討論会は「健康日本21における未成年者のアルコール問題について」と題し、教師やPTA代表者、市民団体代表者、酒類販売業者をパネリストとして行われた。
まず、座長である白倉克之氏(国立療養所久里浜病院院長)は健康日本21の資料を提示し、現在アルコール依存症患者が240〜260万人いる実態やそれに関連した疾病の増加などを解説した。
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千葉県立船橋高等学校教諭の今関豊一氏は1年生の1学期に行った授業内容を報告。いくつかのアンケートを行い「勧められたら飲む」と答えた理由には「かっこつけたい」、「反抗したい」、「大人っぽくみられたい」などの答えが挙がったとのこと。これらの結果を踏まえ、選択にせまられた時、何故酒を飲むのかということを生徒に考えさせる授業を展開したと述べた。
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アルコール問題全国市民協会(ASK)の今成知美氏は、諸外国に比べ日本のアルコール対策が大幅に遅れていることを報告。21世紀に向けて、自販機の撤廃やCMの規制、予防教育の推進を求めた。また、酒類と清涼飲料水のパッケージデザインの区別がつきにくいことを指摘し、子どもたちが知らずに飲んでしまっている場合も多いという実態を述べ、業界側に改善を求めた。
全国小売酒販組合の関 秀雄氏は、自販機の撤廃や深夜販売の規制について、業界の自主規制が行われている現状を述べた。
続いてビール酒販組合の村田 幸七氏は、メーカーとして行っている啓発活動や広告宣伝などの取組を報告、今夏から「お酒」マークの表示を開始していることなどを報告した。
最後に白倉は未成年者のアルコール問題は、社会全体で取り組むことが求められるとまとめた。
文・教育家庭新聞 平成12年12月9日発行前へ戻る