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スピノサド試験法(畜水産物)


1. 分析対象化合物
スピノシンA
スピノシンD

2. 装置
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC-MS)

3. 試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
スピノシンA標準品 本品はスピノシンA90%以上を含む。
スピノシンD標準品 本品はスピノシンD90%以上を含む。

4. 試験溶液の調製

1)抽出
[1]筋肉、脂肪、肝臓、腎臓及び魚介類の場合
 筋肉、肝臓、腎臓及び魚介類の場合は、試料20.0 gを量り採る。脂肪の場合は、試料5.00 gを量り採る。
 これに1 mol/Lリン酸水素二カリウム溶液20 mLを加えてホモジナイズし、アセトン及びn-ヘキサン(1:2)混液100 mLを加えて、さらにホモジナイズした後、毎分3,000回転で5分間遠心分離し、有機層を採る。残留物にn-ヘキサン50 mLを加えてホモジナイズした後、上記と同様に遠心分離する。得られた有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別する。ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をn-ヘキサンに溶かし、正確に20 mLとする。

[2]乳、卵及びはちみつの場合
 試料10.0 gを量り採る。
 これに1 mol/Lリン酸水素二カリウム溶液10 mLを加えてホモジナイズし、アセトン及びn-ヘキサン(1:2)混液100 mLを加えて、さらにホモジナイズした後、毎分3,000回転で5分間遠心分離し、有機層を採る。残留物にn-ヘキサン50 mLを加えてホモジナイズした後、上記と同様に遠心分離する。得られた有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別する。ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。乳及び卵の場合は、この残留物にn-ヘキサン10 mLを加えて溶かす。はちみつの場合は、この残留物をアセトン及びn-ヘキサン(1:1)混液に溶かし、正確に10 mLとする。

2)精製
[1]筋肉、脂肪、肝臓、腎臓、魚介類、乳及び卵の場合
a 多孔性ケイソウ土カラムクロマトグラフィー
 多孔性ケイソウ土カラム(20 mL保持用)に1)で得られた溶液10 mL(乳及び卵の場合は、全量)を注入する。このカラムを10分間放置した後、n-ヘキサン飽和アセトニトリル80 mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトン及びn-ヘキサン(1:1)混液に溶かし、正確に10 mLとする。

b トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルカラム及びエチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
 トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500 mg)の下部にエチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500 mg)を接続し、アセトン及びn-ヘキサン(1:1)混液10 mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムにaで得られた溶液2 mLを注入し、さらにアセトン及びn-ヘキサン(1:1)混液10 mLを注入して、全溶出液を採り、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノールに溶かし、正確に4 mL(脂肪の場合は1 mL)としたものを試験溶液とする。

[2]はちみつの場合
 トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500 mg)の下部にエチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500 mg)を接続し、アセトン及びn-ヘキサン(1:1)混液10 mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液2 mLを注入し、さらにアセトン及びn-ヘキサン(1:1)混液10 mLを注入して、全溶出液を採り、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノールに溶かし、正確に4 mLとしたものを試験溶液とする。


5. 検量線の作成
 スピノシンA標準品及びスピノシンD標準品のメタノール溶液を数点調製し、それぞれLC-MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01 mg/kgに相当する試験溶液中濃度は0.005 mg/Lである。

6. 定量
 試験溶液をLC-MSに注入し、5の検量線でスピノシンA及びスピノシンDの含量を求め、その和をスピノサドの含量とする。

7. 確認試験
 LC-MS又はLC-MS/MSにより確認する。

8. 測定条件
(例)
 カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル、内径2.0 mm、長さ100 mm、粒子径3 μm
 カラム温度:40℃
 移動相:アセトニトリル及び10 mmol/L酢酸アンモニウム溶液(3:1)混液
 イオン化モード:ESI(+)
  主なイオン(m/z): スピノシンA 733、732、142
    スピノシンD 747、746、142
 注入量:5 μL
 保持時間の目安:スピノシンA 8分、スピノシンD 10分

9. 定量限界
 スピノシンA 0.01 mg/kg
 スピノシンD 0.01 mg/kg

10. 留意事項

1)試験法の概要
スピノシンA及びスピノシンDを試料から弱塩基性条件下でアセトン及びn-ヘキサン(1:2)混液で抽出する。多孔性ケイソウ土カラムにより脱脂し(はちみつの場合は省略する)、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムにエチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲルミニカラムを連結したカラムで精製した後、LC-MSで定量及び確認する方法である。

2)注意点
[1]スピノサドは、スピノシンA及びスピノシンDのそれぞれについて定量を行い、その含量の和を分析値とする。
[2]試料によってはスピノシンA及びスピノシンDが有機層に分配されないことがあるので、中性〜弱塩基性条件下で抽出する。
[3]乳では2回目の抽出時にヘキサン層が固まることがある。その場合は、ホモジナイズしないでスパーテルでよくかき混ぜた後、遠心分離するとよい。なお、スピノシンA及びスピノシンDは1回目の抽出でほとんどが抽出される。
[4]脱水操作では、無水硫酸ナトリウムをアセトン及びn-ヘキサン(1:2)混液20 mLで2回洗い込む。
[5]多孔性ケイソウ土カラムからの溶出の際に、流速が速いとスピノシンA及びスピノシンDの一部が溶出しないことがあるので、流速を4 mL/分以下に調整する。
[6]トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲル/エチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲル積層ミニカラム(500 mg/500 mg)を用いてもよい。
[7]スピノシンA及びスピノシンDのLC-MS測定で、試験法開発時に使用したイオンを以下に示す。
 スピノシンA
  定量イオン(m/z):732
  定性イオン(m/z):142
 スピノシンD
  定量イオン(m/z):746
  定性イオン(m/z):142
 また、LC-MS/MS測定の例を以下に示す。
 スピノシンA
  定量イオン(m/z):プリカーサーイオン732、プロダクトイオン142
  定性イオン(m/z):プリカーサーイオン732、プロダクトイオン98
 スピノシンD
  定量イオン(m/z):プリカーサーイオン746、プロダクトイオン142
  定性イオン(m/z):プリカーサーイオン746、プロダクトイオン98


11. 参考文献
なし

12. 類型
C


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