療養病床等 11万人)
 ※ 13年11月報告分(13年9月サービス分)

(2)要支援・要介護認定者数の状況

○ 要支援・要介護認定者の高齢者人口に対する比率は、上昇傾向にある。

○ 一方で、要支援・要介護認定者の平均要介護度は、若干下降傾向にある。

(3)サービス利用者数の状況

○ 介護保険制度の導入前後では、各自治体が実施した調査によれば、新たな利用者が3割から5割増加しているとの結果が出ている。

自治体名 福島県石川町 横浜市 名古屋市 鳥取県 岡山県津山市
増加率 48.2% 30.9% 29.5% 47.1% 49.2%

  ※ 12年4月厚生労働省調査(96市町村)では新たな利用者が約23%増加。

○ また、制度の施行後、特に在宅サービスの利用者数が増えている。

  (居宅・施設別の利用者数(万人)の推移)

  (受給者率・在宅利用者割合の推移)

II.サービス利用の状況

(1)介護保険導入前後の比較

ア 全国ベースの利用量

○ 介護保険の施行により、サービスの利用量が増加している。

  11年度月平均  ※1 12年11月  ※2 13年10月  ※2
訪問介護 355万回 539万回(52%増) 743万回(110%増)
通所介護 250万回 340万回(36%増) 437万回( 75%増)
※1 平成12年度老人保健福祉マップの基となる自治体データの速報値。
※2 全国の各国保連の給付実績の集計値(サービス提供月ベース)。

イ 個人でみたサービス利用量の変化

○ 個人でみた場合でも、介護保険の施行により、7割近くの方がサービス利用量を増やしている。

サービス量が増加した人 ほぼ同じ人 サービス量が減少した人
67.5% 14.8% 17.7%
(注)108保険者(定点市町村)の1,263人について、平成12年3月と7月とのサービス利用量の変化

 なお、調査対象(1,263人)のうち、「利用料負担が重いためサービスを減らした」という方は32人(2.5%)と少なく、むしろ、介護保険の導入により従来からのサービス利用者の7割近くがサービスの利用を増やしている。

(2)介護給付費の支払状況(暫定集計値)

○ 福祉用具購入費など市町村が直接支払う費用を含む平成12年度の給付実績は、予算の85%強であり、平成13年3月以降の各月の国保連の支払実績は、予算の9割を超える水準となっている。

[ 国保連における支払状況 ]
(単位:億円)
サービス
提供月
4月分 7月分 10月分 1月分 4月分 6月分 8月分 10月分
在宅サービス 600 1,000 1,060 1,000 1,130 1,230 1,280 1,360
施設サービス 1,540 1,970 2,040 2,030 2,000 2,020 2,130 2,130
合計 2,140
(2,170)
2,970
(2,910)
3,100
(3,040)
3,030
(3,020)
3,130
(3,170)
3,260
(3,300)
3,410
(3,340)
3,490
(3,420)
(注1)各国保連の支払実績として1割の利用者負担を除く介護給付費(9割分)を集計したもの。
(注2)福祉用具購入費、住宅改修費など市町村が直接支払う費用は除く。
(注3)合計欄の下段の括弧書きは、各月の日数(30.4日)で補正したもの。

○ また、給付費の内訳については、在宅サービスの割合が増えている。

(日数補正後)

(3)サービス種類別の利用状況

○ サービス種類別にみると、特に訪問介護、通所介護、福祉用具貸与の利用が伸びている。

  (在宅サービス種類別費用(億円)の推移)

※ 日数補正後。なお、短期入所については、振替利用分を含まない。

  (在宅サービス種類別利用率(各サービスの利用者数/在宅サービス利用者総数))

※ 平成13年6月審査分(介護給付費実態調査)

  (要介護度別・在宅サービス種類別利用率(各サービスの利用者数/在宅サービス利用者総数))

※ 平成13年6月審査分(介護給付費実態調査)

(4)支給限度額に対する利用割合

  要支援 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 全体
平均利用率 48.9% 33.9% 39.4% 40.6% 40.8% 41.3% 39.0%
※ 平成13年6月審査分(介護給付費実態調査)

III.介護サービス事業者の状況

○ 在宅サービス事業者の参入は12年4月の施行後も進んでおり、全国的にみたサービス事業所の総数は増加している。
 一部の民間事業者にサービス拠点を削減する動きもあったが、施行後1年以上を経過し、こうした事業者の運営も軌道に乗ってきたものと見られる。

  12年4月 14年2月
訪問介護 9,185件 14,691件(60%増)
通所介護 5,621件 9,734件(73%増)
居宅介護支援 19,466件 22,107件(19%増)
(注)WAM−NET掲載ベースの12年4月1日、14年2月2日の比較

IV.保険料の徴収の状況

○ 高齢者の保険料徴収は、順調に行われており、13年10月からの本来額での徴収開始後も、高水準を維持している。

・ 平成12年度の収納率 98.6%(107市町村調査)
・ 平成13年10月調定分の収納率(12月まで) 98.9% (88市町村調査)

○ なお、一部の市町村では、低所得の方の保険料の単独減免が行われている。

  単独減免実施市町村数 うち3原則遵守市町村数
12年10月1日現在 72市町村 4市町村
13年 4月1日現在 139市町村 43市町村
13年10月1日現在 309市町村 191市町村
※ (1)保険料の全額免除
(2)資産状況等を把握しない収入のみに着目した一律の減免
(3)保険料減免分に対する一般財源の繰入れによる保険料の単独減免は、制度の主旨から不適当と考えている。
(13年4月1日以降増加した市町村の87.1%は3原則遵守。)


