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健衛発第0920001号
平成14年9月20日




都道府県
政令市
特別区



衛生主管部(局)長 殿

厚生労働省健康局生活衛生課長


入浴施設におけるレジオネラ症防止対策の実施状況の緊急一斉点検について


 本年7月、宮崎県日向市の入浴施設を感染源として死者7名を含むレジオネラ症集団感染事例が発生し、本年8月、鹿児島県東郷町内の入浴施設においても同種の事例が発生しているところである。
 このような集団感染事例が相次いで発生していること、死亡事例等重大な結果が生じていること、一旦感染事例が発生すれば、当該営業者のみならず管内の他の入浴施設への不安感も広がることから、危機意識をもって、貴管内における公衆浴場業、旅館業等の入浴施設において、下記のとおり、特に発生リスクの高い施設のレジオネラ症防止対策の実施状況の緊急一斉点検を実施するとともに、他の入浴施設を含めた対策の普及指導及び不備な点があった場合における個別具体的な改善指導を実施し、入浴施設利用者の安全確保と不安感の解消に万全を尽くしていただきたい。
 なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的助言である。


1 発生リスクの高い施設の緊急一斉点検の実施
 (1) 重点対象施設
 以下に掲げる発生リスクが比較的高いと思われる設備を設置している入浴施設について、重点的に一斉点検を行っていただきたい。特にそれらの設備を併設している大型入浴施設については緊急に実施し、これらの重点対象施設の点検が年内を目途に完了されるようご配慮願いたい。
 大型入浴施設
 循環式ろ過装置を使用している施設
 気泡発生装置、ジェット噴射装置、打たせ湯等エアロゾルを発生させる設備
 薬湯を使用している施設又は露天風呂
 (2) 点検のポイント
 「循環式浴槽におけるレジオネラ防止対策マニュアル」、「公衆浴場における衛生等管理要領」、「旅館業における衛生等管理要領」等に基づきレジオネラ症防止対策が適切に実施されているかどうかを点検していただきたいが、特に次の点について留意していただきたい(9月30日に開催する「全国レジオネラ対策会議」で配布する予定の研修用テキスト「レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理」は、これらのマニュアル等をまとめたものであるので活用されたい。)。
 ・浴槽水の換水・浴槽の清掃(原則毎日、連続使用型循環浴槽は週1回以上)が適切に行われていること。
 ・循環ろ過装置等が週1回以上適切に洗浄・消毒されていること。
 ・気泡発生装置等上記(1)ウの装置に連続使用型循環式浴槽水が使用されていないこと。
 ・浴槽水の遊離残留塩素濃度の測定を行い塩素剤による消毒が適切に行われていること。
 ・アルカリ系温泉水の利用等塩素剤の消毒が効きにくい泉質の場合、他の消毒方法の併用等により適切に消毒が行われていること。
 ・露天風呂の湯が配管を通じて内湯と混ざる構造となっていないことや露天風呂が清潔に保たれていること。
 特に(1)で述べた大型の入浴施設など発生リスクが比較的高いと思われる入浴施設においては、浴槽水にレジオネラ属菌が含まれていないことを、営業者による自主検査又は行政検査により確認することが望ましい。
 また、検査時にレジオネラ属菌が検出されなかった場合であっても、入浴施設における適切な防止対策を怠れば、発生事例を生じ得ることから、日常的な衛生管理の実施に努める必要があることを指導されたい。
 なお、保健所職員等が点検を行う際に使用する調査票の例(宮崎県の例)を添付するので参考にされたい。

 営業者への普及啓発
 重点対象施設に含まれない入浴施設の営業者にも、最低限レジオネラ症防止対策に関するパンフレットの知識が周知されるよう、パンフレットの再配布、貴管内営業者向けの研修事業の開催等を通じて、適切な衛生管理知識の普及啓発に努められたい。


レジオネラ症防止対策緊急実態調査票
レジオネラ症防止対策緊急実態調査票


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