よくあるご質問
事務連絡
平成13年7月30日
各都道府県介護保険担当課 御中
厚生労働省老健局介護保険課

保険料滞納者に対する保険給付の制限等に係るQ&Aについて


 日頃より、介護保険制度の円滑な実施に格別の御尽力を賜り、誠にありがとうございます。
 さて、保険料徴収を開始して1年目を迎えることに伴い、本年10月より各市区町村において保険給付の制限等の事務が本格的に生じてくることとなりますが、その具体的な事務処理について、当課において簡単な問答を作成しましたので、送付いたします。適宜御参考いただくとともに、貴都道府県内の市町村への送付方宜しくお願いします。
 なお、保険料の滞納があった場合でも、給付制限等の措置を講じる前に、この措置についての周知やきめ細かい納付相談を行うことにより保険料を納めていただき、この措置を講ずる方が生じないようにすることが重要です。そのための取組みについて、宜しく御配慮願います。
 時節柄、御自愛専一のほどお祈り申し上げます。

【 担当 】
 企画法令係
 TEL:03-5253-1111
     (内線2262、2260、2164)
 FAX:03-3503-2167


<保険給付の制限等に係るQ&A>

(問1)保険料の滞納が法令で定められている期間を超えれば、被保険者証に給付制限等の内容が未記入の状態であっても、給付制限を実施する取扱いは可能か。また、保険料の完済があった場合には支払方法変更の記載は消除されるが、これを消除せずに給付制限を解除することは可能か。

(回答)

 償還払い化や給付額減額の措置は、被保険者証に記載した上で行うものであり、未記入の状態で行うことはできない。また、これらの措置を解除するときについても、サービス提供時に混乱することを防ぐため、原則として記載の消除を行って解除するものである。
 なお、以前示した事務処理手順においては、償還払い終了については「申請を月末締めとし、翌月1日決定から発効とする。」とあるが、この取扱いは変更し、措置の終了は月の途中であっても差し支えないこととする。

(問2)納期限を過ぎた保険料を被保険者が支払おうとする場合、どの納期限にかかる保険料であるかを被保険者が指定してきたときは、認めてもよいか。

(回答)

 未納保険料が複数の納期分ある場合、最も古い納期分に係る保険料に先充てしなければ、延滞金の発生や支払方法変更の措置、保険料が消滅時効にかかり、その消滅した未納期間に応じて保険給付率が引き下げられる等の不利益が生じることとなる。このため、その旨を説明し、これを避けるべきである。

(問3)給付制限に関する情報を、本人の了解を得た上で居宅介護支援事業者やサービス事業者に提供する必要があると考えるが如何。

(回答)

 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚令第37号)第11条及び指定居宅支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚令第38号)第7条等において、サービス事業者及び居宅介護支援事業者は、被保険者証の提示を受けて受給資格等を確認することとされており、給付制限の情報についても、この時に把握できることから、基本的にこうした情報提供は必要ないものと考えているが、本人の了解を得た上で、事業者に情報提供をすることはあり得るものと考えている。
 なお、保険者が給付制限を講じた場合、その内容に応じた支払いを行うこととなり、償還払いの場合にはサービス事業者等に支払うことはなく、給付減額の場合には7割分を給付すれば足りるとするのが、こうした措置の基本的な考え方である。このため、各自治体においては、居宅介護支援事業者・サービス事業者に当該措置を周知し、サービス提供時の被保険者証の確認が徹底されることとなるようご配慮いただきたいと考えている。

(問4)償還払い化の措置が解除される「滞納額の著しい減少」の具体的な基準を国において示す予定はあるのか。

(回答)

 これまでお示ししてきたとおり、どの程度まで滞納保険料が減少すれば「著しく減少した」と判断するかについては、各被保険者の納付状況等を勘案して判断すべきものであり、各市町村において個別に判断するものと考えている。
 なお、被保険者には支払方法変更の記載が消除される事由について説明を行うなど、不必要に措置が継続しないよう努められたい。

(問5) 支払方法変更の記載を行う当日の保険料納付状態が不明であったが、後日、処分日において保険料は納付済みであり、支払方法変更の措置の対象でなかったと判明した場合には、遡及して支払方法変更がなかったとして取り扱ってよいか。