介護保険制度についての取組

(1)施行後指摘された課題への対応

○ 訪問介護の在り方 (→ 保険給付としての家事援助の範囲を周知)

○ 短期入所サービス (→ 訪問通所サービスとの支給限度額を一本化)

○ 要介護認定(痴呆性高齢者の評価の問題等) (→ 一次判定の在り方についての検討会や実態調査の実施。二次判定変更事例集の配布)

(2)介護サービスの質の向上に向けた取組

○ 痴呆介護の充実 (→ 全国3か所に高齢者痴呆介護研究センターを開設し、痴呆介護技術向上のための専門研修、痴呆介護の研究等を推進)

○ 特別養護老人ホームにおける全室個室・ユニットケア化 (下記)

○ ケアマネジメントの質の向上 (→ ケアマネジメントリーダーの養成・活動支援、現任研修の充実等を実施(14年度予算(案)))

○ 介護サービスの評価の検討 (→ サービス選択のためのチェックリストの作成。痴呆性高齢者グループホームにおけるサービスの自己評価項目の参考例取りまとめ)

○ 福祉用具・住宅改修の普及・適切な活用の促進 (→ 関係者への研修の充実、身近な相談援助体制の整備(14年度予算(案)))

○ 「身体拘束ゼロ作戦」の推進 (→ 推進会議の開催、介護現場用の手引き作成、都道府県推進会議・相談窓口設置等)

(3)介護サービスの基盤整備

○ 介護サービスの基盤整備は、ゴールドプラン21に基づき着実に推進。

○ 全室個室・ユニットケアを特徴とする新型特別養護老人ホームの整備を推進。(施設整備費補助(14年度予算(案)〜)。なお、設置準備の状況を勘案し て、当面、新型又は従来型のいずれかを選択可)
 これに伴い新型特養の入居者については、低所得者に配慮しつつ、ホテルコストの負担を求める。(15年度〜)

○ ケアハウスについて、設置主体を民間企業等に拡大し、PFI制度を活用した公設民営型による整備を促進。(13年度第1次補正予算)


当面の課題、スケジュール

 15年4月からの第2期事業計画期間に向けて、介護保険事業計画の見直し、 介護報酬の見直しを進める。

I.介護保険事業計画の見直し、保険料の改定

○ 「介護保険事業計画」は、それぞれの自治体のサービス基盤整備や保険料の水準を決める基礎となる計画であり、3年ごとに見直し。(高齢者の保険料も3年ごとに改定。)

(スケジュール)

13年度中 利用意向調査等の基礎資料の準備
14年 4月頃〜 介護保険事業計画作成委員会等での検討開始
6月頃  介護サービス量等の見込み(中間値)取りまとめ
10月頃  介護サービス量等の見込み(最終見込み値)取りまとめ
12月頃  最終見込み値の集計結果公表、ゴールドプラン21の見直し
15年 3月頃 介護保険事業計画の策定完了、保険料率の改正

II.市町村保険者の留意点(計画見直しの視点)

○ 実績の評価分析を踏まえた政策目標、具体的施策の設定

○ 住民意向の反映

○ 介護サービス基盤の適切な整備、特に在宅サービスの重視

○ 老人保健福祉計画との一体的検討

○ 介護予防への積極的な取組

○ サービスの質の向上

○ 保険者機能の重視

III.介護報酬の見直し

○ 介護報酬の見直しについて、昨年10月より社会保障審議会介護給付費分 科会を開催し、検討を進めている。

(スケジュール)

〜14年 3月  審議第1ラウンド(各サービスの論点を一通り議論)
4月  関連事業団体からのヒアリング
※ 介護事業経営実態調査の実施
5月〜 審議第2ラウンド
7月  介護報酬骨格設定
(→審査支払システムの設計変更(〜15年 3月))
秋   介護報酬新単価の設定に向けての議論
※ 介護事業経営実態調査の結果報告
 15年 1月 介護報酬新単価の諮問・答申
4月  介護報酬改定


(参考)今後の主な日程

  主な日程
平成13年度
1〜3月
支給限度基準額の一本化(訪問通所サービスと短期入所サービス)
介護保険事業計画、老人保健福祉計画策定のための基本的考え方の提示
介護サービス量の見込みワークシート、給付費分析ソフト(改訂版)の配布
平成14年度
4〜6月
介護保険事業計画策定のための基本指針の改定告示
介護事業経営実態調査の実施
認定ソフト(改訂版)試行事業開始(〜H15.3)
市町村、都道府県、サービス量等の見込み等(中間値)とりまとめ
7〜9月
介護報酬の骨格設定
審査支払システムのシステム設計変更(H14.7〜H15.3)
10〜12月
介護事業経営実態調査の結果の公表
市町村、都道府県、サービス量等の見込み等(最終値)とりまとめ
ゴールドプラン21の見直し
1〜3月
市町村、都道府県、介護保険事業計画、同支援計画の策定
介護報酬新単価の諮問・答申
平成15年度
介護報酬の改定
見直し後のゴールドプラン21の開始
認定ソフト(改訂版)の使用開始


トップへ
戻る