(回答)

 被保険者が金融機関への払込みによって保険料を納付するなどの場合には、払込みの時期と保険者がそれを確認する時期とに差が生じることともあり得る。
 保険者が支払方法変更の記載を行う場合には、被保険者に弁明の機会を付与することとなるため、通常、処分を行う前に事実関係は明らかになると考えられるが、処分日までの間において保険料をすでに納付していたことが、事後に確認できたときは、遡及して処分を取り消すこととなる(なお、被保険者証の交付を郵送でなく窓口で直接行う場合には、交付時に金融機関が発行する領収書等の提出を求めることにより確認することが可能と考えられる)。

(問6)要介護認定の更新までの期間が残っている場合、支払方法変更の記載を行うことは事実上困難と考えるが、どのように取り扱うべきか。

(回答)

 介護保険法施行規則第101条第1項においては、支払方法変更の記載は、確実に被保険者と接触する要介護(要支援)認定(要介護更新認定、要介護状態区分の変更の認定等を含む。以下「要介護認定等」という。)の際に行うことを原則としている。
 しかしながら、法令上、要介護認定等の有効期間内においても、保険者が必要と認めるときは、保険料を滞納している者に対して被保険者証の提示を求め、支払方法変更の記載を行うこともできることとされている。例えば、次の要介護認定等までに相当の期間がある場合や戸別訪問・納付相談などの通常の徴収努力をしてもなお支払がなされない場合等には、こうした方法によることが望ましいものであり、必要に応じ適切に運用していただきたいと考えている。
 被保険者証の提出を行わない者に対しては、介護保険法(以下「法」という。)第214条第2項に基づき、条例により、10万円以下の過料を科すことが可能であり、また、保険料を滞納している者に対しては、法第144条に基づく滞納処分も可能であるが、いずれにせよ、保険料の納付や被保険者証の提出が行われるよう、できる限り努めることが重要である。
 なお、要介護認定等の有効期間が原則として6か月とされていることから、保険者においては、保険料を滞納している者に対し、この機会を活用した十分な指導にご配慮願いたい。

(問7)滞納期間が1年を超えた場合、要介護認定等を行う際に支払方法変更の記載を行うこととなるが、これは要介護認定等の申請時に1年を超えていることが必要か。

(回答)

 要介護認定等の際に行う支払方法変更の記載は、要介護認定等の申請日ではなく、要介護認定等の結果を被保険者証に記載する際に行うことを原則としている。
 したがって、申請日現在で滞納期間が1年を超えていなくても、結果が確定して被保険者証を交付する際に1年を超えていれば、支払方法変更の記載を行うこととなる。
 なお、支払方法変更の開始年月日は、サービス提供時に混乱することを避ける観点から、要介護認定等の申請があった際に交付する資格者証の有効期限の翌日とすることが適当と考えられる。

(問8)支払方法変更の記載を行うに当たっては、被保険者に弁明の機会の付与を行う必要があるが、これは、滞納期間が1年を経過した後でないと行うことはできないか。

(回答)

 要介護認定等の際に支払方法変更の記載を行う場合には、弁明の機会は、申請受付時点において処理期間内(通常は申請日から30日以内)に滞納期間が1年を超えることが見込まれるときには、これを付与する旨の通知を行うことが適当である。

(問9)行政手続法では、弁明は行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)によるものと規定されているが、給付制限の場合、被保険者の口頭による弁明を認めてもよいか

(回答)

 行政手続法においては、行政庁である市町村の判断により、弁明を口頭で行うことも認められているが、弁明の内容を明確にすること、事務処理上合理的であることなどから、原則として書面を提出して行うこととされているところである。


(参考)

(1)行政手続法

(弁明の機会の付与の方式)
第29条 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下、「弁明書」という。)を提出してするものとする。

(2)「逐条解説行政手続法 『総務庁行政管理局/編』(ぎょうせい)」(抜粋)

[解説]

(1)「弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してする」
 (1)弁明内容を明確にすること、(2)簡易迅速の防御手段を確保すること、(3)事務処理の上で、 合理的的であることなどから、弁明は、原則として書面を提出して行うこととしている。

(2)「行政庁が口頭ですることを認めたとき」
 弁明は、原則として書面を提出して行うこととしているものの、個別法では、従来から口頭による手続を行っている例も多く、また、手続保障の観点からこれを否定する必要もないため、行政庁が口頭ですることを認めたときは、弁明を口頭ですることを認めることとしている。

(問10)社会福祉法人による利用料の軽減やホームヘルパーの3%軽減等について、償還払い化の取扱いはどうするのか。

(回答)

(1)ヘルパー3%の場合‥‥被保険者は、事業者に全額支払ったのち、97%分を市町村に請求する。
(2)社会福祉法人の場合‥‥被保険者は、9割給付分と軽減後の利用者の自己負担分を事業者に支払い、9割分を保険者に請求する。

(問11)支払方法の変更について、保険料滞納中の者が、保険者間を異動した場合、滞納期間は保険者間を引き継ぐのか。

(回答)

 支払方法の変更について、以下のものは、対象外とする。

(1) 保険料徴収権が時効により消滅した保険料

(2) 他の市町村に対して納付すべき保険料
 ただし、一旦他市町村に転出した被保険者についても、保険料の納付状況 に係る情報を保存し、再度当該市町村に戻ってきた場合には支払方法変更の 措置を講ずる。

(3) 当該被保険者が連帯納付義務を負っている保険料

(平成10年4月課長会議資料参照)

(問12)保険給付が償還払いとなった被保険者については、国民健康保険団体連合会の審査支払の対象とならないが、給付管理票を作成しない(1月分のサービスがすべて償還払い化されている場合)こととなる居宅介護支援事業者については、市町村は居宅介護サービス計画費を給付しないと解すべきか。

(回答)

 償還払い化された場合における居宅介護サービス計画費の支給に関しては、他の居宅サービスと同様に、

(1) 一旦、利用者は事業者に利用料として全額を支払い(なお、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚令第38号)第10条を参照)、

(2) その後、事業者から交付されたサービス提供証明書を市町村に提出し、居宅介護支援サービス計画費を申請する、

(3) 保険者は審査の上、利用者に支給する こととなる。

(問13)新規認定等の場合や従前の要介護認定等の有効期間が1年の場合においては、申請時点で滞納期間が1年6か月を経過している場合が想定されるが、この場合は、即時に一時差止処分になると解してよいか。

(回答)

 ご質問の場合には、原則認定を行う際に支払方法変更の記載を行い、支払方法変更の記載の開始日以降において償還払い給付の支払いをする際に一時差止を行うこととなる。

(問14)支払方法の変更については、法第66条第1項等から公費負担医療等受給者はその対象とならないが、一方、保険給付の一時差止については、法第67条第1項等から公費負担医療等受給者もその対象となると解してよいか。

(回答)

 保険給付の一時差止の措置は、償還払い化された者に対して、償還払い分を差し止めるものであるから、償還払い化されていない者は、保険給付の一時差止の対象にならないものである。

(問15)措置の対象となる第2号被保険者が第1号被保険者となった場合の取扱いはどうなるのか。

(回答)

(1) 未納医療保険料等を有していても、当該被保険者が第1号被保険者の場合については、法68条第1項の保険給付の一時差止の対象とならない。

(2) 未納医療保険料を有している第2号被保険者であって、給付の一時差止の措置を受けている間に第1号被保険者となった場合については、当該措置は第2号被保険者を対象とするものであることから、一時差止の措置は中止されることとなる。したがって、第2号被保険者が第1号被保険者となった場合は、「保険給付差止の記載」は消除される(平成11年1月課長会議資料参照)。

(問16)給付額減額の期間は、本来支払うべき保険料に対する支払った保険料により決まるが、特別対策により免除又は半額とされていた期間はどのように取り扱うのか。

(回答)

 第1号被保険者の給付額減額期間(保険料徴収権消滅期間及び保険料納付済期間等より算定)は、特別対策によって免除又は半額とされた後の額により算定する。

(問17)保険料納期限から1年以上滞納しており、かつ時効となった保険料がある被保険者については、「償還払い化」と「給付額減額」は同時に行われるのか。

(回答)

 貴見のとおり。


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